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警察小説のシリーズ化は如何?
2018/09/21 18:23
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投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
佐方検事シリーズで一躍名を挙げた柚月が放つ小説である。間もなく文庫化されるそうである。柚月はどんな分野の小説を書くのかがまだ定まっていないようであるが、警察、検察に絡んだもの、あるいはそれに関するミステリーといえば大雑把過ぎるかもしれない。
本書は警察あるいは殺人事件絡みである。事件の発見シーンがなかなか見事に出来ている。しかも全く異種の事件の発生出るところが面白い。その異種の事件がつながるところが味噌である。最初の殺人事件の発生場所は鎌倉・七里ガ浜の別荘だった関係から、神奈川県警と鎌倉署の合同捜査である。
鎌倉署に捜査本部が設置され、県警捜査一課の警部補と鎌倉署の若い女性刑事のコンビが二つの事件を紐解いていく。ストーリーだけをみれば、随分手間をかけて読者に理解させていると見えるかもしれない。しかし、自分が本当に捜査に加わっている如く、リアルに描かれているところが本書の特徴であろう。
最近テレビで見た番組で、著名人の小中学校の同級生が今何をしているかをテーマにしているものがあった。本書のツボはこの連鎖である。犯人はその連鎖の最も遠い端を担っているのだが、それだけ離れていれば自分の正体は分からないと踏んだようだが、それを捜査本部、2名の捜査員が突き止めてしまう。
その過程が面白いのである。捜査本部の通常の捜査がどこまできめ細かく行われるのか、あるいは部下の足で稼いだ材料を捜査一課長や管理官がどの程度取り上げるのかは不明である。しかし、それが上手くいく例が本書であると言えるのであろう。通常はここまでやっているのかどうか分からない。
ここで登場する若い女性刑事は大変気が利き、相棒の警部補が珍しく感心する場面が描かれている。このコンビもシリーズ化してはどうであろうか。いずれにしても佐方検事シリーズのように、この神奈川県警の2人をまた登場させてもらいたい。
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さあどうでしょう
2018/11/30 13:47
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投稿者:ガンダム - この投稿者のレビュー一覧を見る
内容は一切触れません。一つ言えることは前半部分がそれぞれ伏線になって
来ます。面白いかどうかは袋とじにします。読むか読まないか。
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一気読みの作品
2015/08/08 13:34
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投稿者:紗螺 - この投稿者のレビュー一覧を見る
巧みなストーリーテリング、二転三転する筋のおもしろさ。この作者の作品としては最初に読んだ検事物のような骨太さには欠けるが、緻密なプロットと手に汗握る話の勢いは磨きがかかっている。ネタバレになるので内容は書かないが、このミステリには登場人物のある症状が深く関わっており、その扱い方が非常に興味深い。ある程度予測しながら読んでいるつもりでいても、途中であっと驚かされた。終盤の事件解決は怒涛の勢いといっていいほど一気呵成に進むが、このミステリの主眼はむしろ事件の過程にあると思うので、描き方としてはこの点もよかった。読み終わる頃には表題のつけ方の巧さにもため息をつく。
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あることをきっかけに心に病を抱えた主婦、高村文絵が、昔の同級生に偶然出会ったことで事件に巻き込まれていくお話。
飽きさせない展開で、いよいよ刑事に謎が解けてきたあたりまでは楽しんで読んでいたのだが、最後の最後、犯人が語る種明かし部分がなんだか陳腐な感じ。
ミステリとしてはプロットも見事でいいのかもしれないけれど、小説としては文絵がそしてどうなったのかまで書いてこそ、なのじゃないかなあ。そこがとても物足りない。
面白く一気に読めただけに残念。
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2015.6.3リクエスト
2023/04/30
8年ぶりに再読。
冴えない主婦、高村文絵は学生時代の友人に思いがけず会い、リュミエール化粧品の販売を始める。
友人、杉村加奈子は人前に出られない事情があり、文絵が化粧品会社の代表となり、セミナーで公演するようになる。月50万という破格の条件、仕事のパートナーは飯田章吾というイケメン、疑うことなくのめり込む。
刑事、秦圭介と中川菜月が捜査をするパートが、文絵のパートと交互に語られる。
鎌倉に建つ高級別荘で、田崎実が頭部をワインボトルで殴られる、という殺人事件が起こる。
他の方のレビューにもあるように、中川菜月が美人刑事と書かれている点は不要だと思う。出来すぎ感があるほど、気の利く仕事をする。
加奈子と知り合ったとされる中学校に行き、小学校を調べ、実家を調べ…とどんどん遡り、サングラスの女を突き止める。
その女が全ての殺人事件の犯人、杉村加奈子(真野知世)。
数々の人間をだまし、自殺に見せかけて殺害、金を奪う…最後は相棒である田崎実(飯田章吾)までも殺し、オーストラリアに高跳び。
聞き込みをする中、細かいことを覚えている人がやたらいたり、ATMの明細を拾ったり、インターポールまで参入してオーストラリアに飛んだり、諸々あったが、最終的にはうまく逮捕までいく。
映画やドラマだとスピーディでおもしろいのかも、と感じた。
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娘二人と旦那、四人家族の主婦として母として生きる文絵はある病を患っていた。それは解離性離人症と呼ばれるもので、極度のストレスなどによって引き起こされる病だった。文絵にとってのストレスは、束縛の激しい夫、言うことを聞かない娘たち、そして何より肥え太った醜い自分自身だった。ある時、懸賞で当たったディナーショーで、中学の時の同級生に再会する。同級生・加奈子は、美しく、成功者だった。加奈子は文絵に、かつてのように美しくなって、加奈子が取り扱っている化粧品のセミナーの講師にならないかと打診される。そう、中学生の頃の文絵は確かに美少女だった。マルチなのではと疑いながらも、美しさを取り戻していくうちに、セミナーの仕事でも成功していく。この幸せが永遠なのではないかと思ったその頃、事件は起きた。
最近事件の当事者と、どっかで起きた事件の捜査風景を交互に織り交ぜて最後繋がりますよって流行ってるのかな。よく見かける。後半になって捜査が進展していくあたりはスピード感あってよかったけど、ちょいと結末があっさりだった。文絵さんが立ち直っているといいけど。謎が繋がって解けていく捜査は良いんだけど、正解に辿り着く手掛かりが神懸かり的な偶然すぎてもやっと。まあ実際そういうことで事件が解決するかもしれないんだから完全犯罪と胡座をかいてちゃいかんということかな。
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騙しの連続です。
中学の同級生から化粧品のセミナー講師を頼まれた主婦。
鎌倉の貸別荘で男が殺される。
神奈川県警の刑事が鎌倉署の美人刑事と事件を追う。
事件は殺人だけではなかった。
騙しの連鎖が事件を過去へ過去へと繋げて行く。
甘い話には気を付けよう!
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面白かった。ラストの展開がすごい。秦と菜月のコンビが良い感じ。ウツボカズラ。食虫植物。他人になりすまし、甘い話で獲物を寄せ付け、金を搾り取れるだけ搾り取ったら姿を消す。
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面白かった。人を食い物にして、別人に成りすます。
人の心の弱いところをつかんで引っ張り込む。
まさしく食虫植物。
ただし、ウツボカズラは美しい植物ではないけれど。。。
でも、魅力的だと思う。
どうやって甘い匂いをだすのか、
一度入ってしまった昆虫は
なぜ出て来られないのか。。。
そして、どれくらいの時間をかけて溶けてゆくのか・・・
残酷で自分本位。
とても引き込まれた話だった。
秦の複雑な心情と菜月の刑事という職業に対する思いと
犯罪以外にも感じるところは多かった。
続編があるならば、ぜひ、菜月の成長を見たい。
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ミステリーにはよくある話。犯人も動機も最初の段階である程度は見えてくる。映画っぽいつくりの話。もう少し本格ミステリーかと思ったけど、イマイチ残念。
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確かによく練られ、作り込まれたミステリーではあると思います。ただ、凝れば凝るほど目立つのがご都合主義というもの。刑事側にとってあまりにも都合よく進んでいく展開にはかなり興ざめさせられました。
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こういうストーリーを読むと誰を信じてよいのやらまったくわからなくなります(¯―¯٥)
まさに「人を見たら泥棒と思え」、「うまい話には裏がある」ストーリー。
わかってはいても騙される心理ってこういうことなんだなあ。
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巧妙に仕掛けられた完全犯罪。その罠に陥った主婦・高村文絵。中学の同級生・杉浦加奈子と再会したことから事件に巻き込まれる。
タイトルのウツボカズラのように他人になりすまし、甘い話で獲物を寄せ付け、金を搾りとれるだけ搾りとったら、姿を消す。そうやって生きてきた犯人。身近にそんな人間があらわれたら・・・と思うとぞっとする。ラストは納得。
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事件の流れを軸に読むならいいのかもしれないが,主人公が誰ということもないような感じで,私には取り付き難い感じがした.マルチ商法にしてもいろいろな詐欺にしても,他人事とは思えない.気をつけよう.
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罠にかかっていくのが分かったので、初めの文絵のところは読むのが辛かった。
ウツボカズラがどんなんか気になって調べてみたら、気持ち悪かった。犯人の所業にぴったり。
途中のトリック?は、三人称なのに!って思ったけど、驚いてページを繰る手が止まらなくなった。