投稿元:
レビューを見る
―人間というものは、浅い、痛みのない生活を求めながらも、深いところでそれにやっぱり抵抗するものだというように思えた―
痛みはある意味、人間を人間たらしめるものだ。
痛みは決して、つらく激しいものだけではない。
穏やかに、少しずつ繰り返していくもの。
ストーリー中盤。
植物のように潔く生きて、消えていく。
卑怯と潔さは紙一重。
一歩踏み外せば、諦観にもなりうるもの。
だけど、ここに登場する人々は、それぞれの《潔さ》を持つ。
緩やかな抵抗と染みていく物事。
こんな生き方、私には一生無理だろう。
投稿元:
レビューを見る
王国2巻目。
前作の登場人物紹介が終わり、
今作は主人公が環境の変化に悶々と悩むお話。
彼女がひとつひとつ戸惑うことは、
現代社会ではすっかり当たり前のことなので、
いまいち感情移入できない部分がありますが、
でもその感受性がすこーしだけ羨ましい。
ばなな女史の創り出す人間は、皆そう。
こんなふうになれっこないよとそっぽを向きつつも、
そんな生き方、考え方に惹かれずにはいられない。
投稿元:
レビューを見る
うーん。
途中から展開が読めました。展開が読める作品でも、すっきりする読了感を感じる作品てあると思うのですが、今回はちょっと違いました。。
投稿元:
レビューを見る
前作は、雫石の世界が外側に広がっていく過程、今作は、広がった世界の内側を消化する過程、という感じかな。心の内側をたどって、整理して、おとしまえをつけていく、というか。あそこまで何もないのに、これだけ綴れるのがすごい。
投稿元:
レビューを見る
購入してしまったので、惰性で読んでる感じです。やっと、ちょっと読める気分になったことろ。なんだろう、際立ったものがない状況で、ちょっといい具合になってきた感じ?
投稿元:
レビューを見る
再読。
2度目で、ストーリーも知っているのに、読み終わってしまうのが惜しくて、まるで子どもが大好きなジュースをちょびちょび飲むかのように、ちょびちょび読んだ。
「とにかくひとつのことをやるときにはそのことだけをやること。」このおばあちゃんのことばは、生活をあるべき場所に丁寧に戻してくれる魔法。
投稿元:
レビューを見る
「退屈」それが魔物の本当の正体なんだな、と私は気づいていて、でもじっとやりすごしていた。私に与えたえられているのは今このとき、今日一日だけ。そういうふうに。
ばななさんのこうゆう言い回しがとても好き
最後のおばあちゃんからの手紙が一番泣ける
マルタ島に行ってヴィーナスをあたしもみたい。
投稿元:
レビューを見る
最終巻を読むために再読。
どんどん進んで1日で読み終わってしまった。
雫石と真一郎くんのプラトニック?ってほどでもないけど
相手を欲しすぎない関係が好きだ。
投稿元:
レビューを見る
「好きな人の、生の声にはものすごい力があるんだ・・・・・・と私はがく然としていた。私が思っていたよりもずっと、人の、生の反応だとか、手の感触だとか、表情だとか、声の響きに直接触れることは、すごい力を持っているんだ。」
今回は、物語は余り進まなくって、ひたすら雫石の独白のようになっている。
いつの間にか、雫石と同化してしまっている自分がいるから、雫石が考えているのか、自分がそう思っているのか、なんだかだんだん分からなくなってしまう部分もあったりする。
それでも、多くはすとんと私の中に入ってきて、そうだったんだと、新しい気付きを与えてくれる。
その点が、物凄く気持ち良い。
【7/3読了・初読・個人蔵書】
投稿元:
レビューを見る
私が都会では都会なりに暮らしているように、植物たちもここはここで楽しみとかエネルギー源を見つけているんだ。そう思うと、山でかんじていたような畏怖すべきものは感じなかったけれど、そのかけらがこもっている小さな親しみや輝きを感じて私は笑顔になった。生き物は、そうやってなんとしてでも栄養を得ようとする働きをもっているところが、うんといやらしくて美しいと思う。19
もちろん人間は絶対に取り替えられない。同じくらい力持ちで酒の入ったケースを同じように持てる人がきても、彼の代わりには、本当にはならない。でも、そのことを毎日の中で彼自身でさえ信じられずにいるから、判断がおかしくなっている。
だからできればなにごとも慎重にやるべきなのだ。自分のまわりにはこれまでしてきたことや失敗したことやごまかしてきたことが、ぼんやりと層を作ってその人の輪郭をぼやけさせたりする。35
投稿元:
レビューを見る
夢の中では自分の精神だけが自分だ。
だから感情は大きくなったら遠慮なく器からあふれ出してしまう。あふれて、いろいろな気持ちが100倍くらいに増幅されている。そして遠い旅をしてきたように、ただただ心が痛くなってくる。人々のストレスを感じ取らなくてはならない位置にあるのも大変だ。ストレスのある人間が発しているのは本当に毒なんだな、と思った。目に見えないからと言ってあなどってはいけないのだ。そして人はみんな、自分がストレスを抱えて歩いているだけで回りの人を害しているという事実を神経質にでなくって、素直に感じられた方がいい。
人は人に慰められ、力を得ることができる。人間同士だから、誰だって痛いのはつらいから。
大きな本当の目で見れば自分のしたことは絶対に消せないし、今までしてきた仕事や生活の型は必ず体のまわりに残ってしまうのだから、やり直すということは厳密にとっても難しい。だからできれば何事も慎重にやるべきなのだ。
人は永遠に生きるけれど、何も感じない。感じないまま、なんとなくさみしい漢字がして、なんとなくものたりなくて退屈で、そして死んだらそのことはなかったことにしてまた術の中に戻っていって永遠に目はさめない、そう思えた。
人は大変なものや来栖うものや輝いていないもの、うらぶれているもの、生々しいものを見るのを好まないのだ。本当は見たいのだが、みるといろいろと考えてしまうからできれば避けていたいのだ。
人間がどれほど弱いものかは、私も身にしみて知っているし、誰でも一度くらいはおかしなタイミングのせいで何かそういうふうに楽しみます。
この光こそが人間なんだ。人間の本当の姿なんだ。どうしてそんなふうに角新できたのかよくわからなかった。きっと心の目で見れば人間の世界はいつだってこんな風だった。真っ暗な宇宙空間にものすごい数の人間の光がただよい、つながりあい、光っている。ここは生死の区別もなく、大地も空もない。時間というものも存在しない。でも光はある。そのくらいに人間の光は強いものなのだ。
投稿元:
レビューを見る
やさしいあったかいふわふわした膜みたいなのに覆われているような世界、に読める。
きっと言葉のせい。
投稿元:
レビューを見る
出会った占い師・楓と片岡さんは、フィレンツェに行ってしまうし…。おばあちゃんはマルタ島。
都会で流れるような時間に慣れると共に、大事な何かを忘れて行く…。
つくずく丁寧さを忘れている自分に気付かされます。雫石みたいな力があるわけじゃないけど、「感」が鈍る感じ、すごくわかります。
最後のおばあちゃんからの手紙にうるっときました。
投稿元:
レビューを見る
もういい加減よしもとばななは卒業しなきゃ,
そろそろ現実と折り合いをつけなきゃいけない年だよ,と
思うんだけど
読むとやっぱり,「いやこの生活でいこう。」と思ってしまう。
投稿元:
レビューを見る
1とはまた違う視点な感じがした。ゆっくりじっくり読んだよ。このシリーズは、今の私に大事なことが沢山書かれているみたいだ。