紙の本
「再現性」のあやうさ
2019/05/31 15:26
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投稿者:のりのり - この投稿者のレビュー一覧を見る
「批評の神様」小林秀雄について、私程度が語るよりもっと良い解説がいくらでもあるだろうから、あくまで個人的に引っかかる(刺さる)話について。五味氏との対談で音響面から考えた理想的な音の追求について話をしているが、読んでいてこれは「再現性」の問題だぞ、と私なんかは理解した。もちろん、人間の体験とか受けた感覚とかは一度起こってしまったものと同じものを再現するなんて最初から無理な話なのだけど、物事の究極で議論する際にはこの事実も忘れてはいけない。つまり、科学においては「再現性」は大事なのだけど、科学の世界って「同じ」と認めるために多くの条件をオミットしているという事実は認めなければならないと。科学だって真理というものごとの究極に近づくための道(手段)なのだから。ある程度科学の世界よりにいる人間はやっぱりこの対談で見受けられるくらいの教養とセンスは最低限必要なのではないか、と感じてしまう。湯川秀樹との対談などでの食いつきもやはりすごい。湯川先生もすごい
紙の本
対話は難しい
2020/03/26 23:32
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投稿者:やっこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
三木清と河上徹太郎の対話が面白かったです。三木清との対話は哲学が主だから興味があったし、河上徹太郎は小林秀雄と友達だから気さくに話し合っている感じがして楽しかったです。
折口信夫とはお互いに距離がある感じがしました。
人と対話をする難しさを感じました。
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難解。
私なんぞには異次元な世界での談話集。それでも無知無学であることの再認識には有効な読みもの。万人受けもしくは平均的な考え方を良しとしないこと。解らないことが分かること。得るものがドッサリ入ったお得な本。
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知識のベースがないと、理解できない難解な対話集。
頭に入らないまま読み終えたのが、正直な感想。特にノーベル賞物理学者湯川秀樹氏との対話には、とてもついていけないはがゆさが。知識のなさを理解したことが、読後の唯一の収穫か(笑)
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自分と違う考えを読むのは面白いもので、そういう類のひとつ。対談て元々好きですし。小林はそんなに興味ある作家ではないのですが楽しみました。
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我が子も受験した昨年の大学入試センター試験の国語の平均点が下がったのは、小林秀雄が出されたからではないか、と言われているそうだ。なんとなくわかる気がする。だが本書は対談集で、ずいぶん読みやすい…のだけど、結局下地がないと駄目だなあと諦めるような気持ちにもなる。インプット過多でアウトプット不足だと思っていたが、何の事はない、インプットなどさっぱりされていなかったのだ…。息子に渡そうと思って買った「人間の建設」は、結局今も僕の手元にある。
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タイトルにもある「直観」であるが,小林の筋の良さというものをピリピリと感じる.論理で攻めるだけでなく,感覚でピンとくるところがある.「なるほどそういうことか」という,その発想,そういうものはどう生まれるのであろう.
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ひっさしぶりの小林秀雄でした。
なんだか、私と小林さんはさらに距離が広がっているような。。。
どちらかというと、対談相手の人の話のほうがおもしろかったです。
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なんだか、ものすごく大きな世界に浮かんだ舟に乗って大旅行した気分。
小林秀雄が「直感」というオールで、ものすごく大きな世界に浮かんだ舟を漕いでいく。自分もその舟に乗せてもらった感じ。
三木清という荒波や、横光利一というさざ波を超えると、湯川秀樹というものすごい大波がやってきた。
ざぶんと水を浴びながらも、舟は進む。
三好達治、折口信夫、福田恆存といった波を乗り越えたあたりで、ようやく小林秀雄丸の船酔いから覚めてきた。
梅原龍三郎という波は、水面にきらきらと太陽の光が照り返しまばゆい。
かと思えば、大岡昇平という波で、またすこしもまれる。
永井龍男という波は、建築畑の自分でも、少しオールを貸してもらえた気分を味わえた。
五味康祐という波あたりから、舟はいっそうその勢いを増し、今日出海、河上徹太郎という波にさしかかるころには、もう舟と波は一体となっていた。
というような、雲を掴むようなレビューになってしまったけれども、直感というものの深遠な世界をのぞき見つつ、なんとか振り落とされずに、波止場にはたどり着けたと思う。
3回ぐらいは読みたい本。
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一昔前の評論を読むと、私が知らない昭和にどのような人がどのような考えを持っていたか分かり、そして、現代人の私たちの有様をこんなにも言い当てていたのかと驚かされる。
今の世の中は複雑で、新聞もテレビも批評が盛んでないのが残念だ。批評が盛んなことは、社会の寛容性や多様性の証だと、本著を読んで感じた。批評が陰を潜めてしまうということは、現代人の思考停止を意味しているように思う。
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小林秀雄の対話集.12の対談がのっているが,対談のレベル,雰囲気にはかなりばらつきがある.東大仏文の同級生である三好達治や今日出海とはざっくばらんに話しているし,旧知の大岡昇平との対談もそう.
そして一番緊張感があるのは湯川秀樹との長い対話.かみ合っているのか,かみ合っていないのかよくわからない部分もあるが,小林秀雄が真剣に物理学のことを,「わからない」を連発しながら,わかろうとしているのがえらい.これは岡潔との「人間の建設」でも感じたこと.もう少し,物理学の知識があればより深い話ができたろうに.
三木清との対談の後半部分や折口信夫,福田恆存,河上徹太郎との対談は私にはよくわからない.
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独特の語り口が魅力的だ.湯川秀樹との対談は,わかりにくかったが,その向かう姿勢のようなものは面白く感じた.あと,友人関係にある今日出海と河上徹太郎との
いろんな方向へ飛んでいく対話が自然で面白かった.
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対談で話題にしている音楽や絵画、本などを知らないのでつまらなかった。湯川さんと小林さんとの対談が、2人の専門分野が違うからか話が全然噛み合ってなくて、読みづらかった。
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小林秀雄と、湯川秀樹や折口信夫など各界の知性ともいうべき方々との対談。歴史、哲学、音楽、絵画など、様々な分野に造詣が深く、また本質を捉えようとする意欲の結晶が表されていて、やはり学ぶこと、良いものに触れること、考えることは、非常に重要であると再確認。タイトルにある「直観」は、一般的にいう「直感=勘」とは異なり、知識の持ち主が熟知している知の領域で持つ、推論など論理操作を差し挾まない直接的かつ即時的な認識の形式。直観を前提として具体的な問題を正しく説明したり解決に導くためには、多くの経験と知識、理解が必要であり、これこそが必要なのだと思った。
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小林秀雄といろいろな人との対話。博学で賢い人なので誰と対話していてもスリリングで面白い。刺激的な対話なので退屈しない。