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投稿者:ほっけん - この投稿者のレビュー一覧を見る
この話には角が生えたわかりやすい鬼は出てきてません。人の中にある見えざる鬼を表した作品です。鬼交の官能的な文章が凄い。花瓶を表現するだけでもここでも官能的に表現できるとは。鬼情の問答は上下に分割された独特の文章となっております。鬼想は2ページ程短さですが、はっとさせる内容をお書きになるのが凄い
紙の本
目には見えない鬼
2016/04/03 11:08
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投稿者:更夜 - この投稿者のレビュー一覧を見る
まず何よりも装丁が美しい本。
電子書籍ではわからないような手触り。
それがうれしい。
京極夏彦さんの「談」シリーズの第四弾目だそうです。
このシリーズは、具体的な怖いものを出さずに、雰囲気で醸し出すものが多いので、わかりやすい、を基準にしている読者には不評なのだ、と読み終わって調べてみてわかりました。へぇ。
京極堂シリーズ他を読み込んでいる人は、もう、タイトルや著者名を隠して文章だけ読めば、もう、京極夏彦さんの本だってわかります。
独特の漢字やひらがなの使い方。たたみかけるような予感や不安、惑い。
予感、不安、惑い・・・そんなものが「鬼」であって鬼というのは見えないものなのだ、という事がわかります。
見えないものをどう表現するか、がこの本で挑戦していること、というより京極夏彦さんはいつも「見えないもの」と人間の隙間に潜む闇を見続けて、書き続けてきたと思います。
この「談」シリーズでは、上田秋成の雨月物語をリライトしたものも2編入っています。
私は、幽霊、霊などを信じないのですが、最近寺めぐりをしていて、ふと、雰囲気を感じる事があります。
今、寺といってもとても現代的な建物だったりしますが、中に入ると気のようなものが漂っている寺があります。
まさに京極夏彦さんの描く世界はそんな「気」を描いているので、わかりやすい鬼とか妖怪だったら
水木しげる先生の本とか読めば、絵でわかるのではないでしょうか。
京極夏彦さんは水木しげる先生の大ファンでしたから、水木しげる先生の描く妖怪たちを見えなくして、雰囲気で文章にする、という事をされていると思います。
はっきりとした結末とか、大団円とか、めでたしめでたしはないけれど、それでも、各短編は余韻を残します。いいとか悪いという善悪を決めるものではなく、見えない予感、曖昧な記憶、人間のどうしようもなさ・・・そんなものに潜む怖さ、それが鬼なのでしょう。
紙の本
独自の世界
2015/10/18 00:06
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投稿者:テラちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
独特の世界を持った作家である。氏ならではの世界といった方がよいか。おどろおどろしい、などとは平凡すぎる表現で好ましくないのだが、情念やら、鬼やら、この人でないと書けない、すなわち京極ワールドがあり、今回もまた、それがいかんなく発揮されている。
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『 』談シリーズの最新作は『鬼』。
このシリーズは、派手さは無いものの、じわじわと心に残る短篇が多く、今回もその点は前作を踏襲している。時代ものが印象的だった。
毎回、装丁がいいのも個人的には嬉しい。
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『雨月物語』と、オリジナルの「鬼」にまつわる怪談集。
秋成リスペクトもオリジナルも、どっちもじわっとじっとりこわい。
特に『鬼気』がこわいこわい。
ところで、雨月物語はそれなりに読んだつもりなのだが、ちっとも思い出せないってばー^^;
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「~談」シリーズ第四弾。
このシリーズ独特の“厭な感じ”は期待(?)を裏切らず。
人の業の怖ろしさにゾっとします。
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感想はブログでどうぞ
http://takotakora.at.webry.info/201504/article_4.html
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「」談シリーズ四作目。
三作目は正直そんなに…という感じだったので今回はどうだろうと思っていたが、結果とても楽しめた。
装幀も相変わらず凝っていて良いと思う。
個人的に好きなのは『鬼想』『鬼縁』。
最後にぞっ(ドキッかな…)として厭な話だなぁと思ったのは『鬼気』。
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狭間の世界。心の狭間、現実の狭間、他人との狭間‥‥ そこにいるのは鬼、オニ、隠‥‥ 覗き込んで見えるものは???
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鬼にまつわる9篇。
やーー、○談シリーズ好きだけど、とくに幽談以来の好きな感じで。
特に見慣れぬ近所の建物と失われた記憶の「鬼景」、叔母との対話でぞっとさせられる「鬼棲」あたりが特に好き。
やー、面白かった。
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近年はやや寡作気味か。京極夏彦さんの新刊は、「○談」シリーズの第4弾に当たる。正直評価に困るこのシリーズ、前作『眩談』は、比較的わかりやすかったが…。
テーマは鬼。多くの日本人にとって、鬼といえば赤い顔で角を生やしたステレオタイプなイメージが思い浮かぶが、本来鬼とは見えぬものだという。本作に描かれているのは、概念としての鬼。という理解で正しいんでしょうか、京極先生。
『エロティシズム12幻想』というアンソロジーに収録されていた「鬼交」。ええと、京極流の官能小説でしょうか。京極作品として最短であろう「鬼想」。たった2pで、八百人の子供の首を斬り落とさればならない理由がわかるはすがない。
解釈に悩む2編が続き、先が思いやられたが、続く「鬼縁」は実にわかりやすい。僕が思うに、物語としての完成度は、本作中最も高い。しかし、江戸時代と現代、2つの時代が交錯した結末は、あまりに救いがない…。
「鬼情」「鬼慕」の2編は、上田秋成による江戸後期の読本『雨月物語』がモチーフだという。何やら禅問答のようなやりとりが続く「鬼情」。何やら男女のやりとりが続く「鬼慕」。うーむ、鬼の本質に迫った作品なのか? 原著を読んでみたい気はする。
「鬼景」。おいおい、超高齢化社会の現代でも、こんな事例は聞いたことがないぞ。怖いというより、哀れか。「鬼棲」。一見普通の伯母と甥の会話だが、サイコホラーっぽいと言えなくもない。でも、この2編、鬼に関係あるようなないような…。
「鬼気」。謎の女に後をつけられる男性。それだけでも気味悪いが、彼の家庭事情が追い打ちをかけ…。オチは読めたが、社会派作品か。最後の「鬼神」は、唯一救いを感じる。疫病で滅んだ村を出て、少年が分け入った先には…。
京極作品といえば、あのシリーズやあのシリーズははどうなっているんだと言いたくなるが、本作もシリーズ前作から6年も経過していた。待った甲斐があったかどうかはわからない。このシリーズは不条理さが売りだが、一部を除き難易度が高かったというのが正直なところである。容易に正体を掴ませないからこそ「鬼」なのだろうか。
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全体的に後味悪いというか、それが持ち味なんでしょうけど。
鬼景は怖かった。
鬼気も怖かった。
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久しぶりの京極さん。○談シリーズは思わせぶりの短編なので、それなりに楽しめる。鬼っていうのは、心の中にいるのですね。心の鬼が一番怖い。
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このシリーズは本当に読んでいて気持ちが悪くなってくる。わかっていて読んでいるんだけれど。書いている京極さんの術中に完全に落とされてとても読後感が悪いです。いえ、わかって読んでいるんです。そういう本です。
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怪談短編集。それぞれの作品タイトルに「鬼」とつくし、「鬼」がテーマではあるけれど。いわゆるステレオタイプの鬼はまったく登場しません。でも鬼の存在は感じ取れるし、恐ろしく感じました。
お気に入りは「鬼情」「鬼慕」。それぞれ「雨月物語」が下敷きになっているのだけれど、原典の魅力も残しながらひどく斬新にも感じました。おぞましいけれどどこかしら美しくも思えてしまう作品です。