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獣の奏者 4 完結編 みんなのレビュー

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みんなのレビュー286件

みんなの評価4.5

評価内訳

286 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

星五つでは足りません。探究編も完結編も、星を十でも二十でもつけたいです。

2009/09/26 21:44

17人中、17人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:紅葉雪 - この投稿者のレビュー一覧を見る

最初に。ここでは探究編・完結編の、両方に触れさせていただく。

『今年になって読んだ本の中でおススメを』と言われたら、一も二もなく『この二冊』と太鼓判を押せる自信がある。

やはり上橋菜穂子さんはすごい。そのひと言に尽きる。
上橋さんのファンタジーは、とにかく半端ではない。

完結編のあとがきの中、上橋さんは、続編を読みたいと言われ、「そんなふうに思っていただけるほど、エリンたちは「生きて」いるのだなと、とてもうれしかった(…後略)」と書いている。まさしくその通り。上橋さんの作品の中では、登場人物は完璧に『生きて』いる。

彼女の作品はファンタジーが殆どだが、そこには、登場人物の悩みや迷いを一気に解決する『魔法』も、それを操る『魔法使い』も登場しない。
登場人物たちは、自分の背負ったもの・直面したものに迷い、悩み、足掻き、傷だらけになりながら、『自分なりの解答』を求めて一歩一歩手探りで進んでいくのだ。
その姿は、現実世界を生きる自分たちと何一つ変わらないとすら思えてくる。

だからこそ。
余計に心を揺さぶられるのかもしれない。
ファンタジーでありながら、まるでノンフィクションでも読んでいるように思えてきてしまう時も。

実は作者は、前二作でいったんこのシリーズを完結させたつもりだったとか。
ただ読者や作家の佐藤多佳子さんの熱い要望をうけ、またこの獣の奏者のアニメ化にあたって、闘蛇編・王獣編の「物語の解体作業」をしていった結果、作者も思いついていなかった「発見」があり、探究編・完結編に結びついたと。

再度、完結編の「あとがき」から引用する。

「エリンという<獣の奏者>へと続いてきた道と、その先に続いていく道。人という生き物の群れの、滔々たる流れのようなものが見えた瞬間、これを書きたい、と思ったのでした」

「<闘蛇編><王獣編>が「人と獣」の物語であるとすれば、<探究編><完結編>は人々と獣たちの歴史の物語」なのかもしれません」


この二つの物語を一言で表すならば。
完結編の帯にあった、佐藤多佳子さんの言葉が一番ぴったりくる。

「凄い物語だ。痛みと希望の物語だ。(…以下略)」

そう、読み終わった後に、ズシリと胸にくる話だった。あまりにも大きな「痛み」……。


舞台は、<王獣編>から11年後。エリンは、カザルム王獣保護場で夫と子どもと三人で暮らしていた。そのエリンの元に、闘蛇の<牙>が大量死したと知らせが。大公の依頼を受け、エリンは<牙>の大量死の謎を探ることに。だがそこには、『闘蛇と王獣が戦った時、人も獣も死に絶えるような大惨事が起きた』という、『封印された歴史』の影も見え隠れしていた。かつてエリンの母親は、その真相を知りながらも、黙したまま命を失った。だがエリンは自らと家族を守るために、あえてその禁忌とも呼べる真相に近づき明らかにしようとする。

一方、闘蛇の操縦法が、敵国ラーザに漏れた。彼らが操る闘蛇軍に対抗できるのは、王獣しかいない。真王セィミヤは、かつてのエリンとの約束を破り、王獣を兵器として使う事を決意、王獣部隊を作るためにその調教をエリンに命じる。
その命令を受け入れながらも、同時に『大惨事』の恐怖を払しょくできないエリン。
だがとうとう、闘蛇と王獣がぶつかる時が……。そして言い伝えの真実とは。


最後に。
bk1のこの本の「利用対象」や、「この本のジャンル」等を見ると、この本はやはり「児童書」に分けられている。実は自分は、それが『もったいない』と思えてならない。

なぜなら。
以前ほどではなくなったが、大人で「児童書」に手を伸ばす人は、「一般書」にごく普通に手を伸ばす人より、どうしても限られてしまうと思うから。

さらに自分は、この本では完璧に児童書と一般書の枠が取り外されたと思う。

この「獣の奏者」は、話の内容・ボリュームからいっても、大人が読んでも十分に堪能できる作品。むしろ年齢・経験を重ねた大人が読んでこそ、様々な味わい方が出来るのではないだろうか。
だからこそ。「児童書」という枠の中に入ってしまう事で、児童書は読まないという大人の読者の手に触れられない事が、残念でならない。

私事になるが、上橋菜穂子さんは、自分が大人になってから「児童書」を読むことになった『きっかけ』をくれた作家でもある。それまで自分も、大人向けの一般書にしか手を伸ばしていなかった。だが上橋さんの作品に出会って、その面白さにはまり、さらに他の児童書に手を伸ばすようになった。


そういう経験があるからこそ。
今まで児童書を敬遠しがちだった方にこそ、ぜひとも手に取って貰いたい作品である。

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紙の本

人と獣の絆が災いとなるのか? 人間の欲望が絆を禁忌へ向かわせる

2009/09/10 11:16

14人中、14人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:菊理媛 - この投稿者のレビュー一覧を見る

獣の奏者 完結編

 読み終わって、なんとも「心痛む作品」という印象が残ります。
 たぶん、読み終わってからもう少し時間をおくと、徐々に穏やかな気持ちになれるのではないかと希望的観測をしてしまうのですが。

 争いを止めることのない「人間」という生き物への憤りと、自分もその人間であることへの悲哀。より豊かな生活を求めて利権を争うことの意味と必然性に憤然としながらも、現実に照らせば理解できてしまう自分が許せないような気持ちになります。

 しかしながら、私が一番心痛いのは、人と信頼関係を結んだために人でない生き物が犠牲になってしまう部分でした。

 エリンがリランと心結ぶことがなければ、リランは幼獣のまま死んでいたかもしれない。エリンがリランに示した愛情は本物であり、本編でエリンがとった行動は、リランの子孫を野生に戻し、後の世において王獣を人の手から解放するという未来を得たことを考えれば、彼女が取れる選択肢の中で最上のものであり、(今現在は否定的な響きのある、どこかで聞いたことのある言葉を使えば)「痛みを伴う改革」だったのだろうとは理解できるのですが。

 その痛みが、あまりにも痛い。エリンに甘えるリランの長男の末路。穏やかにエリンの最後の従うリラン。

 あまりにも人間の考えや行動は身勝手で、庶民を守らねばならない義務があるというセィミヤの言葉も、ラーザの戦闘力に対抗するには必要だという理屈も、相手が仕掛けてきたのだから避けようが無かったと言う言い訳も、すべては人間の都合であることであり、その領地取りのために生をゆがめられた闘蛇も王獣も、人間の身勝手さの被害者であることが一番辛い展開でした。

 いにしえの時代に自らが誓った「禁忌」さへも再び繰り返してしまう愚かさ。

 「あれば使う」「知れば使う」諸刃の剣となる兵器としての闘蛇と王獣を、二度と同じ間違いを犯さないためにと、人の手から未来永劫取り上げようとした先人の知恵は「教えて諭す」ではなく「知らせず秘する」だったことで破綻をきたしてしまいました。

 ならば、「教えて諭す」を選んでいたなら、同じ過ちを犯すことはなかったのかと考えるに、それでもなお別の道を通って同じ過ちは繰り返されたのではなかろうかと思えてしまうあたりが、やはり人間の愚かさゆえなのかと思えてしまいます。

 それは、「戦争など、誰にも幸せをもたらさない」と知っているはずなのに、世界のどこかで絶えることのない戦争を続ける人間という生き物の性(サガ)というか、戦争をしないまでも自国の利権を主張しあう姿に見える業というか、そういうものを払拭できない限り、愚かにも大禁忌を繰り返しかねねない人間の本質を、どうしても否定できないからなのかもしれません。

 食べるためのブロイラーを羽毛がもともとないように遺伝子操作し、豚のロースを増やすために肋骨の数を増やしたという話を聞くたび、人間の都合で生をゆがめられている動物がどれほど多いのだろうと苦々しく思いながらも、自分の食べている食品の実態など実はよく判ってもいない愚かな私が言ってはいけないのでしょうが、人間はあまりにも自分たちの都合で他の生き物の生をゆがめているのではないでしょうか。

 先の二編(闘蛇編・王獣編)で終わっていたなら、結末はファンタジーの常の形で収まりがついていたように思います。けれど、この二編(探求編・完結編)は、ファンタジーながら現実の厳しさを強く示していると思います。
 私のような極楽トンボは、「めでたし、めでたし」で終わりたい。そう終われない結末は目を閉じてみないようにしてしまうところがあるので、この完結編の最後部分は読み進めるのが辛く、週末が予見できてからは読みたい気持ちと読みたくない気持ちの葛藤でした。

 けれど、確かに「こうならなけらば次が無い」という終わり方であったことも、素直に認められるのです。

 エリンとリランの生涯は、お互いに普通の生ではなかったかもしれませんし、世の中に大きなひとつの「災い」をもたらしたのかもしれません。けれど、彼女たちの絆そのものは、夢のような、羨望に値する、すばらしい関係だったと、完結編を読み終えた後でも、それだけは、そのことだけは、羨望の気持ちをもって「有り難い絆」と思えるのです。
 エリンとリランの絆は、古代の人々が禁じたものを壊すきっかけとなってしまったかもしれませんが、壊すために利用したのは人間の欲望だということを読者は理解しなければならないと思います。

 ファンタジーでありながらも、多くのことを示唆したすばらしい作品であると、たくさんの人に勧めたい本です。
 

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紙の本

決意

2019/11/03 16:13

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ケロン - この投稿者のレビュー一覧を見る

エリンとイアル、それ以外の人たちも悲壮なまでの決意や覚悟が胸に迫ります。
日本の政治家にもこれくらいの信念や覚悟があればなぁ。

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紙の本

容赦無し

2016/11/30 19:52

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る

差別を受ける人々がいて 権力者がいて 心が折れた人 野心に満ちた人がいる世界で生きるエリンと獣の物語の着地点を見届ける事が出来て大変満足です。上橋さんの作品は本当に厚みがあって しかも容赦が無い。この作品を「児童」のころに読んだ子供たちはどんな大人になるのだろうか。

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2009/08/12 00:16

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2009/08/13 01:23

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2009/08/17 22:31

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2009/11/06 00:30

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2009/10/03 08:07

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