紙の本
良くも悪しくも相変わらず…
2015/09/27 23:45
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投稿者:arima0831 - この投稿者のレビュー一覧を見る
あの椎名誠が、実は35年の長きにわたって不眠症で苦しんでいた、という事実は結構衝撃的だ。まあ、世の中一見元気に見える人が実は・・・という話はよくあるけれど「元気が売り物」みたいなこの人の話なので、少々驚く。
そして「果たして「やわらかな眠り」は取り戻せるのか」という、大変魅力的なフレーズ。
闘病記なのか?
目次をざっくり見たら、どうも治ったような話だ。
これが売れているらしい。
そうでしょうともなあ。
世間に眠りの問題で悩む人は多い。
で、一読して思う。この人は相変わらずだ。良くも悪しくも。
椎名誠の面白さは、自分の身の周り四畳半分くらいに起きる雑多なことを、ふざけた口調の中で意外と緊密に激しく描く筆致にあるのだと思う。30年以上前に読んだ時は衝撃的だった。当時文学といえば、眦を吊り上げ眉間に皺を寄せ、そこに浮かぶ陰影を世に問うようなところがあって、どうにも無駄に重苦しかった。やれやれ、もうウンザリ、と思っていた十代のワタシにとって彼の語り口は実に斬新で、数年間はかなり夢中になって新刊を追いかけたことがある。
自分の眉間のタテジワ周辺話を、ここまで面白おかしくかつ真剣に描写した作家は他にいなかろう。
ワタシにとっては「あのころ新鮮だった作家」といえば村上春樹と椎名誠だったなあ、などと、この度しみじみ思いをはせて非常に懐かしかった。
その後、かたやノーベル賞候補に、かたや粗製濫造作家になっていったわけだが。そしてワタシの中では等しく「どうでもいい作家」になっていったのでもある。ちなみに「粗製乱造」は本書内での御本人自称。自覚しているのは立派だ。
まあ、自分の眉間のタテジワ周辺を延々書き飛ばし続けて、本書執筆当時で235作(文庫を除く)も書いているそうだから立派な芸だ。素晴らしいと言える。
で、その堂々たる「粗製乱造ライン」に乗った新しい切り口がこの本らしい。
それ以上でもそれ以下でもない。良くも悪しくも。
導入の「いかに不眠症になったか」は、ホウホウそうですか、と面白く読めるのだが、後に行くほど話はグダグダしていって、本当にグダグダなまま最後まで走ってしまうのだ。それがこの人の持ち味だ、とは言いながら、まさか本当にそれだけで終わるとはね、と呆気にとられる思い。
まずこの人の書くものに知見や見識を求めない、という強固なスタンスは変えずに読む姿勢が必要だ。終始自分の不眠とその周辺に何が起きたかを思うがままに書き飛ばしただけの話だから、真剣な取材も深い考察も何もない。だから間違っても、不眠症に対する一般的な解は求められない。当然の話だ。
正直に言うと、ワタシはその辺の心構えが甘かったので、読了後かなりのトホホ感を味わうことになった。同時に一抹の「お変わりありませんなあ」という不思議な嬉しさも沸いたのだが。
というわけで、もし不眠症にお悩みの向きが真剣な問いを胸に読もう、というのであれば答えは「ヤメトケ」の一言。
とにかく軽い。そして、軽さの奥にふと垣間見える深み、みたいなもんはナイ。
そこでムッと来るくらいなら、椎名誠など読まなければよろしい。
たぶん何十年ぶりかで彼の本を読んで、なにがしか考えるきっかけになったのだから、まイイカ、て感じだ。その辺の懐かしさを生暖かく加味して★3です。
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途上国に不眠症は存在しない。日本はすごい。
アメリカの地下鉄でも居眠りをしている人なんていない。
中国の地下鉄ではみんな、お喋りしている。
日本は世界でも夜中に明るい国。珍しい。
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カンボジアの「トゥースレン虐殺博物館」にある「眠らせない拷問」の行が一番怖いと思った。頭の一点に水滴を一定の間隔で落とすだけで、大体3日続けると死んでいたという。想像するだけで悪寒が走る。
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椎名さんと言えば、世界中のありとあらゆるところに出かけて行って、ガンガン飲み食いし、がーっと寝る、みたいな印象持ってる人多いと思う。
そのうち私に眠れない日々が訪れたら、この本を参考にします。
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基本エッセイ
知人の編集者が、睡眠持続療法の最中に
病院のバルコニーから転落して
クビから下が付随になる
体育会系の印象が強いけれど
意外と神経質
ストーカー?女の突撃も不眠の一因
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何とはない椎名さんの不眠の歴史。いつもの椎名節というか。不眠を知るために種々の参考文献を読みふけり、主治医の意見も聞きつつ、解明を図ろうとするが、今は落語を聴いて寝ようとしている落ち。ネタバレですね。
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ハゲシク世界を旅し、仲間と供に焚き火を囲み、愉快に酒を飲み、豪快に寝ていそうな椎名さんの知られざる不眠症遍歴。
それにしても、いつも感心するのは一枝さんの肝のすわりかた!あっぱれ!
病の不安で一方的に入院したがる椎名さんを、神経科へ連行(?)するところなどすばらしい!!
椎名さんには、不眠と上手く付き合って創作に励んでもらいたいものです。
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敬愛するシーナ隊長の本だけど、これはいかがなものか。隊長の長年にわたる不眠のきっかけとなった出来事が語られる最初の方は、ふんふんと読めるが、その後は睡眠一般についてなどのとりとめのない内容になっていて、興味をつなぐのが難しい。重複や曖昧な書きぶりも気になる。ファンの勝手な言い分だとは思うけど、これは残念。
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不眠症だ……!というか、一時期アルコール依存症一歩手前まで行っていたんじゃ無いだろうか。睡眠に関する本は読んでみたいなーと思う。
気持ちよく眠って起きるってあこがれだよね。
ちなみに私は物心ついたときから眠れなかったので、大人になって不眠症と知りおののいた。ふとんにはいって2時間くらい眠れないのは基本です。
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椎名さんが不眠症だったとは、びっくりでした。
連載物をそのまま1冊の本にしたのでしょうか。なんだか書き散らしたまま、という印象の本でした。
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新潮45に連載していた不眠に関するエッセイをまとめたもの。特に新しい知見が書かれているとか、面白いとかいったことはなく、散々読んで読み飽きた椎名誠のさらにもう一冊のエッセイ集という感じ。作家のように仕事時間を自由に選べる職業で、不眠症が問題になることはないのではないかと思っていたのだが、実際には取材に出たり、編集者との打ち合わせがあったりと、寝ないといけない日も多いらしい。
僕自身も著者と同様、中途覚醒に悩まされて、かれこれ丸3年 睡眠薬が手放せない、本書で言うところの「軽度の不眠症」。このゴールデン・ウィークを契機に減薬(処方量を半分にしてみる)を試みてみたところが、見事に午前 2:00 に目が覚めて、まったく眠れる気配がないため、結局、明け方までかかって読了。
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自身が経験した(現在もつづく)不眠について考察した本。飲酒との関係、睡眠薬、そして睡眠のための理想の環境などについて書いているのだが、運動についての視点が欠けているのではないかと思った。
「海外などに取材や冒険に行くとよく眠れる」とあるのだが、それは身体を動かしているからだろう。頭脳労働とサケで頭が冴えて眠れないのは当然じゃないのか、という気がした。まあ、ジャンル的にはエッセイですな。
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なんだかこの頃の椎名誠は面白くない。
昔は随分読んで、サクサク読めてまあまあの満足が得られる作家だったのだ。とにかく面白くはあったのだ。
ところが、なんだこれは。睡眠とは何かとか、よい眠りを得るにはどうしたらいいかという話なら、別に椎名誠の本を読む必要はない。なのに自分が読んで得た知識の披瀝が長い。そして繰り返すが、面白くない。
そんなに眠れないなら、自分でもわかっている通り、酒をやめればいいのだが、そんな気は毛頭ないため、眠れない。ならば、不眠症と付き合って生きるしかないのは、書いてなくてもわかる。それをわざわざ書くなら、面白くなくちゃだめ。
「えっ、あの椎名誠が不眠症!?」という驚きだけで読ませる意欲を起こさせるくらい力のある設定なんだから。
フリーで仕事して家族を養うハードさが、精神に非常に負担をかけることは、佐野洋子も書いていたが、もっと凄まじく心に響いた。
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久々の著者のエッセイですけれども、不眠症辛そうっすね…僕も酒飲んで寝る癖があり、というか、ここ…二十代半ばくらいからはずっとそんな生活を続けているわけですけれども(!)、そして、たまに著者同様覚醒する時もあるわけですけれども、うーん…そこまで深刻に悩みはしないですねぇ…。
けれども、作家と言う職業柄、やはり物語の世界に没入していていきなし現実の世界へと立ち返り、寝入ると言うのも難しいのかもしれないですねぇ…社畜死ね!!
ヽ(・ω・)/ズコー
うーん…特にこの本に関して感想はないですけれども(!)、やっぱし作家って大変な職業なんだなぁ…と思いましたね。さようなら。
ヽ(・ω・)/ズコー
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椎名さんの本が好きな事と自分が不眠症な事で読みました。
不眠症は、結局自分と折り合いを付けていくしかないんだなぁと。
椎名さんの本を読むと旅に出かけたくなります。
椎名さん、もう、70歳なんですね!