紙の本
零戦の誕生とそれに伴う苦悩
2013/08/31 23:04
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投稿者:みずの - この投稿者のレビュー一覧を見る
一生に一度は読んでおくべき名著だと思います。
零戦に対しての見方も変わりました、零戦が平成になっても これほどまでに愛される理由が分かります
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投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦争の道具でなければ、その技術開発は沢山の人に受け入れられたろう。技術者としての苦悩が伝わってくるようだ。
紙の本
世界に名を馳せた名戦闘「零戦」の開発経緯を、担当者である堀越二郎自身が記録した開発記録史
2017/04/25 10:49
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投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
世界に名を馳せた名戦闘「零戦」の開発経緯を、担当者である堀越二郎自身が記録した開発記録史ともいうべき本。余り注目していなかった本だったが、2013年に公開されたアニメ映画2013:【144】 『風立ちぬ』(c2013:日本/126分/アニメ、原作・脚本・監督:宮崎駿)との関係で気になって手にしてみた。映画『風立ちぬ』は、あくまでも監督:宮崎駿が実在した堀越二郎と同時代に生きた文学者堀辰雄の小説『風立ちぬ』とをごちゃまぜにして一人の主人公「二郎」に仕立て上げたものである。後に神話となるゼロ戦誕生を縦糸に、二郎と美しい薄幸の美少女:菜穂子との出会いを横糸に、世界的に著名な飛行機製作者:カプローニとの対話が時空を超えた彩りを添えた完全なフィクション作品である。結局、ゼロ戦の開発経緯などには詳しい私にはやはり面白いという程度だったが、映画との関係ではやはり、何故、宮崎駿監督がこういう設定をしたのかという興味であり、それに対しての答えは得られなかったのが残念。
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堀越氏の名前は知っていたが読んだのは初。自分の生年に発行された本が再文庫化され、手に取った。
設計物の本としても戦史としても充実した内容。非常に「ために」なった。戦時の雰囲気をそのまま戦後25年を経てそのまま記述している、その記憶の精密さに驚いた。また、近年発刊されている多くの設計本に通じる記述も、70年変わらずあるのだと深く感動。氏がもし、戦闘機ではなく、現代の白物、あるいは産業用機器を設計したら、いったいどういうものができるのか?と思いをはせた。見事な本。
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2013年夏、ジブリ映画「風立ちぬ」のモデルとなった
零戦設計主任の開発秘話。
世界の航空史に残る名機・零戦の主任設計者が、当時の記
録を元にアイデアから完成までの過程を克明に綴った貴重
な技術開発成功の記録。(親本は1970年の刊)
序 章 昭和十二年十月六日
第一章 新戦闘機への模索
第二章 不可能への挑戦
第三章 試験飛行
第四章 第一の犠牲
第五章 初陣
第六章 第二の犠牲
第七章 太平洋上に敵なし
終 章 昭和二十年八月十五日
240ページ余りの本であり、読むのにさほど時間を要さな
い。出版時に購入したものの読む機会を逸し積読状態に。今
回、映画を観た勢いで一気に読了した。
内容はさほど濃くない。零戦の開発史を知るのであれば、他
の本の方がよほど充実している。(例えば森史朗著「零戦の
誕生」など)
本書で重要なのは、開発の当事者である設計主任の回想が聞
けるという点であろう。当然ながら兵器の開発には、日本の
国力が影響する。当時の日本では大馬力のエンジンの開発が
遅れていた事から、機体を軽く設計することとなったという。
(機体を軽くするためには、装備に優先順位を付けざる負え
ない)
また、資源の乏しい日本の国にしてみれば、材料を節約でき
るような設計も必要で、人手と材料を図りにかければ、材料
の節約を優先する設計をしなければならなかったという。
(資源は乏しくても人手はヨーロッパの国に負けなかったた
めビルド・アップ構造を守った)
これらは「防弾欠如による人名軽視」とか「過剰な設計で生
産性が低かった」という後世の批判に通じるのであるが、歴
史を観る眼として開発当時の国情を考える必要があろう。
欧米列強からの技術導入により育成された航空技術であるが
一瞬とはいえ先進国を凌駕したのは驚嘆すべき事である。
また、有名な海軍部内での対立。源田実と柴田武雄のやりと
りを堀越の視点から見る事が出来るのは面白い。
技術者の著作なので、読み易いわけでは無いが一読の価値があ
る。
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「如何にして零戦という飛行機が作られたか」、というのが本書の大筋。
けれど、それらの過程から読み取れる事は非常に多面的で示唆に飛んでいた。
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2013年ジブリ映画、風立ちぬ、のモデルとなった堀越二郎。
零戦設計主任自らが書いたこの本は、戦争の知られざる歴史、その光と影について教えてくれる。
第二次世界大戦当時、世界最強の航空機と言われた零戦だが、その誕生は苦労の連続だった。
物資も少なく人員も豊富でない日本にとって武器となるのは、智慧と努力、そして欧米に負けまいとする気概だけだった。
当時の日本の戦争については様々な意見もあるだろう。堀越本人はアメリカと戦えば負けると開戦前から分かっていたと記している。
少なからず多くの人はそう思っていたに違いない。
だがやがて多くの人は戦争の勝利を信じるようになる、いや信じ込まされていったのかもしれない。
その点において、日本の国論がどのようにして変わっていったのかもこの本で知ることができる。
日本は戦前から優れた技術開発力を持っていた。いや現場においては欧米に引けを取らない優れた人材がいたと言ってよいだろう。
新たな日本を再発見する上で貴重な資料となるこの本、この夏公開の宮崎駿監督による映画とあわせて読むと面白さが増すかもせれない。
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零戦の設計主任を務めた堀越二郎の自らの手による開発記録史ともいうべき本書。長らく廃刊となっていたが、このほど復刊された。
零戦の開発前夜、海軍より提示された要求仕様は、当時の戦闘機の常識を大きく超えるものであった。特に、一般にトレードオフ関係にあるとされる航続距離と空戦性能の両方において、世界最高水準の達成が必達目標とされたのは重要である。これに対し、堀越二郎は「設計のしきたりや規格を、神格化して鵜のみにするようなことをやめて、その根拠を考え、新しい光を当ててみたらどうだろうか」という飛躍的な発想により、当時の設計基準の枠を超え、安全率の合理的な引き下げという解を導き出して見せた。
過去の経緯や規格に従った設計は簡単だけれども、大きな飛躍を達成することは難しい。自分も技術屋の端くれとして、設計手法の根拠を常に疑う姿勢を忘れてはならないと、痛切に感じた。
文句なしの名著である。
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なんとなく零戦に興味を持ってたけど、より深く知って尚興味が出てきた。もっと色んな事が知りたくなった一冊。
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ゼロ戦とは外国での評判から戦後生まれた零戦の愛称。
零戦のもっていた優差は、
ボクシングのチャンピオンが1インチ長いリーチを持っているのにたとえることができる。
個々の性能は大した数字の差ではないが、小差の集合から生まれる大きな優差。
企画から試作まで約1年半。実践投入にさらに半年強。
技術者の仕事は厳しい現実的な条件や要請が付きまとう。
徹底した合理精神とともに、既成の考え方を打ち破ってゆくだけの自由な発想が必要。
与えられた条件の中で、当然考えられるぎりぎりの成果を、どうやったら一歩抜くことができるかを常に考えねばならない。
アイデアというものは、時代を超えた新しい着想でなくてはならない。
その実施は、知識に裏付けられた勇気により、人より早くなければならない。
後進国が先進国と肩を並べるにはそれだけの覚悟が必要。
1.小型の瑞星エンジンを採用。
燃費がよく、機体が軽量になり、主翼も小型にできる。
格闘性能が上がり、翼幅12m程度で、艦上搭載機として有利。
ただし、零戦の欠点と言われるものは低馬力のエンジンと言う条件に起因している。
2.ピッチ可変の定回転プロペラの採用。低速から高速までエンジンフル回転可能。
3.重量軽減
要求7Gに対し、安全率規定1.8の見直し。
バネ性のある部材は破壊限界前の応力が少なく、安全率を下げ、
さらに住友金属の超ジュラルミンで軽量化。
機材全重量の十万分の一まで管理。
4.空力設計
十分な翼面積。長い胴体、垂直尾翼の大型化による20ミリ機銃発射時の安定化。
引き込め脚の採用。
翼端の捩り下げによる失速防止。
世界初の流線型の落下式増設燃料タンク。
剛性低下方式による操縦応答性の改良。
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技術者の矜持はいついかなる時代でも変わることがない。
制約はあれど、より高い目標を達成することが喜びとなる。
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この夏、スタジオジブリから宮崎駿監督の元に「風たちぬ」が上映される。
駿ファンとしては必ず観たいところだ。
作品は実在した二人の人物をミックスし、脚本を作成したそうだ。情景豊かな私小説書いた堀辰雄氏。もう一方は零戦の設計主任、堀越二郎氏。今回レビューを書く著書の作者が後者にあたる。
堀越二郎は希代の銘機、零戦を生み出した人物。零戦と聞くと太平洋戦争の神風特攻隊など、負のイメージを一般的に持たれる方が多い。しかし、本著書より、零戦が日本航空機史において革命をもたらした銘戦闘機であり、神風特攻隊など、帝国主義の日本がとった悲しき軍事作成とは切り離して評価されなくてはならない事がわかる。
零戦の作成計画が始まったのが昭和12年10月。当時日本は世界の航空機から数年遅れ、背中を追うことが常識だった。ところが零戦の初陣は15年9月。戦果は素晴らしいものであり世界からゼロファイターと恐れられる時代が到来する。つまり日本の戦闘機技術はたった3年足らずで世界の頂に経ってしまったのだ。
注目すべきは零戦が生まれた環境である。当時、帝国主義色を強くしていた日本は諸外国からの貿易封鎖網をかけられ始めており、実質的にも学識的にも外からは入りにくい時代だった。にも関わらず技術者達の創意工夫と勤勉さで見事この難関を突破していく。
そのには凄まじい努力と労力がさかれた事だろう。
私はここに宮崎駿が本作品を作成した背景があるのではないかと推測する。彼は元来の航空機マニアだそうだ。しかし、このテーマにしたのは単に航空機が好きなだけではない。きっと彼は日本の職人達の高みに上り詰め様と苦心する姿に自らを重ね共感すると共に、私たち世間に対し「日本という国を尊敬しろ」、「彼らの勤勉さを見習い国を作って行って欲しい」というアンチテーゼなのではないかと思う。
さてさて、上映が楽しみになってきたぞ。
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「風立ちぬ」を見に行く前に読んでおこうと思って。。
堀越氏が、零戦の軽量化をするために、一律に考えられていた部材の安全率を、用途に分けて考えて検討したら相当軽くなったとか、零戦設計の裏話が沢山載ってて面白い。
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零戦の設計主任:堀越二郎の著書。零戦が出来上がるまでの苦闘と、出来上がったあとそれが第二次世界大戦で輝きを放ちつつ散っていく様を、設計者として、技術者として、日本人として綴っている。
様々な思いを抱かせる内容で、胸が熱くなりました。著者の航空機に注ぐ情熱、一技術者としての心構え、日本人としての立ち振る舞い。どれも見習うべきものだと感じます。
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まだ、映画を見ていないのだけど…
技術者というのは、ホントに突き詰めていかないと生きていけない人種なのですね。