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2012年5月再読。
舞踏家の娘・小学校6年生が主人公。
子供から大人に変わりつつあるそんな世代からの視線や思いがリアルだった。
いろんな出来事を乗り越え、決心する姿がかっこよかった。
2020年1月再読。
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12歳の女の子が主人公ってことで、理生さん、「よわいもの」の年齢、随分引き下げてきたなあ、という感じだったけれど、面白かったです。
リアリティを求めてしまったら、それはさすがに「これはないだろ言わないだろ」と思う箇所もあるんだが、私自身12歳の頃の自分が何を考えていたかなんてとうに忘れてしまっているので、そういうのはほとんど気にならなかった。
理生さんの文章は上手くて、すらすら読めちゃうしね。
とにかく、術をもたない、理不尽で、曖昧なものに全身でぶつかっていかねばならない弱かった頃のあの時間に漂う、独特の不穏さが本当によく出ていた。
これはホラー小説だといってもいいと思う。それくらい怖い。
もう数ページ開いた時点で怖い。
何が起こるかわからないのに、何かが起こる気配がする。
まあ、さすがに佐倉さんが出てきたところから、何が起こるかの想像はついてしまうのだけれど。
ただもう、何が上手いって、この佐倉さんみたいな大人の皮をかぶった獣を書くのが理生さんは本当に上手いよね!
弱くて歪んで、澱がたまった汚い水の中にいることが慣れてしまったような大人。
この、正当化する汚らしさとかが、どこまでもついてくる。
おかげで、読み終わっても、佐倉さんだけはなかなか忘れられない。
もういっそ、あそこまでの行為を朔ちゃんに植えつけなくても、暴力は成り立っていたのじゃないか? と思うほどいいキャラクターだった。
今なら分かるけれど、身近な子供を見ていると、本当にとてもふにゃふにゃで危うくて、ドキドキする。
彼らにとって好奇心のわくものは、たいてい危険なのだ。
成長への憧れがあるから、こちらが止めてもどんどん突き進んでいってしまう。
この小説はそんな思春期直前のお話でした
暴力のことはとりあえず置いておいて、朔という12歳の女の子が抗えないほどの困難にぶちあたったとき、どう乗り越えようとするのか、また、他者をどんな風に見ているか、それを楽しんだほうが面白いかもしれない。
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タイトルを見たときは純愛小説かと思った。
背表紙の紹介文を見たときは復讐譚かと思った。
読んでみたら、少女の日記だった。という感じ。
「ナラタージュ」を読んだときと同様に、男女の性にあまりにもスポットを当てすぎるストーリーにはちょっとひっかかるものはあるものの、いたるところに島本さんの瑞々しい感性が溢れていて、やはりとても素敵な小説でした。文体をわざと幼くしているところに違和感はあっても、それを裏打ちしている感性が確かなものなので、素直に読めました。
ラジオに感じるぬくもり。プラネタリウムに感じる虚無感。左手を土に埋める行動。善人の定義。など、お宝満載の一編です。
ああ、久しぶりに純文学読んだなぁって思った。にこにこ。
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紹介文を読んだ印象は外れず、予想通りのことが起きた。
かと言ってありきたりかと言えばそうではなくて、
それは主人公の朔のモノローグがあまりにもさびしくて、
朔の内面はどうなっているんだろうと考えさせられてしまったからだと思った。
12歳って子どもだけど子どもじゃないし、
特に朔みたいな子なら年齢以上に大人だろうし、
朔のような子はきっといる。
「ない」ということが確かにある、と感じている感覚は、
朔だけじゃなくてわたしたちにもある。
そこのところをあまりにくっきり浮かび上がらせているっていう意味で、
すごく怖い物語だなと思った。
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誰でもいいから愛されたいって顔をして、大人みたいな口を聞いて。
そんな寂しい子供を襲ったあるできごとと、そのあとの話。
子供は、寂しさを覚えて少しずつ大人になるのかな。
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島本作品の中では初めて小学生の語り手ではないだろうか。なんというか率直な感想があまり思い浮かばない作品だ。そこまで長くもないのですらすらと読めるし、私は特に後味が悪いとも思わない。「そういう1人の少女の物語」という感覚だった。いつも島本作品では自立しすぎているというか、どこか大人びた雰囲気を持っている主人公たちが出てくる。今回も小学生にしては落ち着きを払っている少女だ。そうならざるを得ない環境で育った少女が、失った感情、その代償として得たもの。島本さんが得意な「突然の暴力」が小学生という思春期目前の少女に降りかかり、どの様に越えていくのかが描かれた作品なのかな、と勝手に解釈。
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帯に釣られて買ってみたけれど、期待した感じじゃなかったな。父親と2人暮らしの12歳の少女視点で話しが語られ、大人との関わり方とか少女時代の不安さ寂しさとか、友情などなど。難しくないからさくっと読めました。
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とても危うい内容でした。
夢を追い続ける父親との二人暮らしで、12歳の少女が得たものは自分がはやく大人になること。
大人の事情を何でもよく知っていて、理解できている。
そういう女の子に成長しながら、子供の顔も捨てきれない。
そんな不安定な場所に立つ彼女の心の隙を突いてくる、大人の男性。
こういった、気がつけば大人にならなければいけない状況下に置かれている子は、実際に大勢いる気がします。
そんな、大人ではないけれども子供でもいられない子供たちの隙をつく、大人の悪にとても苦しくなりました。
本当の大人の方が、ずっとずっと心は子供なんだろうと思わせる作品です。
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確かに危うい小説なのだと思う。
ただし、危ういのは小説そのものが、である。
ここには多数のペアが、それも固定のペアでなく
漂うようにもつれながら、物語を展開していこうとする。
しかし、それらはほとんどが無残に打ち捨てられる。
エンデの「果てしない物語」では、こうした諸々があれば、
それらはひとつひとつで一冊の本になる、と示されるはずものが
ここでは何一つ結実しない。
アンチ・ネバーエンディングストーリーである。
それをぎりぎりのところで支えるのは
ごく当たり前に、生活をし日々を送る営みだ。
この小説の中で結実しないまでも、唯一打ち捨てられなかった
「物語を書くこと」は未来へと送られている。
とはいえ送るのは私ではない。
月と太陽の運動が、周りの人々とのやりとりが送り出す。
土に手を埋める最後のシーンは
私ごと送られていくことへの希望と祈りの姿だと思う。
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読んでみたが、個人的には苦手な文章の書き方だったが
表現の仕方とかが、素直に響いてきてわかりやすかったけど、
何だろう。
とても、内容が難しい。
部分的にはわかるとこもあったけど
理解出来ない部分が多かった。
生々しい表現のとこがあり、ストレートに入ってくるけど
読み直さないとわからない作品だと思いました。
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舞踏家の父を持つ12歳の少女、朔に起きたある事件の物語。日常を、
朔の気持ちの動きを丁寧に描くことで表現している点や、事件すらも大騒ぎせず、ただ呆然としながら、自分なりの解決策に辿り着く朔の姿が、島本理生さんらしい作品だと感じました。とても短い作品なのであっというまに読めます。サスペンス的?な展開が、島本さん作品としては珍しいような気もしました。
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筋が筋なので、さらっと読めるお話ではないかも。子供であるけど大人になりつつある、どっち付かずの時。読後感はいまいち。
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この話に出てくる小学生たちは皆大人っぽすぎて、小学生である必要ってあったのかなと思います。
少しませた、よく考える主人公と同い年の男の子と、主人公よりもよっぽど大人びた友達のほのぼの三角関係かと思ったら違いました。
ちょっと著者の方が心配になります。
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これは…苦しい。
なんて感想書けばいいのか悩む。
綺麗な文章なんだけど淡々と綴られるので、ストレートにぐさぐさ来ないのですが、とにかく怖い。背筋がぞぞ~っとしました。
うう、これ以上書けない。
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「お父さんは娘を可愛がってくれる女の人がタイプ。だって自分の大事なものを相手に大事にしてもらえなかったら愛情なんて抱けない」
んー・・・後味悪い・・。
12歳という「もう大きいんだから」と「まだ子どもなんだから」が両方使われる年齢の少女の不安定さは、極端といえるくらい的確に表現されてるとは思う。