紙の本
ええ話やないかー!
2017/05/09 15:32
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投稿者:とめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「陶芸」という「冒険」を著者はNHKの連続テレビ小説のように描いている。「良い」ではなく「好い」と表現ができる感性は「楽園のカンヴァス」を思い出させてくれる。
紙の本
がっつり美術系。白樺派と交流のあった陶芸家のお話。
2017/05/06 00:51
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投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る
バーナード・リーチという英国人の陶芸家と、助手で苦楽を
ともにした沖亀乃助のお話です。
原田マハさんお得意の美術系小説です。
全464頁ありますが、読ませる力はますます強くなり、もう
ちょっと読みたかったという思いが残るほどでした。
心理的な引っ掛かりが少ないので再読はしないと思いますが、
つるつると読めるベストセラー的な作りをうまく取り入れてあり、
知識欲を満たしてくれる魅力のある作品でした。
ドラマチックな部分がもう少し強いとベストセラーになり得ると
思いますが、演出がやや控えめなので読んでいて落ち着きます。
ようするに気に入ったのです。
横浜の大衆食堂で働いている亀乃介。
高村光太郎が渡米する前に、偶然店に立ち寄ります。
亀乃介は絵を描くのが好きで、お店の壁に何枚か貼ってもらって
あります。お店に来る常連の外国人と亀乃介が英語で会話を
するのを聞き、高村光太郎が声をかけます。
自分は高村光雲という東京美術学校の彫刻の教師の子で、
書生になる気があれば高村家を訪ねていくようにとのこと。
亀乃介は、母が住み込みで働いている食堂で一緒に住んで
いましたが、十才の時に母が亡くなると、自身が働く立場に
なっていました。親父さん女将さんに感謝しつつも、これ以上は
迷惑をかけられないとの思いから高村邸の門を叩き、運命が
回り始めます。
高村邸で書生をしていると、突然背の高い外国人が現れます。
その人こそがバーナード・リーチです。
英語を生かしてリーチの助手となり、師弟関係が始まります。
リーチは陶芸を日本で学び、英国に持ち帰って融合させ、
新たな表現を広げた人です。実在の人物です。
白樺派とも交流があり、武者小路実篤・志賀直哉などの
文学者や、岸田劉生など聞き覚えのある名前が出てきます。
一番の理解者は柳宗悦という方で、民藝運動に尽力された
とのことです。
むかし授業で習ったはずなのですが、白樺派の役割はすっかり
忘れていました。日本で積極的に印象派を紹介し、西洋美術
の取入れに寄与した話などは、非常に興味深いです。
原田マハさんは、印象派にまつわる著作が他にもありますので、
専門なのでしょうか。どこまでが史実か分かりませんが、
印象派の存在が陶芸にも何らかの影響を与えたことを知り、
作品のダイナミックさも併せて楽しめました。
印象派と日本の関りは、明治維新でいろいろと遅れていた
日本社会の中で、西欧で認められた数少ない分野であり、
読んでいて気持ちがいいものです。
他にもそんなお話がないか、知りたくなってきました。
紙の本
土に触りたくなる。
2017/02/19 10:36
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投稿者:mescal - この投稿者のレビュー一覧を見る
民藝。陶芸。
美術史として学んで知識として頭の中に入っていた面々が、この書籍の中では個性を持って動き、絡みあっていた、
二次元が、三次元、四次元になって。
史実との兼ね合いもあるので人それぞれだとは思うけど、、
読んでる最中から土に触れたくてたまらなくなった。
連載時の佐藤直樹さんの挿画もまとめて欲しい。
紙の本
受継がれる思いを紡ぐ
2017/02/02 21:16
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投稿者:GORI - この投稿者のレビュー一覧を見る
個性のあるものを創り出そうとする人たちの情熱が熱い。
人と人が出会い、言葉を尽くして、分かり合い、お互いを高めていた時代。
人が人を助け、生まれた技術・作品を受継ぎ、新たな創造が生まれる。
日本に行ったら実家に頼れと渡されたメモを頼りに日本に来たリーチ。
日本に本当の芸術を広めたいと強く思う白樺派の人たち。
今の時代だったら人のためにこれほどまで尽力出来るかと思う程、当時の人たちは何があっても応援してくれる。
そうしなければ、これほどの偉業は生まれず、人にも受継がれなかったのが分かる。
なんだか、今の時代に生きている事がもったいないと思わされる程、羨ましい人たちの物語を読ませていただいた。
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民衆の用いる日常品の美に着目した柳宗悦は、濱田庄司や河井寛次郎らとともに無名の職人達が作った民衆的工芸品を「民藝」と名付けた。
民藝運動に参加した富本憲吉、バーナード・リーチら。
マハさんお得意の史実に基づいた、心躍るフィクション作品♪
リーチとともにイギリスに渡り、リーチ工房を開いたカメちゃんとハマダの帰国に涙・・・。
・・・「いってらっしゃい」と涙をのんで見送る愛するシンシアを残してきたのに、カメちゃんは昔気質の生真面目な男ゆえ・・・ダメじゃん!日本で結婚しちゃ!!しかも無名のまま病没とは非情ですなぁ~~。。。
ま、おかげで息子の高市が晴れて凱旋(?)する運びとなるわけではありますが。
でも、シンシアも生涯没頭できる仕事に出会うことができて、それはそれで幸せだったのかもねー。
芸術と恋愛、どっちをとるの?っていったら、愛する人には芸術をとってもらいたいもんね。悲しい別れが待っていても。そこで恋愛とっちゃったら、結局興醒めしちゃいそうだしねー。
どっちもとって両立できる優秀な男だったら言うことなしなんですけど、物語にはならないかもねwwwww
・・・って、この本も「日本民藝館」創設80周年特別展のための宣伝だったのかしらん?w
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今回は陶芸。バーナードリーチと柳宗悦、濱田庄司、高村光太郎などの明治・大正・昭和の日本の芸術の巨人たちと、
架空の主人公との交流の話。
陶芸について、その良さなどはよくわかりませんが
民藝に関しての評価や、工芸と芸術、陶器に対しての
美の感覚については少しわかったような気がします。
ただ、最後のエピローグは少々蛇足のような気がします。
なにもかもうまくいってしまっていて、、少し都合が
良すぎるような、ハッピーエンドで終わりすぎているような
それもとってつけたような気がします。
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西洋と東洋の陶芸を学び、日常的に使われる生活の器に美しさを見出した英国人、バーナード・リーチ。
明治42年、彼は、英国留学中の高村光太郎に出会い、初来日を果たした。
リーチが訪ねた高村家には、やはり偶然に光太郎に出会い、芸術家を夢見て高村家を訪ねてきた書生の青年、沖亀乃介がいた。
リーチと、柳宗悦ら民藝運動の旗手たち、白樺派の芸術家たちの活発な交流のそばに、当初通訳として寄り添い、やがて助手としてリーチとともに英国へ渡った亀乃介=カメちゃんの、陶芸への愛と情熱と友情に満ちた物語。
亀乃介が、師と仰ぐリーチに向ける絶対の信頼、どこまでも暖かい愛情をもって亀乃介をを見まもり導くリーチ、ただひたすらに美と独創性を求める若き芸術家たち、誰もが輝いている。
偶然にも、柳宗悦と民藝運動の展示会を楽しむことが出来た。
リーチをはじめ、作中の登場人物たちの作品を実際に目にして、感動ひとしお。
カメちゃんの作品はないけれど…
実用的で端正な美しさを持つモノたちは、どれも静かに展示されていた。
日本の手しごと、大切に伝えていって欲しいものです。
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日本のうつわ文化のなかで欠かせない存在であるバーナード・リーチ。
今でも窯元さんに行くと、大ベテランの陶工でリーチ先生に会ったことがある人から話を聞くことができますが、親しみと尊敬の念たっぷりでリーチ先生のことを話される理由がわかったような気がします。
柳宗悦、高村光太郎ほか白樺派の人たち、濱田庄司、河井寛次郎といったビッグネームだけではなく、沖亀乃介という無名の陶工の目を通してリーチ先生が描かれたことで物語に奥行きが出ている上に、のちの「民藝」のスタンスがより明確に浮き彫りになっていました。
明治から大正にかけた東西の芸術の交流や、それに尽力した人々の熱い想いも大きな見所。情報伝達手段がなかった時代のこの時代の「見たい・知りたい・伝えたい」という欲求が突き動かす力はとてつもない。
芸術をめぐる壮大な冒険に心躍る小説でした。
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マハさんの小説の中では一番分厚いと思う
今回は、バーナード・リーチという実在の陶芸家が
明治の末、日本語も話せず、ただただ情熱を持って来日
そこで知り合う、大切な人たち
名もなき人も、高村光太郎、武者小路実篤、岸田劉生など
誰もが知っている芸術家の方々も、
たくさんの出来事と勇気を持って進んでいく様子で
フィクションもたくさんあるんだろうけどちょっと伝記っぽい
感動というより、ああ、よかったと安心する感じ
長いので、少しだけ飽きてしまう部分も正直あったな
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海を渡って日本に来て、陶芸を学びイギリスに帰ってからも広めたリーチ先生。
その広めた陶芸工房が未だにイギリスで続いている事実に凄く感動した。
良いものは良いと思える素敵なリーチ先生の心にほっこりした。
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あたたかい師弟関係と日本にとどまらない高い志は民藝好きのみならず、心を動かされる。個人的には好んで各地で民藝を見たり、ロンドンのV&A Museum にもセラミックを見に行った者として、これほどに憧れの登場人物満載なワクワクするお話は他にない。本作はマハさんの作品の中で最も素晴らしく、何度も読み返したい一冊となった。
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西洋と東洋の芸術を融合し、新しい陶芸の世界を切り拓いたイギリス人陶芸家バーナード・リーチ。
単身来日したリーチと、リーチの弟子になった亀之介。そして白樺派の人達との出逢い。
それぞれの人達の芸術への思い、陶芸への思い、人への思いがストレートに描かれている、とても読後感の気持ちいい作品です。
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原田マハ 著「リーチ先生」、2016.10発行です。バーナード・リーチ(1987.1.5~1979.5.6)という陶芸家を通して、陶芸(芸術と工芸を結びつける「用の美」)の素晴らしさを紹介しています。同時に、(それ以上に)人間の情熱を、日本と英国のつながりを、師弟(リーチと沖亀乃助)のつながりを、父と息子(沖亀乃助と高市)のつながりを、男と女(亀乃助・高市とシンシア)の世代を超えたつながりを・・・、見事に描いた464ページ、原田マハさん、感動の大作(史実に基づいたフィクション)です!
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初読。図書館。原田さんのアート小説に外れなし。アートに造詣が深いのはもちろん、アートやアーティストに対する愛が作品に注がれている。亀ちゃんは架空の人物らしいが、彼の視点から描かれるリーチ先生と彼の出会う多くの日本人芸術家との交流は時代の息遣いを感じさせてくれる。芸術が個人の探求であると同時に、大きな潮流をつくる活動であった輝かしい時代。ラストは自然と泣けます。
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日本とイギリスの陶芸の橋渡し役となったリーチ先生と助手亀乃介、そして濱田庄司らの仲間達との「陶芸」と言う名の「冒険」をたっぷり楽しんだ。実在の人物なので、史実に基づくのだろうが、陶芸への熱意が面白く伝わってきた。最後まで来て、プロローグを読み返し、そしてエピローグを楽しんだ。