紙の本
おもしろかった。
2013/03/13 23:34
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投稿者:ねこさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公のおっとりしたかわいい感じ、それでいて残酷で、そんな乃々香が大好きです。次は何をしてくれるのかわくわくしながら読みました。若くして亡くなられた永井さん。もっともっと女性の心模様を描いた作品が読みたかったです。
紙の本
対照的な女ふたり――追う者と追われる者――が紡ぐ心理戦。
2011/01/28 11:53
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:惠。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ハジメマシテの作家さん。つい最近(昨年)、亡くなられたそうです。1961年生まれとまだまだお若かったのに。。。
ふくよかすぎる女性の轢き逃げ死亡事件、痴漢に間違われた中年男の転落事故、ご近所迷惑老人への薬物混入缶コーヒー提供事件。全く接点が伺えない三件の事件を追うライター相馬多恵は、どの事件にもある自分物の影がちらつくのに気づく。
その人物とは、柴田乃々香。20代後半の主婦。そして妊婦だ。取材を装って乃々香に近づいた多恵は、彼女が犯人だと確信する。しかし親しくなればなるほど乃々香の天真爛漫さに魅かれ、自首を勧めることにする多恵。一方の乃々香もまた、身近にいない、ざっくばらんな性格の多恵に好感を持ち、友情を深めたいと願うのだが…。
三件の事件がつないだ、二人の女性――相馬多恵と柴田乃々香。年齢も近い二人だが、それぞれを取り巻く環境は大きく異なる。マスコミ業界で揉まれながらもキャリアを積みたい、実績をあげたいと必死にもがく多恵。対する乃々香は、優しい夫に守られマタニティライフを満喫中。仕事と家庭。優先順位が全く違う二人。だからこそお互いに興味を持ち、友情を育むことになる。
しかし乃々香は事件の第一容疑者。警察は未だ三件の事件に関連性を見いだせず、内一件は転落「事故」として片付けようとしている。友情とライターとしてのキャリアの狭間で多恵は揺れる。
この多恵と乃々香の心理戦が面白い。はじめはお互い、仮面を被って相手を欺こうとするのだけれど――女の世界ではときたま目にする心理戦。それほど珍しい光景でもない――、顔を合わせる数が増すごとに両者の思いに変化が現れるのだ。いけすかないと思っていた奴が、腹を割って話してみれば、親友になっていたりするってのに似ている。
しかし二人は追う者と追われる者。犯罪者と、それをスクープしようと目論むライター。
女ってホント強かで恐ろしい。そして面白く、可笑しい。なかなかのスリルとサスペンスを味わうことができた。
しかしタイトルの『ダブル』。その真相にはがっかりしたのだけれど、これはネタばれになるので詳しく書かないでおく。
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◆あらすじ◆
被害者女性の特異な容貌から注目を浴びた轢き逃げ事件、痴漢の容疑をかけられた男の転落死、色呆け老人が飲んだ薬物入り缶コーヒー騒動───同じ地域で起こった三件の未解決事件には、ある人物の姿が見え隠れしていた。
謎を追う女性ライターは次第にその人物に魅入られていく……。
彼女が辿り着いた真相とは!?
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2010.09.14
読みながら、怖いなーと思った。
最近こういう人が居てもおかしくない。
最近とは言わず、ずっと前からこういった考え(行動)をする人が居ただろうけれど、あからさまに行動に移すということはなかったと思う。しかし、今の時代、こういう人が普通に行動に移しそうで、それを考えるとぞっとした。
ちょっと残念だったのは、終わり方かなぁ。
すっきりするような、しないような。
べつにすっきりする必要はないのかもしれないれど。
永井するみ作品、初めて聞く名前でたまたま読む機会があったのだけど、面白かった。
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むちゃくちゃ面白かったっ!!
ありそうでない感じ、、簡潔な中に色んな要素が盛り込まれてて。犯人が最初の方からわかっているのに、ハラハラして続きが気になってしょうがない展開がすごい。一気に読んだ。
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「いちゃつきブス女」「キイキイ声の貧相な中年男」「色ボケじいさん」
3人の人間が同じ地域で犯罪の被害者に。
3人には共通項があった。それは「人を不快にする人物」
事件の謎を追う週刊誌の女性ライターがたどり着いた真実とは?!
これは怖い。
まったく罪の意識を持たず
自己中心的な理由でアッサリと犯罪をおかす。
今はこういう人間が増えてきてるのかも・・・
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面白かった!
永井作品は割と読んでいるのだが、その中でも個人的には最高傑作。
完成度といいざらっと残る不快な感触といい、底の深さを感じさせる作品。
もともとこの作者は女性のいやらしさとか偏狭さとか、
いやな部分を描くのがうまいと思っていたが、今回は少し切り口が違う。
描かれるのはゆったりとしたお嬢さん風の妊婦。
主人の浮気を心配し、ヨガを楽しみ、母親と仲良くしながら優雅に過ごす。
その彼女の周りでじわじわと起こる、よくありがちな小さな事故や事件。
ところがそれが死亡事故や事件につながり、
その事件に関わる小さな記念品を慈しむ彼女の姿が、女性記者の目に留まる。
それを追う女性記者も、あやしいと思いながらも彼女に惹かれ。。
こっから先はネタばれするので書けません。
ただ、二転三転する代わりに、ずるり、ずるり、と、
皮が剥けるように事実が浮かび上がるその感触がたまらない。
この作品を他の人はどう読んだんだろう?
底意地の悪いひんやりした悪意が怖い。
気味が悪い、でも、なぜかあたしはこの妊婦を嫌えない。
うーん、すごい。
永井するみは昨年、ひっそりと45才の若さで急逝している。
そのあまりの早さを読了後に、本当に残念に思った。
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週刊誌フィーチャーの記者 多恵 が連続殺人事件の真相に迫る物語。
女性ってこわいなぁ と切に感じた小説。
二面性、愛憎、興味、執着
悪意の有無はともかくとして、殺してしまった事への直接の後悔なんかはかんじられないような、買い物に行くような、そんな感覚かな。
どろどろどろどろとした渦の中心に、知れば知る程巻き込まれていく感覚。
全ての小説が綺麗な終わり方をするわけではないのはもちろんの事だけれど、物語の続きという物がとても気になってしまう本でした。
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悪意のない犯人て怖いなー。悪意ないと言うか、自分が正しいと信じ切っている人と言った方がいいのかな。
妊婦という設定もなんだか凄味があって…ぞくりとしました。
それにしても、人を一つの面からしか見ないって本当に酷いことだなと思う。
ブサイクは不幸なんて一般人の勝手な押しつけで当人が何を考え生きてるかなんて推測でしかない。同じ人でも見る人が違えば印象は全然違ってくる、当たり前のことだけど取材においての色々な角度からの証言が楽しかったです。記者って大変だけど楽しそうだなぁ。
主人公の多恵ちゃん好きだけど、相手は殺人犯なんだからもっと危機感を持ってー!と言いたい。
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作者の永井するみさんは昨年亡くなられたんですよね。全然知らなかった。前に他のを読んだとき好きな感じだったので、最高傑作と言われてる本書を買ってみました。
やっぱり永井するみさんは女性心理を描くのがうまいなぁ。無駄な描写がないので、映像として想像しやすい。事件の遺留品がキーになってるんだけど、多恵だからこそ女性だからこそ、その存在が異様に映るんだよな。女性にしか書けない小説ですね。『ダブル』の意味も後々分かってくるんだけど予想外でしたよ。そんなに複雑ではないので読みやすいです。
テレビドラマにしても面白いんじゃないかなー。演じる人によっては怖くなりそうだけど。とっても面白かったよ。
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面白くて、さくさく読み進みました。
が、終わり方が物足りなかったです。
最後の最後がきりっと話が片付いたら、
もっともっとよかったのになぁ、というのが私の感想です。
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面白かった!
女性が主人公のイヤミスっぽいですが、単純にそういう訳でもなくてなんかもう「ぞ~~~」っとする怖さ・・・
デブでブスな女性が車に轢かれて死亡した。被害者の容貌から注目を集めていた事件をライターの多恵が調べるうちに、他の事件の回りにも見え隠れする妊婦の存在に気付く。
平凡で平和な日常を送る妊婦の乃々香。
冒頭から母親との密な関係が書かれていて、少し違和感を持ちました。
多恵と乃々香が出会ってからがかなりハラハラで目が離せませんでした。おっとりした雰囲気の乃々香と、切れ者ライターの多恵って感じで書かれてはいますが、多恵が結構無謀でドキドキしました。
実績を積みたいと必死で仕事をする多恵と、優しい夫に守られながら優雅なマタニティライフを満喫している乃々香。
対極の環境にある2人の女の心理戦が面白かったです。
お互い思惑を持って近づいたものの、そこから微妙に友情らしきものが芽生えてきて、心理戦がより複雑に。
事件の犯人と言うか大筋は大体始めの方で分かるのですが、それでも読むのをやめられない、一気読み!
無邪気な悪意・歪んだ母性。
ほんとに怖い、日常に潜むホラーです。
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面白かった。
乃々香の淡々とした普通さがこわい。
妊婦や子どもに対して、こうあってほしい、善良であってほしいというイメージが被害者の気の緩みを誘発しているのかな。実在したら、気づかないうちに葬られそうでこわい。
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被害者女性の特異な容貌から注目を浴びた轢き逃げ事件、痴漢の容疑をかけられた男の転落死、色呆け老人が飲んだ薬物入り缶コーヒー騒動―同じ地域で起こった三件の未解決事件には、ある人物の姿が見え隠れしていた。謎を追う女性ライターは次第にその人物に魅入られていく…。彼女が辿り着いた真相とは。
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育ちが良くて、おっとりとした乃々香。
愛する夫との子どもを妊娠中で、幸せの真っただ中にいる。
フリーライターの多恵。
雑用係兼任のライターから、一歩上のライターへと野心を募らせる。
このふたりの視点で交互に語られるのだが、視点の移動が実にスムーズで、混乱は一切ない。
追う者、追われる者として出会ったはずのふたりが、そうと知りつつ互いに友情を感じ惹かれあっていく過程にはとても納得ができる。
だからこそ、どこに小説としての着地点を置くのかが気になって、読むのが止められない。
デブでブスのくせに自信満々の女、小柄でネズミのような顔立ちのキーキー声の男、ボケているくせに女性とみると触ろうとするエロじじい。
殺されたのは、他人に不愉快な印象を与える人物たち。
見苦しいものは見たくない、排除したい、子どものために。
そう思ってしまうことは仕方のないことかもしれない。けれども。
殺された人たちにも、彼らを大切に思っている恋人や同僚や家族がいるのである。
見た目では分からない、温かい絆を結んでいる人たちが。
清潔で上質で悪意のかけらもない。
ただ自己中心的なだけ。
ある意味とてもピュアな連続殺人は、背中がゾッと寒くなる。
最初はこの乃々香と多恵のふたりを書くことで「ダブル」というタイトルなのかと思った。
でも、「ダブル」にはもう一枚ぴったりと貼りついていたピースがあった。
それが怖い。
最初に殺された鉤沼いづみの恋人、佐藤の造形が良い。
佐藤の第一印象も極めて悪い。
人として何かが欠けているのではないか?
あまりにも自分勝手ではないか?
佐藤は変わっていないけど、物語の終盤に出てきた佐藤のイメージは、決して不愉快なものではなかった。
ああ、そういう人なんだ…。
第一印象だけで人を判断してレッテルを貼るのは、つきあいの深くない相手にはやりがちなこと。
だけど人って、そんなに単純じゃないし浅くもない。
他人にレッテルを貼ること。それはとても傲慢なことであり、恐ろしいこと。
作品の構成も追う者追われる者が二転三転して、ちっとも気が抜けない。
息詰まるサスペンスに、一気に読み終わってしまった。