投稿元:
レビューを見る
フィクションですが、芸術の史実を知る上でとてもいい作品だと思いました。
この作品に出てくる絵画をパッと思い浮かべることができない自分が不甲斐なかったですが…。
ルソーの作品の真贋をめぐって、研究者の男女が誰が書いたのか分からない物語をそれぞれ読み最終日に、より説得力のある説明をした者にその絵の権利を譲ろう!というとんでもない企画。
近い過去と未来、そして画家が生きた遠い過去の話が行ったり来たりしますが、それがなんともロマンを感じてグイグイひきこまれました。
なんと言ってもルソーの絵が見てみたくなりました。
投稿元:
レビューを見る
スイスの大邸宅に招かれたMoMaの学芸員であるティム・ブラウンと日本人研究者の折川早絵はルソーの名作「夢」に似た絵の真贋を7日間かけて競い合い身分けるものだった。作者の原田マハもMoMaで働いた期間があるので、経験を踏まえた上での描写力は凄い!
投稿元:
レビューを見る
近いうちに必ずアンリ・ルソーの画集を借りる。
この作品を読んだら、誰もが必ずそうするはずだ。
著者がこんな素晴らしい作品を書く人だったなんて。
陳腐な言葉しか浮かばない自分が本当にもどかしいのだが、スリリングで壮大で、エレガントで心揺さぶられる、久々に手にした本当に素敵な作品。
装丁に使われているアンリ・ルソーの「夢」にまつわる史実を元に描かれたフィクションなのだが、無知な私にはどこまでが事実でどこからがフィクションなのか、皆目見当もつかない。だが、引き込まれあっという間に物語の虜になった。
小難しい表現など何一つ使われていないのに、見事に絵画の世界を描写してみせ、何の造詣のかけらも持ち合わせていない私でさえ、共にその絵を眼前にしているかのような、登場人物の息遣いさえ感じられるような、そんな臨場感にあふれていた。
美術ミステリと冠されているようだが、純粋に絵画を愛する人々の物語として読んで欲しい。
私は図書館で見かけて借りたので、予備知識は皆無。この作品の持つ魅力を惑わされずに読むことができて本当によかった。(そう考えると、本の帯も考えものか?)
元は学芸員であったという著者の本領が見事に発揮された、素晴らしい傑作。
必読です。
投稿元:
レビューを見る
◎ダ・ヴィンチ2012年5月号
「今月のプラチナ本」。
◎第25回(2012年)山本周五郎賞候補作品発表。
◎第147回(2012年上半期)直木賞候補作品。
◎ダ・ヴィンチ2012年上半期BOOK OF THE YEAR 小説部門第1位。
◎プラチナ本of the Year 2012
2012年11月13日(火)読了。
2012-51。
投稿元:
レビューを見る
芸術に疎い自分でも、一気に読み切れた。
これまでも何度か行った事はあったけど、これから美術館に行く時は絵画を観る目が少し変わりそうだ。
岡山の大原美術館に、また行ってみたくなった。
投稿元:
レビューを見る
誰ひとり死ぬことなく、とかなければならないミステリー(謎)は目の前の作品が本物であるのかどうかの一点のみ。この謎が物語の中心を貫き通し、その周辺にいくつかの不穏な空気をまぎれこませることによって、静的とも言える作品に緊張感を与えています。
ティムと織江のルソーへのあふれんばかりの愛情。そして、ルソーその人の絵を描くことに対する信念と情熱。
現在を生きる人と過去の人とが物語の中で絡み合い、読み手はティム、織江、そしてルソーの生き様を時間を超えて胸のうちに捉えることができるようになっています。
読んでいるうちに、どんどんどんどん胸がいっぱいになって来て、そうしてたどり着く結末……。
決して派手な物語ではないのですが、作者原田マハさんの美術に関するしっかりとしたバックボーンがあってこそ生まれたであろう素晴らしい小説です。
投稿元:
レビューを見る
今から学芸員になれないかしら。。と思うここ数カ月。
学芸員・絵画・そして大原美術館と、最初の数ページに興味が惹かれるワードがちりばめられていて、思わず手に取った一冊。
しかも、以前一冊読んで、そのストーリーの美しさにひかれた原田マハさん作。
MoMAが所蔵するアンリ・ルソーの「夢」とほぼ同じタッチの絵が、伝説のコレクターの手元に。
はたしてそれはルソーの手による本物?それともよくできた贋作?それを見極めるために召集された二人の学芸員。
彼らには、ヒントとして一冊の手記が手渡される。
手記の中で表現されるルソーと、絵のモデルであるヤドヴィガのやりとりが生き生きと描かれていて、その手記に引き込まれる学芸員の気持ちと自分の気持ちが重なるような、不思議な感覚に。
ただ残念なのは、、登場する二人の学芸員はルソーを愛してやまないのだけど、、私にはルソーの絵が理解できないこと。ルソーの生きた時代の世間の目と同じように「お絵かき」にしか見えないんだなぁ。。
投稿元:
レビューを見る
安直に「絵画ミステリー」と言い切れない魅力が詰 まっていました。
ミステリーとしても最後まで驚かされるし、静かに 燃える系の情熱的な物語にもやられるしで、一気に 読んでしまいました。最後の方は、もう半泣き。
謎解き要素のある本って、一度読んだらそれっきり になりがちですが、これはまた読み返したいです。 いやー、良かった。
投稿元:
レビューを見る
表紙にひかれて手に取った本。大好きなルソーの「夢」。
読み進むうちに、2006年のパリグランパレでの展覧会での、痺れるような感動が甦りました。
画家アンリ・ルソーの不器用でひたむきな人生が、謎の物語の本の中で少しずつ語られていく仕掛け。その語り口も、彼の作品のように素朴で優しく率直で、ルソーのアトリエの隅で私もずっと見守っていたような気分でした。20世紀初頭のモンマルトル、美術界が大きな変化を見せたその時代の熱気に、どきどき手に汗を握って。
画家の対象への愛情と創作の情熱、取り巻く人々の画家と作品に寄せる崇拝、そして美術界事情が引き起こすキュレーターたちの様々な思惑。私たちが美術館で向き合う一枚の絵に、これほど多くのドラマと想いが込められているなんて。絵への向き合い方がちょっと変わるかも?
それでも堅苦しく考えず、これからは「友達に会いに行くつもり」で美術館に足を運んでみよう、と思いました。
投稿元:
レビューを見る
間違いなく、本年最高傑作。この本に出会えたことをこの上なく幸せに思う。そしてこの作品を世に生み出してくれた原田氏に心から感謝したい。私もpassionと共に「夢」の中へ…
投稿元:
レビューを見る
MOMA(ニューヨーク近代美術館)のチーフ・キュレーターであるティム・ブラウンと、大原美術館の監視員である大原織絵を軸として、ルソーの作品の真実に挑むミステリー小説。
一つの物語を通してルソーが生きた時代を追随する場面は圧巻であり、まるでその時代にタイムスリップしたような感覚に陥る。
作品を読んでいくに従って、ルソーと美術全般に対する知識の豊富さに感嘆し、筆者のルソーに対する、そして美術全般に対する深い情熱・愛情がありありと伝わってきた。
『ダヴィンチ・コード』を初めて読んだ時に味わった知的欲求を久々に味わうことが出来たし、美術に対して無知な私でもどれほどの想いを掛けて執筆したのかがありありと伝わる作品。
全てのミステリー小説好きに、是非。
投稿元:
レビューを見る
作者は美術キュレーターの仕事をしていたという事で、その経験を生かした美術ミステリー。部外者が窺い知れない美術界の内幕など楽しめる。もちろんそれだけでなく、ストーリー的にも工夫が凝らされている。すぐに気付くのは、物語の枠組みがあちこちで多重構造になっている。
(続きはブログで)http://syousanokioku.at.webry.info/201205/article_6.html
投稿元:
レビューを見る
もやもやとした気持ちを抱えた中で
手に取った一冊が本作品。
さすがキュレーターだけあって
美術作品に傾ける情熱が
作品の序盤から溢れ出していて
ぐんぐんと吸い込まれる。
芸術を解しない私でさえも
芸術家の苦悩、喜びを感じられる内容で
絵画に魅せられた絵画をとりまく人間模様が
とても面白く一気に読み上げた。
原田マハ氏の作品、
伏線とは読めないほどおかしな
登場人物名に疑問を抱きつつも
作品の面白さに興味を抱いて読み続けていた。
この作品を通して感じたことは
著者の心にはいつも絵画があって
その作品を通じて思い描く世界があって
それを作品として映し出しているんじゃないかと
ふと思う。
こんなにも素晴らしいものがあるよ
と、著者の心がそこに描かれているようで
私はそこに惹かれてしまう。
投稿元:
レビューを見る
原田マハさんの作品はハートウオーミング系の「キネマの神様」しか読んだことがなかったので…驚きました。
経歴を拝見して納得。本領発揮といったところでしょうか。
ドキドキしながら一気に読んでしまいました。
そしてアンリ・ルソー「夢」は特別な絵になりました。
投稿元:
レビューを見る
稀代のコレクターが愛蔵している一点の絵画。これは幻の名作か、それとも贋作か。
絵画の真贋を問うというシンプルなミステリー軸に、この絵画、あるいはルソーという画家に強い思い入れのある人々の情熱が交錯し、最後まで目を離せない展開。絵画を全く解さないわたしにとっても、ルソーの「夢」が特別なものになってしまうくらい、おいしげる植物の息苦しくなるほど活き活きとした匂いや、野生の動物のひそやかな息づかいをずっと感じながら読んでいた。
読み終わっても、まだ気持ちを絵の前に置いてきてしまったような感覚。しばらく他の本を読めないかも。素晴らしい!