紙の本
救われなかったシンデレラたち
2017/11/17 21:48
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投稿者:pinpoko - この投稿者のレビュー一覧を見る
北欧の王道警察小説のシリーズ第一弾。
特に目新しい点はないのだが、他の方の言っておられるように、とても読みやすくテンポがよかった。ヒロインが普通なら猪突猛進の熱いタイプであることが多いのに対し、民間出身の分析家タイプということで逆に操作チームの思い込みを修正するようなポジションにおかれているのが斬新だと思う。
ラストでは、かなり重要な決断をするヒロインだが、その過程にもやや醒めた点が感じられた。
タイトルの「シンデレラ」は、子供たちのことかと思って読んでいたが、どうもそれだけではなく(実際、誰も救われていない)、犯人やその協力者となった女性たちも含まれていると思われる。子供時代の虐待や放棄というのは、他人の人生までも破壊してしまう狂気にまで発展する可能性が高い。
こういう事件を目の当たりにした捜査チームの面々が、その後の自分の家庭生活にそれぞれの決断をくだす、その心の中に分け入ってみたかった。
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目新しいテーマではないし進行もシンプルやけど、捜査陣の人間模様はいい。
愛って複雑。人が複雑なんか。
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あらすじを少し見たときから面白そうだと思っていました。五百ページをこえる長編ですが、驚くほど読みやすく、とても楽しい読書となりました。シリーズも本国では続いているようなので、ぜひ翻訳の方よろしくお願いします。買って正解でした。
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女の子は座席で眠っていた。途中駅での停車時間にホームに降りた母親を置いて、列車は出発してしまう。そして終点で確認したときには、女の子は消えていた……。捜査にあたったストックホルム市警の敏腕警部は、少女の母親の別れた夫に目をつけた。どうやら母親は元夫に暴力をふるわれていたらしい。だが彼の部下で新人の女性警察官のフレデリカは捜査の方向に違和感を感じていた。世界27か国で刊行、大好評を博したデビュー作。訳者あとがき=ヘレンハルメ美穂
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また面白い北欧ミステリーが出た。やり手の捜査リーダーを筆頭に、私生活にいろいろ思う所のある警察メンバーが活躍するのは、北欧警察小説の王道。その中で新鮮なのは、主人公?の女性刑事が民間出身だということ。女性で若くて、民間時で、元音楽家で、研究者っていう型破りなところが面白かった。作者はこれがデビュー作らしいけど、完成度は高いよ。
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北欧ミステリ王道の私生活感たっぷりなチームが主役のシリーズ。決して愉快ではない葛藤や悩みを抱え、時には古い固定観念や狭量な女性偏見やらを見せ付けられてうんざりしつつも、最後まで面白く読めた。恐らくバラバラだったメンバーの確かなチーム力向上が、読んでいて新鮮かつ多少の爽快感を齎してくれたからだと思う。
ただ、個々人の私生活を詳細に描いていたにも関わらず、最後にそこに至った重要な経過がなぜか省略されている気がする。真犯人のその罪においても、なぜ?という疑問が残されたまま、真実は完全に解明されない。次作以降は国が抱える社会派事件らしいので、話が繋がっている訳でもないのだろうが、何となく気になる終わり方だった。
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2019.08.29.読了
まさにまあまあの仕上がりです。
装丁がかわいいのと題名がよいので読んでみました。
スリリングな始まりとフレドリカが少しずつ真相に近づく感じは読者心をくすぐりましたが、犯人の設定がめちゃくちゃ弱いんですよね。
えええっー!この人だったの?的なこともなく、過程でこちらが想像した犯人とはかけはなれたイメージ。
設定も弱いけど、犯人こそが弱っちいんですよね
もっとゴツゴツしたデンと構えた犯人像だったもんで。
現実の刑事事件もそんなにドラマチックなことが起こるわけじゃないのかもしれないけど、
そこは、小説なんだからもっと過激でいいんじゃないでしょうか
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スウェーデンの作家「クリスティーナ・オルソン」の長篇ミステリ作品『シンデレラたちの罪(原題:Askungar、英題:Unwanted)』を読みました。
「カミラ・レックバリ」、「ヴィヴェカ・ステン」、「ラーシュ・ケプレル」、「カーリン・アルヴテーゲン」、「ホーカン・ネッセル」に続きスウェーデンのミステリ作家の作品です… 引き続き、北欧ミステリ作品がマイブームとして盛り上がっています。
-----story-------------
列車から消えた少女の行方は?
女の子は座席で眠っていた。
途中駅での停車時間にホームに降りた母親を置いて、列車は出発してしまう。
そして終点で確認したときには、女の子は消えていた……。
捜査にあたったストックホルム市警の敏腕警部は、少女の母親の別れた夫に目をつけた。
どうやら母親は元夫に暴力をふるわれていたらしい。
だが彼の部下で変わり種の警察官の「フレデリカ」は違和感を感じていた。
世界27か国で刊行、大好評を博したデビュー作シリーズ第1弾。
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ストックホルム市警の「フレドリカ・ベルマン」のシリーズ第1作で、「クリスティーナ・オルソン」のデビュー作にあたる作品です、、、
もどかしさや唐突感のある展開が気になりましたが… 犯罪捜査にあたる個性的なメンバーが魅力的だし、お互いを理解できず反目し合っていたメンバーが、捜査が進むに連れて一体感を醸し出すという展開が印象的で、次作以降も期待させるシリーズでしたね。
■第一部 迷走
■第二部 怒りの痕跡
■第三部 回復の痕跡
■訳者あとがき ヘレンハルメ美穂
6歳の女の子「リリアン・セバスチャンソン」はヨーテボリ発ストックホルム中央駅行きの列車の座席で眠っていた… 母親「サラ」は、列車がストックホルム中央駅の手前のフレミングスベリ駅でトラブルにより停車していた際、ホームに降りて電話していたところ、通りすがりの女性に助けを求められ、相手をしているうちに列車は「サラ」を置いて出発してしまった、、、
だが、終点のストックホルム中央駅までは停車駅はなく、すぐに国鉄職員から列車に連絡を取ってもらい、乗務員が「リリアン」を見ていたので、なんの問題もないはずだった… 「サラ」はタクシーで列車のあとを追ったが、ストックホルム中央駅で車内トラブルで乗務員が「リリアン」から目を離した隙に「リリアン」の姿は消えており、濃いピンクのサンダルだけが床に残されていた。
ストックホルム市警の敏腕警部「アレックス・レヒト」のチームが捜査にあたることになった、、、
部下のひとり「フレドリカ・ベリマン」は、ケガによりバイオリニストの夢を諦め大学で犯罪学を学び、そこで得た知識を生かそうと警察に入ってきた民間採用の警察官… 人と関わることが苦手な彼女が、未だに男社会である警察を象徴するような「ペーデル・リュード」等の同僚たちとうまくいくはずがなく、ぎくしゃくした雰囲気が立ちこめていた。
「サラ」の交友関係を調べはじめた捜査チームは「サラ」の別居中夫「ガブリエル」に目をつけた… 「ガブリエル」はとんでもない男で彼女は暴力をふるわれていたらしい、、、
「アレックス」や「ペーデル」等は「ガブリエル」の犯罪と推理して捜査を進めるが、「フレドリカ」は、その仮説に納得できないものを感じていた… そして事件は思わぬ方向に向かっていく。
「サラ」のもとへ「リリアン」の衣類と毛髪が届けられ、その後、「リリアン」の遺体がウーメオの病院近くで発見される… 遺体は全裸で頭髪は全て剃られ、身体は洗浄され、額に「望まれなかった子」という文字が書かれ、爪はぎりぎりまで短く切られていた、、、
捜査を進めるうち、夫「ガブリエル」が大量の児童ポルノ画像を保有していたことが判明し、さらに容疑は深まるが… 犯行当日、「ガブリエル」は児童ポルノ愛好家のイベントに参加しておりアリバイがあることや、動機がないこと等から捜査は混迷する。
「ガブリエル」犯行説に違和感を感じる「フレドリカ」は独自に捜査を進め、ウーメオは「サラ」が高校卒業後の夏休みにバイトをしながら過ごした場所であったことから、この事件との関係性を疑う… そのうち、第二の事件が発生、、、
「マグダレーナ・グレーゲシュドッテル」と夫「トールビヨルン」の養子で幼児「ナタリー」が誘拐され、同じように衣類と毛髪が届けられた後、「マグダレーナ」が高校を卒業するまでに住んでいて、今は別な老夫婦の手に渡っている家で遺体が発見される… その遺体は、「リリアン」の遺体と同様に全裸で頭髪は全て剃られ、身体は洗浄され、額に「望まれなかった子」という文字が書かれていたことから、警察は同一犯人による連続殺人事件として捜査を進める。
二人の女性の過去… 堕胎したことがあるということが犯行に関係していることは途中で気付くのですが、うまーくミスリードさせられる仕掛けがあって、犯人は警察で助手をしている「エレン」の恋人「カール」なんだと思い込んでしまいました、、、
でも、違っていて… ホッとさせられるのですが、ここまで緻密に犯罪を積み重ねてきた真犯人は、焦ってきたのか、第三の事件で簡単に追い詰められてしまいましたね。
ちょっとあっけない終わり方だったなぁ… まっ、捜査チームの一人ひとりがプライベートで抱えている問題をエピソードを織り込みながら、事件を解決する過程で徐々にチームがまとまっていく展開は好感が持てたかな、、、
捜査チームのひとり一人や、事件に関係した人物たちのプライベートな人間関係を知り、改めてスウェーデンにおける家族の在り方の多様性を感じましたね… 国外から養子を迎えたり、息子が海外で生活していたり、妻子ある男性と付き合って妊娠し、産休や育休を取得したり と、日本では、まだまだ一般的ではないことが多いよなぁ。
タイトルにもなっている「シンデレラ」って、狙われた女性たちのことを何か比喩している言葉かと想像していたのですが… 真犯人が子ども時代に付けられていたあだ名だったんですねぇ、、、
「シンデレラ」って、「灰かぶり姫」って意味で、がりがりに痩せて、髪が長く、育ててくれているヘビースモーカーの祖母の煙の臭いと汚れた外見から、付けられたあだ名だった���は… これはわかりませんでした。
以下、主な登場人物です。
「アレックス・レヒト」
ストックホルム市警警部
「フレドリカ・ベリマン」
ストックホルム市警刑事。アレックスの部下
「ペーデル・リュード」
ストックホルム市警刑事。アレックスの部下
「エレン・リンド」
アレックスのチームの助手
「マッツ・ダールマン」
国家刑事警察の分析官
「ピア・ノード」
警察官。ペーデルの浮気相手
「ヒューゴ・ポールソン」
ウーメオの県刑事部警部
「ソニア・ルンディン」
ウーメオ大学病院の医師
「スチュアート・ローランド」
心理学者。FBIのプロファイラー
「レーナ」
アレックスの妻
「スペンサー・ラーゲルグレン」
フレドリカの恋人
「ジミー」
ペーデルの弟
「ユルヴァ」
ペーデルの妻
「カール」
エレンの恋人
「リリアン・セバスチャンソン」
行方不明になった少女
「サラ」
リリアンの母親
「ガブリエル」
サラの夫。リリアンの父
「テオドーラ」
ガブリエルの母
「マリア・ブルムグレン」
サラの友人
「アンデシュ・ニューストレム」
サラの恋人
「マグヌス・セーデル」
サラのかつての恩師
「ダヴィッド・ステンマン」
心理学の学生
「ヘンリー・リンドグレン」
スウェーデン国鉄の乗務員
「アルヴィド・メリーン」
スウェーデン国鉄の乗務員
「イェレナ・スコルツ」
"人形"。虐待されている女性
「ノーラ」
過去に虐待されていた女性
「マルガレータ・アンデション」
ノーラの祖母