紙の本
恩田陸の魅力が凝縮している
2015/08/21 21:10
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投稿者:紗螺 - この投稿者のレビュー一覧を見る
小説のような随筆のような構成の、味わい深い作品だった。小説にはちがいないのだろうが、語り手が「筆者」という一人称で、様々な事象に対する考察を客観的に述べているのが、恩田陸という作者に重なる。基本、小説の一人称と小説家自身を一緒にするような読み方はしないようにしているが、この作品の考察の部分に関してはそう思わせるものがあった。そして、その考察の部分の多くが私のフィーリングにとてもよく合った。
ただ、最後は少しよくわからない終わり方だった。これもまた恩田陸のテイストということもできるが…。
紙の本
熱はないけど好き
2016/05/30 22:24
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投稿者:師走 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この著者の本を読んだの久し振りで、やっぱり読みやすくていいなと改めて思った。
フィクションのエッセイっぽいから、熱があって読み進めたわけじゃないけれど。
最後はまあ・・・・・・いつも通り。
でもこういうの好き。
戯曲気になるから書いて欲しいけど、ないかな。
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なんだろう、どーゆースタンスで読めばいいのかサッパリ。
恩田陸、斬新すぎる。装丁もなにもかも凝っていて素敵だけども本当に待ちに待っていた長編新刊で期待値も高かかったのに、予想とはかけ離れた内容で戸惑うばかり。
戯曲の部分みたいなあーゆーのが読みたかった。
戯曲を作るための「筆者」の日々を描いた作品ってことなのだろうか?
でも何はともあれ、恩田陸の長編新刊ってことですべてよし。
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エッセイなのかフィクションなのか分からないままに読み終わった。
恩田陸っぽいといえば、っぽい。
これまでもこれからも、東京という街は変化を続けるのだろう。
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恩田陸の最新作。
最初に目を惹くのはイラストや写真、色刷りを多用した凝った造本。
震災後の東京を一種の主人公にした長編には、奥泉光の『東京自叙伝』があるが、『東京自叙伝』が、見方を変えるとけっこうストレートな内容だったのに対して、本作はやや捻ったというか、『東京』という都市を異邦人として描いているように感じられる。著者の出身地がどうこうという話ではなく(そういう意味では奥泉光も東京出身ではない)、対象(この場合は概念としての東京)との、距離の取り方の違いではないだろうか。
恩田陸というと『オチが弱い』というのが定番の欠点として言われることが多いが、本作ではその欠点とされている『オチの弱さ』を感じることはなかった。寧ろオチらしいオチが無いところが魅力になっている。まぁ、普段の長編も、オチの弱さを吹き飛ばすぐらい風呂敷の広げ方が上手いので、あまり欠点だとは思っていない読者ではあるが。
その『風呂敷の広げ方』の上手さについては、作中作である戯曲『エピタフ東京』で垣間見えると思う。この戯曲、上演はされなくていいから、完成させて刊行して欲しい、と思うのは私だけではあるまい……。
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掴みどころがないが、ずーっと読んでいたい不思議な感覚。
出てくる東京の風景、小説、音楽、映画などが効いている。
吉屋に憧れる。
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色付きのページとかふんだんに取り入れて凝ってるんだけど、結局何が言いたいのだか・・・
「夜のピクニック」が良かっただけにショックが大きいです・・・!
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東京のいろいろなところのエッセイ集。
いつも見ている東京をいろいろな目線・価値観で見ると、違って見える所があることに気付かされる。
東京に沢山ある、一つの墓標の中から、近くに見える墓標を見ながらレビューを書いている。
コルトレーンのマイ・フェイバリット・スイングスが大好きで、18の頃からもう何百回も聞いている。エピタフ東京の中で流れるこの曲も聴いてみたい。
この本を読んで、故郷の親戚達の安否が不明だった3月のことを鮮明に思い出した。
ページの色を変えているのは、なぜ?
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震災後の“東京”を多角度から描いた恩田陸さんの最新長編小説。
始めのうちは、いったいこの話のスタンスはどこにあるの??と、あまりに取りとめのない話の進み方に戸惑ったけれど、段々にパズルがはまるように見えてくるものがあり、特に、自称「吸血鬼」の吉屋(ヨシュアと読めたりもするところがいいよね。)の不可思議さ&面白さに、新しい物語を読む楽しさを味合わせてもらった。
恩田さんを思わせる“筆者”が、東京を主人公にした戯曲をあれこれ逡巡しながら書き進め、また、その脚本が劇中劇よろしく語られるところもよかった。(#^.^#)
筆者とその友だちB子が東京をそぞろ歩く話、「趣味で」人相見をする“新橋の狐”さん、(たぶん)ゴジラが東京に上陸してしまうその夜の恐ろしさと同時に滑稽さ、など、SFなのか、エッセイなのか、エンタメ小説なのか、その混沌さがとても面白かった。
今、一度読んだだけなので、これからもう一度読み直します。きっと二回目の方がずっとこの奥行ある話を楽しめるだろうから。
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なんか不思議な本。
歴代の自己を記憶として保有する吸血鬼・古屋
戯曲エピタフ東京の執筆を進める筆者の街歩き
東京を見る目、思考をたどるはなし。眠くなるけど興味深い。
短い編で気にかかった事象や風景を描き、必ずしも解決するでなく、というエッセイ的な運びは柳田国男の遠野物語を彷彿とさせるような。
吸血鬼の視点、戯曲の世界が挟まって描かれて、着地点はというと?openingと称した怪獣襲来、震災直後の日記を記した最終章が解せない…
東京という街に共存する過去と未来と意識と不思議を見つめて受け入れるはなし?
東京の墓碑銘「いつまでも幸せに暮らしました」
お金かかっている単行本。本文用紙の色や挿絵がカラフルで印象的。ササキエイコさんの挿し絵がすごい。
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東日本大震災を経て、東京五輪へ。少しずつ変貌していく「東京」―。その東京を舞台にした戯曲「エピタフ東京」を書きあぐねている“筆者”は、ある日、自らを吸血鬼だと名乗る謎の人物・吉屋と出会う。吉屋は、筆者に「東京の秘密を探るためのポイントは、死者です」と囁きかけるのだが…。将門の首塚、天皇陵…東京の死者の痕跡をたどる筆者の日常が描かれる「piece」。徐々に完成に向かう戯曲の内容が明かされる作中作「エピタフ東京」。吉屋の視点から語られる「drawing」。三つの物語がたどり着く、その先にあるものとは―。これは、ファンタジーか?ドキュメンタリーか?「過去」「現在」「未来」…一体、いつの物語なのか。ジャンルを越境していく、恩田ワールドの真骨頂!!
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ジャンル分けが難しい作品である。エッセイかと思えばドキュメンタリーでもあり、ファンタジーでもありながら戯曲でもある。「筆者」を主語にしたエッセイ風の部分は、実際に著者の日常ではないかと思ってしまうほどエッセイのようである。だがその中に、知らず知らずのうちに何百年にもわたって別の躰にやどり続けているという吸血鬼・吉屋の語りにのめり込み、かと思うといつのまにか、とあるマンションの一室に集まって宅配弁当を作りながら仕事を請け負う女たちの物語に惹きこまれている。それはあたかも夢の中で、次々と場面が切り替わるのになぜか辻褄が合ってしまう不思議さのような感覚である。そしてまた、東日本が大きく揺れたあの日に、別のなにかも人知れずほんのわずかずれ、その世界をさまよっているのかもしれないという心地にさせられる一冊でもある。
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東日本大震災を経て東京五輪へ。
少しずつ変貌していく東京を舞台にした戯曲
「エピタフ東京」を書きあぐねている筆者は
吸血鬼と名乗る謎の人物と出会い…。
吸血鬼って、鏡にうつらないって、知らなかった。
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最近、恩田陸がまた面白くなってきた。元々好きな作家ではあったけど、ここ数年、夢違ぐらいしかお気に入りはなかったのに、去年ぐらいから私の好みの感じばかり。この作品もオチはなに⁉︎って気持ちはなくもないけど、それも含めて恩田陸らしくてよかった。
2016.2.27再読。
わりと早いスパンで読み返したのにもかかわらず、ほとんど内容覚えてなくてびっくり。でもこのストーリーらしいストーリーがない感じなのが好き。
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一般的な小説が、時系列に沿って連綿と繋がっていくものだとすると、本作は無数の断片が積み重なっていくもの。
本作中に描かれる断片だけでなく、過去の恩田陸の著作や、これまで自分自身が感じてきたこと、見てきたことなど、すべて重ねて、各断片の共通する点が混ざり合い、反する点が反発しあい、複雑な文様を作り出していくことを感じてそれを楽しむ。
そういう小説。
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東京という都市の色、音、気配。
墓碑はその場所にいたものにつけられる
のではない気がする。
何処の誰がいつ建てるものなのか?
気づかないんだろうな、たぶん。