紙の本
33歳の棋士への挑戦は無謀だが、その分、熱い
2011/01/21 19:16
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る
神戸の地方紙に勤める秋葉と
一度は挫折した棋士を目指す真田。
ともに33歳で、現実に潰されそうになっています。
偶然の成り行きで彼らが出会い、同居し
真田のプロ棋士への道を共に歩むことになります。
欠点は多々あります。
プロットも視点もひどいものですし、
オオカミのエピソードも、挿入される歌も最大限には活かされていません。
特に第1章は不安を覚えました。
しかし第2章からは俄然、おもしろくなっていきます。
真田の不器用さ、将来性のなさ、
しかし、いちばん難しいプロへの道を選択する、
その熱さに引き込まれていきます。
表紙がまたいい。読後、この絵が心に響きます。
新人賞受賞作では異例のことです。
編集部からの期待の大きさを感じます。
著者は秋葉に近い背景を持っているのですが
ぜひ真田のような不屈の精神を感じる作品を生み出してほしい。
紙の本
人生「投了」寸前!棋士志望の男に未来はあるのか?
2011/01/13 13:25
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オクー - この投稿者のレビュー一覧を見る
「第五回小説現代長編新人賞」を満票で受賞した塩田武士の「盤上の
アルファ」、これは将棋の世界を舞台にした2人の負け犬の物語だ。秋
葉隼介は性格の悪さが原因で花形である社会部から文化部に回された新
聞記者、真田信繁はその悲惨ともいえる生い立ちの中で一時はあきらめ
たプロ棋士をめざす男だ。どちらも33歳。人生の岐路に立っている。
なんといってもいいのが真田の造形だ。160cmそこそこのチビのくせ
にやたらと濃い顔で無精髭、坊主頭。いつも変わらぬ色褪せたタンクト
ップを着ている。こんな男がプロ棋士志望だというのだから何ともおか
しい。将棋界のイメージを根底から覆すような奇怪な男が本当にプロに
なれるのか?家もなければ職もない真田、なんと出会ったばかりの秋葉
の家に転がりこむという無法ぶりだ。
文化部記者として将棋の取材を始める秋葉と自信過剰気味の真田。負
け犬同士の丁々発止のやりとりがたまらない。そして、この負け犬たち
がどれだけ意地を見せるかが、この小説の一番の読みどころだ。真田は
年齢制限のない三段リーグ編入試験に挑戦し、プロをめざすという。さ
て、その挑戦の結果は?そして、秋葉との関係は?ラストにはあのディ
ーヴァーもビックリのどんでん返しまである。
いくら満票での受賞とはいえ、処女作だから欠点も多い。メインとい
える真田の登場があまりに遅いこと、秋葉の造形にかなりブレがあるこ
とは本当に残念。とはいえ、塩田武士にはかなりの可能性を感じる。ま
ずは、この2人の男の物語をもっと読みたい。真田はいったいどんな棋
士になるのだろうか?続編をよろしく!!
ブログ「声が聞こえたら、きっと探しに行くから」より
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なま - この投稿者のレビュー一覧を見る
プロ棋士を目指す無職の男とそれに巻き込まれる新聞記者のお話。本当にプロの棋士になれるのかどうか、はらはらどきどきの展開に思わず読んでしまった。主人公の特徴のある様子も面白い。
投稿元:
レビューを見る
帯に煽られ買いました。が、期待ほどではなかった感じです。
関西弁での掛け合いは非関西圏の方には新鮮かもですが、在関西人には日常ですし、前半の背景を削ってでも後半のハイライトにこそページを割いて欲しかったです。
次回作に期待です。
投稿元:
レビューを見る
発売したから移動。
盤上のアルファ、塩田武士さん。講談社モニターのやつ。
なかなか良かった。ほんとにエンターテイメントだね。盛り上がりとしては中盤の林さんのあたりが頂点かな。巻末のコメントにも多く書いてあったけど、アルファをもっと押したいのなら狼の表現がとってつけたようで不自然すぎる。
静の中学生時代のエピが微妙過ぎて、そんなんのあったなぁ、くらいにしか印象に残らないのが残念。くらいかな。新人だし。
にしても読ませる文章だった。ぐいぐい引き込んでくるね。二人のおっさんがそれぞれもがいてるのがうまく書けてた。結局、真田なんて主人公なんだよ!!苦労の分だけ先に進めるんだ。秋葉なんてエリートコースだったはずなのに自分に不安を持ち始めて、わけわかんなくなって、真田と同居し始めてからの秋葉のグラグラ感ったら!!
でも、作者が新聞記者なだけあって秋葉の方が感情移入できた。やっぱり自分が特別だと思って生きてきたいよ。
キャラが濃かったからまたあの人たちの話をよみたいな。
関さんとか、相沢とか、完全にもったいない登場の仕方だったと思うし。
加織は好き。
投稿元:
レビューを見る
小説現代長編新人賞を満場一致でとったっていう作品。
読み終えると、「盤上のアルファ」っていうよくわからない題名がものすごくかっこいいと思えます。
アルファの気持ちを持ちたいです。
投稿元:
レビューを見る
ルールもわからないような囲碁将棋担当に左遷された新聞記者と、崖っぷちでプロめざして闘うタンクトップ棋士、二人の男の熱い物語。読みすすめるごとに、最初は嫌悪感しかなかったこの二人の魅力に引き込まれます。
オオカミの話、アルファの話がもう少し効果的に入るとまた面白かったかも。
あと背景がときどきぶれる印象。
周りの人物もそれぞれに魅力的で、続きやスピンオフ作品も読みたくなるような作品でした。
投稿元:
レビューを見る
推薦文ほど感動はしなかった。ちょっと期待しすぎた感じ。それに、現実ではこれを超える話を知っているから、あまり新鮮味もなし。値段相応の評価。
投稿元:
レビューを見る
プロ棋士になれなかった中年アルバイターと嫌われ者の新聞記者が出会って、敗者復活のプロ棋士奨励会入りを目指す。
将棋が判らなくても、プロになる滅茶苦茶な厳しさが伝わってきて面白い。
投稿元:
レビューを見る
文化部に左遷された記者と30過ぎにしてプロ棋士を目指す男の物語。舞台は兵庫県で「神戸新報」という「神戸新聞」をモデルにしたとおぼしき新聞社やよく知っている地名がそこここに出てきて楽しめました。
投稿元:
レビューを見る
第五回小説現代長編新人賞受賞作。しかも満場一致の完全受賞作。
の謳い文句に偽りナシのいきなりの名作。
人間的にそらもうマイナスを持ち合わせた2人の男の奇妙な
友情に胸掻き毟られっぱなしで、終盤の怒涛の展開に
久しぶりに涙腺崩壊でした。全てを捨てた33歳の棋士「真田」の
生き様はカッコ良すぎるが、社会的な生き方を失敗しながらも
もがく新聞記者「秋葉」の葛藤や挫折感、そしてその真田と
知り合ったことから、33歳にして更に再生していく様は
本当に身体中が熱くなる。いい男です。
こういった浪花節やベタな展開で王道中の王道を
堂々とそしてその王道を恥じることのない、活き活きとした
文章や登場人物はやはり、強いのだと痛感します。
まだ今年の残りも相当ありますが...早くも今年の
ベスト3入りが決定なくらいに熱くて、ステキな小説です。
熱くなることはカッコ悪くないのだ。と声を高らかに...
本当は自分だって言いたいのだよ。
あー...かっこいいなー!!
投稿元:
レビューを見る
嫌われ者の新聞記者とプロ棋士を目指す無職の男が出会い・・・
しょうもないおっさん同士の友情と再生のお話なんだけれど、熱いだけでなく、どことなくユーモラスなとこが好き。
ダメダメなんだけど、なんか応援したくなっちゃう感じ。
投稿元:
レビューを見る
新聞社の事件屋だった記者が、その性格がゆえに上司にうとまれ、
将棋の記者?になる。
ひょんなことから知り合った真田は、将棋しか取柄のない学もない仕事もない男。
その男がプロに再度挑戦する。
盤とは、もちろん将棋の盤のこと。
では、アルファとは?
それは、読んだらわかる。
出だしは、まったくつかまれなかったので読むペースがのらなかった。
でも、真田と出会い、プロになろうと挑戦しだすあたりからペースがあがった。
ちょっと色々しっくりこなかったところがあるけど、これからの作家さんだもん。
ホントは、☆2.5。
投稿元:
レビューを見る
一気に読ませてもらえる面白さ
ものすごく 荒削りな感じはするものの
一つ一つの「状況」が力一杯書き込まれているので
最後まで 心地よく
引っ張ってくれました
次の作品が読みたい 作家が また一人
生まれました
投稿元:
レビューを見る
新聞記者と将棋指し。偶然であった2人が化学反応して突き進んでいくドラマ。将棋の世界を舞台に、どん底から這い上がろうとする男と、くしくもそれを手助けしてしまう男を描いている。
文化部に左遷された社会部記者の秋葉、元奨励会員でバイト先をクビになった真田。同い年の2人が、偶然飲み屋で出会ったことから物語が動き出す。棋士になるため、年齢の壁を越える特別な制度をねらった真田は、秋葉の家に転がり混み、勝負をかける。
2人をつなぐ女性の振る舞いも上手。三角関係の行方は想像してたが、ちょっと斜め上をいく展開で面白かった。まあ、秋葉のへたれさが浮き立ちますが、逆に男ってこんなもんだよな、と共感を誘う。
著者が現役の新聞記者というのも面白いところ。今後の活躍に期待してます。