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途上国の貧困問題といっても、遠いどこかの話ではなくやけにリアルな問題に感じた。
何をしたら良いですか?ではなく、どうしたら良いかを自分の頭で考えることが大切。
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(貧困による裕福な外国人への恨みから)あるいは、社会(政治)事件が起きることもあるでしょう。世界では、時々日本商品への不買運動が起きたり、反日デモ(暴動)が起きたりすることがあります。(略)ここからいえるのは、いまはもう途上国の貧困問題を「遠い国の出来事」として片付けられる時代ではないということです。良い意味でも悪い意味でも、途上国で起きていることは、そのまま私たちの安全や経済や政治に影響を与えるのです。それがグローバリゼーションということなのです。(略)ただ、そのためには、海外の貧困地域の生活や、現地で起きている問題がどういうものかということを知らなければなりません。(315p)
その問題意識に私は大いに賛同する。
今から32年前の1981年、全世界でピースマーチが流行った。米ソの核兵器競争は頂点まで達し、核戦争がいつ起きてもおかしくはないと多くの人たちが思っていた。世界の各都市で50万人とか100万人とかの信じられない数の人たちが集会を開き出した。日本では、しらけ世代が蔓延していたが、新しい「市民」の台頭も始まっていた。なんと広島で30万人集会が開かれた。大学新聞をしていた私は、その取材ということで、初めて県外取材に訪れた。「これは集会ではない、お祭りだ」と昔の活動家は批判していたが、私は形式はどうであれ、平和をテーマにこれだけの人たちが集まったこと自体に感動した。そのときに、大江健三郎がスピーチをしている一角があった。私は彼の言葉を最初から最後まで聞いたわけではない。しかし、この言葉だけが心に響いた。
「想像力が必要です。想像力が試されている。私たちに想像力はあるだろうか」
それから30年間以上、私は何度も何度もその言葉を反芻している。
世界のスラム街に住む人々は、腹の飛び出た子どもたちを見れば「かわいそうな人たち」と括られたり、麻薬や殺人の危険地帯の情報を得れば「排除すべき人たち」等と括られたりするだろう。しかしそれはゴミ箱の臭いや感触を知らないで見た目だけで判断しているのに似ている。数%の人たちが殺人を犯しても、数%の子どもたちが死んでも、圧倒的多数の住民の実態を知らないで、軽々しい判断は慎もう、韓国や中国やベトナムで見た貧困街の体験を大切にしよう、こういう本を読んで、世界の実態から日本の常識には囚われない判断をしよう。この30年間、ずっと気をつけてきたことではある。その時に、「想像力」は試されるだろう。
2013年5月31日読了
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缶ジュース一本よりも賃金の少ない世界の人達・・・
日本に住んでる自分では想像もできない程の世界を、決して大袈裟に誇張しているのではない『リアル』な内容として読み解きことができた。
『貧困の中でも恋は生まれる』『売春している女性達は皆で協力して子供を育てている』といった、人の美しい側面も描いてくれたのが嬉しい。
著者にはこれからも取材を続け、良質なノンフィクションを生み出していって欲しい。
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サブタイ通り、描かれているのは世界の人々のリアルな姿。思ったよりもうまく回っている部分、どうしようもなく深刻な部分、両方垣間見ることができる良本。PTSDで苦しむストリートチルドレンの子どもの描写が、一番印象に残った。
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目からウロコ、物の見方をおしえてくれる本。ここに書かれている「貧困」のことだけでなく、世の中の事象はすべて見るところ変われば…なのだろうと自省。
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メディアで語られる貧困像に疑問を持った著者が、彼らと同じ体験をして、同じ目線に立って描いた本当の貧困生活。
一番ハッとしたのは、貧困生活をおくる子どもたちの精神的健康について。
日本には当たり前のようにカウンセリングがあり鬱病などもよく問題されるので、なんだか都会病のような気がしていた。
でも絶対貧困にある人は精神的健康以前の問題でいっぱいいっぱいなだけで、やっぱりそういった問題は多いんだとわかる。
『世界がもし100人の村だったら』の大ヒットも、私たちが貧困問題を現実的に感じられないことが理由なんじゃないだろうか。
ただのデータとしてではなく、そこに生きる人間の心を想像することが必要なのだと思う。
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【読書リスト11】石井光太『絶対貧困』新潮文庫。世界各国の貧困地域を歩いた著者による14の講義。スラムの成り立ちやそこで暮らす人々の仕事や性、路上生活者の物乞いや物売り、結婚、出産、葬儀、犯罪そして売春の実態が生々しく語られており、否応なく自分はどう生きるべきか考えさせられます。
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3:現実に 震える
ここにかかれているのは「かわいそうな人」ではなく、「私たちと同じように怒ったり恋をする人間」です。
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日本以外に住むと、貧困は日常的に目にするが、それは外から見た風景でしかない。
実際の彼らの生活実態を、著者自ら体験取材しているので、リアル貧困がわかる。
各講義ぐっと考えさせられ、今日から彼らに対する接し方が変わります。
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私がタイで住んでた外国人のための高級マンションのすぐ斜め前にはだだっ広いスラム居住区がありました。色んな記憶が消えてく中、そのスラムが大きな炎に包まれてゆく火事の光景が今でも忘れられない。逃げまどう人々の合間を逆走してく人々。
街中で物売りや物乞いに話しかけられることは小学校の私にとって日常の一片。でも、あれから十数年たった今、彼らの日常や生い立ちを初めて知ることができました。同じ国に住んでいても、偏見/先入観から彼らのリアルな生活は何も見えてこなかったけど、著者のように同じ目線に立って実際に同じように暮らしてみたからこそ見えてきた現実。とても貴重な情報が詰まった一冊。
恥ずかしながらこの歳にして、物乞いや売春婦に対する新しい見方を指南してもらえた気がします。
お金を渡してもキリがない、マフィアにお金がわたる、逆に子どもがもっと働かせられる...確かにアパートに帰宅していくような裕福な物乞いも、収入を根こそぎ奪い取るマフィアもいるけれど、たった数十円でその日初めてになるかもしれない食事にありつける人が大半であるのならば、その目の前の人を助けない理由がない。
一度はぜひ読んでほしい一冊。特に物乞いと宗教の関係性が面白かった。けども、所々に出現する著者のtoo much info的な体験談はちょっといらなかったかなぁ。
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世界の歪み。
人間が人間らしく生きられる世界に作用できる、
その影響力はわずかなれど、
責任を持っていたい。全世界に。
日本に生まれ、上智を出たその意味。
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世界のスラムに焦点をあててる。
鉄錆の入った酒を飲まされるところがコミカルだった。本人はとんでもない経験だっただろうけど。
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スラムに人々、立場、考え方。
日本に住んでると普段考える必要な事項だか、現在進行で起こってる事に気づきます。
特にバックパッカーで旅しようと思ってる人には一度読んでおくと良い。
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かつては自分も貧困問題にチャレンジしたことあったが、
こちらのルポルタージュを読み、浅はかであったと反省。
いくら統計上の数字で国際開発論をぶったところで、
生身の人間にどれだけの影響を与えられるものなのだろうか。
具体と抽象の、それぞれの思考のバランスが大事なんだろう。
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貧困を「かわいそう」という決まりきった視点ではなく、著者が実際にスラム街などで生活することでわかる貧困の中で暮らす人々の視点を知ることができる。