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本屋さんで手に取った時、その装丁や物語に描かれた舞台から、てっきり翻訳小説だと思った。第2次世界大戦のヨーロッパ戦線なんて、当事国の作家であろうが、日本の作家であろうが、膨大な調査の上に想像力を積み上げていくしかないだろうと、変に納得する。巻末の主要参考文献の多さにも同じく納得と敬服。
『このミス』2位と、ミステリーとして評価されているが、青春小説として十分読みごたえがあった。僕らの青春にもクラブの仲間がいて、若い感性で物事をとらえ、情熱があふれていた。この小説の主人公の青春には、そこに戦争があり、殺す・殺されるという状況があった。戦争とはいえ人を殺すという経験は年齢を重ねるにつれダメージが大きくなるだろう。失われた命が過ごすはずであった人生を想うと押しつぶされそうになる。
大戦40年後のおだやかなエピローグは東西体制が崩壊したからこその場面だ。東西体制が崩壊するまでにもどれだけの戦いと犠牲があったことか。その戦いと犠牲にも40年たたないとエピローグは訪れないだろう。
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これは戦争小説?ミステリー?
作者の筆力は認めるが、何かミステリーが付け足しのような気がして落ち着かない。
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これを読み始めてすぐにたまたまhuluでバンドオブブラザーズを見始めたんですが、そっくりなぞるような描写でノベライズかと思いました。
オマージュていうのはどこまでなのか私はわからないのですが、誰か教えてくれませんか。
ドラマの内容にミステリー要素はないのですが、、この人はドラマのあの人で、、、と思いながら読んでしまい、、、、
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ノルマンディー降下作戦が初陣の、19歳のアメリカ兵ティム(通称キッド)が主人公。
キッドはコック(特技兵)であるが、料理のシーンよりも戦闘に参加するシーンが圧倒的に多い。そして、兵士の日常がものすごくリアルに淡々と書かれている。
戦場で起こる、不思議な出来事の謎を仲間と解いたり、仲間の事を思いやったり喧嘩したりという、ミステリー&青春ものでもあるけれど、戦争の日常が心にずっしりと、来る。
数少ない料理のシーンの中で心に残ったのは、「ソーセージと林檎の円盤ロースト」(P-91)
輪切りの林檎にソーセージを乗せ、ブラウンシュガーを振りかけて(手で温度を測った)180度のオーブンで焼くメインディッシュ。グリとグラのカステラ級の名品ではないでしょうか。
345ページ2段組みで、最初はちょっと読みづらく感じたけれど、それまで気づかなかった伏線が最後につながって、一気に読んでしまった。伏線を知った上で、もう一度最初から読み返したくなりました。
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著者の年齢から、かなり調べないとここまでかけない 素晴らしい
タイトルほどコックというものが浮き彫りにはされていない
各章が謎とき風になっている
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主人公が特殊兵の軍コックになり、戦地で戦友と過ごす日々のなかでふと沸いてきた謎を解決していく様を綴る青春戦記小説です。面白かったです。
タイトルから受ける印象ほどコックらしいことをしていないなあと最初は思っていましたが、話が進み戦況が悪化するにつれて前の章で出てきた些細な食べ物、飲み物を思い出すことが多くなりました。
例えばソーセージと林檎をローストしたものだったり、少女につくってあげた芋をラードで揚げてチーズと魚の缶詰をかけたものだったり、敵の兵糧を暖めるシーンだったり、塹壕のなかで飲むあたたかなコーヒーだったり、敵の将校が寒いなか背中を丸めて啜ったブランデーだったり。
食べることは生きることだと思うので、人が紙切れみたいに死んでいく戦場でこそ食べることは映えるのだなと思いました。
序盤はまだ軽く、皆でわいわいとやっている様がいとおしかったですがそれだからこそ終盤の悲しさが胸に来ます。
最後主人公が親友の手を借りて成し遂げた作戦はすごくいいなとおもいました。
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これをミステリーと呼んでいいのか、戦争小説と呼んでいいのか迷うような内容です。上下2段組で394ページに渡る長編ですスラスラと読み進めていくことができます。内容はコック兵を主人公にしたノルマンディ上陸から終戦までのロジスティクス(兵站)内を中心とした前線での不可解な出来事を核にした反戦小説だと思う。
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久々の良作。かなり良かったです。読みやすく展開もさすがでした。こういう良質なミステリに会えると嬉しくなりますね。
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第二次世界大戦時のアメリカコック兵である主人公が身の回りで起こる日常の謎を仲間たちと解き明かす連作小説。人の命が簡単に消えてゆく戦場で,若者たちは何を感じ,どう成長してゆくのか。戦争小説・ミステリ小説・青春小説の要素を兼ね備えた読み応えのある1冊です。
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面白かった。それぞれ個性のある若者。戦時下だったからこそひたむきに生き、濃密な時間を共にすごした彼らに引き付けられた。
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臨場感溢れる戦場シーンは海外文学の翻訳小説を読んでいるような世界観!とても濃い内容で、まるで作者が実際に見て経験したようなリアリティに驚くと同時に、作品に引き込まれました。また、戦争が日常化した彼らにとっての”日常の謎”は、作品での戦争の闇をより濃くしています。簡単に命を失う戦場だからこそ、”食べる”という生きるための行為が映えるのだと感じました。自分の持つ戦争や兵役への印象・考えがきっと変わるはずです。ぜひとも一度、手に取って頂きたい作品です!!(学生)
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第二次大戦中にコック兵として従軍した男たちの物語。最近グルメっぽい話が受けたりするからそのたぐいの話かと思ったら・・あんまり食事のシーンとかはなかった。
周りの兵士の予備のパラシュートを酒と引き換えに集める兵士や600箱の粉末卵の消失、などどっちかというと日常の謎系の連作短編・・・かとも思ったんですが。途中からまたちょっと雰囲気変わったり。
いや面白かったです。変に暗すぎず、かといってただ明るいだけの底の浅い話に終始するでもなく。同じような謎解き話が続くのかと思ったらまた変化球を投げ込んできたり飽きさせない作り。バランスがよく完成度がとても高い一冊でした。
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それはいつまでも心に残る、非日常の中の日常。
<日常の謎>というのは、間違ってはいないんだけど、人は死ぬよな、戦場だし。というのが最初の印象。よくこの話を書こうとしたな、というのが、正直な感想。あと、折り込みに入っている紹介が、どうして本編にないマンガ風イケメン揃いの挿絵なのか、誰か回答をください。総じてミステリ好き、サブカル系女子向けなんだろうなあ。
1944年、アメリカ合衆国南部ルイジアナ州の田舎町、実家は雑貨店のティモシー・コールはコックとして戦場に向かう。第一章からノルマンディーだ。中途半端に第二次世界大戦の連合国軍やレジスタンスに知識がある身としては、登場人物の死を覚悟して読む。確かに戦闘はあるが、“キッド”ティムと親友のエドが挑むのは、<日常の謎>だ。大量に集めた予備のパラシュートをどうするか、消えた大量の粉末卵はどうなったか、オランダ人夫婦の隠した家族の事情、前線に現れる幽霊の正体など。でも、たわいもない謎に見えて、その背後には哀しい答えが隠れている。そして、その傍らで戦争は進み、仲間も敵も死んでいく、もしくは去っていく。
ティムも希望を捨てないわけではない。最後までほがらかな“キッド”ではいられない。戦争では人の異常性、残忍さ、脆さが明らかになる。どうして人は戦争をするのか。どうして人は優しいままでいられないのか。どうして敵味方を作ってしまうのか。本当の戦争なんて知らない。でも、戦争の怖さはなんとなく感じられる。それだけでも、戦争なんてしたくないと思うのに。だが、何かを守るために、「敵」をやっつける、その行為に快感を覚えるのも同じ、否定できない感情なのだ。単なるミステリじゃないと思った。戦争を体験していてもしていなくても、人はいつも何かを悔いて、問いただして、ifを考えて、過ぎた行いは許されることのないと知りながら、癒えない痛みに悩み続ける。それしか、ないのだ。戦場で、小さな安らぎを得たり、感覚の麻痺に怯えたり、人の知らない面に突き放されたりするように、”日常”でも。
ティムの強さは、食べるのが好き、というところにあった。食べることは、生きること。祖母のレシピは彼の命綱だった。食事を作るのは、命を生みだすことに近い。彼の手にある食事の匂いは、命の匂いだったのだろう。
魅力的な人物が次々と出てくる。ユダヤ系のエド。彼は家族に恵まれなかった。彼は軍隊に生きる場所を見出し、同時にティムの優しさを尊び、彼を励ます。エドがティムに遺したものは大きい。アメリカ軍兵士になりすましていたゾマー。反感から始まった一緒に過ごした日々ゆえに、ティムは彼を家族のもとに返すと覚悟を決める。そして戦後もティムは彼を案じる。プエルトリコ系の陽気なディエゴ。彼は悲惨な戦闘から精神を病んでしまう。彼との断絶はティムを変えた。衛生兵のスパーク。最初は嫌なやつかと思ったが、態度に隠れた彼の優しさ、面倒見の良さは、エドを失ったティムを確実に支えた。人たらしというのか、交渉術に長けた美男子ライナス。そして彼にはアルコール中毒の父親と育った過去が作った面倒見の良さがあった。通信兵のワインバーガー。作家志望の彼は、戦場の悲惨��に竦みながらも、決して倦むことなく、戦争を批判していた。鋭い目つきのミハイロフ中尉。信頼のおける上官であり、戦争を機にのし上がろうとする野心家であり、また話のわかる人でもあった。婦人飛行部隊のテレーズ。公平さと優しさを備えた好人物。将来までは予測がつかなかったが。彼らの日常は決して甘いものではなく、優しいものでもなかった。戦争ものと考えると、想定内の辛さで、むしろ結構な生存率かと思うが、ただ命があったからと言って、めでたしめでたしではない。ただ、読む前に想像していたほどではなかった。そこは救い。
どうでもいいことだけど、スパークのイメージが某兵長でしかないんだが。もうそれしか思いつかないんだが。それで産婦人科とか笑うしかなくて、自分の脳内を恨む。
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最初、翻訳物だと思ってました。
アメリカ軍側から見た「ノルマンディー上陸作戦」の時の話。戦争物だと思って読んだら、よくある戦争物とは全く別。
戦争を舞台にしているので、多少のグロさはあるものの、戦いがメインではなく、後方支援の食事係が主人公の、暖かい話です。
予想以上に面白くて、深緑さんの他の著書が気になります。
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真珠湾攻撃を 待ってましたとばかりに参戦するアメリカ 進んで志願兵となるアメリカの少年達 ドイツの勢い ヨーロッパの状況 ノルマンディー作戦 既に充分知られていることを軸に 現場での生々しい出来事をドラマティックに積み上げて進んでいく上手い作り方
1941年 ・・44年 ・・45年 物語の時代背景を心に準備しながら 最後までひきつけられて読んだ おもしろい体験だった
映画「禁じられた遊び」で空爆によって孤児になったフランスの女の子と 文中の遺児とがぴったり重なって 心に引っかかっていたが 長いドラマの最後に 思いがけない展開があり 心があったかくなった
生々しい戦争体験を伝える人が少なくなってしまった今 この本の役割は大きいと思う