紙の本
未熟さがある
2019/02/28 23:39
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投稿者:千那 - この投稿者のレビュー一覧を見る
作者のやる気というか張り切りは伝わってくるのだが、いささか未熟なのか、中身が
薄いように感じる。受賞作と思って期待せずに読めば、ふつうの恋愛小説として楽し
めたかもしれない。
紙の本
はてさて。読みやすいけど掴めないのだが。
2017/12/27 17:55
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投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作品で文學界新人賞を受賞してデビューしたところ、
なんと芥川賞まで取ってしまったという話題作です。
少し前までは、芥川賞といえば五回ノミネートされていまさらとか、
難解すぎてとかの評判がありました。
それを気にしたのか、最近は新人に贈る賞という趣旨に
戻ろうとする傾向があるようです。
それにしてもデビュー作で受賞というのはかなり珍しいです。
ですのでチェックしていました。
先行情報で、震災とか同性愛とかが聞こえてきて、
脇に置いていました。文章の美しさという評判は
違うのではないかという書評を読み、
ようやく手に取ろうと思いました。
これほど中身の聞こえてこない作品も珍しいなと。
読後、評判の理由が分かりました。
すみませんがわたしも降参です。
なぜこれがデビュー作で芥川賞受賞という高評価を
受けたのか分かりませんでした。
頭の整理がてら書き出してみます。
ネタバレになりますので、気になる方は読了後に読んで下さい。
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<以下、ネタバレです>
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つまらないのか?
そんなことはないです。
難解だったか?
難読漢字を使っているので、著者の自己満足を感じましたが、
驚きの展開という感じはしません。
感動したか?
正直いって心は動きませんね。
どんな話か?
会社の同僚と仲良くなり、釣り友だちになります。
同僚は退職しますが、つき合いは続きます。
転職先でセールスをしていて、わたしはノルマ達成に協力します。
ノルマ達成だけでなくお金を貸したりなど、迷惑をかけられた人もいます。
震災に巻き込まれたとの噂がたち、わたしは探し回ります。
最後に父親に会いに行ったら、すでに手を切ったと言われました。
信頼できない種類の人間だと。
しかしわたしは、どこかで生きていることを信じ、
ある出来事で生存を感じて結末を迎えるというお話です。
まとめると?
するする読めるけど、描写に徹していて演出もほとんどないので、
読み手を選ぶ作品だと思います。
ひょっとしたらですが、最近の演出過剰な作品の向こうをいく
スタイルに、選考委員の票が集まったのかもしれません。
読書は読み手の受け止めかたに委ねられる部分がありますが、
この作品は結果的に最大限引き出した形なのかもしれません。
本の深読みが好きな人にむけて、芥川賞が一石を投じた
作品といえるでしょう。面白いのは、作者はそんなことを
これっぽっちも考えていないことですが。
本の売れない時代に芥川賞がもがいている姿が見えます。
じゃあこの本を薦めるのかと聞かれれば、微妙としか
答えようがないのですが。
紙の本
小説を読むのは難しい
2017/08/31 05:45
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
第157回芥川賞受賞作。(2017年)
小説の読み方は自由だ。たとえその作品が名の通った選者たちによって選ばれた作品であったとしても、まして選者たちが全員認めた作品であるわけでもなく、それが読者にとって理解されない、理解という堅苦しい言葉でなく受容できないとすれば、それはそういう縁だったというしかない。
選考委員の選評を読むと、否定票を投じた委員たちも、この作品の書き手の「うまさ」を認めているが、それさえあまり納得がいかない。
そもそもが「わたし」として表現される人物像がよくわからない。
それはあえてゲイであることを誘導させる小細工のような気がするし、ここにその必然があるわけではない。
むしろ、主人公をそう描くことで読者に現代風という仕掛けを施したということではないか。
同じことが東日本大震災の扱いにもいえないか。
ではこの作品にまったく魅力がないかといえば、そうではない。
奥泉光委員がこの作品を「ハードボイルドふうの味わいのある作品」とし、「これは序章であって、ここから日浅と云う謎の男を追う主人公の物語がはじまるのではないか」と書いているが、確かにその通りである。
だとしたら、この作品自体直木賞での受賞の方は相当であったかもしれない。しかし、桜木紫乃ほどの巧さはない。
島田雅彦委員の選評に付けられたタイトル、「賞は結局運次第」はこの作品を指しているのか、受賞からもれた作品なのか、どちらなのだろう。
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第157回芥川賞受賞作。
100ページに満たない短い作品。
岩手県盛岡市の澄んだそして都会より少し冷んやりとした空気が感じられ、また清流のせせらぎや短い夏を急いで楽しむ緑の木々が浮かんでくる。
誰もがふるさとを感じているのではないだろうか?
しかし、それ以上でもそれ以下でもない、芥川賞という純文学のカテゴリーなので、エンタメは求めていないのだが、影裏のテーマがどこにあるのかを見つけられずに終わってしまった感じ。
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芥川賞受賞作品ということで、とりあえず読みました。
が、私には、伝えたいことが伝わりませんでした。
おわり。
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心理描写はなく場面の連なりかな。数少ない友達、日常、震災を通して、崩壊の予兆と崩壊を書いたもの? 短い物語。主人公の震災を書いたものかしら。私は、残念ながら、深いものを感じることができませんでした。ただ、全体的に重くならずに書けているのは良いんではないですか。
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場面の転換が突然起こるので、夢を見ているような朧気な印象を受ける文でした。驚きどころが偶にあって、興味深いです。
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デビュー作で芥川賞を受賞した盛岡在住の作家が描く物語は、震災小説というよりも釣り小説と言った方がいいかもしれない。岩手の自然を愛しつつも、なかなか人と交われない主人公と唯一心を許した同僚との交流には風景が目に浮かぶような瑞々しさがある。そんな彼との関係とかつての恋人とのそれも対比され、一体どうなるのかと思うが、終盤でひっくり返される。彼はいったいなんだったのか。なぜそんな顔を持っていたのか。一気に読んでしまったが、もう一度読んでみると、また違うものが見えるかもしれない。
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水墨画の様な印象。
LGBTや東日本大震災など、鏡の様に時代を写す描写も特徴的。
ただ、鏡の角度がやや正対しすぎな感もある。
もう少し角度をつけて鋭利にすると、もっとすごかったと思う。
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第122回文學界新人賞で、
第157回芥川賞受賞作。デビュー作で芥川賞かーと思いながら読んだら、なかなか面白かった。淡々と話が進んでいく中でのラストがよかったからなおさら。
著者の意図なのかもしれませんが読めない漢字がわりとあって、まず日浅って(ひあさ)でいいのかな、からわからなかった。せめて名前くらいは。。。
あまり震災を軸にした話は好まないのですが、盛岡に住む著者自身が経験されたことがベースなら良いのかなとも思った。けれどLGBTは必要だったかな。なくても良かった気もするけれど。
仲が深くなった気がする知り合いが急に疎遠になる、なんてことは日常にわりとよく起こりうること。震災がおこり、その中でよく知っていたはずの人のもう一つの顔を知っていく。
日浅のお父さんの端的な感じがまたよかった。信じていたから疑わなかった。しんどいな。
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情景や心情の描写がとても詳しく描かれ、物語全体のゆっくりと立ち止まりながら歩くようなテンポをつくっていた。人物たちの細やかな心の動きや空気感が、情景を通して語られており、静かに耳をすませながら読んでいるようでひきこまれた。
話からは少しそれるけれども、仙台の冷やし中華発祥のお店がちらっと登場し、また行きたくなった。
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芥川賞受賞作品ということで手に取りました。
感想を書くのも難しくどこから書いて良いのか分からないくらいです。
岩手の自然の情景が繊細に描かれていて、
目に光景が映っているかのように綺麗でした。
それとは反対に淡々と日々の物事が淡々と描かれているので
一体この先には何が訪れるのだろうかと思いながら読んでいました。
そして後半に差し掛かった時に考えもしなかったある登場人物の過去。
今まで主人公と釣りを通して親しく付き合っていたものが、
過去を告げられたことによって一瞬にしてその人物像が崩れてしまう。
その落差をどのようにしたら心を埋められるのかと考えてしまいました。
過去の人物像がマイナスのものであったとしても、
現在までの人物像がプラスであったのならば人はどちらを選ぶのか?
それと同時にその人物が現在の状態がどうなっているのかも
分からない状況となると、例え血の繋がりのあ家族であっても
一線を引いてしまうということ。
想像では語ることも出来なくとても複雑な心境になりました。
薄い本の割には内容が難しく読解力が無いせいで
何が伝えたかったのかがいまひとつ心に響きませんでした。
時間や場所の移動の幅が激しく時間軸がいまいち把握しにくかったです。
それと一番なのは難しい漢字が多かったのでもう少しルビをふって欲しかったです。
難解漢字が何度も出てくるとそれに囚われてしまって、
ストーリーの邪魔をされてしまい面白さも少し半減してしまうことがあるので。
3.11ということが出てきますが、
他の本では3.11をこのような書き方をしないのでまた印象が変わります。
人それぞれ感じ方は違うかと思いますが、
このようなものだと何かひっかかるものがあります。
悲しみや怒りといったものではなく何か分からないものがある。
それが経験をした人の本当の心境なのかもしれないのですが、
これも難しいです。
芥川賞受賞作ということもあるので
これだけの難しさの作品なのかなとも思ったりしました。
文章力はとてもあると思うので、
機会があったら他の作品読んでみたいと思います。
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友情と、たしかにそう聞こえた。だがそれが誰と誰とのあいだの友情を指していうものなのか正確なことはわからなかった。やがて二階のどこからか、何か重たい荷物を引きづったり、小物が床にばらけたりする音が聞こえてきた。しばらくすると階段を一段一段軋ませて、厚手のネルシャツの袖を腕まくりした日浅氏が咳き込みながら姿を見せた。腋の下に薄いブックタイプのホルダーを挟み、手にはガラスのコーヒーサーバーを握りしめている。古い喫茶店のマスターのようだとわたしは思った。(p.81)
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第157回芥川賞
受賞作1篇だけの単行本という事でわずか94頁の最薄本。
表面的には、主人公が元同僚の「日浅」と釣りをする話し。
「電光影裏斬春風」という禅語が登場する。
ここからこの小説のタイトルはとられたのだろう。
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審査員がボーイズラブだと言ってたので読んでみた。ニアBL、匂い系として読むとそれなりに楽しめるし、自然描写も素敵だ。文章は水みたいにクセがなくするする読める。ただ、これが芥川賞にふさわしい作品かと言われると大幅に疑問。