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面白過ぎて上下巻一気に読破。
泣かせる、血を沸かせる、腹の底からやる気が出てくる。文中から「昔の人間賛美・今はダメ感」は若干におうけれど、それを補ってあまりある「ひとりの偉人と・それを支えた偉大な男たちの熱い厚いつながり」が濃く濃く描かれていて、羨ましいこと甚だしい。この当時の出光に入りてえ! 俺も日本人のエネルギー確保のために働きてえ! と、その熱い心が伝染して、胸の内に灯ってしまうほど。
資産のほとんどを失った終戦直後も「人材こそが財産」と社員をひとりも首にしない大家族主義を貫き、日本的なあなあ業界慣習に染まらず、真っ向から同業者&官僚と勝負。イランやソ連など未開の原油市場を開拓して「欧米系石油メジャー」に屈服せず、民族資本を貫いた「漢(おとこ)の中の漢」、出光興産創業者・出光佐三。
こんな傑物がいたことを知れたことに感謝。
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出だしからいい。一人の実在した豪快な経済人を描いた小説。司馬遼太郎「坂ノ上の雲」にも通じるところがあるかな。一代でゼロから大企業をなした豪快な男の物語に同性としては結構泣かされる。
ただ、事実はもっと複雑なんだろうが、大恩人からお金借りまくって感謝の涙のあとに骨董収集と妾の話。ちょっと気になるなぁ。
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やっと上巻読了。下巻を早く読みたくなったけどしばらく間を開けてみようと思う。
フィクションとして非常に面白いし、ここまで完璧でなくとも日本人であることが誇らしく思える先達がいたことは嬉しい限り。
ただ、司馬遼太郎の龍馬のように主人公が美化されすぎていて、個人的に気になるストーリーの転換点での表現が誤魔化されている感は否めない。
一気に映画の様に読み切るのであれば最高な娯楽だが、今は時期が時期なだけに少しその歴史的背景なども知的熟孝してみたくなった。
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出光興産創業の出光佐三をモデルにした歴史経済小説。
凄い。
好みのど真ん中。
読んでいる間、何度も鳥肌が立って、何度も涙した。
鐵造とそれを支える周りの人達の熱い想いがたまらない。
「この物語に登場する男たちは実在した。」
それが同じ日本人として誇らしくなる。
下巻が楽しみ。
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(推薦者からのコメント)20世紀の産業を興し、国を誤らせ、人を狂わせ、戦争の火種となった巨大エネルギー・石油。その石油を武器に変えて世界と闘った男とは何者なのか――
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日本のとある石油会社社長の半生を描く。
淡々とした語り口と、解説のおかげでずいぶんあっさりとした物語に仕上がっているような気がする。
期待が大きかっただけに、残念。
下巻に期待
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百田尚樹先生の小説では、「永遠のゼロ」に続いて、おもしろい小説。
紋きり調の表現が目に付くが、これもある意味狙いかと思わせるくらい、筆者の狙いにはまって、目頭が熱くなる。
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出光興産創始者である出光佐三の歩みを綴った歴史経済小説。
私利私欲に囚われず国益のためには権力にも抗う同氏。
このような人物がいたことを同じ日本人として誇りに思う。
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「これは"0(ゼロ)"に連なる物語」、なんて見出しが似合いそうな。
エビカツでお世話になっている方からお借りして、夢中で読んでしまいました。
全てを失った夏、0を継いだ春、乾坤一擲の秋、そしてつないでいく冬、
四季になぞらえての展開も、時代の流れとリンクしていて、入りやすく。
そして、石油という"エネルギー資源"の大切さと呪縛、戦略性をあらためて。
けだし、先の大東亜戦争は「資源戦争」であったのだと、実感。
その資源問題は戦後になっても変わらずに、むしろ加速していきます。
そして今再び、資源戦争の兆候も見え隠れし始めてもいますね。。
これを念頭に、尖閣や竹島を読み解くに、単純な領土ではなく「資源」をキーワードにすると、
それぞれが突っかかって来る理由も見えてくるのではないかと。
そういった意味ではもう「戦後」ではないのでしょう。
個人的には、人や食料も含めての、広義の資源を対象とした、
「覇権と独占、そして収奪」という戦前の帝国主義が復権しつつあるとみています。
閑話休題。
さて肝心の本編ですが、出光興産の創始者「出光佐三氏」をモデルとしており、
形式は架空の人物名でありながらも、日章丸事件はそのまま使われています。
経済小説に分類されるとのことですが、歴史物語として読んでも面白い。
途中、"0(ゼロ)"を感じることができるのもまた、なかなかに。
"筋"を通すとはこういうことか、国を、人を愛するとはこういうことか、
戦後、日本がどこかに置き忘れてきてしまった「価値観」がこれでもかと迫ってきます。
信念を貫くに、相手を問わず、諦めることなく、天地に恥じることなく、
そういった日本人の失われつつある心性を感じながら、読み進めました。
そして、そんな出光氏(劇中は国岡氏)を偲んで一つの歌が残されています。
国のため ひとよつらぬき 尽くしたる
きみまた去りぬ さびしと思ふ
(出光佐三逝く 三月七日 昭和天皇御製)
この一事を見るだけでも、本当に日本を国を愛していたのだなと、実感できました。
こういった逸話こそ、歴史教育の中で伝えられていくべきと思うのですが、
不思議と戦後の話は省略されることが多いのではないでしょうか。
これは、GHQの赤い部分の意向が強く働いた結果とも言われていて、
それらが戦後に日教組や自治労との形をとって、侵食し続けている証左なんでしょう。
確かに汎用的な評価が難しいとの側面はありますが、、
現在を生きる者にとって、卑近の歴史こそ大事とも思います。
それをしてこその、学問であり教育だよなぁと、あらためて実感です。
ん、生涯学習との切口で、立ち向かってみようと感じた、そんな一冊。
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個人的に今年一番面白かった本。
出光興産の初代社長、出光佐三をモデルにした経済歴史小説。
戦後、一切の財産を失いながらも一人もクビにすることなく、
さまざまな妨害に打ち克ち会社を盛りたてていった男の生き様を描く。
あくまでモデルなので、当然人物たちの名称は変更してあるけれど、
書き出しの「この男たちは実在した」にゾクゾクしながら読み始めた。
主人公・国岡鐵造の人間性や生き様、国岡を心から信頼し、
支え続けた側近たちの信念を持った行動に逐一唸らせられる。
そのハイライトは世界に衝撃を与えた、日章丸事件。
イギリス海軍や世界の七大石油メジャーを敵にまわしてまで、
イランのため、日本のため、一民間企業の社長が信念を貫き通す姿に
涙が止まらなかった。
また、戦時中の描写もあるのだが、太平洋戦争を石油という資源から
見られる点やそのエピソードも面白く、
本当に「石油のために戦って、石油のために負けた戦争」だったという
ところが非常に勉強になった。
「明日の日本を背負う少年少女たちに、日本人としての誇りと自信を持ち、未来に対して大きな夢を持ってもらいたい」
タンカーの竣工パーティーに子どもたちを招待したときの国岡の言葉だ。
この言葉は、彼らが築いた日本に安穏と暮らしている自分たちにも
ビシビシと突き刺さってくる。戦前も、戦後も、おそらく現代も、
先見性を持って日本のことを守ろうとした偉大な先達は
確かに存在していた。今こそ、日本人としての誇りと自信を失わずに、
信念を持って行動をしていくべき時だと思う。
永遠の0読者にはニヤリとする場面もあり。
正直言って、同じ表現の多用に違和感を持つこともあった。
けれども、作者自身の気持ちが入りまくっているのが伝わってきた。
超オススメ!
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「永遠の0」ですっかり百田さんのファンになり、その後の作品全部を読みながら、最近の作品には不満が残ったが、これは久々に胸が熱くなった会心の作品だ。
出光興産の創業者、出光佐三をモデルにした小説だが、その生きざまには、こんな人がいたのか!と驚かされた。
戦前でさえも彼の生き方は一部から変人扱いされていたというが、その信念、情熱、利他的な生き方には、なまぬるい生き方をしている私には衝撃的だった。
小説の終りには、「登場する会社や人物は架空であり、実在するものではない。」との決り文句がよく書かれるが、本書は序章の前に、「この物語に登場する男たちは実在した。」との一文が誇らしげに書かれている。
たしかに、ここに登場する主人公国岡鐡造と彼を取り巻く男たちの生き方は鮮やかであり、心を熱くさせてくれる、誇り高き男の波乱万丈の物語だ。
帯に、百田さんが「これは、…0の系譜につらなる作品です。」と書いているが、それもうなづける。
そして百田さんは、このモデル小説の中に、一か所遊びの部分を入れている。
それは、この物語に一瞬だけ「永遠の0」の主人公の宮部が登場するのだ。
下巻が楽しみ。
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久々のヒットでした。
戦前、戦後と力強く 生きる日本人達。
誇りの大切さを、感じさせられました。石油社会の実態も考えさせられました。
書き方も、リズミカルであっという間に上下読み終わりました。
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出光興産の創業者のお話。
戦争、大手との交渉、厳しい中で会社を社員を守って生きていく姿に、心を打たれた。
人間が、厳しい中でどう生きるべきかを教えてくれる。
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この本は熱い。何より、主人公の国岡鐵造(出光佐三)が熱い。世界の石油メジャーにも同業者にも屈せず、統制経済の時代に当局やGHQと堂々と渡り合い、銀行にファンを作って融資を引き出す。非上場で定年も出勤簿もない、という家族経営スタイルを懐かしき日本的経営と捉えては物事の半分しか見えない。同業他社の誰よりも働く虎のような社員がいれば定年なんかでは辞めさせたくないだろうし、そういう虎たちを採用し育てる手腕と、何よりも随所に光る先見の眼があったればこそなんだろう。
この本では米英系の石油メジャー「七人の魔女」は悪役を与えられている。国内油田の発見とともに産声をあげた日本の石油産業だが、石炭からのエネルギー革命に従い日本は石油輸入国となり、第二次大戦では石油を求めて戦い、石油を絶たれて敗れる。そうして支配した日本だから、メ米系メジャーとしてはそこに石油を売り込もうとするのは自然なことだ。何しろ原油を支配している強みは動かせない。こうして日本の石油元売り市場にメジャーの楔が打ち込まれる。
しかし世界は変わろうとしていた。資源ナショナリズムの先陣を切って石油産業を国有化したイランと帝国主義時代と変わらぬ軍艦外交を展開した英国。ここにこの本のクライマックスである日章丸事件の幕が切って落とされる。イランの横暴と見るか、資源ナショナリズムにも一分の理があると見るか、世界の石油会社が手を拱く中、主人公は敢然とイランに日章丸を派遣する。やがてイランは米英に屈服させられるが、その間に得た利益と信用で国内に石油精製施設と中東輸入ルートを築いていくのだから、この人の先見性と胆力には瞠目する他ない。
主人公は石油産業が誕生し、成長していく時代を生き抜き、この物語もオイルショックやイラン革命の辺りで終わる。1952年の政変の背景には共産化を防ぎたい米国の意向もあったのだろうが、ご多分に漏れずイラン王政は腐敗し、国民の溜まった不満を背景にイラン革命が起こる。その際に起きた米国大使館の悲劇、報復したい米国はイラクを自らの代役に起用し、イラン・イラク戦争の間にサダム・フセインの野望が肥大化し、やがて湾岸戦争に至り、更に10年を経てイラク戦争の果てに米国はイラクの石油を支配する。しかしその頃には7人の魔女にかつての面影はなく、ロシアや中国もパワーとエネルギーを連動させる外交を展開していた・・・。
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実在の人物たちがモデルということで、ただ楽しく読めるだけでなく、おおげさだけど世の中に希望が持てた。
読んでいて何度も熱くなった。
本当にこういうことがあって、かつ実現できていたとすれば、気持ちの在り方、振る舞い方、考え方、善いことは結果につながるという世の中を信じることができるかもしれない。
日本人らしさを感じた。これほどのことは無理としても、みんなが少しずつの日本人らしさを発揮すれば、今の閉塞感をきっと打破できると信じたい。