しげちゃん みんなのレビュー

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投稿者：夏の雨　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

　女優の室井滋（しげる）さんの自伝風絵本です。絵は長谷川義史さん。これが実にマッチしています。人情物語を名画で観させてもらったような満足感です。
　長谷川義史さんは自身でも文を書きますが、その独特な絵の力はなかなか文と相性があります。
　表紙の、おかっぱ頭の女の子（もちろんこれが「しげちゃん」です）が鉄棒をしている姿、背景の木造の小学校舎、満開の桜、それに題字。どれもこれもこれから始まる物語を予感させてどきどきします。
　長谷川さんの絵がなかったら、単に人生訓みたいになってしまって、この絵本の魅力は半減したかもしれません。

　小学校の入学式の日、女の子は名前が「しげる」だったせいで男の子と間違えられてしまいます。彼女は男の子みたいな名前のせいでいやな目にいっぱいあっています。
　だから、名前を変えてしまおうかと思ったりします。でも、うまくいきません。ついにお母さんに名前を変えるように頼んでみます。もちろん、お母さんは怒りました。しげちゃんは、とうとうベソをかいてしまいます。そんな彼女をお母さんはやさしくだっこしてこう云います。
　「しげちゃん、親が子どもに名前をつけるときってね、そりゃあ一生けんめいなのよ」（このページの、泣きべそのしげちゃんと彼女を抱っこするお母さんの、長谷川さんの絵がうんといいのです）
　その話を聞いて、女の子はちょっぴり「しげる」がいやでなくなりました。

　作者の室井さんが今も滋（しげる）という名前で大活躍しているのはご存じのとおり。
　子供だけでなく大人にも絶対おすすめ。この絵本読まないとソンしちゃう、と云いたくなるくらい、とっても素敵な絵本です。

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投稿者：弥生丸　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

上野の森美術館で開催された金の星社創業100周年展で購入。絵本コーナーで観た内容の可愛さに惹かれた。

長谷川義史さんのたっぷりとした絵が可愛い。表情や仕草がとっても豊かだ。小学校入学式当日に男の子と間違われ水色の名前紙を机に貼られるしげちゃん。しかも、なんで俺の隣だけ男なんだよお～と隣席の男子に泣かれてしまう。小さな女の子にとって、かなりショックな出来事だ。

思えば私達は生まれた時から男の子らしさ、女の子らしさを刷り込まれる。だから、女の子は「女の子らしさ」というカテゴリーから外れることにコンプレックスを感じてしまう。女の子らしい可愛い名前がよかったと悩むしげちゃん。だが、お母さんから自分の名前に込められた深い思いを聞かされ、自己肯定へと向かっていく。

自己を受け入れ愛することが成長への第一歩なのだろう。暖かな癒しを与えてくれる絵本だ。

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投稿者：がんちゃん　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

長谷川さんの絵が、しげちゃんの育った時代をいきいきと表現してくれています。現在のきらきらネームを思えば“しげる”という名前はそれほどの衝撃ではないかもしれない。でも名前の由来に、読んでいる側も心がキューッとしめつけられます。読み終わる頃には心が晴れやかに。

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投稿者：月乃春水　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

「ねえ　みんなは　じぶんの名前ってすき？　えっ　わたし？　わたしはね……」
小学一年生になったしげちゃんが語ります。
女優でエッセイストの室井滋さん（本名）がきらいだった名前について、子ども時代のエピソードを描いた絵本です。

入学式の日から、もういやなことがあったしげちゃん。それは机の上にあった、名前を書いてある紙が男の子の水色だったから。
『しげる』という男の子みたいな名前のせいで、いやな目にあうことはしょっちゅう。

机に向かって真面目に考え、ノートに書いてみるしげちゃん。
「しける」これなら少し女の子っぽい？
「ツゲル」これなら少しは女の子みたい？

悩んだ末に、しげちゃんはお母さんに頼んでみます。
「もっと　かわいい名前に　かえてよ」
するとお母さんは、たいせつな名前について、キッパリと、そしてやさしく教えてくれます。

室井さんの子ども時代のおはなしとして読んでいるうちに、自然と自分の名前、そして親として、子どもの名前について思いを馳せてしまいます。

わたしの場合は、クラスに3人は同名がいた、というポピュラーな名前なので、命名するとき別の候補があったと聞いて、そっちのほうがよかった、なんて母親に言った記憶があります。
でも、名づけの由来や思いも聞いていたので、愛情は感じつつ、無駄と知りつつ、まぁ駄々をこねてみた、というかんじでしょうか。

二男については、わたしがとても好きな、ある小説の主人公の男の子から名前をもらいました。男の子には珍しく、女の子には多い名前です。今のところ、名前が原因でからかわれたりはしていない模様。
名づけた理由もすでに本人に話しているのですが、もう少し先、いつかその小説を読んでもらいたい、なんて思います。


8月6日付の毎日新聞に、室井さんのインタビューが載っていました。
生まれ故郷の富山で行われたサイン会で、高校の英語教師だった父親の教え子という人の娘さんが「母から伝えたいことがある」とやって来たそうです。
室井さんが生まれたとき、教室の黒板に大きな字で「滋」と書き、「娘が生まれた。滋という名前をつけたけど、どうだ、いいだろう」と言ったとか。教え子だった女性は、お父さんがどれほどうれしそうだったかを話してくれたそうです。

この絵本が生まれたのがきっかけとなり、これまで教え子の思い出の中に留まっていたエピソード、先生であった父親の姿や思いが、名づけられた本人（室井さん）に伝わった。
なんて素敵なのでしょう。室井さんは、サイン会なのに、途中で涙が出ちゃいました、と語っていますが、わたしも泣けてしまいました。

「親との絆は名前」というのは、ほんとうですね。

長谷川義史さんの描くしげちゃんの表情と昭和の情景は、室井さんの文章とぴったりなんです。これ以上ない組み合わせに拍手！！

見開きに歌詞が書かれている、室井滋さん作詞の『名前パレード』もぜひ聞いてみたい！

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投稿者：まさにゃん　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

自分の名前が何となく気に入ってない子の気持ちがふわっと楽になるかも？です

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投稿者：るい　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

タイトルと昭和の雰囲気漂う絵に魅かれて、手に取りました。
よーく観ると、知ってる女優さんと作者のお名前が同じ！
同一人物でした！
名前について、私も「子」のつく名前が良かったと思い、母に尋ねた事があり、共感できますが、「しげる」は確かに、インパクトが大きい！
名前について、色々な想いを乗り越えて、今のご活躍を知る世代と知らない世代では、又、読んで受け取る想いも違うと思いました！