紙の本
これはとんでもなく素晴らしい本かもしれない
2018/12/15 17:03
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yukiちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
出だしは、レムの「泰平ヨン」かラファティ、はたまた筒井康隆のように、とんでも法螺吹き話を掴まされたかと思っていたら、いやあ、とんでもない。
これは天下の奇書、または掘り出し物かもしれない。
まずは、タイトルが素晴らしい。本好きにはたまらないくすぐりがある。
前半は、下らないダジャレばかりで、「つまんないや。読み飛ばそう。」と思っていたが、
途中の白象とキノコの辺りから、「こりゃファンタジー? いや何か違う。」と思い始め、
最後は、この本は「愛の物語」だったんだと気が付いた次第。
登場人物がみな生き生きとして描かれていて、「うちの家族もこんなだったら面白いのに」と真剣に思ってしまった。
ちなみに、登場人物の中では、飛行機事故の生き残りである、ツンデレっぽい、「私」の奥さんが一番好きです。
紙の本
本そのものが好きな人なら共感できると思います。
2016/12/04 12:13
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:koji - この投稿者のレビュー一覧を見る
初見の作家さんです。
タイトルが秀逸だと思って手に取りました。
ジャンル分けなんてする必要もないのでしょうが、ファンタジーなのかな。
読み進めるほどに著者の「本」への深い愛情が伝わってきて、なんとも嬉しいような気持ちになりました。
あと、太平洋戦争時のボルネオ島での戦争の描写は胸に迫るものがあり、この部分を読むだけでもこの小説を買って読む価値があると思わせるものでした。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:moco - この投稿者のレビュー一覧を見る
あまり親父ギャグは好きではないので、しつこいくらいの言葉遊びに前半うんざりするところもあったが、それ以外はいろんな意味で意外性があり、とても楽しく読むことができました。
投稿元:
レビューを見る
2012年に刊行された本の文庫化。よく知らない著者なのだが、『増大派に告ぐ』に2009年の日本ファンタジーノベル大賞を受賞してデビューしたとのこと。
リズムの良い文章と語彙のセンスが非常に面白い。人情話のような盛り上がりもあり、純粋に『楽しい』本だった。
うちにも幻書が出てこないものだろうかw ロクなもんが生まれないとは思うがw
投稿元:
レビューを見る
インテリジェンスなユーモアたっぷり。
他の方もおっしゃっているように、戦争のところと、與太郎と幹の話が好き。
「おじりさん」のところが一番吹きました。
投稿元:
レビューを見る
序盤は独特の文体と話の脱線具合が酷くて読むのに苦労した。森見登美彦に少し似ているかな。話の筋は面白いし、現実と非現実が上手い具合に交差している部分は良く、途中からは話に引き込まれていった。多分好き嫌いは別れる作品だと思う。
投稿元:
レビューを見る
本好きのための夢のある童話、みたいな感じで好みでした!文章の雰囲気にクセあったけど最終的には馴染めたし、ユーモアもあって楽しかった。伏線回収、タイムパラドックス…いいエンタメでした。途中で飽きることもなく読めました。
おじいちゃんがうちの祖父に似てたのも愛着の一因かな。うちの場合は骨董品と骨董品の間からなんか生まれるかも。
投稿元:
レビューを見る
壮大なファンタジー!
最初は、読みにくくかつとっつきにくい、クドイ関西弁の語り口調もだんだん慣れてきて、読み終える頃には、
もう終わってしまうのか、と名残惜しい気持ちにさせられる。
圧倒的な描写力で、目の前に様々なシーンが流れていく、とても素敵なお話だった。
ファンタジーなのに、戦争の残酷さ、けして繰り返されてはならない事故のこと、戦前戦後の日本に起こったこと、その深い悲しみと虚無感を感じずにはいられなかった。
人は亡くなるとどこに行って何をしているんだろう、って誰もがきっと一度は考えて悩むことに、
素敵な答えを返してくれる、心が温かくなる素敵な作品。
投稿元:
レビューを見る
大阪の本好き一族版『百年の孤独』といった感じです。
語り手である土井博が、生まれたばかりの息子・恵太郎に宛てた手記、という形になっています。
そこには、昔から本好きたちの間でひそかに囁かれている「幻書」について、そして、自身の祖父母のことなどについて書かれているのですが、その、洒落っ気のある語り口調は、祖父の與次郎から受け継いだもののようです。
個性的で魅力的な登場人物たちの間に見える、知的探究心や本を愛する気持ちなどに、胸が熱くなったりします。
投稿元:
レビューを見る
読み始めは、何というか…これは奇書の類であろうと思ったものだ。
しかし読み進めるほどに、胸の中に何とも言えぬ安らぎが広がってゆくのが不思議だった。
雄の本と雌の本が睦みあって本を生む…などという奇天烈な設定なのに、このファンタジーが内包するとんでもなく長い歳月と愛すべき読書家たちの見た夢…あるいは見ることになる未来へと続く途方もない必然の蓄積の中で、その奇天烈さを見失わされてしまう。確かにあるのだな、そういうことは。いつの間にか腑に落ちてしまっている。
何にせよ、なぜかはわからぬし、私だけの感じなのかもしれないが、このファンタジーからは得体の知れない穏やかな幸せの空気が漏れだして、私を包んでしまう。深井家の痛快な人々には心底憧れる。いや、與次郎とミキが夫婦で交わすやりとりだけでも、そばで聞いていたいと思った。幸せは、この二人から醸し出されていることは間違いない。滑稽なのに…とてつもなく羨ましい。愛がそこにあるからなのだろう。
読み通してなお、私はこの本をもう一度読みたいと思っている。
軽妙洒脱。こんな素敵な本にはついぞ出くわしたことはない。ただし、そう感じる人がそう多くはないような気もしている。
私もラディナヘラで暮らしたい。死ぬまでに、私の書棚からも幻書が生まれてくれはしないだろうか。
投稿元:
レビューを見る
評がむずかしい。
面白かったような、冗長だったような。。。
一文が長いからか、一文のなかで行きつ戻りつ飛躍する感覚からか、それともその文体か、テンポよく読めなかった感じがして、もどかしい。
暇つぶしにはちょうど良いかもしれない。
投稿元:
レビューを見る
圧倒的な文字の厚みに読み進めるのに時間がかかりました。けれどこの感じ嫌いではない。
でも勢いで読んでしまったところがあるので、もっとたくさん本を読んで読書経験値をためてから、ぜひ再読したい。
投稿元:
レビューを見る
「本にだって雄と雌があります」
このタイトルに反応しない本好きはいるのだろうか。本が本棚の中でいつのまにか増えているのは、本が単性生殖しているせいだと私はずっと考えていたけれど(あるいはアメーバみたいに分裂している)、そうかそうじゃなくて本には雄と雌があってそれで増えているんだな、とこの本を手に取った時に思った。
そんな与太話を枕にこの小説はどんどんと壮大なストーリーになっていく。積み重ねられる与太話は次第に真実になり、歴史小説のような一族にまつわる謎と本の謎が交わりあう。一気に駆け抜けた読後感は爽快なのに不思議な沁みのような感覚を残す。
投稿元:
レビューを見る
本って、子供産むらしいですよ。
しかも羽ばたいて逃げますよ。
万城目さんや森見さんのような、独自世界へ
誘われます。
投稿元:
レビューを見る
タイトルに強烈に惹かれて手に取った本。
こういう時の自分の直感は驚くほどよく当たるのです。
ただ、すごく面白かったのに、とても時間がかかりました。
壮大な法螺話、みたいな。
関西弁の口語体で語られる独特の語り口、ちょこちょこ挟まれるくだらない(そこが良い)冗談。
かと、思えば壮絶な戦争体験が出てきたり、日航機事故を彷彿とさせる飛行機事故があったりシリアスな部分もある。
そして一番の魅力は夫婦の家族の、そして本への溢れる愛!
死語、本になってバサバサと天に昇っていくのも素敵だけれど、やっぱりいつかキナバル山を昇りきって図書館に辿りつきたい、そう願わずにはいられない。