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後世への最大遺物〜如何に生きるべきか
2003/12/16 21:15
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:札幌農学校 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本は大学進学時に父が読むようにと贈ってくれたものである。ずっと本棚にしまってあって、初めて真面目に読んだのは大学卒業後、大学院に進学してからだった。明確な目標もないまま、大学院に進学してしまったことを後悔し、将来に対する不安や、自分の進むべき道について迷ったとき、再度父から薦められてこの本を読んだのである。内村鑑三の著作の多くは聖書を引用したりしているので、私のようにクリスチャンではない人間には抵抗を感じる人も多いだろう。しかし、彼の言葉にはキリスト教という一つの宗教を超越した普遍性がある。たとえ後世に金や名声などを残せなくとも、一人の人間として真面目に生きることこそが後世への最大遺物であるという彼の言葉は、これから如何に生きていけばよいかというヒントを教えてくれたばかりではなく、不安に駆られた時に私を勇気づけ、前向きな気持ちにしてくれたものでもある。明治時代の著作であるが、講演原稿なので口語体で書かれていて非常に読みやすい。人生の岐路に立って迷っている人にぜひとも読んでいただきたい一冊である。
内村鑑三氏の講演録で、「金」、「事業」、「思想」、「高尚な生涯」の4つのテーマで詳細に語ってくれます!
2020/05/01 11:04
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、我が国のキリスト教指導者であり、キリスト教の伝道、学究的研究、著述活動などを積極的に行ったことで知られる内村鑑三氏の代表的な書です。同書は、内村氏が、私たち一人ひとりが後世へ何が遺せるかという主題についての講演を収録したものです。この講演の中で、彼は、「金」、「事業」、「思想」、「高尚な生涯」という4つのテーマについて詳細に述べていきます。私たちの人生最大の問題とも言える、後世に何を残すことができるのか、というテーマに迫り、内村氏の思想が垣間見られる一冊です。
なくてはならない本
2013/10/21 23:01
4人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ニシヤン - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本との最初の出会いは、大学時代である。それ以来、私の心の支えとなってきた。これからも私の傍に置いておきたい座右の書でありつづけるだろう。
私もこの講演を聴いてみたかった
2020/03/20 20:31
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:やっこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
『代表的日本人』を読んでから、本書を読んでみました。そうすると、なんだかこの二つの本は姉妹本のように思いました。
内村鑑三は、文章もうまいけれど、講演もうまいんだなと思いました。
実際に、そこで聴けたらどんなによかっただろうと思いました。
西田幾多郎もこの本を読んでいたことを知り、どれだけ鼓舞されてだろうかと思い巡らせました。
同じ本を読めたこと、嬉しく思います。
誰にでも役立つ本
2016/06/27 20:21
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:伊良湖 - この投稿者のレビュー一覧を見る
これほど誰にでも役立つ本はないのではないかと思います。
「後世への最大遺物」
人は一生で後世に何を遺すことが出来るのか。その問いに対する著者の答えがありきたりでなく、心に響きます。
「デンマルク国の物語」
デンマークが戦争に負けた後、いかに復興し、豊かになったかという話。太平洋戦争後間もない頃の日本人を勇気づけただろうな、と思わされます。
坂の上の雲を目指した時とその後
2016/08/29 23:59
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:親譲りの無鉄砲 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、内村鑑三の異なる時期における講演録をまとめたものである。
「後世への最大遺物」は明治27年の日清戦争時のもので、内村といえども若い頃は、そこはかとなく時代の帝国主義的な社会的価値観に染まっていた様子がうかがえる。後世に何か残さなければいけない、という功名心或いは焦燥感は、まさに青年内村の明るさを感じる。ただし、残すべきは、重厚な事業的業績や文学的業績といった直接一般人にわかりやすいものではなく、「高尚なる生涯」なのだという。形になっていなくても、その人の生き様が後世の人間に及ぼす影響は恒久的なのである。
一方、「デンマルク国の話」は、韓国併合頃のものという。明らかに、拡張主義の日本帝国に対する批判的な精神を垣間見ることができる。内村の社会を見る目はそれだけ成熟していた。ドイツ・オーストリア連合に敗れたデンマークを引き合いに出すことによって、目線が明らかに、植民地化された韓国及び韓国の人々に注がれている。版図を大幅に失ったデンマークは帝国主義の物差しにおいては、明らかな負け組であった。しかし、内村は、大幅に領土を失っても、残った土地において戦争前の緑地以上の樅の森林を蘇生させたダルカスを、負けたままでは終わらなかった気高いデンマーク国民として高く称揚している。そのおかげで、(今でいう)一人あたりのGDPとでもいうべき経済指標は、他の欧米大国に比べ遜色ないどころか秀でていた(当時)という。戦争には負けたが、戦前よりも却って経済的には興隆した。もちろん、経済的な成功のみが評価されるべきものなのではない。内村は、戦争に敗れたときに、気落ちすることなく、誇りを高くもって、新たな道を模索したその気高さこそが称揚されるべきもの、と言っているのだろう。彼の言葉は、宗主国にありながら、植民地化された韓国へのエールとなっていた。 そこには、デンマーク人の生き様があり、内村自身が遺したいと思っていた「後世への最大遺物」と深く共振している。その点において内村はぶれることがなかった。