サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

e-hon連携キャンペーン ~5/31

hontoレビュー

ほしい本の一覧を見る

日本人の美風 みんなのレビュー

新書

予約購入について
  • 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
  • ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
  • ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
  • 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。

みんなのレビュー5件

みんなの評価3.6

評価内訳

  • 星 5 (2件)
  • 星 4 (1件)
  • 星 3 (1件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)
5 件中 1 件~ 5 件を表示

紙の本

狂歌を落としてはいけません。

2011/09/19 15:54

9人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:和田浦海岸 - この投稿者のレビュー一覧を見る

新潮新書9月の新刊に、出久根達郎著「日本人の美風」あり。
さっそく読む。
序にこんな箇所

「・・・遅ればせながら、大正の関東大震災、明治三陸大津波、安政地震と津波などの文献に当ってみた。そして書き出してみたのだが、どうも団体の行動は画一的で変化に乏しい。やはり、個人の活動の方が、示唆に富み面白い。どんな形にしろ思惑にせよ、日本人が考え、いちずに人の為に砕身するからには、特異なケースだろうと何だろうと、日本人の美点に他ならぬ。」(p13)

登場する人は、濱口梧陵・中谷宇吉郎・二宮尊徳・野口英世・樋口一葉・一高校長たち・美智子皇后さま。その人たちにまつわる方々が登場して味わいと奥行きを深めております。

さてっと、私が今回ひきつけられたのは、
「狂歌の伝統 一高校長たちのユーモア」という章でした。
新渡戸稲造が一高校長の際に、教頭であった菊池寿人(ひさと)氏。

明治44年、校長(新渡戸稲造)が日米交換教授に選ばれ渡米、教頭の菊池が代わりを務めた。新渡戸は一年後に帰国し校長に復したが、健康がすぐれず、結局、退職することになった。菊池は教頭を続けたのち、大正8年9月に校長になった。以後、5年間、一高を統率した。菊池にとっても一高にとっても大きな出来事は、大正12年9月1日の、いわゆる関東大震災で・・・生徒にケガはなく、隣接の東京大学の化学教室から火が上がった。一高生たちは駆けつけて、備え付けの図書を運びだした。菊池が命じたのである。一高校舎に燃え移るようだったら、一高の図書類を頼む、と伝えた。東大図書館はこの震災で焼失し、多くの貴重書が灰になった。」(p164~165)

その菊池寿人が正岡子規と関係があったのでした。
ということで、もうすこし菊池氏の人となりを引用していきます。

「一高教授時代は、源氏物語、万葉集を教えた。20年これを続けて、教頭になった。まじめな人柄であった・・・ところが人はわからぬもので、菊池校長の愛するものは、諧謔なのである。おどけ。洒落。ユーモア。ナンセンス。『滑稽趣味を解せぬ国民はあまり発展せぬ』と自ら言っている。
世の中は、『馬鹿くさいもの』と、まず割り切らねばいけない。それを真面目に考えて、裏側の真相を味わうような余裕がなくては、いたずらに嘆き、悲しみ、かつ恨み、憤り、あげくは捨て鉢になるのがオチで、かといって、裏面だけを見て合点しては、世を茶化して一生を送る風来坊となってしまう。
どうせ世は矛盾だらけだが、矛盾の奥にそうとばかり言えない悲しき道もあり、馬鹿くささの中に玉と光る血も涙もある、と見るのが人生であろう。
菊池はそう考え、『馬革斎(ばかくさい)』という戯号(げごう)を案出した。・・むろん、若い時に用いた戯号である。この号を主人公に名づけた戯文も書いた。狂歌入りの小説に、『夢の浮橋』と名づけた。明治25年の暮、一気に書き上げて、学友の正岡子規に送った。子規は病床にあり、菊池は見舞いのつもりで進呈したのである。子規は読後、狂歌一種ごとに自作の句を朱筆で記し、原稿を返してよこした。」(p170~171)

うん。「狂歌の伝統」が私には興味深かったのでした。狂歌を落としてはならない。という気になりました。
その具体的な狂歌の例も読んでのお楽しみ。
新書に登場する、残りの方々も読んでのお楽しみ。

この出久根達郎著「日本人の美風」一冊は、
たとえていえば、厳選した素材をもってきて、腕をふるう料理人の包丁さばき。どの章も、すでにご存じの方を、新鮮な切り口で、短くも、堪能させてもらえるのでした。この秋の食欲じゃなくて、読書欲の先鞭をつける一冊として。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

2011/10/09 00:53

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2011/11/16 23:23

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2011/12/29 20:26

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2014/03/09 11:33

投稿元:ブクログ

レビューを見る

5 件中 1 件~ 5 件を表示
×

hontoからおトクな情報をお届けします!

割引きクーポンや人気の特集ページ、ほしい本の値下げ情報などをプッシュ通知でいち早くお届けします。