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あのピカソに影響を与えたアンリ・ルソーを知っていますか?
その名作「夢」。しかし、もうひとつ「夢を見た」という作品があるという。MOMAのキュレーター・ティム・ブラウンに、その鑑定を依頼する招待状が届く。
もう一人の日本人女性研究者・オリエ・ハヤカワと競い、優れた好評をしたものに、その所有権を譲るというものだった。
物語は、2000年の倉敷で、老いた母と未婚のまま生んだ娘と暮らす早川織江が、働く大原美術館から始まる。突然、MOMAからアンリ・ルソーの絵を借り受ける窓口になってほしいとの依頼が舞い込むのだ。引きつけられる冒頭で、一気に読めた。
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久々に読み終わった時に、叫びたい衝動に駆られました。
「誰かに今すぐこの面白さを伝えたい!」
どんどん作品の世界に引き込まれていきました。
作品の中に二人のブラウンが登場します。
MoMAの主任キュレーターのトム・ブラウンと、主人公のティム・ブラウン。僕はそこにもう一人のブラウンを重ね合わせながら読んでいました。
それは、ダン・ブラウン。あの「ダヴィンチ・コード」の作者です。
本を読んでこんなに興奮したのは、「ダヴィンチ・コード」以来です。
謎解きの面白さという点でも、あのベストセラーに決して退けは取らないでしょう。
ルーブル美術館から始まったダヴィンチに対して、MoMA美術館から始まる楽園。
2000年の日本、1983年のバーゼル、そして1900年代初頭のパリを行きつ戻りつしながら物語は展開していきます。
ルソーの絵の中に迷い込んでいくような陶酔感。
いやあ、おもしろい!
一読した後、ネットで作品中に登場してくる名画の数々を確認しつつ、再読しました。
作者の描写力に感嘆します。これ、フォトリーディングのお手本としてもいいかもしれない。
さらに最初は読み落としていた複線に気づいて、これまた楽しい。
断然おすすめの一冊です!
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絵画の事が分からないので、今一つ入っていけなかった。がストーリーは楽しめた♪
2012.2.16
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さすがキュレーター 絵画だけでなく美術界のことが生き生きと描かれている。 今までルソー事あまり知らなかったけれど どんどんルソーが好きになっていく。 ミステリーとしても面白かった。 どこまでが真実なの?
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美術に造詣の深い著者だけあって、改めてルソー(とピカソ)を鑑賞したくなった。緻密なミステリーではないけど、史実に基づく物語として充分楽しめた。織絵の現在はもっと膨らませられたろうし、ティムがもう少し魅力的で、さらに他の登場人物ももっと深く描き込めていたら星5つ付けたかも。これからも時にはこの分野を描いてほしい。
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美術ミステリというカテゴリがあるのなら、この本はアートが秘めるその時代の慣習や背景をすくい取って現代的にアレンジが施されている。ウディアレンのミッドナイトインパリによくよく構図が似ている。これから西洋美術を学びたい人にうってつけの一冊。
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アンリ・ルソーの絵の解釈の斬新さとルソーその人の晩年、アヴァンギャルドの空気漂うパリ、キュレーターの醍醐味等等読みどころ満載。後半はページをめくる手も惜しく、非常に面白かった。
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文句なく おもしろかったです!!
アンリ・ルソーの『夢』
この絵画とそっくりな構図の『夢を見た』。
これがほんとうにルソーの作品なのかという
真贋をめぐるアートミステリー。
美術史に全く興味のない私でも
ぐいぐい引き込まれて
あっという間に読み終えてしまった
という感じです。
原田マハさんは 毎回 違った作風で
楽しめます。次回作が待ち遠しいです。
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面白かった!中学の時、夏休みの宿題に描いた絵がアンリルソーみたいと父親にほめられたことを思い出した。キュレーターでもある原田マハは、絵の話を書かせたら最高です。
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感動的生き方を伝える原田マハの最新作。
キューレターである著者の持てる力を遺憾なく発揮した感じがあった。
地方都市の美術館員として子育てをしながら地道に生きている女性は、実はかつて気鋭の研究者で、ルソー作品の真贋を見極める劇的な体験の持ち主だった。
『でーれーガールズ』ともちょこっとつながっていた。
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絵画に関してそれほど詳しい訳ではないが、グイグイ引き込まれた。
原田さん自身MoMAにいらっしゃったことがあるということで、それこそ「この作品には情熱がある」と感じざるを得なかった。
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本書帯に絵画ミステリーとあり、確かに内容、構成共に素晴らしいものであるが、一番心を打たれたのは登場人物たちのもつ熱いアートロマンだ。織絵とティムが一週間の鑑定期間の間でのルソーとの心の対話に自分も心が熱くなった。ラストの二人の邂逅にはほっと胸を撫で下ろすことができて、綺麗に物語が締められている。絵画の知識だけでなく、それを観るものの心情も巧く書かれていて、美術館に足を伸ばしてみようかなという気持ちにさせられた。絵画に対する感じ方も変わっているに違いない。名作。
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ピカソやルソーの絵の話が出てくるので、インターネットで画像を確認しながら読みました。
本書の表紙はルソーの「夢」これと極似した「夢を見た」という絵の真贋を7日間で判定していく物語。
物語の世界とルソー、ピカソの時代に引きずり込まれました。
バルセロナやパリの美術館に行きたくなってくる。(そんなに絵を鑑賞する能力は無いのですが)
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アンリ・ルソーという画家が描いた絵をメインモチーフに据え、いわゆる美術の世界を舞台にした作品だが、その方面にはまったく疎い私でも分かりやすく、興味を持って物語を読み進めることができた。
「ギャラリーフェイク」を読んで楽しむことができるならば、充分だ。
プロット自体は取り立てて奇抜ということはなく、いろんな意味で読み手の想像を遥か超える、というようなことはないが、作中作を上手く活かしている点、本編となる長い回想をプロローグ&エピローグ的な現在のシーンで挟んでいる構成などがよく効いている。
登場人物も少数ながら、だからこそリーダビリティー向上にそれが一役買っているのかも。
映像化にも向いているだろう。
長編といえど決して長い小説には非ず、もう少し各所に肉をつけて膨らませてもいけたんじゃないか、そんなヴァージョンも読んでみたかったなあ、なんて思わせるような作品だった。
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実在の「夢」に対して幻の「夢をみた」を配することで、ティムと織絵、MoMAとテート、真作と贋作、ティムとトム、ルソーとピカソ、官展とアンデパンダン展、ブルーピカソとキュービズム、ルソーとヤドヴィガ、ヤドヴィガとジョゼフ、バイラーとジュリエット、織絵と真絵、近代と現代、芸術と生活、それぞれの二項対立が丁寧に織り込まれていく物語です。永遠と一瞬の間に位置するルソーの無垢な情熱の塊である「夢」という一枚の絵からこんなストーリーを織り込んでいく原田マハさんこそが、絵を織りなす人、織絵なのではないか?と思いました。そして、この「楽園のカンヴァス」こそが織絵の娘、真絵、本当の絵なのではないか?とも感じました。だから、この本は原田さんが小説という形で書いた、いや、描いた絵画なのではないでしょうか?