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紙の本
「虚数」の意味
2012/04/15 14:34
19人中、18人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:saihikarunogo - この投稿者のレビュー一覧を見る
おもしろかった。読み進むほどに、意外な展開が待っていて、トリックと動機の双方の謎に、最後まで引っ張られた。『聖女の救済』というタイトルの意味も、最後になるまでわからない。わかったときには、そういうことだったのか、と驚いた。
前作『容疑者Xの献身』では、湯川学が友情と正義の板挟みで苦しんだが、今作では、草薙刑事が、恋と正義の板挟みで苦しむ。内海薫刑事は、草薙刑事が恋に目を狂わされて冷静な捜査ができないと判断し、単独で湯川に相談したのだが……。
途中、テレビドラマと映画で湯川学を演じた福山雅治の曲を、内海刑事が聴く場面が出て来たのには、ニヤリとさせられた。小説の内海刑事は、ドラマや映画のときよりも、知的な感じがする。それでも、彼女もまた、草薙刑事が恋に狂わされている分まで自分がカバーせねばと焦って、肩に力が入りすぎていたようだ。
最初に殺されてしまった人物について、ここまで勝手な男がいるものか、と思った。頭が良くて紳士的で、表面的なおつきあいの範囲内では、充分に優しくていい人である。しかし、根本的に自分勝手なのだ。こういう、普通の社会生活においては優れた人でありながら内面的には利己主義の塊みたいな人ほど、その根本的なところで触れ合わざるを得ない恋人や家族が、傷つけられ、苦しめられる。
しかし、「聖女」である綾音という女性も、恐ろしい。彼女は優しい。自分を裏切った夫にも、夫を奪った女に対しても。しかし、彼女の振る舞いは何もかもが計算され尽くしている。その計算を、内海刑事は見抜き、彼女の犯行を証明しようとやっきになる。草薙刑事は、綾音に同情し、綾音の夫の身勝手さに怒り、綾音の夫を奪った女の犯行を証明しようとする。どちらにしても、トリックを見破ることができず、真相にたどりつけず、湯川学を頼らざるを得なくなった。
そこへ、第三の女性の存在が浮かびあがって来る。はじめ、彼女の存在は、なんとしても綾音は無実だと信じたい草薙刑事のむなしい希望でしかなかったのではないかと思われたが……。
湯川学のいう「虚数解」という言葉の意味が、なかなか、考えさせられる。存在しない数、虚数。それは、第三の女性のことではないのか。もっとも、湯川学本人は、第三の女性の存在など知らずに、別の意味で、虚数解と言っていたのだが。
推理小説好きならば、「未必の故意」という言葉も、よく知っている。犯人が現場を離れ、蓋然性に頼って行う犯罪の場合が、その典型だ。綾音には「未必の故意」によって夫を死に追いやる動機がある。だが、その方法がわからない。湯川学は、物理的な理由によって、あるとすればこれしかないという、その方法を見つけるのだが、今度は、それでは、綾音が夫を死に追いやる動機と矛盾する。いや、矛盾しないのかもしれないけど、それにしても、普通、そんなことはありえないだろうという手順になってしまう。
草薙刑事が最初に事件現場に来たとき、内海刑事はベランダの花を見上げていた。彼女は別に事件の真相を解く鍵がそこにあると思って目をつけていたわけではないのだけれど、後々、草薙刑事はそのベランダの花に水やりをするようになり、更にそれが、最後の最後に、事件の解決につながることになる。
それは、悲しい恋の終わりでもあった。
だけど、草薙刑事と湯川学と内海刑事の友情に、最後は、ほっとさせられた。
紙の本
面白い!
2013/07/21 23:39
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:さい - この投稿者のレビュー一覧を見る
内海さんのキレのよさが、光って、話しの、筋もきちんと通ってて、面白い内容でした。
ドラマとは全く違いすぎ、なぜ、ここまで、原作と、変えるのか?
と、逆にドラマ制作への不満が、湧いてきました。
まぁ、ドラマとは全く違うので、ドラマを見た人でも楽しめると思います。オススメです!
紙の本
遠隔地殺人
2020/09/26 16:07
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
何気ない伏線に、遠隔地からの殺人トリック。現実的か否かは微妙ですが、あっと驚くトリックで、根気勝負の犯罪でした。また内海が福山雅治の歌をiPodで聞くなど遊び心も。内海と草薙の異なる捜査の視点が、最後は交わるところが良かったです。とにかく安定の面白さで、一気読みしました。湯川学と草薙刑事との信頼関係は揺るぎないと思いました。
ところで、本書に出てくる「ネットアニメを売り出す戦略として、無名の個人のブログにキャラクターを登場させ、そのブログに注目が集まるようネット上に働きかけを行い、アニメ化する」という戦略は、まさに今春、広告代理店の戦略に騙されたと悪評が立った「100日後に死ぬワニ」の展開そのものだと思いました。流石、東野先生ですね。
紙の本
女の恨みは怖い
2017/01/30 13:42
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:のぉちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルから犯人がほとんど分かるけど、殺した方法を見つけないと罪にならない
フーダニットというよりもハウダニットとホワイダニットの複合型だと思う
犯人は、どんな方法を持っていつ成し遂げたか
それが分かるとタイトルの意味に繋がる
長編で読んでいるのに疲れることなく進められた
ドラマでは二話に渡っていたが長編のままで変に削られることもなかった
ドラマを見たあとにでももう一度読みたくなった
紙の本
面白かったです
2015/10/06 21:24
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:とちうし - この投稿者のレビュー一覧を見る
いつもどおりの安定感です。
最後はなるほど、そうくる、いろいろ感じさせますが、一気に読ませるのはさすがです。