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投稿者:テラちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
45歳で末期の食道癌。病魔と闘いながら執筆した執念はすごい。食べることと書くことへの執着。作家だましいも見事。私小説というより、限りなくノンフィクションに近く、ゆえに心を揺さぶる。誰にも書けるものではない。
紙の本
ぜんぜんだめ
2013/02/24 19:58
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投稿者:カラス - この投稿者のレビュー一覧を見る
なぜ、がんになってうれしいのか、
主人公の食への執着も非現実的で、
医療を受けないという選択もまた非現実的。
まったく不出来な小説で、
これが、新人賞をとったと思うと、
暗澹たる気持ちになる。
受賞後第一作もまったくだめ。
同人誌レベル。
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食道癌に侵された主人公が、食べることに執着を持ちながら、病魔と闘う物語(「癌だましい」)。
併録の「癌ふるい」も、食道癌に侵された主人公が、友人達に病気を報告するメールを出し、返ってきたメールに点数をつけていく物語。
作者の山内令何氏は、末期の食道癌の中、この2作を書き上げ、上祥して10日後に還らぬ人となられたという。
現実のあまりのむごさに言葉も出ないほどの衝撃を受けた。
とてもコメントできない。
山内氏の冥福を心より祈るものである。
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友人から知人の処女作なので是非読んでほしいと紹介していただいた。
食道癌を患った主人公は、すでにいつから洗濯をしていないのか、汚れものとそうでないものとの区別もなくものが散らかった部屋でひとり闘病生活を営んでいる。自分の食べたいものを思い描き、それらを食べたいというだけの執念で買ってくる。だが、食道狭窄に陥った主人公の身体はすでにそれらの食べ物を受けつけない。食べても食べても逆流するだけだ。それでも、バケツと大量の水を用意しては、片っ端から口の中に入れて行くのである。読んでいるだけで、その凄惨な光景に眉をしかめてしまう。
あまりに具体的でおぞましいほどの描写は、本人が同じ食道癌を患ったからこそのものだろうが、この死と隣り合わせの生きざまに、こちらのほうが恐れおののいてしまうのである。
筆者は、この作品で文学界新人賞を取ったが、同時収録されている「癌ふるい」を脱稿後に食道がんでなくなった。
命の限りをつくした作品は、生半可な気持ちで立ち向かうにはあまりに壮絶であった。
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壮絶な1冊。描かれているのは、食道癌におかされながら、「食」に執着する女性の姿だが、読者にあらためて「生」の意味を問い直す。時間を巻き戻すような形で物語が構成されているので、主人公がなぜ「食」に拘るのかがだんだん見えてくる。単なる闘病記的に思って読むと後悔すると思う。個人的には、同時収録された「癌ふるい」の方にひかれた。自らの末期癌を告白し、それに対する返信メールを紹介し、点数をつけて並べた不思議な構成だが、返信メールの内容と、それに対する点数(評価)の対比が興味深い。ある意味、癌患者の率直な心境がかいま見える。寄せられた言葉をどう感じるのか、自らの身に置き換えて読むと心に染みる。
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食べるのが好き。そんな女性が食道癌になった。
食べれない。でも食べる。吐いても食べる。
ただただ、すごい、と思った。
この人は"生きている"とこころから思った。
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同じ年齢で同じ病を得て、死への道をたどるとしても、その道はその人それぞれの生きてきた道から繋がるものであり、すべて違うのだ、ということを、収録された2作品から感じました。
同じ病でなくなった筆者の道のりはどのようなものであったのでしょう。
死ぬときまでにふと思い出すと思われる、心にひとつ、小さな縫い目がついた作品です。
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#読了。筆者本人が末期がん闘病中だっただけあり、描写は生々しく、時にグロテスクに時にあまりにもあけすけに書かれている。本人が闘病中なので許されるのだろうが、ブラックジョークのような下りもある。
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癌を患い日に日に衰弱していくも心には微塵の暗さもない。あるのは貪婪な食への欲。あきれるばかりの食欲は、社交性のなさや身勝手な排他性とも相俟って罹患の哀しみを底の底からきれいに払う。いかなる状況に置かれようとも自己の欲望を満たそうとするおぞましさには敬意さえ覚える。生きる力をもらえた。
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末期の食道癌を綴ったものである。 これは経験しないと書けないのではないかと思う。 激しい文体、一種の諦めに似た究極の文章であった。 その次のメールのやりとりはよくわからない。
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作者本人の死に至るまでの闘病経験が、創作の素材であり、「癌だましい」「癌ふるい」の短編2編が収められている。あまりのリアルさに圧倒され、正直辛くて「癌だましい」は熟読が困難であった。
「癌ふるい」は、自分がステージⅣの食道がんであり治療をしないことを知人へ知らせるメール、そしてそれに対しての複数の返信メールで構成されている。返信メールへの主人公の感想は点数のみである。「死」という知らせが、メールという手段により、なんと軽々しくなってしまうのか、「癌だましい」の壮絶さとの懸隔に驚かされる。そして、ひとりの人間の「死」がメールを返信した人々の日常の中に埋没してしまう。主人公の無言の採点は、自分の感情への癒しを基準としたのではなく、「死」に対立する返信者の「生」を基準としたのではないだろうか。
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食道癌を患っている麻美。
余命宣告されてからも異様なまでに食に執着する麻美。
その様子が鬼気迫ると言うべき迫力を持って描写されている。
このリアリティは一体なんなのだ。
それもそのはず。作者の山内さんは本の出版を待つことなく53歳の若さで亡くなった。麻美と同じ食道癌だった。
ありがちな闘病記ではない。単なる私小説でもない。
生きることは食べること。
自分で食べられなくなったら負けなんだ。
作者の強烈なメッセージがそこかしこに伝わってきて、ぐっときた。
私の家系もがん系統で人ごとではない。
がんでやせ細り、食べられなくなっていく過程は身に沁みて分かる。
父がやはり術後に内緒で饅頭を買い食いしていたのを思い出した(笑)
これほどの才能を持った作家がたった二作残してこの世を去ったのはまことに残念。
もっともっと違う世界が読みたかった。
合掌。
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癌に直面した主人公が、自分で、そして他者から、「人間は生きているのではなく、生かされているのである」という根源的命題を悟る作品集。この一冊をもって生涯を終えた著者の、癌によって思い知らされることとなった、生に対する答えとして読める。
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癌と闘病する人を描いた2編。
特に表題作は、食道癌を患いながらも食べる事に執念を抱き続ける女が描かれており、一風変わった人物ではあるけれど、その姿はおそらく多くの闘病中の方の共振を誘うだろうと思った。
身近にあるはずなんだけど、どこか他人ごとに考えがちな事をドンと突きつけてくる作品だった。
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賛否両論あろうと思う。癌の治療をせず、本書を断筆として逝かれてしまわれたそうだが、作家としての生を全うする意義が必要だったのであれば、よかったですね、でいいのかも知れない。
共感はしないし、文学作品としてもそれほど感銘を受けなかった。正直なところ。ふだんほとんど読まないが、これを純文学というのか判断しづらい気がした。
図書館で30分で速読。記憶に長くは残らないだろうな。