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零戦イコールカミカゼ、しか戦後の私は知らなかった。
なんであんなに機体が弱いのかってところしか知らなかった。
でも、その影には戦闘機としての優先順位や遠くまで速く飛べることをクリアするための努力が見えたし、敗戦後の日本における航空産業の禁までもがこの戦闘機の力でもあったとは本当に知らなかった。
知らないことは罪だと思う。
美しさを求める姿が随所に見られる。技術者と芸術家の共通点かもしれない。
与えられた条件がどうにも動かせない者であるとき、その条件の中であたりまえに考えられることだけを考えていたのでは、できあがるものはみなドングリの背比べにすぎないであろう。
与えられた条件の中で、とうぜん考えられるぎりぎりの成果を、どうやったら一歩抜くことができるかということをつねに考えねばならない。
あとがきには風たちぬのエピソードも。なぜ美しさなのか、彼だったのかの確認ができた。
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技術者だなぁというかんじ。
愛を感じる文体でした。
下手なリーダー論とか、仕事論を読むより、これをよんだほうがタメになる
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映画風立ちぬに魅せられて買ってしまった。随分前に書かれたものなのに読みやすくて吃驚した。私には全く軍だとか戦闘機だとかの予備知識がなかったから少し不安だったが、堀越氏の自伝的な著作で、用語なども解説してくれたので分かりやすかった。
読んでいて当時の軍艦、飛行機などだけでなく、日本軍の組織についても、今まで考えたことが無かったのが不思議なくらい興味が出てきたので、今度色々調べたい。
堀越氏は自分たちがつくった零戦という戦闘機を誇りに思っているということが本全体から伝わってくる。随所に零戦を讃える文句が散りばめられているし、苦心してつくった飛行機を愛しているのだなと思った。初めて零戦が完全な姿で飛んだときの「美しい!」は映画の二郎を思い出させた。
ただ、あれだけ苦労して生まれた可愛い我が子を、神風特攻隊で失った心情はいかほどだったか。戦争末期には零戦を失うために零戦を作っていたのだし、我が子に乗るパイロットは必ず死ぬ運命にある。その時の彼の心情はあまりはっきりとは書かれていないように思った。あえて書かなかったのかもしれないし、書けなかったのかもしれない。
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2013/09/13
風たちぬ、に技術者魂を魅せられて。鳥人間コンテストが懐かしい。
・ヘリコプターの父 イゴール・シコルスキー
「自分の仕事に根深くたずさわった者の生涯は、一般の人の生涯よりもはげしい山と谷の起伏の連続である」
・枕頭鋲
・机で呻吟する
・牛車で戦闘機を運ぶ。当時は一日1機の製造能力
・共振
・零式艦上戦闘機・一一式 zero・fighter
・若い女を口説き落とすことはそんなにむずかしくないが、Zeroを落とすことは容易ではない。
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零戦の開発の様子が、開発者らしく描かれている。心のどこかで期待していた零戦を作ったことの痛みと言ったものは描かれておらず(それは私の身勝手な思い)、神風への心痛が紙面をさほど割かずに描かれていた。
宮崎駿「風立ちぬ」を観たり、百田尚樹「永遠のゼロ」を読んでいたので、開発者の視点からの零戦は新鮮であり、かつ、私にとってあの時代が少し立体的なものになりました。
零戦の開発はそれ自体すごくて、その知識や取り組みや勇気といったものに尊敬し、かつ勇気づけられます。
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堀越二郎氏による、零戦開発にまつわる自伝的な。
飛行機を一機作り上げ飛ばすまでの、段取りや細かい苦労なんかがよくわかり、とても興味深い内容でした。
映画「風立ちぬ」のストーリーを思い出しつつ、あのエピソードがこれか?などと考えつつ読む楽しみがありました。
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堀越二郎本人が語った零戦。サラッと書いてあるけれど、節々に尋常ならざる苦悩が滲み出ている。
ところでこの人がもし、本田宗一郎や井深大ぐらいの世代だったら、何を作ってくれたのだろう。
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世界の航空史に残る零式艦上戦闘機を設計した堀越二郎によって書かれた零戦開発史です。スタジオジブリの"風立ちぬ"の主人公のモデルになった人ということで注目されています。本書は1970年に出版された新書で、一般向けに平易に書かれており、詳しい知識や背景を知らなくてもある程度理解できます。戦闘機の開発について書かれているため、戦争を肯定しているようにも思えるかもしれないですが、そんなことはありません。真摯にモノづくりに挑んだ開発者の物語であり、こういう真摯さは、今の世の中にも必要だと思いました。
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ジブリ映画『風立ちぬ』公開記念読書第一弾。太平洋戦争前夜における零戦の開発史と、戦時下の活躍を記録したノンフィクションである。
作者は零戦のメイン開発者で、海軍から要求された新戦闘機の性能が如何に高水準だったか、その基準をクリアするためにどのような工夫をしたかについて、専門知識を持たない人にも分かりやすく解説してくれている。僕も零戦については名前くらいしか知らなかったのだが、当時としては世界最高の性能を持っていたことがよく分かった。太平洋戦争開戦から半年ほど続いた日本軍の快進撃の大部分が零戦の活躍によるものというのも納得である。
零戦こそ現代まで続く日本の技術魂の原点であり、当時の日本人の誇りだったことは想像に難くない。しかし、零戦の天下は長くは続かなかった。日本軍より資源や人員で圧倒的に勝る米軍は、零戦に対抗する新型戦闘機を次々と開発、導入してきたが、余裕のない日本軍は数年経っても零戦に頼るしかなかった。戦況が悪化する中、零戦は無理な改造をされるようになり、遂には神風特攻隊が搭乗するに至る。零戦は、その生涯を類稀なる栄光と悲劇に彩られた飛行機なのである。
完全に余談だが、本書を読むまで堀越 二郎ではなく堀 越二郎だと思っていた。堀 辰雄と並べられていたからつい。
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零戦にまつわるエピソードを著者の主観からみて記載している。当時の職人たちが、強い熱意をもって取り組んでいるさまがよく描かれている。
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宮崎アニメのモデル。
戦争についての議論は置いておいて読むことをおすすめします。
不可能を可能にする技術者魂に脱帽です。
日本人の誇りだと思います。
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設計開発とは?商品企画とは?
上司に面白いよと進められて読みました。
私が尊敬する元上司も読まれたとのこと。
常識で考えたら遂行困難と思われた海軍から要求される性能と
それを解決するべき技術の選択と
その技術を支えたアイデア出し。
製作した試作機に対するプロのパイロットのフィードバック。
結果を真摯に受け止め、
フィードバック(問題)を整理して、
再度解決するべき技術やアイデアを出す。。。
結果として、世界でZeroの名が轟いた。
企画は何をすべきかに責任を持つこと。
社会情勢を把握しお客様の価値・満足とリンクするべく
要求性能の選定と定義に妥協するべきではない。
設計はそれに対して如何につくるかに責任を持つこと。
要求事項をクリアするべく技術の選択にアイデアを凝らし、
その技術を満足させるアイデア出しに注力し
実施そのものに慢心せず、冷静に試験評価、洞察を繰り返す
チャレンジをするべき。
堀越二郎氏は、海外の雑誌にも目を通している程の
インプット能力が高い技術者でありながら、
本書の様な一般の人間にも分かるような文章が書ける
アウトプット能力も高い、真の技術者だと思いました。
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『風立ちぬ。いざ生きめやも』本書は世界の航空史に残る名機・零戦の主任設計者が当時の記録を元にアイデアから完成までの過程を克明に綴った技術開発成功の記録です。淡々とした筆致にむしろ凄みを感じさせます。
本書を読もうと思ったきっかけは無論、宮崎駿監督の映画「風立ちぬ」が劇場公開されたことでございました。著者である堀越二郎の事に関しては『零戦を設計した人』という程度の認識しかなく、一応実物大のものは靖国神社にある遊就館で見たことがあるくらいでした。
宮崎駿監督が本書に関して『堀越二郎は本当のことを言わない人だ』とか『奥歯に物の挟まったような物言いをする』とインタビューで語っていたのを本書を読む前に聞いていて、それから読み終えて『なるほどなぁ』と思うにいたった次第でありました。
正直なところ、僕自身はほとんど航空機に関心がないので、技術的な箇所を読んでも皆目見当がつかなかったわけでございますが、堀越二郎が群馬県の藤岡市に近い田舎に生を受け、青雲の志を持って東京帝国大学の新設して間もない航空学科に学び、三菱内燃機(現三菱重工)に入社し、名古屋にてその技術者人生を始めるあたりがさらりと触れられております。
そんな彼の元に海軍側から
『最新の戦闘機を作ってくれ』
という依頼が来るのです。その以来というのがまぁなんとも今で言うところの『ムチャ振り』のオンパレードで航空能力と戦闘能力を両立させ、なおかつほかの能力も当時の世界最高水準を要求するというもので、これにさすがの堀越二郎もずいぶんと頭を悩ませたのだと、ここにはそうつづられておりました。
やがてできた試作機は二人のパイロットの尊い犠牲を経て実用化され、ある時代までは無敵の強さを誇るようになりますしかし、アメリカ軍の持つ圧倒的な物量により、徐々に零戦は劣勢に立たされ、ついには神風(じんぷう)特攻隊に使用されるという悲劇的な運命をたどっていくのです。そういう情勢の中で堀越二郎がいかに仕事に当たっていたかが(可能なかぎり)つづられていて、その部分は読んでいて感銘を受けました。
「われわれ技術に生きる者は、根拠のない憶測や軽い気持ちの批判に一喜一憂すべきではない。長期的な進歩の波こそ見誤ってはならぬ」
堀越二郎が残したこの言葉は透徹した技術者のものとして、現在でも古びてはおらず、自身の開発した零戦ともに、航空史に長く残っていくのだと思います。その栄光と悲劇とともに…。
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優秀なエンジニアの実直で人間味のある文章に心打たれました。
どんなに優れた科学技術も人間のエゴに使われると最悪の結果を惹き起こすという点では原子力も同様。
貧しくとも勤勉な日本人が生み出したゼロ戦があったからこそ、太平洋戦争中盤に於いて日本軍の圧倒的な強さが実現できたと知りました。
しかしテクノロジーの戦いは、それを上回るテノロジーによって破られるのは歴史の必然。
しかも相手が桁違いの物量(潜在能力)を持つのであれば尚更である。樹を見て森を見ない日本軍は少々傲慢であったかもしれません。
もし日本軍にゼロ戦が無ければ、停戦は比較的早い時点で行われたかもしれず、原爆の悲劇も起こらなかったかもしれない。
奇跡のゼロ戦の悲劇の物語。
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【Impression】
「零戦」の日本の航空技術における位置づけが分かると共に、やはり設計主任者としては、戦争終盤における零戦の使われ方に対して思っていたことなど、たくさん知ることができた。
なかでも最後の「日本の産業は先進国のキャッチアップに過ぎない」という論に対しての零戦を例に出した反論は、この本を読んでいるととても説得力があった。
しかもとてつもなく戦争の趨勢の分析もなされていて、いや、正確にはみんな同じような気持ちやったんやろうか。
【Synopsis】
●現三菱重工業に勤めている著者の零戦開発までの話。
●当初、軍から出された基準を全てクリアするのは航空機という特性上不可能と思われていた。しかし、設計者達の血の滲むような努力、2つの尊い犠牲を伴い、開発に成功する。
●その後、零戦は徐々に大戦においてその威力を発揮していく。零戦の航続力があったからこそ出来る作戦が多数採られていた。一方でアメリカは、零戦の脅威をしっかりと認め、徐々に背後に迫っていた
●一方、日本は弱点であった資源等の不足により、零戦の改良型などは作れないような状況に陥り、ミッドウェー海戦での大敗を契機に状況はいっぺん。遂に神風特別攻撃隊などが結成され、その航空機に零戦が使用され始める
●戦後、著者による零戦を踏まえた日本の航空技術、技術力全般等について語られ、当時の心境などが述べられている