紙の本
期待していたのに・・・
2017/03/23 13:55
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投稿者:黒酢 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本の内容および音喜多氏の都議として資質に期待していたが、読後感はガッカリとしかいいようがない。
本の内容は、音喜多氏のブログの内容を基本にしつつ、表現をマイルドに修正したり、説明を補充したりとして、書籍として読みやすいものとなっています。
しかし、以下の点が、よくわからない。
「舛添問題とは何だったのか」という項があるが、答えがインチキくさい。本の結論をここに書いてしまうと、「民意です」とあるが、それって「闇を暴く」という割には表面的な話で終わりか!という印象しかありません。
なお、舛添氏と公明党の関係については一切記載はありません。
二元代表制では議会はオール野党でよい!「知事与党」なんていらない!という一方で、「小池新党」の必要性についての説明は、ゴニョゴニョゴニョ(p142)。
豊洲の「盛土」問題について、説明をした事務職の都職員も建物の下に盛土があると思い込んでいたのだから、都議が正しい事実を把握する等のことは「非常に難しいのもまた事実です」と言いつつ(p164~165)、当時の石原元知事の責任に言及するのも(p167)、なんか読み手のテンションが下がります。
建設公債について、その趣旨である、「世代間の公平性」について疑問を呈するのは良いのですが、都から転出する人は、建設時に税金払っても完成時に受益できないから「公平性の観点から著しく不平等です」(p173)という理屈には、なんか原理主義的な臭いを感じて正直ひきました。
また、「一方では借金をしながら、その一方で貯金をしておく。ブレーキを踏みながらアクセルを踏む。これは行動的にも理論的にも、財政のダブルスタンダードであり」(p175~176)とある点もビックリしました。住宅ローンを組みながら貯金もする家庭や、銀行に借金をしながら内部留保を増やす会社は、一般的だと思います(というよりもキャッシュフローの面からは非常に望ましい)。
財政規律を原理主義的に信奉しているようで、ここで非常にテンションが下がりました。
ここで私見を述べますが、都の税収なんて景気に左右されるものであり、都の税収に見合った予算しか組まないとなると、継続して安定した行政サービスを都民は受けられないことになります。特に不景気の時ほど、行政サービスを頼りにする都民の数は増える傾向にあるのに、行政サービスは質および量で低下を余儀なくされます。それって、本当に都民のためですか?
「都民ファーストの会」じゃないんですか?
財政規律って、行政サービスができない都(行政)や都議会の免罪符や、増税の都合のいい理由であり、本当に都民のためのものですか?
という疑問を強く感じました。
借金や貯金を、有るか無いかの定性的に見るのではなく、今の経済状況で、どのぐらいの借金をして、どのぐらいの貯金をしているのが、長期的に安定で有利なのかという定量的な物事の見方が必要です。
この定量的な物事の見方は、なにも都の財政に限ったことではなく、化学物質の安全性など、多くの分野でも必要なものです。
正直、著者は定量的な物事の見方ができないから、豊洲の地下水問題で・・・と思ってしまいました。
本の内容には非常に有意義な知識、情報が多く含まれていますが、読後感は、ガッカリです。残念です。
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今や有名人となった著者のブログの読者には良く知られた内容だが、改めてまとめて読むと東京都庁の特殊な状況が良くわかる。
今回の都議選を経て、変わっていくのか。
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【感想】
都議会のドンがいかにして生まれるのか。そこには地方議会ならではの構造的な問題が潜んでおり、単に内田氏が去ったからといって、解決する問題ではないことがわかった。
また、東京都の潤沢な財政状況が改革への問題意識と危機感を生み出さないというのは納得できた。
【インプット】
1 自民党都連・都議会のドンはなぜこれほど力を持っているのか。
・都連幹事長ののポジションには、都議会議員が就く。
・幹事長は、政治家たちの人事権・公認権を持つ。中選挙区制の都議会選挙では、自民党の公認を得られるかどうかが選挙の当落を左右する。
・財政状況が豊かである東京都では、政策実現力が高い。支援者の陳情・要請は国会議員よりも都議会議員へと集中していく。
・選挙によってコロコロ代わる知事が「思いつき」で大なたを振るう場合にも、都職員から都議会のドンに頼むことで議会の力を用いてある種の暴走を止めることができていた。その結果、知事以上に長年わたり影響力を堅持することとなった。
2 選挙に必要な「3バン」
「地盤」…地元での人脈や強い後援組織
「看板」…政党からの公認
「鞄」…どれだけ資金をつぎこめるか
3 都政の変革可能性の高さについて
・日本で最も若者が多い街である。
・トータル13兆円もの予算があり、政策実現可能性が高い。
4 広域自治体と基礎自治体の役割分担について
・行政サービスの「利用者の存在範囲」によって、役割を分担する。
・「道路・上下水道、建設物などのインフラ」…大きな範囲で計画建設した方が合理的
・「コンサートホールや大型の商業施設」…利用者が近隣住民だけとは限らない。
・「警察・消防」…範囲を広くとって、情報共有をした方が効率的。
・「小中学校・保育所」…「通える範囲」が決まっているサービスは、住民との距離が近い基礎自治体が担う。
5 都議会の後進性の理由
・「改革先進都市」ほど、長期にわたる厳しい財政状況にある。財政が苦しくなって初めて、行政改革(情報公開・無駄の削減)が進む。
・東京都は財政危機ではなく、「うまくいっている」。結果あぐらをかき、余計な情報が外に漏れることを嫌う。
6 都庁の縦割りについて
・「ホームページ運営」について。通常、普通の企業であれば、会社のHPは一元管理されており、営業部とマーケティング部が違うHPを運営していることはありえない。都庁は局ごとにHPを作っており、その仕様もデザインもバラバラ。それぞれが別のサーバーと契約し製作も別々のクライアントに発注している(経費の無駄)。
7 予算の執行率について
・予算がどれほど使われたかを表す数値。執行率が低ければ、「なぜ余ったのか」、「予算設定が甘かったのか」等強く責められる。その結果、次年度からは予算を減らそうということになる。この結果、公務員組織には支出削減へのインセンティブが一切働かなくなる。(「年末の道路工事」に象徴される。)
8 知事の二つの顔について
・選挙で選ばれた「政治家」としての顔。「���意」を用いて、行財政改革を断行し、税金の無駄遣いをチェックし、諫めていかなければならない。(パフォーマンスになりがち)
・「行政府の長」としての顔。職員たちのリーダーとしてビジョンを示し、規律を守りながらモチベーションを高く維持し、組織運営をしていく必要がある。
・二つの顔は相反する。このバランスをとることが難しい。これが知事の力量を決める。
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再び東京都民になって、もうすぐ都議選だしっていうので、これ読んで闇をお勉強。
とりあえず、都議のお仕事と今の問題の根源ってなんなのかということは理解。
でも、今度の選挙は投票できないんだよね。俺。
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小池百合子が東京都知事になって以来、ブラックボックス化した都政を大改革する、として立ち上げた都民ファーストの会(元)幹事長の音喜多氏の都政解説。政治に関心の薄い人たちにも読みやすい例示と丁寧な説明で、議会内幕本としてはとっつきやすい作品だと思います。
現実には音喜多氏は小池知事の都政と国政を股にかけた行動や、不明朗な政党運営を批判して、都民ファーストの会を脱退しているので、そこに至る様々な出来事や、小池知事の現実についての続編を期待したいところ。
いいか悪いかの評価ではなく、現実をありのままに伝えることによって、政治に対するさらなる関心を引き出すことができるのではないだろうか。
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2023.04.03
部分的には良いことも言っているが、明らかな誤解もある。人はこういう本には明らかな間違いこそ印象に残す。私も然り。