紙の本
日本人の目から見た不思議と心地良いイタリア
2018/10/08 09:46
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投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者のイタリア生活の中から10のエピソードを選んだエッセイ集。日本人には考えられないような、良くも悪くも自由な雰囲気と粋な言動を楽しめた。路面電車にカツアゲ専用車両がある一方で、タクシーの運転手からコーヒーをおごってもらったりするノリが不思議と心地良い。
紙の本
本で外国を知る楽しみ
2023/11/09 19:39
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投稿者:kochimi - この投稿者のレビュー一覧を見る
明るく輝く太陽のようなイタリアのイメージとは違い、
暗く湿度の高い影の部分を見せてもらった気がした。
旅行だけでなく、本で外国を知る楽しみもある。
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著者はイタリア暮らしが長いそうだが、決してそれを鼻にかけるでもなく、気づいたら住み続けていた、というスタンス。でも、文章の端々から、かの国とその住民への愛着が伝わってくる。じんとくる話が多く、心に残る部分も多かった。本の装丁もとても美しい。
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この「イタリア10景」という副題を付けられたエッセイ集には、内田さんの30年にわたるイタリア生活の心に残る10のシーンが定着されている。単なる旅人や通りすがりの人のエッセイとは違って、それぞれの地に住んだり、深く係わって生活した者ならではの発見と体験が記録されている。イタリアならではの人と人との出会いだが、どんな場所でどれだけ個性的な人に出会うかは、相手ばかりでなく受け手であるこちら側の感受性も試されることである。その点、内田さんは普通の人なら物怖じするところを人一倍の好奇心を持って飛び込んでいく勇気がある。そこに非凡な出会いが生まれてくるのだろう。
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内田さんの豊富な表現力で、イタリアの風景、人々が活き活き描かれる。ドラマ仕立ての様な日常を、柔軟に、しかし、しぶとく生きる内田さんの姿が見えるよう。
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まるで物語のように内田洋子さんが触れたイタリアでの生活が
語られている。
昨今雨後のタケノコのように出ている「イタリアを楽しんでます♪」な
フワフワした軟弱なものとは比べものにならない、骨太な印象。
直後に読んだ本にがっかりしてしまったのは(イタリア系)この本の
印象があまりに強かったからに違いない。
こういう本を、読んでいきたい。
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ナポリにゴミの山が 在っても、ドロボーいても、移民者の問題があっても、失業率が高くても、やっぱりイタリア良いな~って 思わせられる。
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日本で報道されるイタリアとは違った本当にイタリアの姿を描いている。
最初の「黒いミラノ」からかなり引いた(私もイタリア在住)
でもどの話もイタリアの、イタリア人のいい所がにじみ出ている。どんなにうまくいかないことが多くてもやはりイタリアの魅力は尽きない。在伊30年の作者でも飽きないイタリアの真の魅力とは?
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『私は老漁師に、いったい何があったのです、と目で問うた。あれを見ろ、と脚立の上の弟の方を顎でしゃくる。「喪章なのです」 後ろで見ていた若い衆の一人が、低く掠れた声で教えてくれた』-『船との別れ』
刈り込まれたような端正な短い文章が並んでいる。すっすっと短いブレスで自分がそれに応えているのに気付く。だからといって決して息が詰まったような感覚を覚えることはない。文章の持つリズムが自然と呼吸と、そして脳の活動を整えてゆく。しなやかだ。まさにそう表現するのが適切であると感じる。
一見したところジャーナリスティックな調子さえ帯びたところのある文章であるようにも見えるにもかかわらず、内田洋子の書き連ねるものには、しっとりとした手触りがある。例えば、同じキーボードで一文字一文字声を媒体に書き写してゆくにもかかわらず、カーボンの染み込んだリボンから一文字ずつ紙の上へと文字を「移して」ゆくことを体験することができるタイプライターにはあって、電子制御の幻想にしか過ぎない平面へ文字を「置いて」ゆくだけのワードプロセッサにはない湿り気のようなもの、それが内田洋子の文章にはあるような気がしてならない。
例えば、何の伏線もないような文章を読み継いでいた筈であるのに、一つの文章に行き当たった瞬間に何かが弾け大きく自分の胸の内で広がり、うっかりすると息もできないような感情の波に飲み込まれてしまうようなことが幾度となく起こる。そう思いながら身構えて読んだところで同じことは起こる。そしてその窒息したような感覚は決して嫌なものではない。
内田洋子は決して自分の知っている世界から大きくはみ出したところがないような文章を書き連ねる。それでいて読む者はいつの間にか見たこともないような世界に(そしてそれはまた大袈裟な世界ではちっともなくて、むしろごくこじんまりとした世界なのだ)導かれてしまっている。それは、つつましやかな外見からは想像もできないような奥深い世界。彼女の文章もまた、その文章によって描かれる世界と同じように、字面と言葉の裏側に広がってゆくものの間にある大きなギャップに起因する魅力を持つように思う。
こつこつと積み上げた確かなものが彼女の文章を支えている。改めて考えてみればそのように思い至らざるを得ない筈なのに、文章の外見はあくまで平易で、読む者をちっとも拒んだようなところがない。須賀敦子のことをどこかで思い出しながら、そんなことを思ってみるのだった。
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自分には到底書けない。その感覚、豊かさ、細部に至る万物への深い理解、そして想いが詰まっていた。一朝一夕では身につかない教養や感性に満ちた作品だった。少しはあなたも、こういう感性を理解し、己を磨きなさい。そう言われ続けて本を閉じた印象だ。
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イタリアの日常を日本人としてだけでなく限りなく現地に溶け込み、なお好奇心旺盛な作者の視点から観察している。実にたくましく前向きな作者の人柄が伺え楽しく読めた。巷間あふれる現地滞在エッセイとは一線を画する。それでいて塩野七生や須賀敦子のような高尚なアカデミックさは感じられないので読みやすい。
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四六判の本なのだが、天地の余白が広くとってあり、本の開きがいいので、見開きにしたときの版面がかなり横長の長方形になり、ゆったりと見晴らしのいい気分になる。
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中盤の表題作以降が、かなり良い。エッセイというか短編小説の趣。装丁◎
プレゼントにしたい本
2017、ここ5年で最も出会えてよかった作者なので再読前に評価変更☆4→☆5
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イタリア生活を綴ったエッセイ。読みながら何度も「これ小説じゃないの??」と思ってしまうのは、筆者の好奇心と抜群の表現力のせいですね。
短篇集。全部で10篇。ミラノの田舎の青空ダンスホールの話とかとくに好き。
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10景という事で10篇のエッセイが収録されている。
どれも、映画のような小説のような引き込まれる文体と表現力で読み進めるのがもったいなくてゆっくり読んだ、せっかちな自分としては珍しい。読んでよかった作品