投稿元:
レビューを見る
リンダが、たとえ黒人であっても、もし現代に生まれ、普通に育ち、普通に教育を受けていれば、どのような人生を送ったか…。どのような女性に育ったか…。
投稿元:
レビューを見る
子供の頃からアメリカの奴隷制度についての書籍、映画、テレビ番組等を見てきましたが、またとても悲惨な証言に巡り合ってしまいました。奴隷制度はホロコーストに並ぶ人類史上最悪の犯罪だと思いますが、ドイツが常に反省を表しているのに比べ、アメリカの振り返りは見たことも聞いたこともありません。日本も戦時中にアジア諸国に対してやはりとてつもない罪を犯し、未だに事実認定すらせず逃げ回っていますが、アメリカとニッポンは似た者同士のお粗末な国という思いです。この本がアメリカでベストセラーになったという点がわずかな救いです。
投稿元:
レビューを見る
「事実は小説より奇なり」ということは、往々にしてあることを痛感させてくれる一冊。
同じことが『アンネの日記』にも言えるのでしょうが、ジェイコブズの場合は、ある少女に起こった出来事を事実として記すだけでなく、読者に伝えようとしています。その点において、小説を読んでいるかのように思えるときがあり、結果として文学性を獲得しています。訳者あとがきにおいて、本書を『ジェーン・エア』などの古典文学と並ぶ位置づけにしているのも頷けます。
本書の訳文はすばらしく、その読みやすさに感じ入ったのですが・・・。あとがきを読むと、現代の読者には通じにくい箇所などを割愛したりと、意図的に読みやすくしているとのこと。判断の分かれる訳業ということで★★★★。
投稿元:
レビューを見る
奴隷として産まれた女の子の波瀾万丈な人生。
あまりにも荒唐無稽に思われて、最初の出版後130年近くも事実だと思われていなかったのだという。書き残したこの話は、いくつもの偶然によりこうして未来で発掘され、読み継がれているのだそうだ。
あとがきに、女性サラリーマンの訳者が仕事で移動中、米国Kindleで名作古典ランキングに入っているのを発見し、夢中で読んだことをきっかけに訳したとあるのだが、ないよ!日本語訳の電子書籍版!本業じゃない方の訳なのに読みやすいし、紙も売れてるみたいだしもったいない。さらに未来に残したいとは思わんのかー!
偶然どこかでレビューを目にしたのかなんだったのかで購入したのだけど、出会えてほんとうによかった。
想いを未来に遺す、言葉と本はほんとうに素晴らしい。
投稿元:
レビューを見る
『アンクルトムの小屋』から映画『それでも夜は明ける』まで、米国の奴隷制度に関する話にはいくつか触れたことはあったが、白人の主人に対して最も弱い位置にいる奴隷少女の一人だった著者が語る半生には、初めて知る事実も多く、衝撃が大きかった。
そして歴史のことでかつ外国でのことと看過できないのは、専業の翻訳家ではない訳者がなぜこの本と出会ったのかを語るあとがきにも現れている。自分も少女だった頃にこの本と出会ったら、かなり影響を受けたかもしれない。それだけ現代にもつながる歴史が詰まった、重要な本であった。
投稿元:
レビューを見る
長らく創作だと思われていたのも納得の、現実に起こり得るとは想像もつかない壮絶な回想です。
まず共感をしようにも現在の日本に生きる身には理解しにくい社会背景があります。本職の手によるものではない文章は説明不足に感じられる部分も多く、つまりこれはどういうことなのかと首を捻ってしまうことも頻繁に出てきて、著者が祖母に支えられながら良心や信仰を持ち続けられる強さを持った少女であったことだけは分かるものの、どうも寄り添いきれない。数々の出来事に、しょうがないとどこか突き放した視点で読み進め、神に背く行いでも当時はそうせざるを得なかったとする少女の懺悔に、それほど追いつめられていたのだから自分を責める必要はないと、それこそ別の世界の出来事のように感じてしまったくらいです。けれど、ふとその章を読み終えて現実の世界に戻ったときに、少女が選んだ行動を「仕方ない」と思ってしまった自分に愕然としました。現実には「仕方ない」で片付けられる行いだろうか。「追いつめられたから」で肯定していいことなのか。信仰心の篤い少女が正常な精神状態で選べる道ではありません。それまでは過酷では済まないような状況にも賢さと強さで凜と立ち続けていたように見えた少女像が崩れ、自分も少女と共にまともな判断力を失った状態だったとわかった瞬間、これは現実にあった出来事なのだと痛感し、視点が変わっていきました。
潜伏生活、脱出、家族の再会。所有者や社会を恨む間もなく、非現実的な希望を抱くこともなく、ただただ逃れ、家族を守り、生きることだけを考えてきた彼女に、人間の根源の姿をみたように思います。一時は創作の物語だとされ、埋もれていたこの作品が、回想だと証明され、現代に残るに至った意義について、考えずにはいられません。
投稿元:
レビューを見る
翻訳者のトークイベントのの取材で、問題作と聞いて読んでみた。
これはさぁ、もっと沢山の人に読まれるべき作品だね。
投稿元:
レビューを見る
映画や歴史の教科書の中でしか知らない「奴隷」。その実態を生々しく語ったノンフィクション。人間ではなく、家畜と同様に扱われ、売買され、虐待強姦は日常茶飯事、殺されても文句は言えない。白人が父親でも、奴隷の母親の子供は奴隷となり、父親は平気で母子を売り飛ばす。そんな目を覆いたくなるような事実。肌の色だけでなぜこんな差別を受けるのか。著者を守る善良な白人、同じ黒人なのに他の黒人を痛めつける黒人の存在が一層の闇を感じさせる。
投稿元:
レビューを見る
奴隷はお手伝いさんではなく、女中でもなく、相続や売り買いの対象となる所有物だということが、この本を読むまでわかっていなかった。
投稿元:
レビューを見る
南北戦争当時の南部を舞台にした「風と共に去りぬ」には、奴隷解放を謳って南北戦争を勝利した北部の人間たちが必ずしも黒人を同じ人間として尊重していなかったこと、南部人たちは奴隷を所有してはいるが、その健康に心を砕き、病気の時は屋敷の女主人が献身的に看護するなど、奴隷たちは家族同然であったと描かれている。
オールコットの「若草物語」が同時代の北部の家族の物語だとすれば、「風と共に去りぬ」は南部側の視点から切り取った物語であり、物事の二面性を示す好例だと思っていた。
本書はその見方をまた新たに、そして強力に覆す。過酷な運命に抗い、自由と人間としての尊厳を求めて闘い抜く奴隷少女の物語である本書の稀有であるのは、奴隷であった人間にこれほど知的で正確で鋭い文章が書けるのかという疑問から長らくフィクションだと思われていたのが、ある研究者により著者および本書に登場する人物が実在したこと、数々の事実と符合するノンフィクションであることが判明し、120年の時を経てベストセラーとなった点だ。
著者ハリエット・アン・ジェイコブズは、奴隷所有者を忌み嫌うと同時に、彼らもまた、この社会制度の元に生まれていなければ、真のキリスト教徒として誰にも恥じない価値観を持って人生を歩めたかもしれないと語る。部落差別、人種差別、民族差別など、現代にも残る全ての差別に通じる洞察に、この時代の、人生の前半を奴隷として過ごした人物が、過酷な生活の中で到達したことに尊敬の念を覚える。
翻訳家ではない訳者の堀越ゆきさんと本書との偶然の出会い、堀越さんがこの本を今の格差社会に生きる日本の少女たちに届けたいと自ら翻訳に乗り出し、出版社に持ち込んで日本での刊行にこぎつけたという経緯もドラマチックで、この人に訳されるべくして訳されたという感じである。極めて読みやすく、それでいながら著者の心情が文字の後ろから立ち上ってくるような翻訳に仕上がっている。
ただ、あとがきの中の「地方に生まれ落ちた少女たちにデフォルトで与えられた人生から抜け出すこと」云々の記述は、やはり一面的な見方と感じざるを得ない。高校大学をアメリカで過ごし、大手コンサルタント会社でグローバルビジネスの真っ只中ではたらく著者からは、大手住宅メーカーが低予算で建てた画一的で無個性な家が立ち並び、量販店とファミレスとパチンコ屋が目立つ閉塞感に満ちた地方都市は、少女たちが夢を抱けない、抜け出したいと思う場所なのだろう。そして「地元の大手企業の工場に運良く勤められる」ことが才覚を生かしてその土地から抜け出せなかった少女たちの最大の成功であり、それさえもいつ何時巨大な権力を持った者たちに予告なく奪われるかもしれないといった状況が、自らアッパーミドルクラス出身と称する訳者には、当時の陰湿な南部の空気と重なるのかもしれない。
地方に住んでいると、都市部との格差、ギャップ、地方であるが故のハンディを感じることは確かに多い。しかし、人生とか豊かさとかは、もっと多面的で多様なものである。可能性も無限である。「どんなに努力しても、あの子たちが今持っている正しい価値観を曲げることなく��自分らしく自由に働ける仕事は、あそこにはない」との言葉は、おそらく何かに反発しながら闘いながら努力を重ねて今の場所にたどり着いたであろう訳者にとっては真実であっても、やはり一面でしかない。
投稿元:
レビューを見る
以下、思ったことをただ書き殴る。
☟☟☟
なんか、すごく嫌な嫌悪感しかない表現がたくさんあった。
人をあげるとかもらうとか買うとか売るとか、もうなんなの?意味わかんない。
女だから、15歳を超えたら、性暴力の対象になるの?なんで?は?
特にこの2つ。なんでそんなことを考えられるんだ...
でもそんなこと言ったって、わたしが同じ立場で、しかも白人側だったら、小さい頃からそれが普通の環境だったら、喜んですることなんて決してないって言いたいけど、少なくとも批判する勇気はなかったと思う。
書店でたまたま見つけて、たまたま手に取った本だったけど、この本に出合えてよかった。
夢中で読んだ。
自分の中で勝手に想像していた奴隷制とは違うところもあって、勉強になった。
でもなんか、同じ人間なのに、ただ肌の色が違うってだけのほんっとしょうもない理由で、なんでこんなひどい扱いを受けなくちゃいけなかったのかって考えると涙が出る。わたしが日本人だから、島国だから、人種差別なんて接してこなかったから、そう思うのかもしれないけど。
ジェイコブズさんの折れない強い心と聡明さ、よくこんな時代に、ちゃんと教育を受けられなかったにも関わらず、、すごい。死んだ方がマシなくらいひどい扱いだったのに。
けど最後は自由になれて、たくさんのいい人に出会えて、本当によかった。もちろん運もあると思うけど、けどまっすぐ折れない生き方をしてきたから、素敵な人に出会えたんだろうな。
(表現は違うけど)奴隷制は白人も黒人もだめにする。当事者だったのに、しかも被害者側だったのに、そう思えたことがすごい。
今の日本でもまだ差別は残ってるし、男尊女卑的考えもまだまだ蔓延ってる。けどこの時代よりは確実にマシだから、だから頑張るって変だけど、もっと社会が変わっていくように折れないで生きていこう。
投稿元:
レビューを見る
人権が法律で守られていることが、どれほど大切なことか痛感出来る本
途中何度も、この本がノンフィクションであることを思い出さないといけないほど苛酷な話。
人権教育にこの本が使われるようになると良いと思う。
世の中で広くこの本が読まれることを願います。
投稿元:
レビューを見る
自由になってもなお、ペンをとって戦い続けるリンダの勇気に拍手を送る。また、出版の機会を得られなかったが、確かに実在した奴隷制度の犠牲者たちのことを、我々は忘れてはいけない。そして、本書が実話であることを証明するために勢力を尽くした人々へ感謝したい。次の世代のためにも、リンダを救う手を差し伸べてくれた人々のような、愛と優しさに満ちた世界にしなければならないと強く感じた。
投稿元:
レビューを見る
人間が生まれてきた役割というのは大きいものです。
150年後の我々が読むことになり、知ることになるのですから。
投稿元:
レビューを見る
奴隷制。
人がモノとして売り買いされていた時代の実話。
人間の愚かさ残酷さ。
そして悲しいまでの少女の強さ。
必読の一冊。