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なんだろうな、この、川上先生の書く恋愛小説の、べたべたしてない感じ。
ドライというのともちょっと違うし、さっぱりというほど爽やかでもない。
やっぱり、なんというか、夏の午後にぬるんだプールで、背泳ぎするでもなく、空見上げてぷかぷかしているみたいな、そんなゆらゆら感。
すごく心地いいんだよなぁ…
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やっぱり好きです 川上弘美さんはほっこりします。
26編もの短編集ですが どの話もすぐそばに あるような気がするはなしです
わたしは「かすみ草」がすきです。
何年も夫婦やってきて わかっている分かり合っているはず…でもね秘密がね あってもいいよね
「吸う」は とっても色っぽかった
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短編でありながら、行間の余白というか、語らずして語られていることが多く、空気感が伝わってくる作品ばかり。特に気に入っているのは、「琺瑯」「かすみ草」「床の間」「白熱灯」「動物園の裏で」「吸う」。すべてを語りきらない余白が、人間の世界の認識のしかたってこうだよなと、逆にリアリティをもって迫ってくる。引っかかったり、急にとんでもないところへ飛んだりする筋運びも、現実はたしかにこんな感じだと、腑に落ちる。作品の世界に浸った後で、自分自身の現実が、これまでとは違う見え方をしていることに気付いた。
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一篇が数ページという掌編が全部で26作品集められています。
写真は、そこに存在するものを、フレームという枠と、瞬間と言う時間で切り取るもの。誰でもが見られるものを、どう「切り取る」かが撮影者の技(芸)術なのでしょう。
この本もそんな感じがします。いかにもありそうな場面、人生と言う尺度で見れば一瞬に過ぎない時間を狭い視野で切り取って見せるような掌編です。
川上さんの体験では無いことは明確ですが、何故か私小説の匂いがあります。ただ、何故この瞬間が切り取られたのか、私にはどこかしっくり来ないところが多かったようです。
嵌れるか嵌れないか、結構好みの分かれる作品のように思います。個人的には川上さんにはもっと「うそ話」を書いて頂きたいなと思います。
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過去に関わりを持ったひとたちへの想い。
満たされているようないないような。居心地が良いような悪いような。
妙に曖昧な感じがいいです。
ささやかな掌小説の中に、いろんな思いがぎゅぎゅっと詰まっていて、温かさが溢れてきます。
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内容(「BOOK」データベースより)
かりん、という琺瑯の響き。温泉につかったあと、すっぴん風に描く眉。立ち飲みで味わう「今日のサービス珈琲」。四十八歳、既婚者で「中途半端」な私が夢中になった深い愛―さりげない日常、男と女の心のふれあいやすれ違いなど、著者独自の空気が穏やかに立ち上がる。虚と実のあわいを描いた掌篇小説集。
何処がどうという訳では無いのだけれども、この淡々とした文章でさらりと書かれた短編が沢山入っています。もっと膨らませて沢山本出せそうだなあと凡人は思ってしまいますが、出し惜しみせず書けるのは才能の成せるわざか。
どの話も落ちは無いし、哀しくもうれしくもない話ではありますが、なんとなくチクリと細いとげが触るように、彼らの先行きが気になるようであります。
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書き始めの一行から、何気ないちょっとした生活の中に入って、淡々とした物語が始まる。
すっと終わりがくるけど、その余韻がたまらない。
作品の中では「琺瑯」「浮く」「森」が好き。
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とても短いお話がたくさん、でもどのお話もすっと世界に取り込まれる感じが好きでした。
ありそうでなさそうな出来事。中には、川上さんの実体験なのかな?と思うようなお話もありました。
ぼんやり始まって、ぼんやり終わる、でもはっとするお話です。後からじわじわきます。
どれも好きなのですが、「ぱちん」と「島」がなんだか良かったです。こんなこと、いつか起こりそうだな、と思うと楽しいです。
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とてもよかった。短い物語を、読むというよりも吸収する、という感じでした。じゅわじゅわ染み込んでくる感じ。どの表現も見逃したくなくて、一文字一文字なめるようによみました。
景気悪く、捨てた。という部分は本当にその川上さんのセンスがあふれていて、どうにか誰かにこの素晴らしさを伝えたくて部分的に夫に読んで聞かせました。
貸してくれた先輩に感謝。
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琺瑯
「町子っていうの」その子は小さな声で名乗った。
「町子」私はぼんやりと繰り返した。
短編好きにはたまらない、ふわふわとあわあわとどこに向かうのかわからないまま進み、ベージをめくったら、ふっと終わってしまうこの感覚。「あっ」と思ったあとに、ふふむ、と感じるこの感覚。
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解説にあった、
「一気に読むより、一ページずつ、一本ずつじっくりゆっくり読むにふさわしい本だと思う。」
川上弘美さんの作品はどれもそう。この作品も、一つ一つ大切に読んだ。
日常のなんでもなさを切り取ったお話が好き。
でも「疑惑」が実は一番面白かったかな。
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川上弘美さんの短編集。
一話が本当に短い。2,3~4,5ページのものが多い。
その短い中で、登場人物がうまく描写され、ストーリーがある。当たり前か。
どのストーリーも、登場人物がどんな人か、こんな短いページ数でも把握できる。
女性同士の付き合いの話が多く、共感できる。
面白かった。
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なんでかよくわかんないけど、よく思い出す記憶ってある。なんでだろう? 「ハヅキさんのこと」をはじめとする話、ふと思い出す断片的な映像みたいだった。や〜良い。
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短編よりも短い10ページほどのお話ですぐに読めてしまった。短いだけに細かい説明がなく読み手の想像をふくらませなければならない部分もある。20年前のこと、とかもあるから短い話の中にその人の半生にまたがっていたりするから行間を読んでじっくりと文章を読むとまた違う感想になりそうだ。
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あとがきにもあった通り、『知っている』人に出会う話と『いろいろな恋愛』に関する話の二種類からなるショートショートの作品群。どの作品もしっかり中身が深く一語一語にはっきりと意味を感じられ、川上ワールドを体験できた。小物もよく使っており、ともすれば読み飛ばしてしまいそうになる所もしばしば。短いながらも一話ずつ噛みしめるようにして読め、ちょっとした隙間時間にちょうどよかった。個人的にはかすみ草が好みだった。評価の星は3.5をつけたいが、システム上できないため4。