紙の本
普段から
2021/12/04 18:17
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投稿者:びずん - この投稿者のレビュー一覧を見る
1日を後悔しないように生きたいと思っている。思ってはいるけれど、人生は1日ではない。やっぱり明日に先送りにすることもあれば、昨日より今日やった方が良かったこととかがある。そんなことを思っているうちにどんどん未来を過去にしていく。今は一瞬だ。今は自分だけのものではない。誰かと一緒に生きている。
紙の本
考えさせられる(補聴器の話は、個人的にトラウマになりそう…)
2017/06/07 12:07
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投稿者:しょうちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
とてもいい話でした。
考えさせられたり、ジンとしたり、ハラハラしたり…。
「死んだ人が生まれ変わって、大切な人に会いに行く」という展開は、ちょっとコミカルな展開になるか、感動する展開になることが多いですが…この物語では、モノとして生まれ変わっているため、主人公たちは生きている人間に何も干渉できません。
何かを訴えたいのに、まったく伝わらない…。
大切に想っているのに、相手はそうでもない…。
モノとして生まれ変わったことで、生前に大事に思っていた人の心の部分が見えたり、何もできない自分自身に苛立ちを感じたり…。
その様子がいじらしく、じれったく、「何か一つでも伝わればいいのに…」と、読みながら奇跡を願ってさえもしまいました。
個人的には『カメラ』と『ロージンバック』と『名札』の話が好き。
『ジャングルジム』は切ないな…。お母さん、また来てくれるといいけど…。5歳の子にとっては寂しくてツラいだろうな…。
『補聴器』は…ちょっとホラーですね…。こんなにお母さんを心配してるのに、あの展開はかわいそすぎる…。
この物語を見ていたら、モノとして生まれ変わりたくはないなと私は思っちゃいました…。
文字も大きめで、行間も広いので、わりとあっさり1~2時間もあれば読み終わります。
難しい言葉も少ないので、小・中学生にも読めそう。
ただ、この生まれ変わった人たちの感情を理解するためには、それなりに経験を積んで大人にならないと難しいかな…。
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死後、なにかに取り付けるとしたら。
野球少年のロージン(滑り止めの粉)
よく行った公園のジャングルジム
師匠の扇子
誰の何になってどんな物生をおくりましょうか?
どの掌編も、生きてた頃の自分を振り返りつつも、物として残した想いや人が先に歩くのを見る。
”死後、XXXになる。”ってのは
よくあるけど、ちょっと角度が違った暖かい話です。
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死後、もし何かにとりつくことができたら…という、これまでも何度も取り上げられていそうなテーマだけれど、著者の視点が独特なのか、とても新鮮に読める。死者の目で語られているが、読んでいるとそのことを忘れてしまう瞬間もあった。それだけリアル…というか、普通の日常がうまく描かれていたからだろうと思う。亡くなった者が残された者へ語りかけたいことは何か…というよりも、残された者の未来を感じさせてくれる作品…のように、今の僕は感じている。
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死んだ後、「とりつくしま係」によってモノに乗り移り、残された人たちを見守ることになった人々。
死んでしまった人の時間はそこで終わる、残された人たちは変わっていかざるをえない。霊とかじゃなく、「モノ」に乗り移るのが独特。
死んだ人の一人称で語られるから、切ないのだけど、意外とあっさりしていたり…モノに乗り移ってるという設定だからこそどこか、あっけらかんとしているのかも。
消耗品じゃないものに乗り移った人は、壊れたり捨てられたりするまでずっと乗り移ったままなんだろうか?
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〝とりつくしま〟とは、少しばかり未練を残して亡くなった人が、この世に戻って魂を宿すモノのことです。それは家族や恋人、ちょっと気がかりだった人の身の回りにあるモノ・・・例えば夫のマグカップになった妻や、憧れの恩師の扇子になった教え子や、母親の補聴器になった娘などなど。魂を宿すモノは人それぞれ。けれど、モノはモノでしかありません。気になる人のそばにいて見守るだけで、何かの方法を用いて働きかけることなどできません。それぞれ主人公たちは、自分が望んだモノになりきり、モノの視点で世の中を眺めます。ちょっぴり切ないけれど、安らかな心持になれる短編集でした。死を否定的に捉えるのではなく、あっさり受け入れているところが良いですネ。
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こういう視点からの小説もありか、と感心させられた。
透明感と爽やかな読後感は好印象。
ただあまり印象に残るものもなかったかも。
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自分がいま、この世から命を失ったら、何をとりつくしまにするだろう。そんなことをふと考えてしまった。
すべての物語に登場人物の深い深い愛を感じる、優しい一冊。
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心が温かくなる本。
トリケラトプスと白檀が良かった。
物になってしまったら、自分ではどうしようも出来ない。
でも、物にならないとわからないことも・・・
青いのは今後のことを想像するととても切なかったな。
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死んだ後に何かに取り憑けるとしたら....
人の想いはとっても寂しくて切なくて儚くて。でもとっても暖かくて優しい。
心にじんわりくる本*
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死んで“とりつくしま”を探せるなんて、
なんだか夢があって好き。
死者が物にとりついて、物からこの世を眺める。
素敵。
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「とりつくしま」の定義が、独創的。
(だから、ひらがななんだね、なるほど)。
それが、全短篇を貫いている。
いつか感じたこと、いつの日か感じるであろうこと、……、此岸・彼岸のことも思われて思い当たる節があったりもして、ひとつ読むごとにひとつため息をついた。
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死んだ人が、何かにとりつけるというおはなし。ほのぼのした気持ちになる。死んでからでは何もできない。生きているうちに悔いのないようにしなきゃ。でも自分は死んだら何にとりつくんだろう。
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無念を残して死んでしまった魂に、『モノ』にならとりついて良いですよと、とりつくしま係が案内する・・・。
中編の小説ができそうな設定ですが、一遍は10ページくらいの超短編で、だからこその寂しさや清々しさが際立ちます。
一番最初のお話『ロージン』では、
死んでしまった母親は、息子が甲子園行きのかかった試合で使うロージンバッグにとりつきます。
ロージンバッグは消耗品ですから、ほんの少しのあいだしか息子のそばにいることはできないのに、母親はそれをとりつくしまに選ぶのです。
自分だったら何を選ぶのでしょうか・・・。寿命が長い物を選んで後悔してしまいそうです。
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後悔を抱えて死んだ人はモノにとりつくことができる。それを斡旋するとりつくしま係。
そのシステムの与える希望と、そして絶望を優しく描く。
一番好きなエピソードは「白檀」。
愛した先生の白檀の扇になって夏の間だけ再会するという、その嬉しい悲しさ。
作者は歌人として活躍しているが、古典にも似た匂い立つ奥ゆかしさにどきどきさせられる。