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コーヒーの試飲ができる気の効いた雑貨屋小蔵屋のお草さんのシリーズ。強盗や殺人は起こらないのですが、人の暮らしの中に普通にある行き違いやこじれた人間関係を、悪意や妬みや不安という動機とともに解き明かしてゆくので、日常ミステリといえどもかなりズッシリと読み応えがあります。そんなズッシリ感を、小蔵屋を手伝う若くて健康で健全な久美ちゃんの存在が振り払ってくれるのですが、今回は大根のところくらいであまり出番が無く、ちょっと残念でした。
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いつもの通りといえば、いつもの通りながら、
最大(?)のミステリー、円空仏をめぐる謎の部分は、
ちょっと間延びしている感じで、いま一つだった。
終わり方もすっきりしないし。
しかし、お草さん節全開というか、
前作や前々作よりも
お草さんの言葉がつきささる作品だった。
書き手とお草さんがこなれてきたのか、
ただ単にこちらの感情移入の問題なのかはわからないが。
「形が整って幸せならけっこうですけど、結局、幸、不幸は自分で感じることですから」
とにかく、お草さんのフットワークの軽さは見習いたい。
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お草さんの人間ドラマ、第3弾。
心にじわりと染みてくる読後感がいい。
七十代にして行動力のあるお草さんがいい。傷みをずっと抱えたまま、その傷みが人への優しさや思いやりにつながっているんだと思った。
次が楽しみだが、一方では高齢な主人公とその周辺に、健康と安泰を願わずにはいられない。
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おばあさんが身近な出来事の謎を解く、紅雲町珈琲屋こよみ、シリーズ3作目。
連作短編が繋がって長編になっているような作品です。
珈琲豆と和雑貨の店、小蔵屋を営むお草さん。
白髪をお団子にまとめ、いつも着物姿です。
若くして離婚後実家に戻り、65歳のときに思い立って改装し、十年以上たつ大事な店。
季節を感じながら、馴染みのお客さんや近所の人にも目配りして、丁寧に暮らしています。
今は若くて元気な体育会系の久実が、店を手伝ってくれているのです。
珈琲豆を安くおろしてくれている会社の社長三友が会長に勇退、娘が跡を継いだ。
これまでと同じようには行かないだろうと不安を抱える草。
親友の由紀乃の親戚で美容師のミナホ。
弱ってきた由紀乃の髪の手入れに家に来てくれているのだが、たまには気晴らしに連れ出せないかと考え始める草。
一方、大学生の頃から知っている萩尾が、近くの八百屋に産地偽装の疑いがあると取材に来た。
この萩尾は新聞記者だが、地元での歴史研究も熱心に続けていて、ミナホの父である教授の弟子でもあった。
何年も前のことだが、円空仏が発見された後で行方不明になった事件があり、萩尾と教授とミナホは何かこだわりを抱えているらしい。
少しずつ関わって行く草は、淡々と見守るようで、ここぞというときには、きっぱりと物を言う。
秘めた悲しみや年月の重みを感じさせるような、ほろ苦い事件が多いのですが、意外にふっと軽くなる展開もあります。
きれいなリヤカーで野菜を売ろうとする若者に親切に場所を紹介してあげたり。若者のパワーも、時には光ります。
ほっこりというよりは、しみじみかな‥
読後感は悪くないです。
生活を楽しむには、センスって大事だな!と思います。
丁寧に年を重ねたから気づくことや言えること。
衰えにも目を逸らさず、重く考えすぎず、出来ることをしていきたい気分になりますね☆
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連作で最後のエピソードにつながっている。郷土研究家と、幻の仏像にまつわる因縁。少し登場人物たち気を回しすぎじゃない?と思ったりもしたが、やっぱり温かくて、人生の厳しさを知ってるお草さんが好きで次も読む。
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日常ミステリーを解決するのと、朝の掃除と、お店での仕事と、お友達の家に行くので大忙しのお草さんシリーズ第3弾。今回も大忙しの上、心の気ぜわしさも大概なお草さんです。
70歳を超えるという、歳になっても恋愛感情で微妙になることってあるんだなぁと、そんな生々しさには妙な感動を覚えましたが…
この作品はちょっと残念だったかなぁ。核心部分となる仏像の下りが今一つ良く分からなかった。筋道は分かるんだけど、人間感情ってそういう風に動くかなぁ?って、そこにリアリティを欠くと醒めちゃいます。お草さんの動きにも精細さが欠けるように思えてしまいます。
3作目じゃ、まだまだマンネリや勢いの衰えは無いと思うし、それが味にもならないと思う。もう一度の盛り上がりを期待します
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今回の方が結構好きかも
ポンヌファンっていうレストランや
ミナホの美容院
この街を彩っているお店の姿が見れるのは楽しい。
イベントとか事件を通じて、その街の日常の姿が伺えるっていうのが面白いっていうか嬉しいんだと思う。落ちつくし、懐かしい感じもするし。
どっしりした世界観があるから、事件があったとしても、きっと大丈夫、解決するよ、と思えるっていうか。その世界への信頼感が湧いてくるって物語、なかなかないかも。
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おなじみ、小蔵屋のお草さんの活躍のお話。お互いを想っているのにぎくしゃくしてしまった関係に傍から見て心を痛めるお草さん。自分の心のなかに大切に思う誰かがいるということがその人の良心なのかもしれない。
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シリーズ3作目もしっとりと切なかったです。お草さんの生きる姿勢が好きです。こんな風に素敵に歳を重ねたいです。こないだ読んだ、品のある生き方をお草さんはされていると思いました。言わないでいいことは言わないでいることを、お草さんはちゃんとわきまえてる。作品のメインになっている事件は今回も苦かったのですが、切なさも感じつつ、前に進むところがよいです。丁寧に淹れた珈琲も飲みたくなります。小蔵屋行ってみたいな。
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図書館で。
シリーズ二巻からちょっと感じていた違和感なのですがいきなり話に出てきた登場人物が準主役という感じの展開になり戸惑う感じです。今回出てきた草さんのコーヒーの師匠もなんだかシリーズ通してずっと出張っているような存在感があるので一瞬、1、2巻で出てきたのを読み落としたか?とか思ってしまったですよ。そして萩尾君とミナホさん?だかミナコさんはこんな草さんの思考の真ん中にドンと居座るほどの親しい二人だったのか?とか首を傾げました。いきなり出てきた登場人物が亡き息子を彷彿させるほどの仲みたいに突然言われても読んでる方ははぁ…左様で、としか思えないし。それを言ったら師匠も萩尾君のこと心配しすぎ(笑)草さんに頼んで何を期待しているんだろうか。大体、二人とも良い年した大人なんだから周囲が恋愛問題なんて首突っ込まなくてもいいんじゃないの?なんて思いながら読みました。円空さんの仏像も体の良い小細工に使われただけって感じでナンダカナ。実物が無くなっても論文発表して評価されるものなんだろうか?その辺りも先生には他にも立派な業績があった、とか無いんだろうか。
二巻でもいきなり登場したカレー店の女性その常連の説明がなく話が進んで困惑したんですが… 二巻で随分引っ張ったあの設計家はどうなったんだ?久美ちゃんとその後どうなったんだろう?前回出てきたライバル店のその後は?とかそう言うシリーズ常連をちょっとでもいいから出してくれたらこの町のお店って感じで読んでる方も親しみを持てると思うんだけどな。
そしてもう一つ疑問に残るのは和雑貨、特に食器を扱うお店の常連ってどんな人なんだろう。毎回コーヒー飲みに来る常連ってのはタダコーヒー目当ての人だろうか。反対に無料が悪いなって思って足が遠のく人も居ると思う。私だったら毎回無料コーヒー目当てに通ってるように思われるのは心外なのでそう言うお店は敷居が高いなぁ。まあ試飲だから来客者全員に振る舞ってる訳では無いのかもしれないけど。その辺り草さんのこだわりもよくわからない。コーヒー豆を買いたいんで試飲させてくれって人に応じるならわからなくはないんだけれども。
草さんと幼馴染の仲もちょっと変な感じ。お蕎麦なんてユキノさんの台所を借りて茹でた方が美味しいし重くもないと思うんだけどそこまでするのは出しゃばりすぎ、とかあるのかしら。でも隣家の修繕で足しげく市役所や借主の所在を訪ねたりするのはやりすぎではないのか…
なんだか言いたいことを言えなかったり、聞きたいことを聞けなかったりが多くてお話的にモヤっとする事が多いかも。日常なんてそんなものなのかもしれないけどとりあえずスッキリ解決、というわけにはいかないこの町のお話はもう続きはいいかなぁ。
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今回は短編が続き物になっていました。萩尾の苦悩。ミナホの苦悩。勅使河原先生の苦悩。優しい文章でいつものように温かくなるお話でした。
草さんは本当に優しい人だなぁ。
ゲンエイ円空仏様は結局どうなったのかしら?
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面白かった。のだが、読んでる途中でしばしば迷子になりました。
分の波にうまく乗れず、読み返すことしばしば。
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*小蔵屋を営むお草は、新聞記者の萩尾の取材を手伝って以来、萩尾と、彼のライフワークである民俗学の師匠・勅使河原、その娘のミナホのことが気にかかっている。15年前のある“事件”をきっかけに、3人の関係はぎくしゃくしているらしいのだ。止まってしまった彼らの時計の針を、お草は動かすことができるのか。好評第3弾! *
前作同様、やるせなさと温かさが交錯する独特の小蔵屋ワールドです。自分の想いだけでは済まされないもどかしさ、大人ならではのあきらめや達観…それでも、その先の柔らかい希望に繋げていくような世界観が本当に繊細な1冊。
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小蔵屋を営むお草さん。第3弾。
周りで起こる不可解な事などに、ついつい見ぬふり出来ず、首を突っ込んでしまう。
今回は新聞記者の萩尾が中心に話が進む。
どうも彼には何か隠していることがある。
おせっかいが実を結ぶが、なかなかその道のりは遠い。
2018.6.13
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あまりにもたくさんの人の思いが交錯し、読んでいてこんがらがってしまいました。何度か戻って読み直して、確かめたりして…。
私には、短編の方が読みやすかったです。