紙の本
妻への思いと男の友情のために命懸けで戦う男の武士道
2019/01/02 08:06
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投稿者:李孔明 - この投稿者のレビュー一覧を見る
岡田准一主演の映画の原作本ということで読んだ。同じ道場で腕を磨いた四天王と呼ばれた4人の若者たちがそれぞれ数奇な運命にもてあそばれる。その中で藩の側用人として頭角を現した榊原采女の許婚であった女性を妻とした榊原の親友の瓜生新兵衛。しかし、正義感から藩の不正を糾弾したために逆に藩から追われた新兵衛が放浪先で病死した妻との約束を果たすために故郷に舞い戻る。家老たちの陰謀に対して妻への思いと友情のために命懸けで戦う男の姿に真の武士道を見る思いだった。散り椿の前での決闘シーンは感動するとともに本当の妻の思いに気付く新兵衛が友情のために立ち上がる姿に清々しい印象が残る時代小説だった。
電子書籍
美しい
2023/08/17 14:17
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投稿者:MR1110 - この投稿者のレビュー一覧を見る
表現が心に響きます。情景が目に浮かび、斬り合う場面は迫力満点です。人を想う気持ちが豊かに描かれ、静な中にも登場人物の強さが際立ちます。
紙の本
武士の矜持と潔さ
2023/02/20 09:47
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投稿者:ランディ・B/M - この投稿者のレビュー一覧を見る
自分さえ良ければいいという石田玄蕃のような人間ばかりが出世する実社会の体験から、新兵衛など四天王と呼ばれた武士たちの武士としての矜持と潔さに胸をうたれる思いと、出世を焦っていた主人公藤吾が本当の武士として成長していく姿に感動した。今の世にこのような胸がすく体験は望みようもないのだろうか。
紙の本
散る椿、残る椿。
2019/03/17 14:39
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投稿者:satonoaki - この投稿者のレビュー一覧を見る
ミステリー小説のように思いました。
かつての事件の首謀者を解いていくのもミステリーですし、最後まで解けきれなかったミステリーは、篠の本心だったかもしれません。
新兵衛が思う篠の心と采女が思う篠の心、どちらが篠の本心により近かったかは、謎のままです。
権力争いで多くの者が命を落とし、傷つき、没落していった…小説とはいえ、これらの小説を読むと無常観にしばし浸らされます。
物語最後の散る椿は新兵衛、そして残る椿は藤吾たち。
歩む道は別々になりましたが、どこかで幸せに生きていてくれるよう、時空を超えて祈りたいです。
紙の本
人の思い遣りと気高さ
2019/01/13 11:34
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投稿者:トッツアン - この投稿者のレビュー一覧を見る
ドロドロとした欲の覇権争いは世と常ながら、それをそれとして受け入れながらも己の信念を心に固く持ち続ける四天王。そういったことから距離を置いて清々しく生きるし主人公。いつしか主人公に心惹かれる人。非常に読み応えがあり、時間が経つのも忘れて一気に読んでしまった。最後の一ページで、帰藩後の経緯を踏まえて周囲に気を配ることで自分の身を処する主人公の潔さと心残りさがよいんとして残る作品。また、しばらくして再読したい。
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葉室さんの時代小説.妻の遺言に込められた真意に胸を打つ.でも妻の視点は余計だったように思う.主人公が妻の心境に想いを馳せるところまでに留め,本当はどう思っていたのだろうかと想像するところが醍醐味.最後まで詳らかに語ってしまうのは少し野暮ったく感じた.
以下あらすじ(巻末より)
かつて一刀流道場の四天王と謳われた勘定方の瓜生新兵衛は、上役の不正を訴え藩を追われた。18年後、妻・篠と死に別れて帰藩した新兵衛が目の当たりにしたのは、藩主代替わりに伴う側用人と家老の対立と藩内に隠された秘密だった。散る椿は、残る椿があると思えばこそ、見事に散っていけるもの―たとえこの世を去ろうとも、ひとの想いは深く生き続ける。秘めた想いを胸に、誠実に生きようと葛藤する人々を描いた感動長編!
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全1巻。
藩を放逐された浪人が、
亡き妻の遺言を守るために帰ってくる。
帰参した浪人を待っていたのは
藩を二分とする御家騒動。
保身に勤しむ甥っ子とともに
好まざる争いに巻き込まれていく。
って話。
や。
いいね。
本当、葉室先生は小藩の政争が抜群にうまい。
今の作家達の中でピカイチだと思う。
ロマンチックな「想い」の設定は
胸が苦しくなるほど切ないし、
どんでん返し連続なミステリーは、
だれもが怪しく見える前半とか本当秀逸。
ただ、惜しむらくは謎解きパート。
それぞれの謎の答が深く絡まり合ってなく、
小粒な謎が一杯って印象になっちゃってる。
「想い」についても駆け足消化な感があり、
「事件の真相」「妻の真実の想い」に絞って
うまく昇華してほしかった。
ちょっと要素が多すぎ。
まあ、
少し白けた後味は残るかもしれないが、
グッとくるのは間違いないと思う。
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伝わる事の無いかもしれない「想い」を、それでもいいと命をかけて守る・・・
家族の為に、友の為に、好き人の為に、世の為に。
分かりやすい愛も大切なのだと思うけれど、本当の愛は人に簡単に解ってもらえないのかもしれない。
だからこそ、それを知った時、愛は深く輝いて美しい。
重い、想いの話。
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ちょっとずつちょっとずつ読み進めていたお話。
なぜか時間がかかりました。
この人たちの生きる世界に、そっと足を踏み入れるように読んでいたような気が…。
多くの人が相手の気持ちを慮り生きていく様がとても切なく痛々しく、そして羨ましく。
生き死にの世界でもあるけれど、その奥深いところにある気持ちのあり方が、読んでいてたまらなく羨ましいと思った。
男と女、男と男、親と子、家族、親族、上司と部下、師弟…たくさんの繋がりそれぞれに想いがあった。
…自分の日々にこんな気持ちはあるのだろうか。
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四天王と言われた最後の一人となってしまった瓜生新兵衛が又、独り旅立ってしまう所で終わりですが、
何人もの人が死に殺伐とした中に登場人物の其々の想いが読後思い返されました。
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葉室作品は何作も読んでいるが、これまでの中で一番の作品。『蜩ノ記』の上をいく作品といって間違いない。
ある事件を契機に藩を出ざるを得なかった浪人と、間もなく死期を迎えようとしているその妻の場面から物語は始まる。妻の死後、藩に戻った浪人は、その事件も含んだ長く続く藩内の政争に否応なく関わっていくことになり、その中には、昔同じ剣術道場で友として交わりながらも、今は別々の人生を歩むことになってしまった旧友やその家族らも登場しつつ、物語は進んでいく。
「椿」が全体を通じたキーワードの一つとして用いられており、物語に一本筋を通しているので、全体が引き締まっている。また、登場人物の心情描写が重層的になされており、物語の進行に応じて移ろっていく気持ちもあれば、変わらぬ気持ちもあり、どんどんと作品の世界に引き込まれていく。更に、誰が、いつ、どのような役割を担い、何を行ったのか、謎解きをさせられる推理小説としても優れており、登場人物が持っている表と裏の顔の描写も見事。また、読者におもねず、非情ともいえる場面も少なくなく、落着したとはいえ、結末も決して単純なハッピーエンドとは言えない。
作者の代表作になることは間違いないと確信する。
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L
当作家作品はいくつか読んだが、これまでの中では1番響いた。これこそ映画化されそうな勢い。
死んだ妻を想う夫、妻が想った破談の相手、その他親友やら身内やら、様々な立場の人の想いが詰まっている。新兵衛が好漢なのがにくい。これで終わりなのが勿体無いくらいだ。
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策略と陰謀の動乱の中に、、謎あり、義あり、親子あり、同門あり、夫婦あり、恋愛あり、そして願いに涙あり♪。
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7月-1。4.0点。
体の弱い妻が、病死した主人公。
抜けた藩に戻り、亡き妻の希望を叶えようとする。
政争に巻き込まれ、数々のトラブルが。
面白かった。甥の成長物語でもある。
死んだ妻の、主人公を動かすための考えに
感動。
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また一気読み。登場人物はみんなかっこよすぎかな。
新兵衛の活躍もさることながら藤吾も良かったな
どちらかというと女性好みの内容だったかも・・・