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痛い。痛くて泣いた。
ただの就活話に終わっておらず、おそろしいほど人間を描いていると思った。
ツイッターとか、現代ツールの使い方もうまい。そして、軽く叙述トリック的でもある。
ブランチのインタビューを見て、作家と社会人の二足の草鞋であることや、インタビューの受け答えなどから、頭のいい人だなぁとは感じていたが、本当に才能溢れる人だ。
朝井リョウおそるべし。
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まあ、こんなもんかな…ってかんじの感想。今の就活生をうまく描写しているけども、読んでいてワクワくしなかった
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今の就活ってこんな感じなのかな…とか、SNSってこんなんかな…とか思いながら読み進めた。
共感や面白いって引き込まれることもなく淡々と読む。
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大学生男女5人の就活をベースに主人公が成長していく様を描いた物語…と言えなくもないんですけど、登場人物達のあまりの痛さに胸が悪くなりました。
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そんなに各登場人物の心理が暴露されるという感じでもなく、全体的に淡々とした印象でした。全ての登場人物がおとなしい感じです。
本書には話の軸のひとつに Twitter がでてきますが、こんなに細かく日常のことを書いてしまう人ってそうそういないと思うので、疑問に感じました。
これがもし、Facebook ならアリかなと思いました。
登場するキャラのほぼ全員が日常を暴露し過ぎていたので、全員鍵付きアカウントならまだ説得力あった気がします。
裏アカウントもたいして痛いつぶやきでもないと感じました。
メールアドレスからの友達検索は、オン・オフが選べるので全員がオンのままというのもありえないし、Twitterは同じアドレスでは登録できないので、裏アカウント用には誰にも教えていないアドレスを取得する気がしました。さらに、裏アカウントならば、メールアドレスから検索可能のまま放置するというのはないのでは?と感じました。
Facebookが表アカウントで、Twitterが裏アカウントのほうが、話がうまくまとまったのでは?と感じました。
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はるか昔、私は“シューカツ”には、さほど真剣に取り組まなかった。
大手企業では、指定校制というごく一部の大学生がまだ優遇されていた時代で、“シューカツ”などという言葉もなかった。
指定校の学生でなければ、一次面接からも弾かれるという有様だった。
私はたまたま指定校だったので、まあ何とかなるだろう、と高を括っていた。
それほどあくせくしなくても大丈夫だろうと思っていた。
一般のメーカーへの就職などは、これっぽっちも頭の隅になかったし、マスコミ関連、いわゆる「ギョーカイ」関連への就職しか考えていなかった。
(某レコード会社主催のオーディションはそれとは別に受けていたけれど……)
でも、自分が想像していたより、就職活動は困難を極めた。
何度も何度も面接で落ちて、心が折れそうになった。自分の甘さを恥じた。
この作品にも書かれているように、“自分が何故落とされるのか分からない”。
それまでの高校や大学の試験だったら、世界史に失敗したとか、数学でケアレスミスをしたとか、何らかの理由が思いつくものだが、“シューカツ”には正解が見えない。
模範解答が見つからないのだ。だから、つらかった。
それでも、第一志望じゃなかったとはいえ、最終的には目標とする「ギョーカイ」関連の会社に就職できたから良かったけれど。
この作品は、大学生の主人公二宮拓人が“シューカツ”をしていく中で、自己のアイデンティテイについて悩み成長していくという物語である。
ついこの間まで、バンドをやっていたり、芝居をやっていたりした学生が、髪を黒に戻し、短くし、それまでの自分を変えて、就職活動に励むようになる。
「就職が決まって髪を切ってきた時、もう若くないさと君は言い訳したね」
という1970年代の名曲「いちご白書をもう一度」の世界だ。
何のために? これから自分ひとりの力で生活していくためだ。
シューカツには否応なしに、夢や理想と現実のギャップが存在する。
みんなが知ってる大企業、ちょっとカッコいいマスコミ関係などに受かるかどうかだけで、ともすればその人間の存在理由までもが決められ、勝ち組か負け組みか判断されそうになる。
会社に就職するということはどういうことなのか? 自分はいったい何者なのか?
拓人は、友人たちと競い合いながらのシューカツのなかで、本当の自分の姿に目覚めるようになる。
その間の焦り、葛藤、 不安、苛立ち、妬み、共感などといった登場人物それぞれの心情が痛いほど伝わってくる、なかなか心に響く作品だと思う。
特に最後で明らかにされる主人公のもう一つの側面の件などは、ミステリー小説なみの鮮やかさだ。
石田衣良にも「シューカツ!」という同様のテーマの作品があったが、作者本人がその真っ只中で経験してきた思いを素直に吐露しているせいか、人物造形、心理描写なども含めて明らかにこちらの方が完成度としては数段上だろう。
あちらは、いかにも作者の想像上の物語という作品で、上っ面だけを描いているような印象だった。
それに比べ、朝井リョウ君の才能の豊かさを感じさせる作品だ。
さ���、この作品は現時点(1/10)で直木賞候補作品に選出されている。
1月16日の夜に受賞作が発表されるわけだが、
浅田 次郎、阿刀田 高、伊集院 静、北方 謙三、桐野 夏生、林 真理子、宮城谷 昌光、宮部 みゆき、渡辺 淳一
などの選考委員に現在の学生のシューカツ事情が分かるのだろうか。
何も分からないのに、この作品を推すようなことはしてほしくない。
ましてや、この作品のメイン舞台は、ツイッター、フェイスブックなどのSNSだ。
「スカイプで会議」などと文中で書かれても、何のことか分かるのだろうか?
文中に出てくる“たった百四十字”の持つ意味を理解し、その使い勝手を実感したり、現在の若者と同じレベルで活用している選考委員など皆無なはずだ。
もちろん、SNSをよく分からなくても、ある程度この作品の評価はできるだろう。
若者の不安な心情表現の卓抜さ、言葉選びの巧みさ、見事な会話のキャッチボール、キラリと光る比喩、などなど、高く評価される点はたくさんある。
それでも、この作品の本質を理解するにはSNSを少しでも齧っていなければ無理だと思うのだ。
「ツイッターやフェイスブックを利用していないサワ先輩は現実の中にしか存在していない。」(本文より)
とあるように、ツイッターやフェイスブックなどでの仮想コミュニケーションは、結局のところ疎外感や孤独感を生み出す。
それを実感として分からない選考委員に評価などして欲しくないというのが本音だ。
私は、この小説が“新鮮さ”や“現在の若者のコミュニケーション事情と葛藤をよく描いている”などという陳腐な表現で高評価されるのを恐れる。
文学賞の選評でありがちなのが、選者の知っている分野であれば、批判も物足りなさも語れるが、まったく知らない世界が出てくる途端に「新しくて凄い」というような雰囲気で高評価されてしまうことだ。
コミュニケーションの世界を描いているこの作品は、実際にツイッターやフェイスブック、はたまたブログやメールを自分の生活の一部として活用している人間でなければ正当な評価はできない。
そこを“新鮮だ”というような曖昧な言葉で高く評価してはいけないと思うのだ。
この作品が、どれほど私の心に深く響いてきた素晴らしい作品だとしても。
朝井リョウ君にはまだまだ抽斗がありそうだ。
慌てなくても、これ以上の作品を今後も書き続けるだろうから、この作品に直木賞をあげる必要もあるまいと思うのだが。
*でも、辻村深月のときもそう思っていたら意外な作品で受賞してしまったからなあ。
後日記:結局、この作品で直木賞受賞してしまいました。
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リアルで痛い!
Twitterでのつぶやきが本当にリアル。
SNSとの付き合い方は本当に考えないと行けない。
これだけSNSが広がってるけど、数年後にはまた違うスタンダードがあると思うので、「今」を切り取った様な小説だと思います。
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登場人物の言葉にガツンと殴られたかんじ。人の行動の裏の意図とか、隠れた欲望とか、黒い感情が全部分析してあってそれが身につまされるものだったから読んでいて辛かった。でも、そういうことを面と向かって言ってくれる人は少ないから、この本に現実を叩きつけてもらってよかったと思う。 思考だけ立派で行動が伴ってない主人公には共感するところが多かった。なんだか反省。
一生懸命じたばたしてる人ってかっこ悪く見えるけど、何もしないで外野から人を批判する人よりは先を進んでるんじゃないかなあと思った。
ただ読んでて個人的に違和感を覚えたのは、ところどころ、作者の言いたいことをいろんなキャラが喋ってるだけに見えてしまったところ。まくし立てるように主張をする場面に限って、その人物の個性が表れてなく台詞を言わされてる感があった。気がする。
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就活中は、何者かになろうとして頑張ってたつもりだったのに。他人を、他人の就活を、無意識的に俯瞰してた自分が確かに居て、むしろそんな事をしてばかりでカッコ悪い自分なんて晒せなかった自分自身は拓人と全く同じな気がする。この本を読んで「怖い」と感想を書く人の気持ちが分かっただけじゃなくて、内定貰ったって結局何者にもなれなかった事にも気付いてしまってやるせない。
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本には読むべき時がある、といつも思う。今この小説を読むことができてよかった。
痛くて苦くてヒリヒリする。それは、ふだん見ないようにしている自分の弱点を容赦なく暴き立てられてしまうから。でもその痛みが自虐的快感を呼び起こす。
「桐島、部活やめるってよ」を読んだ時は、高校時代の自分を見るフォーカスを見つけたと思った。
本作では、大学以降の自分の輪郭がくっきり浮かび上がってきた。
時代背景も社会状況も世情も全然違うのに、そこにいる人間の根本はなにも変わらない。
何者かになりたくて、何者にもなれなかった、と思ってきたけど、何者かになるためのカッコ悪いあがきをちゃんとやってきただろうか、と今ごろになって思う。どんなにかっこ悪くても痛々しくても、現実の自分をまるごと受け入れてその上で勝負していくしかないんだよなあ。
一見優位にみえる観察者、傍観者の立場に逃げ込んで他人を見下してみたって、それで何者かになれるわけじゃない。
他人との距離の中に漂う、形にならないけど確実に存在する感情や雰囲気が、恐ろしいほど正確に描かれていて、背筋がぞっとする。
生きてる間に朝井リョウの作品に出会えてよかった。
「朝井リョウ」に間に合ってほんとによかったと思う。
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読み進めていくうちにすっかり主人公に考え方、価値観が同期されてしまった自分には痛すぎるラストでした…(T_ T )
主人公の背中越しに眺めてた物語のラストでとつぜん主人公が振り返って「で、お前は一体何者なの?」って聞かれたくらいの衝撃…w
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就活から逃げたから、今でもこういう世界に興味がわく。
あるんだろうなーこういうこと。
一気読みした。
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すっごいおもしろかったよ。
それぞれのキャラクターはそうはいないタイプですが、それぞれの行動やら心情やらがすごいリアルかも。
なんかちょっと身に覚えがあるような感じ、すごいする。
それぞれの本音が痛くていたたまれない。
しかし今の子たちは、大変だよね。
就活にこんなに消耗して、むしろ本来の将来の進路選択とは別の戦いがそこにあるものね。
SNSとかほんとめんどくさい。
でもその分、想像力を失くさずにいたいよね。
最終的なオチもうわーって感じだけど、至極だな。
やっぱり、こういう等身大の人物たちを描くとすごく上手いなぁと思います。
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就活生になってしまった、というわけで読んでみた。主人公がなんだが自分と重なる。私もこういうことあるなー…。就活頑張らねば。
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30代の作家ならともかく、同年代の心情をここまで冷静に描けるのはすばらしい。
登場人物の関係性の微妙な変化や、物語の設定に一ひねりあってアクセントになっている。
リアルタイムで作品を追って行きたい作家の一人。