紙の本
信長ファン必読
2014/11/22 14:45
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投稿者:ぶっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ありえそうなストーリー。
信長ファンとして、まかまか楽しめた一冊。
紙の本
数々の「女いくさ」に健気に立ち向かった“運命の姫君”
2021/02/02 15:41
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投稿者:永遠のチャレンジャー - この投稿者のレビュー一覧を見る
遅咲きの作家 葉室麟の作品を選集掲載分を除けば私は単独で読んだことがなかったが、独特の美学、美意識を湛えた筆致で巧みに時代小説を紡ぐ名手との評判はかねて耳にしていた。
没後三年を経た今、もっと早く作品に親しんでおけば良かったと後悔している。
本作では、織田信長の娘で蒲生忠三郎氏郷の妻という戦国の世に運命的な生を享けた冬姫が関わり合う登場人物と紡ぐ章毎のエピソードが秀逸で、人物像とともに静謐な中にも躍動感ある各人各様の「女いくさ」が活写される。
読者をあっと言わせる仕掛けも豊富で、作者の筆遣いは融通無碍の境地を自在に駆けめぐる。戦国武将たる乱世の英雄たちに加え、繊細優美な女人たちの強(したた)かさが雄渾に描かれ、歴史という名のキャンバスに鮮やかに息づく。
信長の倅(せがれ)たちは揃いも揃って誰一人身代を継げずに終わった不肖のたわけどもだが、娘たちは才色兼備の優れた姫君だったようだ。
とりわけ主人公の冬姫には、叔母にあたるお市の方とその娘の茶々(のちの淀君)や同郷人ながらも愛憎相反する立場の細川ガラシャ(たま)との対比で、父信長の面影が色濃く投影される。
亡き父信長の果たせぬ夢(泰平の実現)を継承し、蒲生家の女として世を生き延びる智慧を発揮することが、冬姫の名前に相応しい峻厳苛烈な<冬>をやり過ごし、梅の香漂う長閑な<春>を迎えるための指針だった。
好むと好まざるとに係わらず、戦国の女たちは槍や刀を使わず敵を仕留める戦場(いくさば)に立ち、嫉妬渦巻く凄絶な謀略戦(「女いくさ」)に臨んだのだろう。
最終の「花嵐」の章で、天下人秀吉の愛妾に収まった淀君の専横に抗し、織田家所縁の女人たちが結束して冬姫を護るシーンが小気味好いが、信長の娘(冬姫)と姪(淀君)の徳の違い、器量の大小が浮き彫りになる。
鼎の軽重が問われるのは、何も時の権力者、為政者の男どもに限ったことではないと、作者が呟く声が聞こえてくるようだ…。
紙の本
戦国の女性達、というよりは
2016/08/14 16:49
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投稿者:ぴんこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
この時代だから、というよりも
やはり女性って他人を羨んだり妬んだりするのは
どの時代でも同じなのだろうなぁと思いながら読んだ。
戦国の世の女性は強い、という固定観念に縛られがちだけれど、その時代時代で人も、人の心もその「時」に合わせて変化していくのがきっと自然なことなんじゃないかなぁと、いつも歴史ものを読む感覚とは違う見方で楽しませていただいた。
合間合間に、ちょっとファンタジーなテイストも混じってはいたけれど、そのバランスがちょうど良く、すんなり読めました。一気に葉室さんのファンになりました。他の作品も読んでみます。
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読み終わってから知りましたが、2014年大河ドラマに関係あるんですね。。。
織田信長の二女冬姫の本って見ないので買ってみました。〈女いくさ〉がテーマで文章は比較的読みやすい。けど、ちょっと自分好みではなかったところが残念。あらすじは楽しそうだったんですが。あと終盤が正直、展開が早すぎたのとあっけない印象が強いです。
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冬姫って初めて知りました。信長の娘です。戦国ものは面白いなあ。冬姫が信長のところから嫁に行って、夫亡き後も家を守る話までが、短編集みたいに読みやすくなってます。
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全1巻。
織田信長の次女、冬姫の生涯。
うーん。
葉室先生はたまにこういうの書くよねって印象。
冬姫っていうテーマと、
表紙や広告のおかげで売れそうだけど、
個人的にはあんまり。
史実をネタにした伝奇的なエピソードが積み重ねられていく感じの作り。
キャラの掘り下げが浅いままの仲間達が
なんとなく強くて危機を乗り越え、
冬姫すてきでだいたい解決。
一話ごとにエピソードが完結することもあって
なかなか感情移入できなかった。
藩政ものとかじゃなく、
ど真ん中の歴史もの書くとスベる印象が有るなあ。
葉室先生。
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織田信長の二女、冬姫の生涯。戦国の世に生きる一人の女性の気概が美しい。敵対する女性にもその人なりの気概があっり、頷けることも有る。現在を生きる私に芯の通った生き方が出来ているだろうか
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織田信長の二女・冬姫という人のことは
全然知らなかったので、新鮮でした
いま放送されている「軍師官兵衛」でも
石田三成と淀君は、思いっきり悪役だけど
この本の中でも、かなり悪者
特に淀君は、性格悪すぎですな
ドラマの淀君役の人は、どこが綺麗?と不思議で
そのイメージで読んでしまった。
よく知っているつもりでいた戦国時代の
織田信長から関ヶ原の戦いまでの時期を
違う目線から見た感じで、とても面白かったです
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信長の娘・冬姫が、自らの行動力と侍女たちの力をたのみに戦国時代の「女いくさ」に挑み、駆け抜けていく。
住まいや、誰を主君とするかなど生きる環境は男たちによって決められてしまう。女はその枠の中で行動するしかない、という側面も描きつつ、夫を愛し、人の気持ちに想いを寄せる冬姫は、心の在り方まで抑圧されているようには見えない。
毒や計略など暗い話でありながら、どことなく穏やかな雰囲気が漂うのは、そんな冬姫の自由で優しい心に染められた物語だからなのかなという気がした。
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今は、ドラマの影響で、登場人物が『軍師官兵衛』のキャストで脳内再生されますが、後で読み返すと、またイメージが違ってくるのかもしれません。
冬姫も帰蝶さまも好きだけれど、もずが、一番好きかも。
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今年最後の一冊.織田信長の次女,冬姫.戦国の世を女いくさで立ち向かう姿に胸を打たれる素敵な作品でした.話の展開が早く,ちょっと物足りなかったかも.
以下あらすじ(巻末より)
織田信長の二女、冬。その器量の良さ故に、父親に格別に遇され、周囲の女たちの嫉妬に翻弄される。戦国の世では、男は戦を行い、熾烈に覇権を争い、女は武器を持たずに、心の刃を研ぎすまし、苛烈な“女いくさ”を仕掛けあう。その渦中にあって、冬は父への敬慕の念と、名将の夫・蒲生氏郷へのひたむきな愛情を胸に、乱世を生き抜いてゆく。自ら運命を切り開いた女性の数奇な生涯を辿る歴史長編。
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織田信長の次女で、蒲生氏郷の妻となった冬姫の物語。戦国時代に珍しく蒲生氏郷は側室を持たなかったそうです。『白梅の精と見紛うほど』美しい姫。蒲生氏郷については、あまり知りませんでしたが、信長に目をかけられて、戦国時代を一心不乱に駆け抜けていく姿は、読んでいてすごく惹きつけられました。
『織田家の女たちの』女いくさをうまく描いていると思います。葉室さんの本は大好きですが、この本も読みやすく、一気に読んでしまいました。
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時代物は人物背景の紹介の入れ方が難しい。特に戦国時代は人脈に長けている武将による国盗り戦略もあり出自が複雑な場合、読むのが面倒くさい。葉室麟でさえそうなのだ
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織田信長の二女、冬姫。
たくさんの兄弟姉妹のなかでも信長に目をかけられ、同じく信長に見いだされた蒲生忠三郎(のちの氏郷)とめあわせられる。
戦国の世の中、冬姫は織田信長の娘として、蒲生家の人間として、自らの生きる道を模索していく…。
長編といいながら、どちらかというと連作短編集のような体。各章で冬姫が活躍し、ひとつの事件を解決していく、といった感じである。こういう姫君が難事件解決!といった歴史物があまり好きではないので、特に前半はいまいちだった。
もう少し冬姫の内面や氏郷との関係に迫る場面が欲しかった。
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史実とフィクションとを織り交ぜながら、女人の観点から織田豊臣時代を描いた歴史スペクタクルといえようか。
信長の二女で、蒲生氏郷に嫁いだ冬姫が、従者の助けを借りながら、敵対する勢力と、「女いくさ」を仕掛け、自らの運命を切り開いてゆく。
どこまでが史実で、どこからがフィクションか、それを楽しみながら、時代小説の面白さと、歴史小説の醍醐味を味わえる。