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なにやら「欠けている」、女の子と「かかし」とブリキ人形とライオンが出てきて、そんでもって旅をするお話。以上が「一般常識」として僕が知っていた『オズの魔法使い』である。「オズ」とは一体何者であったか、敵だったか、それとも味方であったか。はてさて、たしか一筋縄ではいかない人物だったような……。せいぜい突っ込んでもその程度。
そんなわけで、僕の記憶の確かさを、そして今も愛される物語の素晴らしさを再認識するために本書を手にとった。
本書を読んで感じたのは、上辺だけを見ると「嫌にあっさりしているな」という印象。考えてみれば「お話」なんていうものは、そういうものなのかもしれないが、深い心中描写があるわけでもなし、淡々と出来事を介して物語は進行していく。ドラマチックな盛り上げはされない。
しかし「お話」を楽しむ子どもたちにとって、それで十分なのかもしれない。子どもたちは「オオカミ」の恐怖を語らずとも、「オオカミ」の登場によって恐怖する。恐怖してくれる。深く語らずとも、この話の持つ楽しさを、恐怖を、滑稽さを、面白みを感じ取ってくれるのである。
さて、しかしそれで満足しないのはスレた大人たちである。大人たちは「深み」を欲しがる。この物語は、そういった大人たちにも門戸を開いている。
これ見よがしに配置されたキャラクターたち、舞台となる町々、その道中……。どれもが何かを象徴しているかのごとく、大人たちには感じられることだろう。「この『かかし』、身近にいるような気がする……」「『エメラルドの都』とは、まさにアレと同じではないか」。実がどうなのかは関係がなく、大人たちはこのファンタジー性溢れる作品に「現実」を感じるのである。そこから「『現実』とはかくも滑稽なものか!」という感想を抱くのも、「ということは私は『こう』しなければならない!」と自己啓発するのも自由である。本書は誰しもに門戸を開いている。
ただ上辺だけを追って「お話」を楽しむも良し、深読みしてそこに「現実」を感じるも良し。なんとも自由に溢れた作品であろうか。
【目次】
はじめに ライマン・フランク・ボーム
オズの魔法使い
訳者あとがき 河野万里子
(絵/にしざかひろみ)
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題名は知っていたけど話の内容はほとんど知らなかったので読んでみました。変わった人?達の変わった冒険。変な事が起きてもそんなに変ではないように思える変わったでも楽しいお話でした。
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銀色の靴の踵を3回ならすと行きたいところへ連れて行ってくれる。
金色の帽子は3回までは羽の生えたサルの力で願い事を叶えてくれる。
かかしは脳みそが欲しい
ブリキは心が欲しい
ライオンは勇気が欲しい
ドロシーは故郷へ帰りたい
久しぶりに読んだら陶器人形の国のことすっかり忘れてて新鮮だった。
これでさらにウィキッドが楽しめそう!
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カンザスに住む普通の少女ドロシーが、竜巻に飛ばされて降り立ったのは見たこともない不思議で美しい世界だった・・・。
100年以上読み継がれている超有名な児童文学だが、今般初めてきちんと原書を読んだ。
基本的には著者自身がまえがきで宣言している通り、子供が安心して読める、純粋に楽しめるハッピーエンドの物語である。
目の前に繰り広げられる色鮮やかな世界や心優しい登場人物たち、力を合わせて苦難を乗り切っていく冒険譚、大人になっても純粋に楽しめる部分はある。
そして、大人だから気づけるちょっと深い部分も。
それぞれに、「脳みそ」「ハート」「勇気」が欠けているため、それを欲しがっていた3人・・・実はすでにそれを持っていたのに自分を信じられていなかっただけ。
本当は偉大な魔法使いでもなんでもないのに、祭り上げられペテンを演じ続けるしかなかったオズ。
彼らの姿に含蓄があることも、この本が読み継がれてきた一因なのだろう。
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劇団四季のWickedを読んで、興味がわいたので、会社の方にお借りして拝読。ミュージカルときっちりはまるところもあれば、ちょっと異なる個所もあって、面白い。オズの魔法使いは魔法は使えなくても素敵なペテン師。(子供の時に読んでたら、オズのうそつきーってなってたんだろうけど..)
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「有名だけど読んだことなかったなぁ」と思って手にとりました。
平積みしてポップつけてた本屋さんの策略にはまったわけです。
こういう、「今更読むのもなぁ」という本には後押しが必要だと実感しました。
本の内容についてですが、予想以上にシュールでした。
アリを踏むのもためらうブリキが、その他の生き物に関してはもうスパスパとぶった切ったりしてます。
ライオンがはぐれた時も、他のメンバーはあっさりと「いい奴だった」とし、でも助けられると思ったら助けるという、仲間思いなんだかなんだかわからない言動が目立ちます。でも、ある意味リアルなのかも。
別にくさしているわけではなく、おとぎ話というのは色々なツッコミどころがあるんだな、と思った次第。
色とりどりの色彩豊かに描かれた街や自然は読む者の想像力をかきたて、別世界へと誘ってくれるかのようです。
脳のないカカシ、心のないブリキ、勇気のないライオン…
正体を暴かれたオズの「魔法」…
翼の生えたサルと金の帽子…
個性豊かな魔女たち…
たつまきに乗ってやってきて、ガラスの靴で帰るまでの冒険をこの機会にいかがでしょう?
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名前を知らない人がいないくらい有名な作品だけど、意外と原作を読んだことのある人がいないと思う。
読まなくても話の筋が何となく耳に入ってくる。
僕もまたその一人で、書店で偶然目についたので、この機会にと思い購入。
原作を読んで一番驚いたのはタイトルに名の入っている大魔法使いのオズが、何の魔力も持たないペテン師だったこと。
この本を読むまでは何となくマーリンみたいなイメージだと思っていた。
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有名だけれど今まで一度も読んだことがなかったので読んでみました。
ヘンテコで、 不思議で、心温まる物語。
個性豊かなドロシーたち一行の不思議な旅にワクワク。
とっても素敵な物語でした!
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子どもの頃、読んだオズの魔法使い。
どんな物語かは曖昧でした。
子ども心に戻って、ドロシーたちの冒険にハラハラできました。
最近はオズを元にした作品が色々とあるので参考文献にもなりますし、とてもお世話になっている一冊です。
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昔、学校の演劇鑑賞会で観たものは、オズが本当に立派な魔法使いでそこで全ての願いが叶うストーリーだったのですが…まさか本家のオズがあんなんだったとは(笑)よく知られてる昔の話の原典を読むのは、こういう楽しみがあるから大好きです。
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ドロシーの仲間たちに本当に必要なのは、脳みそでも心でも勇気でもなく、自分を信じること。魔法を使えないオズがそれ見抜き、策を講じたのは印象的。魔法なんてなくても、賢くだって優しくだって勇敢にだってなれる。そうありたいと望み、自分を信じさえすれば。「オズの魔法使い」は私にそう教えてくれた気がする。
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欲しいものがない、他人や他のものにはあって自分にはない…それは悲しいことです。
でも、そのないもののおかげで守れるものもあります。
何かが足りない状態では、最低限、自分を守ることができればいいのだと思います。
しかし、ないものを手に入れると、視界が今までとは違って見えます。
その、新たに手に入れた「自分にあるもの」のために、新たな試練に立ち向かわざるを得なくなります。
これはドロシーと仲間たちのシンプルで力強い物語です。
敢えて細かな描写を省いた、直線的な語り口は新鮮で、痛快でした。
瀬戸物の国を出るときに教会の瀬戸物を壊してしまうのですが、その時、ドロシーが「悪いけど、しかたないわ」という潔さが好きです。
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題名は知ってるけど内容は、ほぼ覚えていなかったので読んでみたくなり購入。
これも子供の頃にしっかり読んでおきたかった本だと思いました。
脳の無いかかし、心が無いブリキの木こり、臆病なライオン、それぞれの自分の力を引き出させたオズはやはり偉大な人物なのかも…
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今年の夏の新潮文庫に並んでいたので買いました。
子供の頃に本か漫画か映画で見て概ねストーリーは知っていたものの改めて読むと、色々ビックリ!
西の魔女が仕向けたオオカミとカラスの大群の撃退のしかたとか!
そして、知恵者のカカシは脳みそを望み、心優しい木こりは心を望み、勇敢なライオンは勇気を望む。
それを叶えてあげるオズの対応は正に大岡裁き!
一昨年みた映画、始まりの物語オズとの繋がりもあって、今更『こういうことね!』と気がつくことも。
一年に一冊はこんなの読んでみようと思えました!
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毎年夏に出る、デザイナーズといった感じのオシャレなシリーズに、今年はずっと読んでみたかった「オズの魔法使い」があったので、買ってみた。いろは目に鮮やかな緑色。物語を読んで、これはエメラルド色だったのかと気づいた。きれいだなあ。
灰色の故郷に帰りたいドロシーと、脳みそがほしいかかしと、心がほしいきこり、それから勇敢になりたいライオン、ドロシーについてきちゃった犬のトト。色彩あざやかな世界で繰り広げられる冒険。…よりも、キャラクター達の「ほしいもの」と、役割になんだか胸が熱くなった。
キャラクター達は(ドロシーとトト以外)みんなそれぞれの適材適所を見つけて王様になり、一件落着!…なんだけど、ところで、きこりのお嫁さんは……どうなったんだっけ……。と、今もやっとしています。