コミュニケーション、エネルギー、ロジスティックでシェアエコノミーが加速する
2023/10/09 10:34
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投稿者:Monty - この投稿者のレビュー一覧を見る
時間かかったけど、面白かった。まだモノやサービスの無料とまではいかないのかもしれないけれど、昨今は資本主義からシェアリングへの移行が加速度を増している印象。究極的には地球の環境改善(悪化させない)のため。学びが多い良書。
これからの未来図
2017/02/11 14:23
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投稿者:nakano - この投稿者のレビュー一覧を見る
とっても分厚い本です。が、IOT(モノのインターネット)が怒涛の勢いで進んでいる状況を歴史的な流れも含めて概観できる興味深い本です。
子供たちがIPADを当たり前に使い、ソーシャルネットワークサービスをごく自然に楽しんでいる今の日常は、明らかに自分たち(40代)の世代と感覚が違う世界に生きていて、そんな中今のIOTの流れが気になっていたので読んでみたところ、明らかに状況理解は深まりました。ところどころに歴史的考察まで含まれていて時折気が遠くなることもありましたが…、統治の形態として、政府、資本主義市場、コモンズがあり、インターネット社会に向いているのはコモンズ(自主管理活動の場)であるという主張を理解してもらうためにも必要なのかと思います。「コモンズ」という聞きなれない言葉の定義は明確ではなさそうですが、「コミュニティの成員による自主的な管理活動」といった感じなのかと思いました。世界の変化の速さに置いてけぼり感を感じているのであれば一読することをお勧めします。根気がいりますが…。
誰もが作り手で全てが無料に
2020/05/23 21:52
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
3Dプリンターの普及で、消費者と生産者の境目がなくなる日も遠くなさそうです。音楽・動画・電子書籍だけでなく、電力の無料化という大胆な予想にも驚かされました。
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投稿者:コク - この投稿者のレビュー一覧を見る
資本主義が大きく変わろとしている中、ひとつ新たな指針を示してくれています。
分厚いですが、何回も読み返したい一冊です。
IoTのインパクト
2016/01/09 00:29
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投稿者:oiaia - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ドイツを見習おう」とは思わないが、確かに日本人は変化を受け入れられにくい傾向にあって先進国の割には、一部の若者を除いて今起こっている第三次産業革命に気づいてない感がある。
などと偉そうに書いている私も、3Dプリンタがここまで進んでいるとは思っても見ませんでした。
医療従事者の一人として、第13章にある「患者主導の保険医療」と「誰もが医師に」は無視できません。
イノベーションを求められ、社外と繋がっていくうちに、これって資本主義の否定に繋がることに違和感を感じていましたが、この本を読んでそれがわかってきました。
レイチェル・ボッツマンの「フリー」や「シェア」よりも過激に読めますが、このくらいの意識を持っていてもいいのかもしれません。
所々でおかしなところに気付く
2021/06/19 22:53
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投稿者:FA - この投稿者のレビュー一覧を見る
昔の話だ。北京で聞いた話。レストランで出されるメニューで儲けが多いのは何か。海鮮メニューだそうだ。何故か。北京は内陸の大都市なので、海から遠く、エビやイカなど海鮮が手に入らない。手配して入手する。だから、費用がかかる。野菜や豚肉は、普段から手に入るので、お客さんは原価を知っている。しかし、海鮮は自分たちでは買わないので原価がわからない。だから、高値を付けれるので儲けが多く出るそうだ。
こんな話をしたのは、この作品では、費用をかからない社会がやってくる、って言ってるんだけど、本当だろうかと思ってしまったからだ。費用がゼロに近づいたとき、人々は、その商品の”本当の価値”に気付いて、賢くなってしまい、大きな儲けはなくなってしまうじゃないかと思う。
また、作者はエネルギーも再生可能エネルギーで限界費用ゼロを実現しているって言っている。設備を作るのに多額の投資が必要だし、自然相手だから、必要な時に必要なだけのものができるのだろうか。できなかったら、それこそ、費用倒れじゃないか。ゼロどころではないぞ。
IoTだって、サイバーテロがあるので、何でもかんでもネットにつなぐのが本当にいいのかなって思う。ドイツはその面が進んでいる、それに比べて日本は、ていうことを言っている。
所々でおかしなところに気付くという作品である。
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投稿者:病身の孤独な読者 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書にある未来構想はとてもありそうなことではあるが、結局は近いところまで来て途中で止まるのではないのかと思われる。確かに、『メイカーズ』(他)などでも同様の予想はされているが、現段階では難しいように思われ。
ただし、このような社会に着実に進みつつある。未来社会の予想の中では最もマシな論理ではあった。
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sub :モノのインターネットと共有型経済の台頭
限界コストがゼロに近づいていくことによる資本主義の衰退。共有型経済になるか。インフラ。
集中と分散かな?
IoT(Internet of Things)
C0098
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10年以上前に「水素エコノミー」を著した未来思想家。あらゆるリソースがインターネットを介してシェアされることで実現される限界費用ゼ口の社会。
ドイツのインダストリー4.0のきっかけ?IoTの重要性を説く論説。
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ネットワーク同士を相互に接続するのものがインターネットである。今、私たちがインターネットと呼んでいるものは、コミュニケーションのためのインターネットだ。これが電力のためのエネルギーのインターネット、輸送のためのロジスティックスのインターネットに拡張する。そこでは、様々な財やサービスの限界費用はほぼゼロとなり、希少性を奪い合う経済とは異なる価値に基づく、全く新しい経済体制が作られるという。
冒頭と巻末の大文明論と、中ほどの様々な実践の事例紹介とのスケールの乖離は感じるものの、この三つの「インターネット」が実現する潤沢さにもとづく社会を構想することはとても魅力的だ。
問題は、その実現までこの世界が持つのか、ということだろう。
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限界費用がゼロとなると、資本主義においては価格を付けることができず、そこから利益も生み出せない状況になり、利益の創出を前提とする資本主義を崩壊させる可能性があるという。いわゆるシェアリング・エコノミーによる協働型社会の出現である。もちろん、シェアリング・エコノミーは一部ではすでに実現している。代表的な例では2015年になって日本でも多くの人が知ることとなったUberやAirBnBがある。著者の主張は、限界費用ゼロの経済原理はさらに広がり、2050年までには世界の大半で経済生活の大半を占める結果として、現在の資本主義社会を根本的に変えてしまうということである。それは、希少性や交換価値ではなく、潤沢さや使用価値・シェアを経済活動の中心に置くということになる。
著者はIoTインフラの専門家で、ドイツが進めるインダストリー4.0の提唱者の一人でもある。IoTへの取り組みは各地で進んでおり、巨大企業のGEのIndustorial Internet、CiscoのInternet of Everything、IBMのSmarter Planet、SiemensのSustainable Cityなどがその例だ。インフラには三つの要素 - コミュニケーション、エネルギー、輸送 - があるが、IoTはこれらのシステムと連携し単一の稼働システムとして協働させるものだという。IoTは中間業者を一掃し、このようなインフラの限界費用をほぼゼロにできるのだという。IoTを実現するための技術要素にかかる費用はどんどん低下しており、例えば無線ICタグは1年で4割価格が下がり、今ではひとつ10セントもせず、ジャイロや加速度センサ、圧力センサなどのセンサ類もこの5年で8~9割下がっているという。エネルギーについても太陽光発電により限界費用をゼロに近づけることができるという。自動運転の進化も輸送インフラに影響を与えるだろう。3Dプリンティングや、認知を得られつつあるMOOC (Massive Open Online Course)、なども製造や教育の状況を変えるであろう限界費用ゼロ社会の象徴だ。
本書では、最後に日本版のために特別に書き下ろした章がオリジナルから追加されている。「日本は、限界費用ゼロ社会へのグローバルな移行における不確定要素だ」から始まるこの章は、日本ついてのやや一般的ではあるものの、適切な批判がつづられている。「その苦境を理解するためには、日本の現状をドイツの現状と比べてみさえすればよい」とIoTなどの新しい技術に対する国家としての取り組みの差についてドイツとの比較で語られる。メルケル首相が2005年に就任したとき、著者が新しい指導者に招かれて将来社会の変革について意見を聞かれたという贔屓目を差し引いても、ドイツと日本との取り組みに差があるのはその通りだと思う。ドイツにもユーロ問題はあろうが、世界から日本がどのように見られているのかが垣間見られて暗鬱になる。
もちろん日本に向けたメッセージなので、日本の持つ潜在能力についても言及してもらっている。二十世紀に成し遂げた成果、超高速インターネット接続インフラ、再生可能エネルギー源(太陽光、風、地熱)はどこにも負けていない。このままだと二流国に落ちぶれるが、日本のもつ力をIoTを活用した明日の限界費用ゼロ社会に振り向けることができれば、世界を導くことに十分貢献できるだろう、というどっちの���果になっても間違いがない言葉で終わらせているのはご愛敬だ。
夢中になって読んだかと言われるとそうでもない。どちらかというとコンサル的にきれいに(楽観的かつ空想的に)まとめすぎのような気がする。たくさん数字が出てきて興味深いのだが、何かごまかされている感じがするのはそのせいかもしれない。それでも、こういう社会の認識の変化には備えないといけないのだろうなと思う。20年前にインターネットや携帯ネットワーク・端末が今あるように進化をして、世界を変えるということは想像しなかったし、GoogleやFacebook、Amazonといった企業がここまで台頭して生活を変えるということを想像してみることもできなかった。そういう意味では、エネルギーや輸送インフラの将来像については丸ごと信じるわけではないが、大きく変わるということと、その大きな方向性については同意する。そういった数十年かつグローバルな世界の変化について考えを巡らせるきっかけになるということにはなるのかと思う。
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資本主義では、新しい技術により生産性を上げ、売り手が前より安い単価でより多くの財を生産することを可能にし、より多くの財が供給されれば、それに対する需要が生まれる。その過程で、競争者は独自の技術を発明して生産性を上げ、自らの財をさらに安く販売し、顧客を取り戻すか、新たな顧客を惹きつけるか、をせざるを得なくなり、この過程全体が永久機関のように稼動する。
この競争過程の結果としてこれ以上ないというほどの「極限生産性」になるとすれば、無駄を極限までそぎ落とす技術を導入し、生産性を最適状態まで押し上げ、「限界費用」すなわち財を一単位追加で生産したり、ザービスを一ユニット増やしたりするのにかかる費用はほぼゼロに近づくことを意味する。財やサービスの生産量を増加させるコストが実質的にゼロになれば、その製品やサービスがほとんど無料となる。
IoTは、この無駄を極限までそぎ落とす技術となる可能性がある。すでに、3Dプリンティング、MOOC,再生可能エネルギーによる発電、自動車の自動運転など、その兆候が現れ始めている。IoTの要は、コミュニケーション、エネルギー、輸送の3つのインターネットを、緊密に連携した稼動プラットフォームにまとめ、連携していくことである。これらの流れの中で、生産性が上がり、限界費用がゼロとなり、商品サービスがほとんど無料となることで、資本主義が縮小していく。資本主義拡大のための生産性の向上が、逆に資本主義を縮小させることになるのである。
資本主義の縮小に伴い、分散型、協働型、水平展開型といったインターネットの特徴を活かした、協働型コモンズが台頭する。コモンズは、封建社会の崩壊と近代的な市場経済の台頭、資本主義体制への移行で終止符を打ったかに見られたが、何百万もの自主管理組織や慈善団体、協同組合、信用組合など、シェアというその精神は細々と生き伸びていた。現在、自動車や宿泊施設、患者主導の医療情報ネットワークなど、共有型経済ともいえるコモンズが台頭してきている。これは、いろいろな方面で、ますます伸びていくであろう。
日本は、諸外国と比べてIoTへの対応が遅れている。特に、エネルギーは、原発事故後、諸外国が原子力発電所を縮小に向かわせているにも関わらず、近年再稼動の動きが見られ、化石燃料への依存度が高く、再生可能エネルギーへの転換が遅れている。日本は今、歴史上の岐路に立たされている。日本が、企業家の才能を発揮し、技術を動員し、潤沢な文化的資産を活かせれば、限界費用ゼロ社会と、より平等主義的で豊かで、生態学的に持続可能な時代へと、世界を導くことに、十分貢献できる。
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IoTでコミュニケーション、エネルギー、交通などが限りなく無料に近付き中央集権型の資本主義から分散型の共有経済へ移行するのがデジタル革命の本質であると、資本主義の歴史を含め、様々な事例を持ち出して説明する。Twitterの黎明期にもお金だけではなく信頼をウッフィーで表現するなど共生経済的な話が盛り上がりましたが、あまり持続しませんでした。SNSだけの情報のやりとりでは無理があったのが、IoTで現実味を帯びてきたということでしょうか、とても興味深く読みました。
ちなみにタラハント氏がその著書「ツイッターのミクス」と使った「ウッフィー」はコリィ・ドクトロウ氏の著書であるSF小説「マジック・キングダムで落ちぶれて」からの引用で、この小説は各自の脳が直接ネットに繋がっていたり、肉体が死んでも意識のバックアップから再生できるなど、究極にデジタライズされたIoE世界です。
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IoTとは何か?を求めてたどり着いた本です。著者には見えている明日、それが明確な分だけ、見えてない自分には戸惑いを感じさせます。だけど、きっとそんな明日はきっと来る、という確信も芽生えます。ドイツのインダストリー4.0の意味もなんとなくわかったような気がします。インターネットが創り出す社会の変わり方ってこれからなんですね。それにしてもこういう大きな視点でテクノロジーを語ること、日本でも盛り上がるといいな、と思いました。
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コミュニケーション、エネルギー、輸送という3つの分野でのイノベーションが経済的発展に寄与してきたという筆者のフレームワークは新鮮で、首肯すべきものであった。
特に近年、インターネットの普及により、電力、輸送、製造のコストが劇的に低下するというシナリオにも同意できる。
しかし、市場経済を「悪」と見なし、現在のイノベーションが市場経済を駆逐し、筆者が「善」と考えるコモンズが取って代わるという予想には同意できない。
筆者は博識かつ洞察は鋭いと思うが、それらをすべて、この予測の牽強付会の材料にし、押し付けがましく感じた。