紙の本
落語家・川柳川柳氏が語った昭和30年に落語界に入ってからの痛快無比の話が満載された一冊です!
2020/06/29 10:54
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、昭和30年に6代目三遊亭圓生に入門されて以来、昭和49年の真打昇進。昭和53年の5代目柳家小さん門下への入門、そして現在の「川柳川柳」に改名といった苦難の道を歩んでこられた落語家川柳川柳氏の作品です。同書では、自身の無類の酒好きが昂じ、何度もしくじった話や「寄席はうけなきゃ意味ないよ」と言って、ソンブレロ姿にギターを抱え、ラテン、ジャズ、歌謡曲を織り混ぜた高座で一躍マスコミの寵児になった話など、様々な落語界の興味深い裏話が掲載されています。落語ファンにはたまらない一冊ではないでしょうか。
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あはは、これも面白い。戦争に対する記述は荷風の「断腸亭日乗」に通ずる面白さ。上品な文楽の後でこれを読むのもなんだけど、いやいや面白かった。デモこの本ははっきり言ってすごく下品です。
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「東宝オマ○コ事件」と言って、「ああ、聞いたことがある」という人には、是非おすすめの一冊。
そんな事件は聞いたこともない、という人には、是非にという訳ではありませんし、おすすめ、というほど強く言うこともないような一冊。
でも、落語とか寄席にご興味があれば、読んだらきっと面白い。
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「ガーコン 落語一代」川柳川柳。河出書房2009。
かわやなぎせんりゅう、と読みます。落語家さんです。1931年生まれなので、2018年現在大まか87歳。でも、どうやらまだ寄席に出てらっしゃるようです。
僕は2000年代の10年間くらい、東京の寄席にけっこう通っていたので、その時期に川柳さんの高座は何度も何度も何度も堪能しました。
(良く寄席に出ていたからです。寄席以外にテレビやラジオの仕事はあまり無いからでしょう。そして出るたびに「ガーコン」か「東宝オ○ンコ事件漫談」を聞かされるので、記憶に残りやすい。無論、同じ話を何度聞いても笑えてしまって満足だから、なんです)
いわゆる古典落語ではなくて、漫談とか随談とか言われる芸風、プラス歌います。
テレビでは見れない。というかどのネタもほとんど、何らかの理由で、放送できない。
むしろ「放送できない」ということがこの人の唯一はっきりした芸風と言えるかも知れません。
(といって、危険思想とか自民党批判とか、そういう訳ではありません<まあ、そう言えなくも無いかもですが>。
もっと直裁に単純に、放送できない言葉や内容が多いから、ですね。
だからといって、陰湿で性差別的で猥褻で不愉快かというと、そんなことは全くなくて、カラっとして馬鹿馬鹿しくて爽快です。
いや、爽快っていうことは無いですね…。愉快ではあります。多分)
で、この川柳川柳さんの自伝エッセイみたいな本です。寄席落語ファンには、まあ、どうやってもある程度面白い。
川柳川柳さんは、もともと三遊亭さん生という名前の落語家さんで。三遊亭圓生さんという名人の弟子だった。
いろいろあって、破門というか移籍という、そういう次第に相成って、「名前を返せ」と師匠に言われて、現在の名前に改名されたそうです。
その「三遊亭さん生」だった時代。
恐らくは1970年代か?に、「東宝オマン○事件」というのがあって、寄席に通ったことがあったり、落語家のエッセイ的な本を手当たり次第に読んでいると、目に(耳に)入ってくる事件なんですが、
それについてもこの本に詳細に書かれていて面白かったです。
「さん生」時代の川柳さんが、東宝名人会という落語会に出演しました。
当時の落語業界では、東宝名人会というのは、日々の寄席興行と違って檜舞台。それなりに権威と格式がある落語会。東宝ホールでやります。
そこで、川柳さんは、(この本をかなり前に読み終わって詳細は忘れてしまったのですが)何か客に腹の立つことがあって、
「オマン○!オマ○コ!」と高座で連呼絶叫したそうです。
東宝名人会でそんなことをしやがったということで、大いに叱られたそうなんですが、この本に書いてあって面白かった���は、後日談。
当時の師匠、三遊亭圓生さんというのは、天皇の前で御前落語をやったり、晩年とても「権威化した名人」となった人なんですが、
この師匠が、「東宝オ○ンコ事件」の直後に、同じくらい由緒と格式がある(?)国立演芸場での落語会の高座で、
「先日はあたしの弟子のさん生がですよ。よりによって東宝名人会で、○マンコー!オマン○ー!と、何度も高座で言ったんですよ!
信じられますか?東宝ホールで、オマ○コー!ですよ?それも一度ぢゃぁない。何度も、オ○ンコー!○マンコー!と大声で。
もうあたしは、東宝ホールでオマン○ー!と発言するような弟子を持って、まったく面目ない…。オマ○コー!ですよ?」
…と、真剣に厳しく弟子を批判したという…。ただ、ご自分の発言でどれだけ会場が凍り付いたか、気がつかなかったという…。
東宝名人会以上に格式があるはずの国立演芸場の舞台上で、これほどまでに、オ○ンコー!と発言した人類は、後にも先にも三遊亭圓生ただ独りなのでは…。
ただこっちは天皇の御前落語まで演じた勲四等瑞宝章受賞者なので、おとがめ批判は無かったそうで…。
まあ、という話がどこまでが本当だかわかりませんが、(それはこの本全体にそうなんですけれど)
そういう話がすごく、落語家というとっても特殊な職業のひとびとのスケッチとして、かくあらほしけれ、と思わずにはいられない、そんなエンターテイメントな一冊。
いつか、ずいぶんと暢気に暮らせる日々が訪れたら、ぜひとも「東日本とりあえず一度、あるいは二度くらいは、寄席に行ってみましょうの会」を発足してみたいと思っています。
ただ、その頃にはさすがに川柳師匠は彼岸に…いやいや、分かりませんね。カクシャクと歌われているかも知れません…。
なんというか、落語とか演芸とか話芸とか、そういう二文字よりも、「寄席」という二文字を体現してはるようなお人ですね。
いつまでもお元気で、っていうのは無理な相談でしょうが、次に僕が寄席で拝見するくらいまでは是非お元気でいていただきたいものです。
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ホームセンターのワゴンセール半額で積まれていたもの。
やや、川柳師匠だと目をやったが最後、カバー写真の眼光にやられて落手。
俺が買わなきゃ、あのまま日焼けていただろう。
amazonじゃ新品にはプレミアムがついているようだけど。
前半は生い立ちから師圓生の死までの自伝。
後半は、あられもないバレ話集。
師 圓生との関係はなかなかに込み入っている。
「あれは色物です。色物を真打にはできません」(p120)なんてことを、師匠に言われては辛いであろう。三遊亭分派の顛末も悲しい。
金とメンツと下ネタがらみの暴露話が連発するが、不思議と誰も嫌なやつにならないで笑えるのは、川柳師匠の徳の高さによるものか。
私もこういう年寄りになって、みんなに迷惑がられながら死にたい。