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生きていれば、きっとある。恋が終わり、夢が破れ、自分が損なわれる瞬間が。でも、そこから立ち上がりまた歩き出す瞬間も、きっと―。3.11の後、「今、自分たちにできること」をしようとペンを執った10人の女性作家たち。そして2011年7月、その想いは全額寄付を目的としたチャリティ同人誌へと結実した。電子書籍から生まれた、再生への希望きらめく小説集、待望の文庫化(「BOOK」データベースより)
アメリカ人に憧れる主人公と、哀れでキュートなその友人、ブレンダの会話がおかしい「アメリカ人とリセエンヌ」山内マリコ
自分の中にある冷たいかたまりに気付き妻を失った男と、落ち目のグラビアアイドル・ルルコ。お互いがお互いを変えた、短い交流「二十三センチの祝福」彩瀬まる
『雨の塔』の矢咲が登場。彼女が出会う、さくらという少女の絶望と諦めの中で夢見る逃亡のお話「水流と砂金」宮木あや子
アニメキャラになりきり毎日を過ごす主人公の姿が、いっそ清々しく感じる「川田伸子の少し特異なやりくち」蛭田亜紗子
特別だから好きになった?全てを焼きつくすための小さな火。消すことも燃え上がらせる事もできないまま、それを胸に持ち続ける主人公の心の変化「真智の火のゆくえ」豊島ミホ
小説家志望の主人公。缶詰めにされる私、を妄想するためにやってきた憧れのホテルだったが・・・「私にふさわしいホテル」柚木麻子
冴えないのになぜか惹かれてしまう上司。でも彼を受け入れたらお先真っ暗な人生が待っていると未来の自分に予言され・・・「ばばあのば」南綾子
不妊治療に疲れた夫。距離を置くようにパートを始めた主人公だったが、そこで皮肉なことが起こり・・・「ボート」三日月拓
中学時代の友人が無くなり、式に出席した主人公。亡き友人から託されたものは・・・「子供おばさん」山本文緒
『少女病』のスピンオフ。いとこである三姉妹の長女の結婚式。その朝のあれこれ「少女病 近親者・ユキ」吉川トリコ
以上、女流作家10人による短編集。
宮木さん、豊島さん、柚木さん目当てでしたが、他の作品も「これは!」と驚かされるものがありました。
いやー、読んでみてよかった!
特に彩瀬さんの作品はほんとうによくできていて驚きでした。
始まりはやや暗いものを予感させる出だしだったのですが、ケーキでお祝い、で違和感。その違和感がラストで一気に昇華される感覚がちょっと忘れられない感じですね。
期待していた3人の作品は、思っていた通りの出来栄えで、こちらも満足。
それぞれの持ち味が、短い作品の中でてんこ盛りになってましたよー。
しかし柚木さんの作品に出てくる大御所作家って、ちょっとわかりやす過ぎるけどいいんでしょうかww
でもある意味淳ちゃんって(あ、言っちゃった)ものすごーく愛されてる気がします。
いじられキャラなんですね、きっと。
文末の「文芸あねもね★できるまで物語」も、おまけ感覚で読みましたが面白かったです。
女子高文芸部の先輩後輩の会話みたいで楽しいなぁ。
憧れのOG山���先輩wwの登場にテンパる面々の姿もかわいかったですよ~。
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震災後、チャリティとして出版された電子書籍同人誌を文庫化したもの。同世代の作家さん達が一から十まで全て自分たちの手で作られた、と聞き購入。文章自体は『んん…』なものもあるんだけど、その心意気が素敵だなあと思った。
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女って生きづらい!
でもしぶとくて強いなあ、と。
豊島さんの新作読めて嬉しかった。
(ここに島本さんが入ったらどうなるんだろう)
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東北大震災を発端に、何か自分たちにできることはないか、と考えた若手女性作家10人がチャリティで同人誌を電子書籍として出そうとし、それに賛同した山本文緒も加わったことで(?)文庫化されたもの。文芸物が読みたかったのと、趣旨に賛同して読んだものの・・・どうも好みでないタッチの作品が多かったので、ちょっと評価が辛くなってしまった。そもそも、山本文緒のタッチまでも好みでなかった、そういえば。でも、そんなにひどい文章でもなかったですよ、皆さん、頑張って;
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電子書籍が先行の、女性作家十名による、
チャリティ企画のアンソロジー。
楽しめたし、馴染みのない作家さんを知るイイ機会になりました。
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誰一人知らない作家で、まったく予備知識なく手にとったけれど、読み進めるたびどれもおもしろく、いちいち驚きながら一気に読んだ。
これは読むべき。
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R-18文学賞出身の女性作家を中心に集まって作った東日本大震災復興支援同人誌の新潮文庫版です。著者印税はすべて寄付しています。今後も重版のたびに寄付する予定です。本気でイチオシな一冊です! どうかよろしくお願いします!
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続きを読むのがワクワクした。女性達の、がむしゃらじゃなく、ゆる~く、でも前向きな姿勢が好き。震災のためのチャリティーで集まった作家の短編集だと知ってますます好感が持てた。
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チャリティーの企画なのに、図書館から借りたのは申し訳ない。
豊島ミホ、やはり自分のことを書いているのではとなる。
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南綾子の「ばばあのば」が特に好き。
「わたしは動かざること山の如しを地でいく女」など、笑いどころがたくさん。
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東日本大震災のチャリティー同人誌の文庫化。女性作家10人による作品集。
女性による女性のものがたり。
どれも、十人十色で、ころころ色が変わってタイトルのようにきれいで可愛い花束のよう。
切なかったり、悲しかったり、むかついたり、女の子の心は移ろいやすいけれど、この本を読むと、気持ちがスッキリと晴れやかになる。この作品に込められたたくさんの想いを受け止めて、明日の光へと繋げていきたいと思った。
ぜひたくさんのひとに読んで欲しい一冊。
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「女による女のためのR-18文学賞」の受賞者などによるこのアンソロジーがおもしろかったと聞いて、借りてくる。もとは、2011年7月に、売り上げの全額を寄付する目的で、電子書籍で発売された同人誌で、それを紙の本として作り直したものだという。10人の、10作品が掲載されている。
「R-18文学賞」の人の作品は、電子書籍はまだ読んだことがないけど、紙の本で出ているものは、ときどきまとめて読んできた。けっこう、いいよなと思うのが多い。
『文芸あねもね』の10作品は、それぞれに、ちょっとぎょっとしたり、あーなんかわかると思ったり、そういう感情があるのかと思ったり、こりゃ栗田隆子さんのいう"「気持ち悪い」男"やなあと思ったりしながら読んだ。
収録作の中ではかなり長かった「真智の火のゆくえ」が、私には印象深かった。真智には、もしや「マッチ」が掛けてあったりするのか?と読み終わってからオヤジギャグのようなことも考えた。ものがたりの冒頭はこんなだ。
▼幼い頃から、思い描くのは火のイメージだ。
人差し指と親指で、一本のマッチをつまんでいる。辺りは暗い。私以外には誰もいない、何も見えない。でも火は、照らすための火ではなくて、いつか放つための火だった。(p.159)
そして、ものがたりの終わり近くで、「私」は火から離れようとしている。
▼火の代わりに、私は、この感覚をなんとか持っていきたいと思う。今度は指ではつかみきれないから、両手を広げて、どーんと持って、それこそを、大事にしたり、人にあげたり、したい。
でもどうだろう、私には無理かな、そんなの。
と思ってしまう気持ちがないではないにせよ、とりあえず試みようと思う。私は、火の、燃えかすを見る。暗い水面に浮いている、焦げたマッチ棒を見る。火はなくなった。(pp.274-275)
「真智の火のゆくえ」は豊島ミホ作。
「ボート」という作品では、不妊らしき夫婦の、妻のほうが仕事に出た先での話が主だが、ものがたりの途中で、夫が妊娠に取り組もうとしてきた間の感情を語っているところが出てきて、『ヒキタさん…』なども読んだあとだったので、こんな気持ちもあるのかもしれないと思った。"やればできる"とか"がんばった人が報われる"みたいな発想に対する、怖さというか。たぶんその怖いと思う感情は、もっと広くあるような気がした。「働くのが怖い」という気持ちも、この夫の気持ちに似てる気がした。
▼「怖かったんだ。やってもやってもできない。じぶんが無駄に行為をして、無駄に射精して。役にたたないことして、役にたたないもの排出して。役にたたない、無駄に、生きてるんだって考えると、怖かった。またやって、またできなかったら、またじぶんが無駄なんだとつきつけられるみたいで。本も。本を読んだら、そこに答えが書いてある気がして。無駄なんだ、て大きく書いてある気がして」(p.411)
この「ボート」は、三日月拓(みかづき・ひらく)作。
まだ読んでない「R-18文学賞」の人の作を、まとまって読みたいなと思った。
(3/20了)
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東日本大震災の復興のために出されたということで読んだ第一の感想は、これ読んだら独身女性の将来への不安を煽っちゃうのでは?という心配でした。
でも、あとがきまで読んでみて、これは震災からの復興のために何かしなければという個人の想いからできたものだと分かりました。
分かってみれば、「日本に元気を」とか言ってるだけのタレントよりずっといい。
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宮木さん目当てで手に取ったもの。
『雨の塔』のスピンオフ作品が収録。
雨の塔では具体的に明らかにされなかった、矢咲実の心中未遂事件がスピンオフ作品として掲載されている。
「針とトルソー」とこの「水流と砂金」の2つのスピンオフ、そして『太陽の庭』と4作品揃ってのシリーズかな、という印象。
全体的に主人公がイタいキャラが多かったように思う。
が、どの作品も結末に向けてそれなりに明るい未来に歩いていく終わり方だったので、読後感は悪くない。
最も痛快で印象深かったのは柚木麻子の「私にふさわしいホテル」。
ちょっとその“山の上ホテル”に泊まってみたい。
他、「二十三センチの祝福」、「真智の火のゆくえ」、「子供おばさん」、「少女病 近親者・ユキ」が好みだった。
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【収録作品】「アメリカ人とリセエンヌ」山内マリコ/「二十三センチの祝福」彩瀬まる/「水流と砂金」宮木あや子/「川田伸子の少し特異なやりくち」蛭田亜紗子/「真智の火のゆくえ」豊島ミホ/「私にふさわしいホテル」柚木麻子/「ばばあのば」南綾子/「ボート」三日月拓/「子供おばさん」山本文緒/「少女病 近親者・ユキ」吉川トリコ