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投稿者:よっしー - この投稿者のレビュー一覧を見る
複数の登場人物が普通の家庭で普通の悩みや解決をするシーンが交互交互におりなし、最後には一本の糸になる。偶然というものは得てしてそういうものかと。逆に、ほんの僅かでもずれていれば、何事もなく過ぎてしまったかも。
このような展開の本もあるのだなと改めて実感。
電子書籍
小さなエゴ
2019/05/11 22:26
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投稿者:黒豆 - この投稿者のレビュー一覧を見る
幼い子どもが街路樹の下敷きになって死亡した。
事故死かと思われたが、これは「人災」だった
犬の糞の始末をしない老人、混雑を避けるために夜間診療を受ける学生…
その他にも多くの人の小さなエゴが重なり合って悲劇が生まれた。
正直、登場人物達のような考えは、自分にも全く身に覚えがないといえば嘘になる。
読後感は良くないけど胸に刺さる小説だった。
それと事件発生までの登場人物達の日常パートは、丁寧に描写されているのですが冗長で少し疲れた。
紙の本
些細なことの積み重なりが
2018/11/03 14:09
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投稿者:ピーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ありがちなちょっとした事の集合が幼児の命を奪うことに。
事故の裏に隠れた、様々な日常生活がオムニバス風に前奏曲のように流れ、最後は自戒にと。
誰を責めていいのか・・・辛い。
読み応えのあるストーリーだった。
紙の本
再読ですが、価値あり
2017/02/14 10:09
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投稿者:ライディーン - この投稿者のレビュー一覧を見る
再読。
子供を喪う気持ちも読んでいて辛かったが、何より数多くのかつ、小さなモラル違反が絡み合って悲劇に繋がるのはツライ。
「聖人君子のような」は理想であって、現実ではかなり難しい。
だからと言って、当然モラル違反を良しとするわけでも無い。
作中の父親も最後に「自分も同じ」と感じた場面は読んでいて何とも言えない気持ちになった。
再読ですが、読んで正解。
感化される自分がある意味清々しい。
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誰もが何気なく、そして致し方なくやってしまうほんの少しのマナー違反。世間体や周囲に虚栄を張ったり、自分の都合のみを正当化する利己的な行動。それぞれが抱える問題や環境は至って身近なものであり、特筆するような派手さも異常性も見られない等身大の世界観。そんなごくごく平凡な日常に起こる細かい出来事が積み重なって幼い命を奪う要因を作っていく。小さな積み重なりが幾重にも絡み合い、連鎖、反響していく様は正に"乱反射"!
…なんとなく、恩田さんの『ドミノ』を思い出してしまった。。。
本作は誰しもが「この程度なら…」と思ってしまっても仕方ないような細々とした事象を捉え、ほんの少しの罪悪感を抱きながらもそれがどんな影響を及ぼすのかを考えもしないで行ってきた結果が1つの大きな事故を呼び込んでしまう過程を描いている。1つ1つは小さな出来心からやってしまうような軽犯罪レベルで法で裁かられるような事がないからこそ、その結果について責任を誰も負おうとはしない。
犠牲となった幼児の父親は憎むべき相手を特定できず、事件のきっかけを作った各々の責任も言及することができずに憤ってしまう。
その不条理な社会に対する怒り・哀しみ・絶望感といった感情がひしひしと伝わってくる作品であり、同時に人間社会という仕組みの恐ろしさを感じ、我が身を顧みて色々と考えさせられる物語だった。
…それこそ、小さな身勝手であれば自分にも思い当たる節は少なからずあるかと。。。
決して後味が良い作品ではないが、当たり前の生活に潜むちょっとした歪みを捉え、緻密な構成で終始飽きさせずに読ませていくあたりはさすがだった!
内容的にもリアリティに溢れてるからこその説得力があり、だからこそ現実社会で起こりうる可能性を感じさせる。
…そういった要因をつくらないように、自分の行動も今一度見直さねば!!
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ちょっとした行為が思わぬ結果に繋がるという物語。
バタフライ効果のように,個人のちょっとしたエゴがカタストロフィー的結末
を迎える。
なんともやりきれない物語。
2011/11/13あおい書店で購入,読み始め,11/15福岡からの帰路で読了
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小さな偶然が幾つも結びついてひとつの悲劇が起こる。
その過程を丁寧に描いていて、やるせない気持ちになった。
全日本人がこの作品を読んで心に刻んだらいいと思う。
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何処にでも誰にでもあるちょっとしたモラル違反が巡り巡って一人の子供の死に繋がる。言いがかりと言えば言いがかりだけど、その人それぞれの背景を元に面白い流れだった。
しかし、この人の作品はどれも後味すっきりとはいかないけど、つい読みたくなる面白さがある。
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面白かった。力作である。風が吹けば桶屋がもうかる的なお話を、それぞれの人の感情部分を詳細に語ることでぐいぐい読ませる。貫井さんのことは以前から個人的に「小市民の観察者」と勝手に名づけていたが、ここでもその手腕は見事に発揮され、どこにでもいる人たちのどこにでもある感情の積み重ねは、読んでいる間中「ああ、あるある。」と感じさせられた。
人間が誰しも持っている怠惰な部分や自分勝手な部分やちょっとした悪意や、悪意のない偽善などがこれでもかっ!と描かれているため、人によっては読むことに嫌悪感を感じる人もいるかもしれない。だが、これは他人事ではない。紛れもなく自分のことである。たくさんの人が読まなければならない。と思う。
ただ、展開がやさしすぎてインパクトに欠ける。衝撃度を考えれば、一見何の関係もなさそうな人たちの連続殺人事件の元を辿っていったら実は。。。っていう展開のほうが面白かったかも。あれ?それってアメリカのスリラーみたいになっちゃうかな?w
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ある地方都市に住む新聞記者の2歳になる息子が事故で亡くなった。真相を知るべく訪ね歩く彼が垣間見たのは、自己を正当化する者とか自分さえ良ければいいという誰も責任を取らないという現実だった。仔犬のフンを放置する飼い主の老人、街路樹伐採に反対する主婦たち、街路樹のするべき診断を怠った業者、救急診療を拒否したアルバイト医、風邪ぐらいで夜間診療外来を頻繁に利用する学生、事なかれ主義の市役所職員、車庫入れに手間取りパニックになりそのまま放置してしまう女性など、モラルの問題やほんの些細な悪意のないルール違反が幾重にも重なる。ちょっとくらいいいだろうと、思ってしまう些細なルール違反。実は彼にもあったのだと気付く・・・。
一頃問題になった救急患者のたらい回しとかも描かれ、謎解きがあるミステリィっていうよりか社会派的なメッセージ性がある。600ページあり前半は退屈気味であるが、中盤から事件の核心へと展開していくという訳で、やや冗長気味の感も否めない?けれども
物語とはちょっと意味合いが違うかもしれないがこんな事を思い出した。
空き地に放置していた車の窓が割られそのまま放置していると、やがてすべての窓が壊されるという割れ窓理論。それから導きだされたのが軽微な秩序違反行為でも取り締まることによって犯罪の抑制にもなるというもの。誰の心の奥底にも巣食う安易な気持ち、心して読みたい物語だと思う。
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これは面白かったです!
重い内容なので、面白いと言う表現は違うかもしれませが・・・
とにかくページを捲る手が止まらないです。
事故が起きる時を0として、マイナスから始まる章立てもドキドキしながら先が気になる構成でした。
幼児が事故に会う事は冒頭で分かっているので、すごい緊張感です。
マイナスから始まり、0時点で事故が起こり、今度はプラスへ進んで行き、新聞記者である父親が原因を追究していくのですが、それもまた緊張!
法に触れる訳ではない、些細なルール違反・モラルの低さ・少しの怠慢など「これぐらいどうってことない」と思える事柄がまさに”乱反射”して重大な事故につながっていく様は本当に考えさせられます。
実際こういう事はあるんじゃないかと思わせられるリアリティでした。
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一人一人の小さな罪が積み重なって小さな男の子の命を奪う。誰も罪に問えない。
救われない話だなと思っても、こういうことは現実にあるのかも知れない。
被害者の怒りはどこに向ければいいのか。
色々考えてしまった。
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1人のちょっとした後ろめたい行動が、まわりまわって1人の子どもの命を奪う。
それぞれの人に焦点を当てるのは短いながらも、読み終わってゾッとした。
悪意と偶然。
どれか1つでも重ならなければ、子どもは助かったろうに。
それにしても、救急を利用する身勝手な大学生、アルバイト内科医に腹が立ったなー。
でも「自分は悪くない」という全員の言い分に、苛立ちを覚えました。
こういう人間の負の部分がうまく表現されている。
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ひとつひとつは本当に些細なこと。単体でならず~~っと問題にさえならなかったかもしれない。それが絡み合った結果悲劇が起きる。
大した事ではないと、自分に言い訳しながら「ホントは悪い」事をするのはやめよう。良い事だと思ってする時も冷静に周りを見ることを忘れないようにしよう。取り返しが付くうちに。
2歳の子供を突然の事故でうしなうことの悲しさ。
その事故が起きた理由を積み重ねていくときの哀しさ。
どれか一つでも無かったら、結果は変わっていたかも知れないと思ってしまう。
親の悲しみがいつか癒えますように
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大好きな作品「慟哭」の著書、貫井徳郎の作品。最近、文庫化されたので購入した。
内容は、老若男女いろいろな境遇の登場人物の目線で展開される、秀逸な群像劇だった。こういう群像劇は、終盤でバラバラの登場人物が接触し合う、点と点がつながって線になる瞬間が面白い。
物語は「‐44章」から始まって「0章」である事件が起こる。その事件の原因は、それぞれの登場人物が犯した誰にでも心当たりがある些細な罪の連鎖。
事件が起こった当事者は、事後に真相を調査して知った結果があまりにもやるせない結果で、「そういうことか!」と唸ってしまった。