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ガラスの煉獄 女刑務官あかね みんなのレビュー

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紙の本

道警の腐敗については色々な人が小説化しています。検察のあまりに政治的な動きも、最近目立っています。そして刑務所については、その暴力性だけでなく腐敗も問題視されています。現代の刑務官の犯罪を描いた最新の小説がこれ。

2011/10/14 22:27

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

タイトルはいただけません。これでは乱歩賞受賞作になってしまう。おまけにサブタイトルでしょ、二時間ドラマじゃないんだから、って思います。でも、ケチをつけるのはそこまで。著者名がいいです、壇上志保、決して若々しい新しい名前ではありませんが、こう、しっかり地に根を張ったというか、時流に流されない強さを感じさせます。小説がそのまま体現された、といってもいいかもしれません。

面白いのはカバーに使われている鹿目尚志のオブジェです。福田匡伸の撮影もあるのでしょうが、私は評を書くためにチェックをするまで、絵画というかイラストだとばかり思っていて、オブジェと書いてあったので、改めて目を近づけて確認したのですが、やはり精密な絵画にしか思えないのです。ま、せっかくのオブジェが絵にしか見えないことがいいかどうかは別の話ですし、カバー全体で見れば平均レベルを一歩も出ません。多田和博は、時々こういう装幀をしてしまいます。何だか勿体無い・・・

で、今回はいつもとことなり、出版社のHPから、著者情報をコピペしましょう。
                 *
福岡県生まれ。元刑務官。短編小説部門で多くの受賞歴を持つ。2002年、長塚節文学賞大賞受賞、2003年、らいらっく文学賞佳作、また2008年には木山捷平短編小説賞受賞。『ガラスの煉獄―女刑務官あかね―』は初の長篇小説である。現在は山形県在住。
                 *
相変わらず、女性作家となると生年を書かないというルールがあるのかもしれませんが、読者にしてみれば作家の力量を見るのに、年齢は必須の要素です。そこで、裏ルートを使って、というか別のキーワードでネット検索。以下の情報がわかりました。本名は、紺野真美子、1961年生まれ。山形県白鷹町在住。九州の大牟田市出身で、元刑務官。夫の故郷に転居して自営業のかたわら、40歳の誕生日をきっかけに小説を書き始めたそうで、01年の山形新聞の山新文学賞(短編小説)で準入選、02年の長塚節文学賞短編小説部門で大賞を受賞といいますから、もとも文才があったのでしょうし、刑務官として報告書を書いたことが、その力を養ったとはいえそうです。

そして文章力だけでなく、職場の経験が作品の内容にも活かされた、というのが今回の小説でしょう。文章には無駄がなく、硬質で、おまけに中身も硬いわけですから、読んで楽しむというわけにはいきません。流行の捻りのきいたミステリではなく、福田和代のようなドキュメンタリタッチのクライムノベルを思ってもらえば、大きな間違いはないでしょう。

全体は、第一章~第三章、最終章、あとがき、という構成で、舞台は女子刑務所である清川刑務所です。主人公の三上茜は、30歳の刑務官で、清川刑務所の作業課の係長です。容姿についての記述は少ないのですが、男っ気がないかといえば、そうではありません。私に言わせれば、パワハラ+セクハラではないか、と思われる状況で関係を持たされている相手がいます。

それが管区の作業課長で、茜の中等科の教官、妻と娘がいる元警官、木島浩二、49歳です。この男が登場するだけで私などはお腹がキリキリ痛んでくる、絶対に職場にはいて欲しくない人間です。その木島は、他人の都合を考える、などということが出来ない男で、自分で巡視スケジュールを立てては清川刑務所を訪れ、茜に情交をせまり、欲望を満たします。刑務所も暗いですが、人間関係も暗い。

茜の直接の上司・大河内は、木島に比べればまだいいかもしれません。清川刑務所の作業課長ですが、三年後に退職を控え、自分の退職金をあげることを企んで上にゴマをする以外は何もしないからです。とはいえ、ゴマすりに茜たちを利用するという点では、コズルイ。でもです、この手の人間はどこの職場にも掃いて捨てるほどいますから、許容範囲内。やはり木島がいやです。ちなみに、茜が木島を殺す、ということになれば桐野夏生『OUT』になって行きますが、このお話はそういう流れにはなりません。

刑務所内での茜の仕事のひとつに、受刑者の矯正教育を通じて社会復帰の実現ためのガラス工房の運営があります。受刑者が所内で行う作業は、様々ですがガラス作業は、人気があるもののひとつです。とはいえ、希望すれば誰でもその作業に就けるというものではありません。工芸作品ですから、丁寧さだけではなくセンスも必要です。共同で制作にあたりますから、協調性も求められます。

横川のガラス工房を支える筆頭が、鈴木トモです。継父とその連れ子である妹を刺殺して服役している、身元引受人もない40路を超えたばかりの無期懲役囚です。知恵遅れ気味なところがありますが、ガラス作業に天性の才能をみせます。彼女の手がけたものは、外部の評価も高いのですが、当人はそれを鼻にかけることもなく、ひたすら作業に集中しています。

もう一人が、金田洋子です。在日朝鮮人の二世で、姉夫婦の喧嘩に巻き込まれ、誤って義兄を刺殺してしまいます。事情を知る義兄の親族からも減刑を望まれたため、判決は七年と軽めです。手に職を就ける作業を希望し、ガラス作業をする人間に選ばれました。真面目な性格で、トモの作業をよく観察して勉強に励む姿は、まさに模範囚といえるでしょう。

彼らを陰で支えているのが横山満江です。彼女は誘拐殺人事件の共犯者で、刑務所に入って17年になる受刑者です。雑役と呼ばれる縫製作業の班長で、ガラス作業に材料を運んだりもしています。茜は彼らを励ましながら、品評会での上位をめざします。そして見事、彼らは栄冠を手にすることができたのですが、思わぬ事件が・・・

最後になりますが、出版社のHPに、「波」2010年10月号に載った池上冬樹の文章〈「刑務所」小説の、まさに白眉〉が出ています。そのなかに、そもそも刑務所を舞台にした映画は多くても、小説は意外と少ない。スティーヴン・キングの『グリーン・マイル』、ミッチェル・スミスの『ストーン・シティ』、ティム・ウィロックスの『グリーンリバー・ライジング』、日本では吉村昭の『破獄』、安部譲二の『塀の中の懲りない面々』ぐらいだろうか。
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とあるのですが、? と思いました。松本清張の『無宿人別帖』は違うんでしょうか。或いは出版時期が解説が書かれた時期と接近していますがトム・ロブ・スミス『グラーグ57』は。そして数多くの収容所ものは? 収容所は刑務所とは違うというのは分かりますが、でもそれは厳密な定義上の話で、小説としては同義としてもおかしくはないかも。池上が間違うとは思いませんが、疑問は残ります。

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2011/01/17 20:32

投稿元:ブクログ

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