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大量のメタデータはテロを防ぐことができたのか
2015/10/24 23:10
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投稿者:okadata - この投稿者のレビュー一覧を見る
私があなたの行動を知りたいと思ったとき、電話の"内容"を盗聴する必要はない。あなたがかけた"電話"の記録をすべて見ることができれば、通話した相手がひとり残らずわかる。
2004年にNSAが令状を取らずに違法に盗聴しようとしたことをバラそうとしたニューヨーク・タイムズに対しに対し、ブッシュ大統領は執務室に呼びつけこの事実を明らかにするとテロリストを手助けすることになると、意味不明の主張を繰り返した。テロとの戦いで正当化されてきた"国家安全保障"の過度な濫用を改革すると誓って選出されたオバマもベビーフェイスにはほど遠い。長年の間オバマに肩入れしてきたアメリカ人ジャーナリストも今ではオバマを報道の自由に対する重大な脅威ーニクソン以来、最も弾圧的なリーダーーととらえるようになった。
外国諜報活動監視裁判所は通信業者Verizonに対しアメリカ国内、国際通信の通話記録をNSAに提出するように命じていた。この裁判所が1978年から2002年まで諜報活動が却下された件数はゼロ、その後10年で2万件以上の承認に対し却下は11件だった。ついで911を受けて制定された愛国者法により政府が企業の業務記録を入手する際に必要とされる基準が"相当な理由がある"から"関連がある"場合に格下げされた。さらにオバマは1917年のスパイ活動法を適用して7人の内部告発者を逮捕しており、これは成立以来前政権までに逮捕された人数の倍を超える。
ブッシュ政権でNSAを擁護したのは共和党員だったが、オバマ政権では今度は民主党支持者が擁護に回った。こうなると個人の人権ではなく敵味方の主導権争いでしかないのだが。
エドワード・スノーデンが明かそうとしたNSAの自国民に対する監視活動はマイクロソフト、グーグル等大手9社のサーバーから直接データーを収集するPRISM計画ーこの計画によってNSAはインターネット企業から欲しい情報をなんでも手に入れられるようになったーなどでスノーデンの動機はインターネット空間の自由を守るということになっている。
それではNSAの監視は対テロ戦争に効果をあげたのか。愛国者法の忍び込み条項ー相手に知らせることなく捜査令状を執行できる許可ーが適用されたのはほとんどがドラッグ関係で詐欺が1割未満、テロ案件はわずか15件と1%ほどだ。それにもかかわらず大量のメタデータを入手したことがテロを防いだという実例を司法省は一つも挙げられていない。
多くの御用メディアがスノーデンと著者のグレン・グリンウォードを攻撃した。NSAの監視に反対する一般のアメリカ人の多くもスノーデンの逮捕はやむなしと考えている。それでもスノーデンの暴露はアメリカを少し動かしかけた民主党議員と共和党議員が共同でNSAプロジェクトへの予算を凍結する法案を提出し、賛成205、反対217と僅差で敗れたものの賛成は民主党、共和党ほぼ半々の支持を得たのだ。
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アメリカの盗聴実態を暴いた本。
2015/02/03 18:01
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投稿者:命"ミコト" - この投稿者のレビュー一覧を見る
まずスノーデンさんは、自分の正義感を通してアメリカの盗聴実態を暴いた事は敬意を表します。
そして本の内容を見れば解るが、アメリカを中心としたファイブアイズ(カナダ、英国、豪州、NY、アメリカ)は、日本やロシアはおろか同じ白人国家であるドイツやフランスなどでも盗聴が行われた事から、如何に英語圏のアングロサクソン諸国以外なら容赦しない事が解る。
そして、海外メディアなら信用出来ると思っている人は、この本を読めばイランラジオとロシアの声、中華網以外のメディアが平然とアメリカの意向で捏造されていると言う事実が明かされる。
難しい内容だが、読んで見ると意外と読みやすくインターネットの怖さを書いてくれるから有難い。
ちなみに、「スノーデンファイル」と言う本もありますが基本的にはどちらか一冊を読めば大丈夫です。
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市民の生活の中で起きている、盗聴、監視拡大とは?
2017/04/03 15:27
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投稿者:honto カスタマー - この投稿者のレビュー一覧を見る
最近では、共謀罪の話題もあり、そこで叫ばれている一般市民に対しての盗聴、盗撮などの監視拡大ひいては警察権力の拡大を意識せずにはいられない時代だと思います。 集団監視は本当に安全保障のためなのでしょうか?(実際この本に書かれているように、テロ防止でそのシステムを使い未然に防いだ例というのはあまりないようです。) 本来は” 公 僕 ”(パブリックサーヴァント)は透明性があるべきで” 私人 ”(プライベート・イン ディヴィジュアル)はプライバシーが保たれるべきである。とこの本では言っており、何か今は逆転しているような感じですが、当然のことだと思います。
この一般市民に対する盗聴、盗撮の拡大による実害は、最近ネット上で散見する『集団ストーカー』というものにも関係しているのでは?と思っています。この本でのスノーデンファイル序文には次の文章が記載されています。 『・・・社会から爪弾きにされた若者が 軽微な違反を犯し、世界最大の監獄制度の中で耐え難い結果に苛まれようと、私たちは社会全体として見て見ぬふりを決め込んでいます・・・』 そして2014年、NBCニュースで のスノーデンのインタビューでは『・・・he called it ,could get inside your thought process・・・』と言っています。
また例えばウィキリークスにある文章『 エネルギー武器(DEW)、神経作用兵器、そして100通りの組織的ストーカーの拷問とその乱用についての要約 』(ウィキリークスサイトでneurological weaponと検索したらでます)ここでは、世界各国のターゲットにされた被害者の情報が載っており、またこのようなことは恐ろしいことですが、日本でも行われていると思います。なぜその兵器の情報がメディアから出てこないのか法整備はされないのか疑問です。信憑性はあるのではないかと思っています。
『集団ストーカー』の問題は権力に対する邪魔者を排除すること、また大衆を動かす心理技術的な洗練という意味で、別の問題としてみえる,原発の不利な情報をもみ消す力、平和活動に対しての圧力など源は同じところから来ているのではないか?と思います。それはつまるところ、真実の情報が一般にはなかなかおりてこず、権力者の都合の良い情報しかもらえないということに尽きるのでしょうか?エドワード・スノ ーデン自身も言っているように勇気ある内部告発者達がもたらしてくれた情報は皆で共有 した方が良く、また同時に既存のメディア、警察は一体どうしたのか?と素朴な疑問を感じます。
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こういうレビューすらウォッチされてるかもしれないということですね。透明性が大事と我々は言われるけど、権力層は秘密主義。日本は20年くらい先行ってるのかな。西山事件のコントロールの仕方とかかんがえると。
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スノーデン氏が暴露に至った履歴と、その後は暴露した内容についてがわかる本。
この暴露はもう2年近く前の出来事だと信じられないくらい最近のことに感じています。
国家の権力とプライバシーについて考えさせられます。
ブログはこちら。
http://blog.livedoor.jp/oda1979/archives/4815610.html
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今さらだけど、レビュー書くのもためらわれる・・
怖いですね。
なので、無難に「面白かったです」と書いておこう。
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トンデモない内部告発話が飛び出したものだ。
昨年6月に世界を騒がせたスノーデン事件、多くのメディアでも報道され、独メルケル首相の携帯通話が傍受されていたなんて事実も発覚し、メルケル首相直々にオバマ大統領に抗議の電話をなどというニュースをご記憶の方も多いと思う。
しかしながら、人の噂も75日か最近では、そんな話題もすっかり無かったかのごとし。ところが忘れた頃に暴露本。しかも世界同時発売というから買わないわけにはいかない。読者の好奇心をそそる憎い演出だ。
スノーデン氏が自らの人生全てを投げ打ち国家反逆の罪まで背負い機密暴露に及んだその動機は、NSA(国家安全保障局)の諜報行為の事実をただただ世界の人々に知ってもらい、考えてもらいたかったからなのだと。
スノーデンさん、あなたは米国版21世紀の田中正造ですか。
プリズム計画という全世界の全ての通信を対象としたNSAの諜報活動では、なんと1日に数百億件以上もの通信を傍受しており、ユタ州の巨大なデータセンターのサーバ群に保存されるのだと。それでも保存される生データは僅か数日間で全てが書き換えられてしまうという。
なんというかデータマイニングするにしてもそんなビッグデータを全量解析するには相当な処理能力を要するのではないか?
ひとつ疑問なのは全世界の通信のコンテンツはそれぞれの国の言語で記録されているのだから、それを瞬時に英訳するシステムが既に存在しているということなのだろうか。
よもや各言語に精通したバイリンガル分析官を数百人或いは数千人も配置してマンパワーで翻訳していることではあるまい。そんなことでは本当に有意なデータの発掘など能わざるというものだ。
もし自動翻訳が実現しているなら、そのほうが産業革命的な衝撃の事実ではあるまいか!グーグル翻訳なんて使えたものではないことは誰もが認めるところだし、他言語の習得には膨大な時間と労力をかけてなお困難なことは我々日本人の殆どが身を以て証明しているわけで、それが一瞬にして言語の壁を打ち破れるとなれば、正にノーベル賞級の世紀の発明といっても過言ではなかろう。
何故そうした方向にもっとエネルギーを注がないのだろう。そのほうがよっぽど世界を一つにできるのと違うんか。
ところがこのプリズム計画、本当は大した効果がないというではないか。
その証拠が昨年4月に起きたボストンマラソン爆弾テロ事件。この発生を全く以て抑止できなかったからだ。(まぁ、この事件は自作自演との噂もあり、抑止できなくて当然との見方もあるが、そこは触れずに。)
むしろこの諜報システムはテロ抑止のためというより経済目的なのではないか。例えば、産業スパイさながら企業のインサイダー情報を収集して株取引で暴利を貪るとか、日本政府の内部情報を傍受してTPP交渉を有利に進めるとか。こうした経済や外交への応用のほうが遥かに大きな経済的利益をもたらすことにつながるからだ。
ただ、それには本当に有効な情報を発掘できればとの前提条件付かもしれないけれど。
その後のスノーデン氏の動向はといえば、米当局より逮捕命令が出され、追われる身となったが、昨年8月にロシアへの一時的な亡命を果たしている。
ロシア情勢のインテリゲンチャー、知の怪物、佐藤勝氏の見立てによれば、ロシアのプーチン大統領にしてみれば傍迷惑な話でしかないようだ。
KGB出自のプーチン大統領からすれば、こんな小物に米国はあまりに取乱し過ぎであると。
外交面でいたずらに米国との緊張を高めたくないとの思いはあるものの、そうかと言って亡命を希望する者をすんなりと引き渡そうものなら非人道的とのそしりを受けかねない。それではプーチン政権に対し、人権弾圧への抗議の炎が燃え上がり、国内統治の安寧も乱れるというもの。
こうした背景から、止むに止まれず亡命を受け入れたという苦渋の決断がそこにはあったという。(【佐藤勝の眼光紙背】「スノーデン氏のロシア亡命」参照)
う~ん、確かにそうなのかもしれない。いずれにしても今のところ彼の身の安全は図られているようだ。
それにしてもこの問題、我々日本人としてはどう捉えるべきか。
国家戦略として他国への諜報活動は、程度の差こそあれ、どこの国でも表向きには認めはしないまでも行っているであろうことは容易に推測される。
米国の通信傍受はエシュロンというシステムが稼働しているという噂を以前、耳にした覚えはあったが、そうしたシステムの一部が日本の三沢にも設置されているというではないか。知らないうちに諜報活動の中継基地として利用されていたわけだ。しかも日本国内の通信情報も含めてせっせと送信していたなんて。
件の海自の映像流出事件もそうたが、この国の情報セキュリティーなんてあって無きがごとしか。
ただ、こうした事件を意図的に起こして国民の不安を悪戯に煽り、だからテロ特措法が必要だと世論を扇動する思惑が隠されていたりして・・
本書では、圧力に抗えず恣意的な偏重報道を行うメディアのあり様にも疑問を投げかけ、読者が更に考え判断することを迫っているかのようだ。
あらっ、もしかしてこのレビューのエントリーもNSAサーバ経由かしらん・・。
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超弩級のサスペンスを読んでいる感じ。読み応えがあります。これが現実かと思うと薄ら寒くなる。
第一、二章では、著者とスノーデン氏との接触の様子が映画の導入部に様に描かれています。
第三章ではスノーデン氏のファイルに基づいて、NSAの情報収集の実態が暴露されます。
シスコのルーターやサーバーに不正工作を仕掛け、大量のインターネット・トラフィックをNSAのデータベースに送信させているらしいです。まさに根こそぎ持っていく感じで、これでは防ぎようがありません。
NSAはあらゆる情報を収集して、実世界のコピーを作ってしまう考えなのだろうか。
第四章ではNSAが目指す監視社会の害悪について掘り下げています。これがないとただのゴシップになってしまう。ジャーナリストとしての本領発揮となる章です。
NSAが個人のプライバシーに関わる情報を収集している事実がある一方で、「通話記録の大量収集は、テロの脅威からアメリカを守ることになんら貢献していなかった」のも事実の様である。
監視社会は犠牲にするものが大きすぎる割に、効果はない。デジタル世界はまだまだ生まれたての赤ん坊みたいなものなのだから、我々が安心できるデジタル世界を実現する方向に少しでも進まなければ、スノーデン氏が勇気を持って告発した意味が無いと思う。
透明にすべきは個人のプライバシーではなく、公権力行使のあり方であるはずた。
第五章は、アメリカのジャーナリズムの腰抜けぶりを喧伝している。今回のスノーデン氏の告発に関連して、いくつかのひどい仕打ちに合っているようだ。しかし、この章については、アメリカのジャーナリズムについて書かれた他の本を読んでから客観的に判断した方が良さそうだ。ただし、アメリカで影響力をもつジャーナリストの多くが億万長者であるという指摘はさもありなんという気がする。
日本でもNSAによる情報収集は行われているようである。日本は平和ぼけしているので、無防備であるうえにジャーナリズム気質が希薄なため、今回のスノーデン氏の告発についても温度差がある様に感じる。
この本は、NSAの実態を「暴露」するとともに、アメリカのジャーナリズムの実態も「暴露」している。ジャーナリズムとはこのようなものであるということを知るうえでも良書だといえる。
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米国のインターネット盗聴を暴露したスノーデン。その情報を得て発表した記者グリーンウォルドによる、事の顛末とその影響を描いたノンフィクション。ロシアに逃れたスノーデンは、米国政府の引き渡し要請や国防観点からの非難があり、いまだ進行中の案件である。情報を渡していた米IT業界の各社についても、秘密情報の保持という点で信用を落としており、これまでのように無条件に信頼を得れらる存在ではなくなっているようだ。
世界の通信情報を収集するという「PRISM」の存在についてはスノーデン以前から噂にはなっていたものの、自分としては現実のものとも思えずトンデモの類かと思っていた。本書を読み、本当にここまでやっていたのかというのが感想だ。全ての情報を収集するということが、その対象となる量からして現実的とは思えないことと、全てを収集できたとしてその情報量が多すぎてそこから有益な情報を得るのが難しいのではないかと直感的に考えていたからだ。
電話の仕事をしていたらCALEA (Communications Assistance for Law Enforcement Act)対応機能が米国向けでは必須であることは知っていた。司法の許可があれば米国内の全ての通信は傍受可能とするのが目的だ。その思想を敷衍するとすべてのインターネット通信を捕捉しようとするのは当然の帰結なのかもしれない。特に911の後の世論やジャーナリズムは、これをよい機会とする人々によって利用された。
米国ではHuaweiやZTEなどの中国製ネットワーク機器は国家安全保障上のリスクから採用されないということになっている。中国のメーカーは、本当にそういうことをやっているのかもしれないが、自らが外国に対してそのようなことをしているという事実からこそ逆に実行されている政策とも言えるだろう。そこまでやるのか、という観点で見ると、先日のOpenSSLのバグも、彼らが置いたバックドアなのではという噂も現実的になってくる。米国が選定した暗号方式であるAESについても何か裏があるのではとこうなると勘繰りたくなる。日本の通信などは裸になっているのだろうか。
著者は、第4章で政府が監視しているという事実が社会与える影響について論じる。監視の対象になるのは、悪いことを考え、悪いことをしようとしているものであり、われわれはそのために庇護されるのだという考えを非難する。
フーコーが『監獄の誕生』以降で分析した内的監視のメカニズムがまさにすみずみまでその射程に捉えようとしている。人は、自らの自由意志という錯覚をもってその監視社会の中で住むことになる。それは、抑圧的で不可逆的なプロセスであり、自分は悪いことをしていないので、気にならない、という話ではないのだ。
著者は、米国政府だけでなく、唯々諾々として政府の意図に沿う大手ジャーナリズムも批判する。それこそが大きな問題なのかもしれない、と。
物語としても面白いが、事実として知っておくべきが書かれている本。
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エドワード・スノーデンがリークした情報に関し、彼と直接コンタクトしたジャーナリストが書いたものです。世界の見方が変わったというより、世界を見る上で別の視点を手に入れた、というほうが適切かもしれません。
9.11のテロ後に成立した愛国者法の拡大解釈によって、大量の情報を集めることに大義名分が与えられたとわかります。9.11はアメリカを根底から変えたのだと実感すると同時に、プライバシーが存在しなくなっても、なお残るのは内心の自由だろうと感じました(しかしそれさえも、いずれは奪われるのかもしれません…)。
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出だしのスノーデンと面会して記事にして行く過程はスリリングで面白い。暴露された事実関係については既に記事化されたものがほとんどであり、新鮮味はなかった。後半はジャーナリズム論になっていく。NYTに対する強烈な批判はやや意外な感じも受けた。読み物として部分部分は面白いが、全体としてのまとまりにやや欠ける印象を受けた。
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「こっちはどうやって情報提供者かどうかを確認するんだ?」と私はローラに尋ねた。ふたりともスノーデンについては事実上、何も知らなかった。年齢も、人種も、見た目も、何も。 「ルービックキューブを持っているはずよ」と彼女は言った。 これを聞いて、私は実際に吹き出してしまった。自分の置かれている状況があまりに奇想天外で、現実離れしているように思えたのだ。まさにシュールで国際的なスリラー映画。その舞台が香港(本文より)
2013年6月、世界中を震撼させたエドワード・スノーデンの内部告発についての本である。
同問題を扱った文献・書籍は多くあるだろうが、本書がそれらと違うところは著者にある。グレン・グリーンウォルドは弁護士でガーディアンやサロンに寄稿するジャーナリストであり、そしてプログラミングにもコンピューターにも詳しくないと明言する人物であるにもかかわらず、スノーデンが「このファイルを是非託したい」と切望した人物でもあった。
本書は大まかに分けると①スノーデンとの接触・告発の経緯、②告発内容についての解説・意見、③告発後、世界のメディアがスノーデンの協力者である著者にどう関わってきたかの3つについて書かれている
個人的に③が重要だと考えている。日本人でも名前は聞いたことのあるような名だたる大メディアたちが、とれもジャーナリストとは思えないような報道を取るさまが描かれる。①の場面でも報道すべきか否かで散々にもめる。これが、政府との癒着による業界の腐敗であることは最後のほうで説明されている。
スノーデンが賢いのはそういった状況を踏まえて準備をしていたことだ。まず、どのように発表するべきかの方針が明確であった。
「ただ、あなた方のジャーナリストとしての判断で、一般の人が眼にするべき文書、無実の人に害を及ぼすことがない文書だけを選んでほしい」それこそなにより重要な点だった。国民的議論を喚起できるかどうかは、合衆国政府に反論する余地を与えないことにかかっている、スノーデンにはそのことがわかっていた。要するに、文書を公開することで人々の命を危険にさらした、などと反論されては元も子もないということだ。(本文より)
そして告発後のメディアがどう動くかの予想も見事に的中させている。
正体が明らかになって数時間後には、スノーデンの性格や動機についての誹謗中傷ゲームがすでに始まっていた。彼の行動は信念に基づくものではなく、名声を求めたナルシシズムによるものだ、と彼らは口をそろえて唱えた(本文より)
姿を消すことも、インタヴューを受けないことも、彼は初めから決めていた。自分が前面に出れば、メディアから注目を浴びることがわかっていたからだ。だからこそ、表舞台から姿を消すことで、彼は自分ではなくNSAの監視活動に注目を集めようとしたのだ。(中略)〝名声を求めるナルシスト〟だとしたらなんとも不思議な行動ではないだろうか(本文より)
告発が成功した背景にはこういう事情があったわけだ。最後に、情報を扱う権力に対してのスノーデンの言葉を孫引きして結びとしたい。
先人の言葉を引いておきます。「もはや人間への信頼を語るのはやめよう。悪さなどしないよう、暗号という鎖で縛るのだ」 最後の一節が、私がたびたび引用する発言をもじったものであることはすぐにわかった。一七九八年のトーマス・ジェファーソンだ。「権力に関わる事柄で、もはや人間への信頼を語るのはやめよう。悪さなどしないよう、権力者を憲法という鎖で縛るのだ(本文より)
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スノーデンの暴露を幇助したグレン・グリーンウォルドさんの書籍。スノーデンに関する物語が続くかとおもいきや、ジャーナリスト論やアメリカの世論(ジャーナリズムや政府)が物語の中盤を占めており、あまり入り込めなかった。ただ、序盤と終盤は興味ぶかかった。
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【Entertainment】暴露:スノーデンが私に託したファイル/グレン・グリーンウォルド/20140805(64/238)
◆きっかけ
・あまりにも有名な事件。
*Kindleを購入、電子書籍で読了。メモを作成したツイッターへ転送し、引用部分はそれをまとめている。
◆感想
・題材は衝撃的(スノーデンいわく、合衆国政府は世界中の電子通信プライバシーを完全に取り除くこをと最終目標とするシステムを構築したと)。しかし報道等で知っていたこともあるが、想定の範囲内。前半は、ハリウッドのスパイ映画並みのストーリー仕立てだが、中盤から入手した情報の細かな暴露にあると飽き飽きしてくる。端的に言えば、Yahoo等ネット会社が裏でNSAと結託して、監視システムに情報を垂れ流しにしていた、その他電話の盗聴等々で、個人が丸裸にされているということなのだろう、それをダラダラと記しているのは、告発する勇気と告発した内容を示すジャーナリズム精神なのだろうが、読んでいてあまり興味がわかなかった。3,4章は途中よりスキップ。5章も読むもあまり頭に入らず。
・少し前にはエシュロンの話もあり、なんとなく皆分かっているのだが、本書で決定的な証拠を突き付けたわけだ。しかし、それにしても、その後の人々のメディアの反応はどうだ?スノーデンがロシアに逃亡して以来、ニュースになることはあまりなく、こうした事実もピークを過ぎ除々に忘れ去られていはいないか。鈍感になっている?
◆引用
・フェイスブック〉の創設者でCEOのマーク・ザッカーバーグも、二〇一〇年のインタヴューでこう言い放った。「今じゃ、情報を共有することに人々の抵抗感はどんどん薄くなっている。多種多様な情報の共有はもちろん、より多くの人とオープンに共有することもね。彼に言わせれば、デジタル時代におけるプライバシーはもはや社会規範ではなく、個人情報を売り物にするハイテク企業に儲けさせさるための概念ということになる。
人間のほんとうの価値は、その人が言ったことや信じるものによって測られるべきではありません。ほんとうの尺度になるのは行動です。自らの信念を守るために何をするか。もし自分の信念のために行動しないなら、その信念はおそらく本...
・今日、ジャーナリズムの世界に身を置く多くの者にとって、政府から〝責任ある〟報道というお墨つきをもらうこと──何を報道すべきで何を報道すべきでないかについて、彼らと足並みを揃えること──が名誉の証しとなっている。アメリカのジャーナリズムがどれだけ体制の不正を監視する姿勢を失ってしまったか、そのことを如実に物語っている。
・オバマ氏は〝行政機関は与えられた権力をすべて行使し、ひいては濫用する〟という自明の理を証明してみせた」と皮肉った。
・政府は携帯電話やノートパソコンを遠隔地から起動させ、盗聴器として使うことができるからだ、と。電源を切るだけでは効果がなく、バッテリーを抜くしかない。
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ジョージ オーエル 1984年
監視されているかもしれない、という認識を人々に植え付ける
ジェレミー ベンサム パノプティコン 一望監視装置
行政 立法 司法 報道 の四権