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みんなのレビュー40件

みんなの評価4.2

評価内訳

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  • 星 1 (0件)
38 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

吉村昭の歴史小説

2011/01/22 22:26

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:hiro - この投稿者のレビュー一覧を見る

 吉村昭氏の歴史小説の魅力は、可能な限り同時代、またはそれに近い資料を渉猟し、実地を歩き、時には遺族や子孫にまで話を聞く、そうした綿密な調査を土台としているところだと思う。そうした緻密さが、小説の中心人物や事物だけではなく、周辺の人物、時代にまで行き渡っているようだ。この点は司馬遼太郎の創作姿勢にも通じるし、遡れば森鴎外の歴史小説にも共通しているようだ。そうした綿密な調査の土台の上に、作家の想像力で人物を活かし時代を動かして紡ぐのが歴史小説であり、歴史の教科書やフィクションとしての時代小説とは異なった奥深さをたたえていると思う。
 氏の作品のもう一つのおもしろさは、中心の出来事よりもむしろ周辺の出来事に、より力点が置かれているところではないだろうか。この「桜田門外の変」にしても、タイトルでもある暗殺事件についてはむしろ淡々とした記述で、そこに至るまでの暗殺実行者の属していた水戸藩の状況や、事件後の情勢の変化に翻弄される主人公達の生をこそ、より克明に綴っている。同氏の作品「彰義隊」でも、上野戦争での彰義隊憤死後の、上野寛永寺貫首の運命の変転がより詳細に描かれていたのを興味深く読んだが、その点この「桜田門外の変」とよく似ている。歴史上の大事件は、それが大事件であるが故に歴史に残るのではなく、前後の時の流れがそれを大事件たらしめているという氏の史観が感じられる。主人公の起伏に満ちた人生が、時代の激動と重なり興味深い作品だ。

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紙の本

史実を丹念に積み上げ桜田事変の実相に肉薄する歴史小説の傑作

2011/11/02 21:42

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

「桜田門外の変」とは安政7年(万延元年・1860年)、雪降る江戸城お堀端で水戸藩士たちが井伊大老を襲撃し暗殺した事件である………と。それだけでなく安政の大獄、無勅許の開国など独断専行に対する制裁だった………程度は誰もが知っている著名な事件である。
先日出会った山田風太郎『魔群の通過』はその4年後の1864年の天狗党の乱であったが、このとき茨城県生まれの私は「幕末期の水戸藩とは一体なんであったのか?」との興味にとらわれてしまった。本著は桜田事変の襲撃現場の指揮者・関鉄之助を主人公にして、その背景、顛末の全貌を膨大な史料にもとづき活写した吉村昭氏の大作である。私の知りたかったところの核心がドクキュメンタリータッチで鋭く描出されていた。

私は桜田事件が血気にはやった一部不満藩士によるヒステリックな暴挙だと思い込んでいた。ところがそんなちっぽけなものではなかった。これは新鮮な驚きだった。
私の知らない史実がこの事変の背景として積み上げられる。
ペリー来航の30年近くも前にあった、大津浜(北茨城)イギリス船上陸事件がそのひとつである。斉昭を中心とする改革派はこの原体験的脅威によって、反対派へは制裁を加えつつ、軍備強化と異国船対策に注力していく。そして、水戸藩の軍備強化対策は薩長よりはやく全国諸藩の中で抜きんでたものになった。
また、ロシアに対抗する蝦夷地の防備と開拓のため関鉄之助が下準備の密命を帯びて孤軍奮闘する叙述も加わる。へぇ、水戸藩ってこんなだったんだ!と、攘夷実践の先進性に驚かされた。
さらに利根川通行権を巡る騒動(1811)が述べられているが、井伊直弼の彦根藩とは昔より因縁の確執があったとして、暗殺の背景に奥深さを加えている。
また冒頭より、水戸藩内部の血塗られた抗争が描かれるが、これは大老襲撃後、実行藩士たちが水戸藩吏に追われるという過酷な宿命にもつながるものである。

安政5年(1858年)、大老に就任した井伊直弼は天皇の勅許をえないまま日米修好通商条約を締結、孝明天皇はこれを非難し、幕政改革を命じる勅書を水戸藩に下賜。井伊直弼と徳川斉昭との対立は相互不信、誤解も加わっては頂点に達する。安政の大獄である。
安政の大獄といえば私は吉田松陰、橋本左内を思い浮かべるのだが、実際のところ井伊直弼にとっての本命は教科書的著名人の彼らではなかった。本著を読んで、実相は「水戸藩が朝廷と結託してすすめている倒幕工作」と誤解した井伊直弼による、水戸藩改革派をターゲットにした流血の粛清であったことを理解した。
主人公の関鉄之助はこうした背景が生んだ熱狂の尊皇攘夷論者であり、大獄を進める井伊直弼に深い恨みを抱く人物である。アメリカの圧力になすすべなく、唯々諾々としてその言い分にしたがわざるをえない井伊大老の胸のうちもわからんではないが、そんな幕閣は排除されるべきであると、幕政改革の必要性を各藩や公家たちに訴える彼らの行動はよく理解できるのだ。
TPP問題、沖縄問題も似たところがあるなぁ………などと、いやこれはアナクロであり無責任な発想かもしれん。

氏の著作では『敵討』『長英逃亡』『破獄』を読んでいる。この作品もそうなのだが、いずれも「逃亡者」の物語である。当然に追うもの追われるものが登場するが、氏の姿勢は人物を善・悪、正・邪、勝・敗の尺度で量らないことに一貫して厳格だ。「逃亡者」は時流に逆らって自分を貫こうとする情念の持ち主であり、その超人的情念が抗しきれずに燃え尽きる。氏が描くのは個人の裁量を超えたところにある、非情な時の流れの重圧感である。
高野長英を除いて全て歴史に埋もれた無名の人物たちである。氏はその痕跡を探り当て、その人生に鈍い輝きを見出す。その輝きにはどこか現代を生きるものが深いところで感銘を覚える普遍性がある。この吉村昭氏のまなざしにあらためて敬服する。

(下巻へつづく)

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襲撃側

2020/07/19 05:39

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る

井伊直弼が襲われた事件だが襲撃側から捉えた作品。著者の独自の視点が光る。これまで焦点が当てられなかったところへの注視は作風の傾向だがより詳しく綴られている。

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2006/10/27 00:21

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2008/04/12 01:00

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2008/07/20 19:38

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2011/02/05 09:11

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2011/02/05 15:12

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