紙の本
素敵なストーリー
2017/07/29 01:00
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投稿者:のれんのれん - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公のような素敵な出逢いがしたいなと思いました。
苦しいことが数々起こりますが、出逢ったときの熱い気持ちはずっと持ち続けられる、そう思えるお話でした。
登場人物それぞれの人生やその時その場面で抱く感情・思い。
それをなぞりながら読み進めていける作品です。
紙の本
ふたりが織り成すもの
2020/08/05 13:15
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
クラシックギターの奏者と、ジャーナリストとのつかの間の逢瀬が美しいです。異国の戦争から身近な震災まで、社会的な背景も取り込まれていました。
紙の本
俗っぽい舞台だからこそ純愛の色が映えるのです。
2017/12/27 09:50
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投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る
マチネとは午後の演奏会という意味です。
読後、リンドバーグ夫人著の「海からの贈り物」の中の一文を
思い出しました。
四十から五十にかけての時代は第二の開花であり、
第二の青春でさえあるという文章です。
それは人生の午後の始まりであり、仕事本位の生き方から、
それまで考えてみる暇もなかった知的な、また、精神的な
活動に時間をさいて過ごすことができるようになると。
主人公は蒔野聡史、三十八才です。
著名なクラシック・ギタリストで当たりが柔らかくて人を
惹きつけるのに、ギター一辺倒の独身です。
結婚はしないとのと聞かれたら、いまは音楽が大事ですからと
本気で言っちゃうような人です。
ある時レコード会社の担当者が、コンサートの終わりに
楽屋を訪ねてきました。隣には目を惹く女性がいました。
実は蒔野は、演奏中からその人の存在に気がついていました。
一階の招待席に座るその人はいったい何者なのかと
気になっていたのです。
蒔野のはやる気持ちが手に取るように分かります。
髪の流れ方を見て、鼻筋を見て、眉を、そして二分ほど
開き残したかのような大きな瞳を。
一目ぼれです。
身もふたもない言い方ですが。
初対面でどんだけ観察しているんだとつっこみたくなります。
小峰洋子という名前ですが、しかしその人にはアメリカ人の
婚約者がいるのでした。
こんな出会いですから、二人の間は二転三転し、
それどころか四転五転と翻弄されていくのです。
人生の後半に訪れる夢物語で、二人の身にふりかかる
困難が安直だからこそ、育まれる純愛が際だってくるのです。
毎日新聞で連載されていた小説です。
読者の年齢層や嗜好が意識された感があります。
困難に直面した時の心理描写が微に入り細に入り
描かれていますので、濃いめの味付けの小説と思います。
ドラマ化される可能性を感じますし、ヒットの予感もあります。
シンプルな純愛小説です。
ラストの余韻もいいですし、万人受けする一冊だと思います。
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投稿者:山羊。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本の主題みたいなものはありがちですが、 なぜかそうとは感じさせない、ストーリーが素晴らしいと思います。長い小説ですが、飽きずに読み通す事ができます。あと、装丁も綺麗で本棚にしまっても、映えます。大人が読みたい小説です。
紙の本
平野さんの思想が詰め込まれた一冊。
2016/08/12 11:45
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投稿者:鶴 - この投稿者のレビュー一覧を見る
以前平野さんの講演を聞いたことがあるが、その際話していたことが小説内の登場人物にも反映されていて、そういった意味では平野さんは素直な人物なんだと思った。
異常なひねくれをさせず、あくまでも現実に近い人物描写が上手い。途中の展開はベタだが、それをどう進行していくかはやはり作者の手腕による。良かった。
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何て静かで清らかな時間だっただろう・・・。
気が付けば読書に没頭していた。
仕舞いには、自然と涙が溢れ出していた。
note で連載を読むことができた為、
ずっと携帯で小説を読んでいた。
第九章の始めまで電子媒体で読んだが、
やっぱり本が出てから全てを読みたいと思い、
note での閲覧をストップし、上梓を待ちわびていた。
第九章まではもう一度同じ話を読むことになったのだが、
二回目に読むと登場人物を既に知っている為
また違った読み方ができる。
より深く、登場人物を辿ることができた。
純文学は苦手でほとんど読んでこなかったが、
平野先生の作品はそんな私の心も鷲掴みにされる。
何て美しい文章、美しい登場人物
美しい情景なのだろう。
世界中の人に読んで頂きたい一冊。
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蒔野、洋子、早苗それぞれの恋愛感を描く純愛小説。
三人三様の思いに対してどうして、なぜともどかしさを感じることも多々あるが、もし自分がその立場だったらと思うと切なく納得してしまう。
色々な想いを巡らし、我慢していく結果、不幸になっていくのかと思いきや、最後はほっこりと終わり救われた。
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久しぶりにその世界に没頭できる小説だった。もうちょっと音楽的、文学的素養があれば、さらに楽しめそう。同世代だから共感できる気持ちも多かった。
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平野さんの小説。前から気になっていたけど読めてなかったもの。実はあんまりきちんと読めなかったし、読んでて苦しくなって、休憩しながら読んだ本。”ある男”は距離感を持って物語を眺められたけど、この本は所々自分と重ねるところがあって、客観視できなかった。まだ消化しきれてない。
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読みが足りないのかもしれないが、私は好きじゃなかった。
「相手を思うからこそ関係を絶つという愛」というが、そのようなものは本当に死ぬか生きるかの瀬戸際でしか発揮されない(それでも絶つくらいなら死を選ぶという選択肢もありうるとは思うけれど)と思う私は、薪野と洋子から相手に対する”真剣さ”を感じられなかった。(”真剣さ”があった人物といえば、良いか悪いかは別としてある意味三谷くらいかな)
そもそも薪野と洋子が別れるに至らなくてはならなくなった理由というもの(三谷が作出したものだが)がありきたりで「え?それ?」というくらい拍子抜けしたし、薪野が見る洋子が、”ソリッチ監督の娘”、”才色兼備の女性であること”(つまり周囲に見せびらかせる)という部分がやたらとクローズアップされていて、そのミーハーさが鼻につく。
なんだかんだ言って、心にモヤモヤを持ちながらもろくに行動もせず妥協に走った男女なのにここまで情熱的な恋愛小説みたいに持て囃されるのがよくわからなかった。それが大人の分別というならば、それは内心努力をしたくない言い訳に過ぎないと私は思う。
なので、彼ら2人の考えや台詞と行動との間に矛盾を感じたのだった。
結婚生活がつまらない人、少しでも妥協して結婚をしたと思っている人、旦那や奥さんよりも好きな人に出会ってしまったと言っているような純愛ぶった不倫をしている人達なら、このような小説はかなりの慰めになるのかもしれないと思った。慰めというより、陶酔(現実逃避ともいう)と言った方がいいかも。
少なくとも私は彼らのような人生は歩みたくないなと思った。
ただ、音楽や文学作品、聖書に至るまで様々な引用があるのはとても好奇心が刺激され面白い。小説を通した選書のような感じで読む分にはとても良いと感じた。
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一言で言うなら 抗わない大人の愛。
感情が自分の為にあり無意識の欲求を孕むのなら、理性が相手の為に働き愛を育むということなのかな…
「未来は常に過去を変えていける」がキーワード。読書なのにギターの音色が聞こえてくる心地良さ…。
再読を心待ちする時間さえ愛しい。
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この小説を読むことによって、読んだ日のタイムスタンプが読者の人生に永遠に刻まれるとともに、それより過去への認識と、それから未来への展望の全てが決定的に更新されてしまうことでしょう。ここで語られた男女(あるいはその周りの人々)の多くの経験は、読者自身の認識と展望にいかようか結びつき、小説と並行して自身の新たな物語が展開され—それは一人称かもしれないし三人称かもしれない—小説の感動的なラストを迎えた時には、余韻に浸る間もなく、自らのまだ終わっていない物語に対峙することになりますが、小説のラストに引きずられるところもあり、この物語の行く先にポジティブな展開を予感させてくれることでしょう。
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昔テレビで、『未来日記』という番組があった。
見ず知らずの男女が未来日記に書かれたとおりの言動をしなくてはいけないのだが、次第に惹かれあう二人が最高潮に達する直前で無惨にも引き裂かれてしまう。
日記に翻弄される様は涙を誘い、感動を呼んだ。
ギタリストの蒔野聡史とジャーナリストの小峰洋子。独りよがりな恋愛に突き進むほど、彼等は若くない。
それぞれ大人な対応をしていく中で描かれるアーティスティックな描写と二人の距離感が心地よく読む手が止まらない。
読後に誰がいい、悪いと話をするのはそれこそ大人ではないのかもしれない。
充分に官能的で、充分に芸術的で、充分に感傷的な、悲劇であり喜劇だと思う。
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最後のページを読み終わって、自然に「美しい」という言葉が心の裡に浮かんだのは、この本が3回目である。(他の2回は三島由紀夫『春の雪』とヘッセ『クヌルプ』)
「過去は変えられる」というテーマが全体を貫くモチーフとなっている。これは平野氏が提唱してきた「分人」と並んで、人々にとって救いとなる考え方じゃなかろうか。
人は他者との関わりによって、自分が生きてきた人生の意味を変えてしまうことができる。“私”の過去を肯定し、さらにその意味をポジティブな意味に変えてしまう人をこそ、人は心から愛するのだろう。
余談だが、平野氏の文章が好きな理由の一つに、幼児のしぐさが慈愛に溢れた優しい視線で描かれているというのがある。子育て経験のある人なら誰でも思わず目を細めてしまうと思う。
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とにかく面白くて一気に読んでしまった。心理描写がとてもしっくりきて、主人公2人に共感できて仕方なかった。過去は変えられる。本当にそうだな。愛の形をまた新たな角度から分析することができた。