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第3巻から第4巻にかけての「第五章 パワーゲームの世紀」が白眉。この章を描きたいがために第1巻・第2巻があったのではないかと思えるほど、めちゃめちゃ面白い。
まさに大河ドラマ。小説やマンガにしたら面白いと思えるほどキャラの立った王様や海賊や傭兵がゾロゾロ出てくるお話がノンフィクションであるということが、歴史の醍醐味か。
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地中海を舞台にした強国のパワーゲームの時代。トルコもスレイマンが陸・海と攻めあがってくる中、マルタ島を拠点にする聖ヨハネ騎士団が最前線でその進行を押しとどめる。それをきっかけに、キリスト教圏・イスラム教圏のバランスも少しずつ変わっていく。
地中海という、狭くて広い海を巡り、さまざまな船・人・策略・駆け引きが行き交ったこの時代。非常に見ごたえのある一大スペクタクルでした。このあとの歴史がもっと知りたいですね。
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15世紀から17世紀までの地中海の海賊とその周辺の国々の話。今回はマルタ島の攻防が一番の花であろう。
9千人対5万の対戦。 しかし、マルタ騎士団は守り切った。そこがこの巻の華。ただ、ちょっと深掘りは既に作者が別の本で書いているため、書かれておらず、どちらかというと、記述に終わってしまっている。ちょっと残念。で星3つ。
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もうこの辺になるとルネサンスで、昔の著作と大分被ってきます。
マルタ騎士団の防衛戦、キリストとイスラムの激突レパントの海戦。戦闘の規模は大きくなりますが、この辺りを頂点に大洋の時代になり地中海世界の落日が訪れます。
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2014/9/18読了。京都駅のふたば書房で購入。
シリーズ完結巻。ここらへんに来ると西欧世界が勝つ機会もけっこう出てきて、特にマルタ強い。
しかし、結末としてはどっちかの完全勝利というよりは、そもそも地中海の重要性が落ちたのであった・・・というのがなんとも現実感。
あと塩野七生の他のシリーズもまた読みたくなるよね。海の都とかオスマン帝国系の各話とか。
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関連本10冊を済ませてから読もうと思ってたのに、手元に読む本がなくなったために仕方なく先に読んでしまった。
シリーズ4冊の中では一番面白かったけれど。
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まだ残りあるなーって思ってると、 巻末の年表がけっこうな分量占めてて、あ、あっという間に終わってしまった。最終エピソードとも言うべきレパントの海戦が、既刊を見てね、で終わったのはそれまでの流れで薄々予測はしていたものの、やっぱり感ありありで拍子抜けではあった。全巻通しては、イスラム世界との関わりの中でのローマ後の地中海から見た中世のエピソードが見られて新鮮ではあった。
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1〜4巻まで読了。
バッサリ切ってしまうと、地中海世界にとって、中世か否かは、イスラム勢力の広さと海賊の有無で計れる。
18世紀にもなると、大西洋では大航海時代を迎えているのに、地中海ではナントカ騎士団がまだしっかり現役だったり、ガレー船が使われていたりといろいろ過去の遺物が残っている、はたからみると奇妙な状態だったのだろうな…。
その頃日本はまだ江戸時代なので、あまり人のことは言えないか。
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「ローマ亡き後の地中海世界」塩野七生、読了。
ローマ帝国滅亡から大航海時代前までの中世、ルネッサンスまでの地中海のまわりの国と人々の歴史物語である。その多くはイスラム世界の台頭と神聖ローマ帝国との戦いの歴史である。
イスラム勢力は中世後半からはオスマン帝国になり強大な力を持つことになるが、ヨーロッパ側(神聖ローマ帝国側)は内部抗争に明け暮れていてまとまりがなく、ほとんどはイスラム勢力に押されっぱなしだったと言える。文明的にもイスラム側の方が先進国であったのは周知の事実である。
ヨーロッパ側の地中海沿岸部の人たちはアフリカ沿岸の都市から繰り出されるイスラムの海賊たちに略奪され連れ去られ奴隷として働かされており、海賊行為が北アフリカのイスラム教徒の一大産業になっていたというのだから驚きだ。
いずれにしても山谷はあっても約1000年にわたってキリスト教国はイスラム教徒の海賊に略奪されており、非常な脅威となっていたということはあまり知らなかった。そして、キリスト教国から誘拐され奴隷となっていた人たちを金を払って買い戻すことが18世紀まで続いていたということを考えると、当時のキリスト教徒のイスラム教徒に対しての感情が尋常でないことが理解できる。もっともその大半は、かなわないというあきらめと恐怖だったようだが。
副題にある「海賊、そして海軍」の海軍はヨーロッパ側のことであり、海軍が整備されてようやくイスラム側の海賊の勢力が弱まってくることになる。
中世は暗黒の時代というイメージだったがゆっくりとした時間の流れの中で大きな変化のあった時代であったことがわかり、興味深く読了した。
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1~4巻を読了。
いやはや、暗黒の中世とはよく言ったものである。これまでは、中世の暗黒とは、キリスト教世界の中で行われてきたことを指すのだとばかり思っていたが、そんな生易しいものじゃなかった。
イスラム世界とキリスト教世界の対立とは、ここまですさまじいものだったのか。
異教徒の海賊が現れて、自分の住む町を襲い、住民を拉致してゆく。この時代の沿岸部に住む人たちには、きっと「安心」はなかったのだ。
直接とりあげられてはいなかったけれど、イベリア半島での「レコンキスタ」の意味合いが、この時代を知るとよく理解できる。
そんな中、身を切り命がけで、拉致されたキリスト教徒を救おうとした人たちがいたことに、驚きと尊敬の念を抱きます。
しかし・・・これは決して過去の話ではないのだと、「イスラム国」の暴挙のニュースに触れるたびに思うのです。
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(全巻通じての感想として)
『ローマ人の物語』の続編として通史的な観点で読むとちょっと物足りないかもしれない。観点や時代の流れ方が違うから仕方がない。
また、『ローマ人の物語』『十字軍物語』『海の都の物語』の隙間を埋める役割の位置づけと捉えてもいいかと思う本シリーズだが、にしても、やたらニッチな部分に焦点をあててきたなあという感じでもある。タイトルに海賊、海軍とあるが、まあその辺の一般的なイメージの華々しい海賊、海軍も登場してこない。当時の花形であったであろうヴェネツィアに対する記述はレパントの海戦以外は意図的に記述を避けられており、よほど興味がないとつまらないのではと逆に心配してしまう。
ただ、キリスト対イスラムというおそらくどうしようもない図式が果てなく繰り返されている様が、2015年という今、その根深さを痛感させるという点において、今だからこそ注目すべきシリーズであろう。そしてだからこそ何より、シチリアにおける「地中海の奇跡」と、救出修道会・救出騎士団について光を当てている点については特筆すべきことではないか。その辺の世界史モノを読んでもここを取り上げてるものはあまりないのではないかと思うし、未来への僅かな希望を与える光だと思っている。
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いよいよクライマックスが近づいてきました。スレイマン率いるオスマン・トルコとカルロス率いるスペインを中心としたキリスト勢力の全面対決の時代が書かれています。その勝敗をわける大きな要因になったのが海洋都市国家ヴェネツィアでした。インテリジェンスという言葉が頻繁に出てくるようになりますが、情報こそが勝負を分ける大きな要因になったという点でヴェネツィアが果たした役割は大きかったように思います。歴史にifは厳禁でしょうが、ヴェネツィアがイスラム側についていたとすれば、この戦いはイスラム側の勝利に終わったのではないかと思えるくらい、その果たした役割は大きかったように思います。
塩野さんの他の著作「海の都の物語」や「レパントの海戦」「ロードス島攻防記」などを合わせて読むといっそう理解が深まり楽しめると思います。
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最終巻。最終巻になればなるほど、氏の筆にぶるなと。ローマのときもそうだったけど惰性で書いてるかんじ。
レパント海戦もっと書いてくれると思ったけど、それは違う物語でとのこと。あくまで海賊と海軍にフォーカスした内容だった。ただ、この後地中海世界もイスラムも没落して、アフリカは植民地へとスペインやイタリアはその地位をおとしていく。。。
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1538年プレヴェザの海戦ではオスマントルコに勝てなかった。しかし時代は少しずつ新しい方向へ傾きはじめる。マルタ騎士団の戦いを守り抜き、1571年レパントの海戦で、ついにオスマントルコの海上勢力を一掃することになる。ただしイスラムの海賊行為は続く。地中海の海賊行為が沈静化したのは1830年フランスのアルジェリアの植民地化という。ローマ亡き後の地中海はイスラム海賊の暴風雨から逃げ惑い、最後に立ち上がり、撃破するまでに約1200年要したことになる。キリスト教サイドからの見方であるが、イスラム側の見方はどうなのかと気になる。そんな書籍があれば著者も一番に手に取りたいそうだ。
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引き続き16世紀の地中海での、トルコとキリスト教国の争い、個別の詳細は既刊の「ロードス島攻防記」、「レパントの海戦」等に譲りながらの全体俯瞰。