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投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
壮絶の一言。保険金連続殺人事件だが、そこに至る家庭の不幸、一度捕えられたら抜け出せない闇の社会の描写に圧倒される。主人公:鈴木陽子は憎むべき存在の筈なのに、何故か憎めない。陽子は、結局、完全犯罪を達成して別人として生まれ変わる。逃れられない宿命に囚われた一人の人間が社会の闇から抜け出して再生する、成功物語として読める為だろうか。犯罪は悪いことだと思いつつ、つい陽子に拍手したくなる結末でした。
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投稿者:Fu - この投稿者のレビュー一覧を見る
最後、絶叫しました。
途中もなんどか、ジェットコースターのような上下や回転、寸どまり等々味わいました。
結局、ずーっと絶叫してました。
奈落の底へ転がり落ちる女
2017/08/29 09:57
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投稿者:papanpa - この投稿者のレビュー一覧を見る
奈落の底へ転がり落ちる女、陽子の物語
事件を追う女刑事の話と陽子の話が交差して語られるが
両者のつながりは浅く、推理小説の面白みはない
話が進むにしたがって下卑た話になっていき、個人的にはいまいちでした
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投稿者:あや - この投稿者のレビュー一覧を見る
とにかく悲しい。
こんなとんでもない状態の人間って
実際本当に居るんだよね。
ここまで落ちてしまうと自分で這い上がるのはもう不可能で
悲しい結末が待ってる。
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とても面白かった。前作のロストケアが好きだったので分厚い本でしたが期待して読みました。なかなか読み応え抜群でした。よかったですね。社会問題的なテーマもあって、最後も伏線を回収して見事な作品でした。おすすめですね。
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マンションの一室で発見された女性の腐乱死体。刑事の綾乃は死体の身元を調べていく中で、死体となった鈴木陽子の壮絶な半生を知る。さらに陽子は大きな犯罪とかかわっていた形跡も徐々に浮かんできて……。
凄まじい小説です…。弟の死という悲劇こそあったものの、平凡な家庭で普通に育ってきたはずの陽子。しかし、父の失踪からその生活は一変。母との縁は切れ、結婚もうまくいかず、東京での暮らしも派遣の低賃金の仕事のため、まったく余裕はない。そして、さらに彼女は社会の闇、また闇に飲み込まれていきます。
無縁社会、低賃金、枕営業、買い物依存、性産業、DV、貧困ビジネス、そして……
怖いのは彼女が歩む転落人生のリアルさ。例えば事故に遭って働けなくなったり、自分が勤めている会社が倒産したりしたら自分もこうなるんじゃないか。そんなふうに思わせるほど、小説の中で描かれる闇と彼女が堕ちていく様子はリアルかつ詳細です。
これだけでも社会の闇を描いたサスペンスとして一流の出来なのですが、そこにミステリとしてのサプライズも加えられているのがまたすごい!
刑事の綾乃の捜査のパートと、陽子の半生が語られるパートと交互に話は進みます。この陽子のパートの語り口が特殊で、「陽子――あなたは……」と母親が陽子に語りかけるかのような優しい語り口なのです。
この語り口の柔らかさや優しさがあるからこそ、陽子が歩む闇の深さや残酷さがより際立ちます。しかしこの語り口が、それ以外にも意味があったことが分かった時の衝撃はかなりのものでした!
社会派としても、ミステリとしても、犯罪小説としても、一級品の完成度であることは間違いなし!
デビュー作『ロストケア』から、社会の闇とミステリの面白さを両立させる作品を書いてらっしゃった葉真中さんでしたが、デビュー二作目で、この完成度とは……今後も目が離せない作家さんになりそうです。
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普通の女性が転落するが、逞しく生き延びる物語。壮絶なストーリー。色々な話が絡まり、展開していく。面白かった。
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本題は母と子の関係じゃない、それでも考えずにはいられない。子を蝕んでいく毒を平気で撒き散らす母親に唖然。その理解に苦しむ。かと思えば、綾乃の回想の「しつけでも教育でもない、ちゃんとできないことへの、怒り」にドキリとさせられる。愛したい気持ちと愛せない気持ちが常にせめぎ合う母親のリアルがここにある。
万感の思いがこみ上げる鈴木陽子の人生の重みとは裏腹に、エピローグは実に爽快で感動的。
ミステリーとしても再度読み返したくなる力作。
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なかなかの大作で読むのに時間が掛ってしまった。こういう結末の作品って最近では珍しい。作者に一本取られた感じで面白かった。
あらすじ(背表紙より)
マンションで孤独死体となって発見された女性の名は、鈴木陽子。刑事の綾乃は彼女の足跡を追うほどにその壮絶な半生を知る。平凡な人生を送るはずが、無縁社会、ブラック企業、そしてより深い闇の世界へ…。辿り着いた先に待ち受ける予測不能の真実とは!?ミステリー、社会派サスペンス、エンタテインメント。小説の魅力を存分に注ぎ込み、さらなる高みに到達した衝撃作!
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話題の新人、葉真中顕の「絶叫」が文庫に
なったので一気読みした。
ごく普通だったはずの鈴木陽子という40代女性の
悲劇と復讐の半生が描かれている。
ー陽子、あなたが生まれたのは一九七三年一〇月
二一日。まだ、年号は昭和で、電話を携帯することが
できなかった時代。海の向こうで起きた戦争の影響で、トイレットペーパーが手に入らなくなるという噂がまことしやかに飛び交っていた、秋のことだ。
……第二次ベビーブームのピークで二〇九万人もの
子どもが生まれたこの年、女の子に名づけられた
名前で最も多いのが、実は「陽子」だった。
……あなたを産んだとき母は二四歳。父は二つ上の
二六歳。両親ともに終戦直後の第一次ベビーブーム
で生まれた、いわゆる団塊の世代だ。
私と同じ頃に生まれ、父母の年頃も同じだ。
違うのはこの二年半後に陽子に弟が生まれ、母が
弟だけをかわいがるようになるところだ。
母に振り向いてもらいたくて、心を痛める
少女時代の陽子が切なかった。
その後の就職氷河期、結婚相手の裏切りによる
離婚、再就職してからのコールセンターや生保営業
の激務、借金苦や風俗嬢、さらには犯罪者への道は
たとえ陽子と同じ状況に陥ったとしても、全員がそ
ちらへ流れるわけではない。
だが、頼れる身内や手持ちのお金が全くない状況
だった時、自分ならどうなってしまうだろうか、と思う。
時折、目を背けたくなるような残酷な描写もあった
が、あまり上品ぶっていては陽子の苦しみが描けないと、筆者は考えたのだろう。
幼い頃は「家庭」、成長するにつれて「学校」「職場」、そして自分で「家庭」を持つ……人生の中で
自分の居場所がうまくみつからない女性の忍耐が爆発
したとき、何が起こるか。
陽子は、その一例だ。
読み終えて、心のざわつきが消えない作品だった。
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本当に凄い小説だった。文庫本で600頁あるが、読み応えがあり、なかなか飽きさせないストーリーに読み終えて震えが来た。
主人公「鈴木陽子」の壮絶な半生がまざまざと描かれていて、これほど残酷な境遇の彼女の人生を綴った作品に胸を打たれた。その上、最後でこの事件をひっくり返すような展開にも驚かされる。
少々長くはあったけど、読んでいるうちにひきこまれていく自分がいるのがわかった。タイトルの「絶叫」というのも読み終えた今だから、納得できると思う。彼女の人生に比べたら私なんか、いかに安穏としているかと思うと情けなくなる。
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1人の女の凄絶極まりない転落人生、救いようのない家族崩壊の物語が、2つ(プラスα)の視点から交互に描かれていく。至る所に細かい伏線が張りめぐらされており、最後まで気が抜けない。悲惨な話だが、サラッと種明かしをするラストには爽快感すら覚えた。ミステリーとして本当に良く出来ている。
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浜松町駅んとこの書店で購入したにゃ
書店のPOPが決め手だったにゃ
まぁまぁ面白く
とりあえず最後まで読めたにゃ
暫くして地元の書店のPOPみたら
『これでは購入しなかっただろうにゃ』って思ったにゃ
浜松町駅んとこの書店のPOPの威力☆5つ
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書店で平積みにされていた本を何気なく購入して読んだのですが、意外や意外!(すみません、こういう本の選び方をして失敗も多いものですから)すごく読み応えがあって、面白かったです!
語り手の主語の違いで、誰のことなのかがすぐにわかるし、犯罪の起こった理由などが読み進めるに従ってわかっていく部分が、怖かったけどいちいち納得がいき(エグいんだけど)順調に読み進めることができました。
すっごいなあ・・
ネタバレしたくないのでこの辺にしときます!面白かった!
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警視庁所轄の刑事・綾野が関わった異状死。ただの警察小説として展開するのかと思いきや、死亡した陽子の生い立ちから流転する人生が語られる章を合間に挟むという手法が、この物語を面白くさせる。母から愛されなかった陽子が、それでも普通の人生を歩もうとした矢先のバブル崩壊。弟の自死、父の蒸発、借金のかたに自宅を失う……絵に描いたような転落人生を、読者は読まされることになる。陽子の年老いた母が失踪した時点で、何となく陽子は生き延びていると直感。しかし、結末はさらに一捻りされたものが用意されていた。やられた!