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初読。図書館。こちらもなかなかの顔ぶれの訳者陣。それぞれの工夫された現代語訳で読むと、小川洋子さんの言う通り「現代文学にまっすぐつながって」いることが味わえる。特に「竹取物語」と「更級日記」が面白かった。「竹取」ってきちんと読んだことなかったけど、ファンタジーで辛辣。「更級」の主人公なんて物語大好きな引きこもり妄想女子で、お勤めも結婚もいまいちな孤独な女性って、現代と同じだよ。それぞれの訳者さんが和歌をいろんな手法で訳しているのも、比べると面白い。
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森見さんの竹取物語目当てで読んだ。真面目なようで小馬鹿にした感じが面白い。伊勢物語と堤中納言物語も予想外に面白かった。平安時代って和歌のセンスが問われて大変そう。代筆多かったんだろうな…。
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伊勢物語、きちんと読むの初めて。
川上弘美さんの日本語は美しいな。
和歌の訳がそこはかとなく典雅だ。
物語絵でよく出てくる有名な九段の八橋、宇津山だけにあらず。
しかし業平はすごいね、さすが歴史に名を残すプレイボーイ…
三十段の、歌を「逢うのは 一瞬 恨みは 永遠」て訳すのはしびれる。伊勢物語もすてきだけど川上弘美さんもすてき。
最後125段
「生きるとは
なんと
驚きに満ちたことだったか」
ってところなんて、めっちゃすてきじゃないですか
もりみーの竹取物語もすごく面白い。
もちろん元の話自体が面白いけど、彼の訳がなんともシュールで人間臭くて好きだ。
しかしなんておもしろい話なんだろうなぁ、古事記とかも面白くてユーモアあふれてるけど、竹取物語のファンタジーたまらん。昔の人すごい。
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当時の生活や人々の心情、感覚がよくわかる。現代とはかなり異なるものも多いが、同じようなところも多々あって面白い。電気がないので夜は真っ暗なこと、それでも夜はあまり眠らず夜這いをしたり月を見に行ったりして過ごしたようだ。家にはもちろん鍵はかかっていないし窓も閉めていないようだ。
土佐日記は中流貴族の悩み事や苦労、諦観など、興味深く描かれている。
更科日記も中流貴族の娘の話だが、現代にも通じる中流家庭の普通の文学少女から一般職のOL、専業主婦、パートタイマー、そして老女となっていく一生がよくわかる。
また、旅がいかに苦難を伴うものあったかもわかる。朝から京都へ行くのに3ヶ月もかかり、現代で言えば東京からアマゾンの奥地やヒマラヤに行くようなものだ。
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教科書、それも抜粋でしか触れたことがなく、苦手意識もあった古典文学が、現代語訳と更に訳者の個性も加わったことで、とても読み易く物語に入り込めた。
また、この全集には対となる「作家と楽しむ古典」という本がある。
訳者自身による解説で、原典への解釈やそこから感じた思いなどを知ることができて、物語への理解がより深まったように思う。
是非合わせて読んでもらいたい。
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竹取物語・森見登美彦/伊勢物語・川上弘美/堤中納言物語・中島京子/土左日記・堀江敏幸/更級日記・江國香織。現代語訳で読みやすいが、例えば森見ならもっともっと森見節で書いて欲しかった。伊勢は元が好きでないが、歌の訳が流石。堤中納は初見。虫愛ずる姫君のみ知ってた。他に図々しい坊主など。土佐日記初見、愚痴じゃん。ひらがな辛い。更級日記。猫に宿った姫君の話。「焦がれた物語を読む楽しさといったら妃の位も及ばない」そうそう!
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更級日記、いつも励まなかったと後悔しているオタクの晩年は、妙にしみじみ迫ってきた。後悔してもしなくても、昔のことはキラキラ懐かしく思い出されるもの。
どうせキラキラ思い出すんだから、後悔してばかりでその時を味わうことをしないのはもったいない気が…。
なにを励まなかったかというと、神社仏閣へいってお祈りすること。
なんだそんなことと思うけど、今でいう「仕事や勉強に励まなかった」ことも、千年たてばなんだそんなことと思うはず。
竹取物語でも更級日記でも、富士山から煙がでていて燃えているというのが印象に残った。
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錚々たる方々の訳した古典文学!
竹取物語がモリミーの手にかかると、翁や貴公子たちの下心がスケスケで困惑するかぐや姫が目に浮かんでしまう。
和歌の訳がまたニヤニヤ。
むかし男ありけり、の伊勢物語はこんなに長いお話だったのかと驚いた。恋愛だけでなく友情や仕えた親王とのやり取りが印象的だった。
男としか出てこないので、これが業平のことなのか、時期はいつなのかとモヤモヤもするけれど、一遍の凝縮ぶりに愕然とする。
堤中納言物語はいろんなテイストの話が襲いかかってきて気が抜けない。
和歌の訳が絶妙!
有名な虫めづる姫君の女房たちの嫌らしさときたら、普通に和歌を訳しただけでは伝わってこないかも。
土佐日記、この本でいちばんツラかった。
たぶん元々の話がまどろっこしくて合わないんだろうなあ。
ひらがなばかりだとこんなにも読みにくいのかー。
学生の頃、何度も目にした更級日記。
物語に憧れた少女が田舎から出てきて、ようやく手に入れた物語を読みまくる…。
でも、今回読んで、その上京の旅の行程が楽しかった。現在の場所を思い、その過酷なこと!
そして京についてからもやたらと転居していて、それぞれの家の簡易さにも驚く。
平安の時代のリアルな日常を垣間見た感じ。
「学者ならぜったいにしない蛮行に及ぶのでなければ、小説家が仕事を引き受けた意味はない」と中島京子さんがあとがきに書いているけれど、厳密に言ったら解釈が違うところもあるのかもしれない。
それでも、とても楽しく古典が身近になった良い本だった!
ただ、持ち運びの出来る大きさ厚さにして欲しい…切実。
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何より竹取物語を森見先生の訳をやっと読めて嬉しかった
堤中納言物語はすべらない話のオンパレードみたいな感じだった
更級日記は初めて読んだけど筆者の夢見る夢子な少女時代から宮仕えして神仏詣りに勤しんで歳をとっていく生涯がいきいきしてて面白かった
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小学生の頃、現代語訳を読み耽った。ずいぶん久しぶりに読んだ。土左日記は、これはこれで有りだと思うけど、内容と背景をよく知った段階で読んだ方がいいと思った。読んだなりの解釈が狭められてしまうので、自分のものでないような居心地のわるい感じが残ってしまった。ほかの四篇は、現代の言葉がなじんで自然に読めた。
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竹取物語、土左日記、読了、8月12日。
堤中納言物語、読了、8月13日。
伊勢物語、読了、8月20日。
更級日記、読了、9月17日。
更級日記で、和歌の前に、現代語訳が先にあるのが読み易くてよかったです。源氏物語ファンとしても共感できるすがわらたかひょめさまの作品でした。
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230608*読了
すばらしい古典のアラカルト。
竹取物語はあまりに有名なので、話の流れは知っていたけれど、森見登美彦さんの訳で読むと小気味よくておもしろかった。
伊勢物語は百二十五段からなる和歌と物語。男=在原業平と言われていて、人生と恋愛が和歌と共に織りなされている。
これだけ短いストーリーの中に、しっかりと男女の関係が描かれているところが秀逸。
堤中納言物語は作者の違う短編集。虫が好きな娘の話が強烈。
源氏物語に影響を受けていそうな話もあって、源氏物語って偉大。
土左日記は紀貫之が女性を装って書いた紀行文であり、フィクションとは知らなかった。おもしろい。
女性が書いているとしているので、仮名文字で書かれているのもなるほどな。
更級日記は大好きな江國香織さん訳!
普段の江國さんの小説とはまた違うのだけれど、それでもにじみでる江國さんらしさ。好きです。
物語が好きで夢みがちな読書女子が、大人になり、宮仕えをしたり、結婚をして子供を産んで、年老いていく。その人生。
1000年近く前に書かれていても、現代に通ずるところもあって、人間のそして女子の普遍性を感じる。
宮仕えをしている女性同士でのおしゃべりや、和歌の送り合いなんて、今の女子と変わらないもんなぁ。
どれも良かったけれど、中でも更級日記と伊勢物語が好きかな。
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読むのに時間がかかってしまったけど、すごく面白かった。
竹取物語、堤中納言物語 : 読みやすい。普通に面白い短編集。
伊勢物語 : 女遊び三昧の主人公が嫌な感じで、なかなか読み進められなかった。
土左日記 : 紀貫之って面倒臭い。女たちの水浴び(胎貝や鮨鮑!)を覗き見しといて、これはモト歌があって…と言い訳してるのウケる。
更科日記 : 江國香織の訳がいいのか、作者に共感しまくり。
当時の結婚制度、女房の仕事など謎が多いのできちんと調べてみたい。
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「【毎日出版文化賞企画部門(第74回)】池澤夏樹個人編集による日本文学全集。3は、「竹取物語」「伊勢物語」「堤中納言物語」など、絢爛豪華に花開いた平安王朝の傑作を、森見登美彦、川上弘美、中島京子らによる新訳・全訳で収録する。」
竹取物語 森見登美彦 訳 5−56
伊勢物語 川上弘美 訳 57−244
堤中納言物語 中島京子 訳 245−338
土左日記 紀貫之 作 339−406
更級日記 菅原孝標女 作 407−486
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川上弘美訳の「伊勢物語」を読む.
全125段.一つ一つは短く,連作短編風になっているので,すいすい読めるかというとそうではない.和歌の密度,濃度がとても高くて,そこでぐっとスピードを落とさざるを得ない.簡単に言えば,宮廷の周辺にいる人たちの恋の物語なのだが,短く簡潔な物語と,重奏的な短歌が,読み手を飽きさせない.それにしてもこの訳は秀逸.短歌も原文のあとに,意を汲み尽くした訳が与えられていて,感心することしきり.すばらしい.