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桐野夏生さんの長編小説。
読み口が良く、一気読みしました。
ギンジ(雄太)、好きだなぁ。
不器用だけど、流れに逆らえなくなる時もあるけど、衝突するかもしれない率直な意見が言えて男気がある感じ。
最後のジェイクに見せた愛情がギンジらしい。
ミカといた時、ジェイクとミカの間に入り込めない哀れさ、そしてなんとなく健気に見えて切なかったなぁ。
ジェイク(アキンツ)は怠け者だけど憎めなくて、宮古弁が愛嬌あっていい。
愛ってそんなにいい女?笑
読んでいていつか記憶を取り戻すんだろうなぁと思っていてけど、思いがけないタイミングだった。
あと、沖縄のリゾート地ならではな風土があるのも初めて知った。
しかしイズムと釜田、かなり胡散臭い。
若者の労働力をいろんな形で搾取する大人がいて、その上にもまたいて、その上にも…と働けど働けどどうしようもない、貧困の連鎖。
いつからこんな社会になったんだろう。
ギンジの生き方は、なにも人ごとではない。
最後は希望を持とうと思えば持てる、持てないと思えば持てない終わり方。
命の火が小さくなりつつあるジェイクに、記憶を取り戻したんだと一気に打ち明けるギンジに涙が出た。
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大迫力の青春小説。家庭のデストロイとはかくも凄惨なものと。 運命に流されて破滅に向かいっぱなしの青年二人の物語。異性への冷淡さ。同性への無闇な執着。または極端な攻撃。そしてまださまようことはやめられない。
ラストはなんにも解決して無さ過ぎ。さんざんな目に遭ったら人間はいつか学習したり悟り開いたりするなんて幻想だよね。逃避して記憶失うのがせいぜい。制御不能。たいへんそうだ、どうか彼らに幸あれ、と思っても片方たぶんラスト数分後には死ぬ。
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記憶をなくした「僕」は沖縄のジャングルで何かから逃げていた。同じく逃げていたアキンツにギンジと言う名をもらい、人と出会いながら少しずつ記憶を取り戻していく。貧困、DV、LGBT、自分探しの旅、沖縄移住、基地問題、派遣・請負、外国人労働者。色々盛り込まれてお腹いっぱいながらも一気読み。
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息苦しさを覚える描写がさすが。
とくに救いもないけど説教くさくもない。グロテスクだけど読後感はそんなに重くない。おもしろかった。