紙の本
ひりつく夜の音に涙する
2016/01/16 09:39
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投稿者:GORI - この投稿者のレビュー一覧を見る
47歳食えないクラリネット奏者。
独身、貯金なし、かろうじて小さな一軒家はある。
楽しみは週1回のファミレスの朝食バイキング。
こんな中年の侘しい一人暮らしは、60歳が近づいた私にも共感出来る。
初めて読んだ作家の小説。
最近当たりの小説は多いけど、この作品は近年読んだ小説で1番をつけたい。
前述した侘しい話から昔の恋人の息子音矢との再会により物語は少しずつ動き出す。
深い夜の闇から少しずつ明けてくるように。
このあたりの書き方が上手い作家だと感じる。
物語は終盤、ギタリストの音矢との競演で最高潮。
そして主人公は恋人に再会する。
大切なものを守るために選んでいった事に気づく・・・ひりつく夜に男が涙する。
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最初の1ページ目で、惹かれました。どうして、47歳の男が泣いているのか?途中で、少しだらけるような気がするのですが、最後の20ページあたりから、若干、予定調和的ではありますが、そうなのかと思わせます。主人公よりも10歳も年上で、主人公以上に、くすぶっている自分もなんとかしなくてはと考えました。
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もはや枯れたような下田の静けさが、音楽への情熱に再び駆り立てられていくさまが無理なく描かれている。若く危うい音矢の情熱ではなく、円熟へ向かいつつもチャレンジャーとしての熾火が燃え上がったような静かな情熱。年が近い分共感できる。弁護士の岸と知り合い、トラブルを回避していくのは都合がよすぎるが、安心できるし、破滅型の話ではないから、それでいい。
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3分の2ほど読んだところで、話が動きだしました
ジャズ云々についてはよくわからないけれど、セッションの高まり、みたいなのが伝わってきた
1人の人物との出会いでここまで世界が広がるなんて!
一見関係ないようなフリーライターや弁護士との出会いも良いスパイスだったり
201511
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あまりうまく行かない人が出てくるのが小野寺さんの小説の感じ。
何と言っても、ひりつくというタイトルがいい。
音矢に惹かれる。
おしゃれな事はひとつも書いていないのに、センスがいい。
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決してドラマチックではない。いくつかの新しい出会いで、少し自分の生活が動き始める。そんな中年男性の日常。何となく本の中身はタイトル負け。バンド名に恥ずかしさを感じてしまうのは、非日常感からでしょうか…。
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主人公が先の見えない中年男性なので、暗い雰囲気のままはじまり、不安感や心もとない気持ちで溢れていたのですが、少しだけ先が見えてきたような…
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クラリネット奏者といえば聞こえはいいが、生活はカツカツの男の元にかかってくる1本の電話。若いギタリストとの出会いやファミレス常連との交流など。
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夜の闇をじっと見つめる男がいる。
部屋の電気も点けず、静けさの中から聞こえる闇の音に耳を傾けているのだ・・・・って、これはもう絶対
ハードボイルドでしょ!!。。。と思って読んだら大外れでした(笑)
主人公の男47歳。主食はちくわを挟んだ食パン。
楽しみは週に一度のファミレス朝食バイキング。
交通費を浮かせるためにせっせと歩き、一日500円と決めた食費を死守すべく日夜節約に励んでいるのである。
ちっともかっこよくなんかないけれど、ハードボイルドなんかよりずっと愛すべき男。
下手したら惚れてまうわ(笑)
人生後半戦に入って、何者にもなれなかった自分と対峙するのはなかなかにシンドイことなのだ。
若い頃と違って身の回りの小さな楽しみを見つけることが上手になり
何かを始める前に大体のことに予想がついてしまうと、新しいことにチャレンジ・・・なんてできなくなるのだよ悲しいことに。
でも、主人公は頑張りますよ!
中年男性たちよ、自分に負けたらあかんぜよ!
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下田保幸はクラリネット奏者だが,所属していたバンドが解散したため細々と暮らしている.警察から佐久間音矢の引き取り依頼があり,依然付き合っていた留美の子供と分かった.幸保はデキシーランドジャズバンドで演奏していたが,あまり仕事はなくリーダーの井村勝の死去が解散の引き金になった.いろいろ人が出てくるが,高校時代のブラバン仲間の鈴森朋子,フリーライターの高倉乃々の存在が大きい.二度目の呼び出し後,音矢を家に連れてきた保幸.音矢は家でギターを弾くだけだ.井村勝の一周忌ライブでバンジョウに開眼した音矢がのめり込むが突然家を出ていく.最後場面で留美が出てくるビデオを見て音矢の存在を再認識するところが良い.
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まぁ、小説としてはこんな構成かな?って感じ?
今時のトラッド系のジャズミュージシャンは一つのバンドに拘束されて解散したら仕事が無くなるような生活はしてないだろう…みたいな違和感がずっとあって、演奏部分の描写も今一つな感じで、もう一つきっちり取材して描いて欲しかったかな。
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小野寺史宜 著「ひりつく夜の音」、2015.9発行。クラリネット奏者、下田保幸、46歳の物語。高校ブラバン以来30年ぶりに出会った鈴森朋子との関係が爽やかです! 今月、小野寺史宜さんに出会い、この本が13冊目になります。
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クラリネット奏者の下田保幸46歳。所属していたディキシーランドジャズのバンド解散後クラリネット講師として細々と生計を立てている。
ある夜警察からトラブルを起こした佐久間音矢という青年の引き取り人として呼び出し電話を受けた。
保幸は、その名の響きに昔の記憶を呼び起こされたのだった。
自分が大事にするものだけを大事にするために、生活は最低限でも納得していた保幸。46歳男性としては頼りない気もしますが、芯の通った生き方がカッコいいなと思いました。
音楽を志す人達に成功者は一部しかいないのだろうと言うことは理解しているつもりでも、やっぱり切実だなと思わされます。
音矢との出会い、同級生との再会など、小さな偶然の積み重ねで道を開くことになった保幸。人生捨てたものではないなと思いました。
ディキシーランドジャズには明るくないのですが、後半はBGMにディキシーを聞きながらその世界観に酔いました。
著者の作品はどれもハズレ無し。私にとっては今一番気になる作家さんになりました。
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20190218-21これまでのハートウォーミングストーリーから一歩進んで極める努力が未来を拓くという新たな展開が読めて嬉しい。題名とイメージ違ったけど。
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地味な生き方を書かせたら天下一品と思っています。本屋大賞で大健闘した「ひと」、最新作「ライフ」も地味な生活を描き続けて少しのアップダウンで話が終わる本でしたが非常に面白いし、胸の中が温かくなる佳作であります。
本書は食パンでちくわを挟んで食べる描写が何度も出てくる位、じみーな日常を繰り返すものの、ミュージシャンが山盛り出てくる音楽話なので実際は派手な話なんだと思います。でも彼が書くとどこか牧歌的です。
音楽興味無い人は面白いかどうか判断付きませんが、音楽的な部分が濃厚なのでミュージシャン的な視点で読むととても面白く読めます。
牧歌的とはいっても、出会いや別れ、過去との再会、恋愛色々バランス良い話で彼の本としては起伏に富んでいます。でも不思議な事に彼の本は起伏無くてもなんだか面白いんです。