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紙の本
大河ドラマ「西郷どん」を見てもなお何倍も魅力的な西郷吉之助
2019/10/30 23:54
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ノッポ - この投稿者のレビュー一覧を見る
西郷吉之助の人となりがよく書かれていました。島津斉彬に見いだされ江戸を知り、人間的にも成長していく様子が分かりやすく、思想や生き方が理解しやすかった。力で人は動かない。肝心なのは心。
紙の本
西郷隆盛ブームの中で葉室麟の筆が冴える
2017/12/09 08:39
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
来年(2018年)のNHK大河ドラマが林真理子さんの『西郷どん』に決まって、ちょっとした西郷隆盛ブームの兆しがすでに見え始めている。
そんな中出版された葉室麟さんのこの本も「西郷青嵐賦」とあるように、主人公は若き日の西郷隆盛である。
ただ葉室さんのこの作品の「文藝春秋」への連載が始まったのは2016年1月だから、大河ドラマとの関係はないと思われる。
放映が近づいた頃の出版となったのも偶々であろう。
読者としては、林真理子さんの原作もそうだが、葉室さんの西郷が読めて、これで来年の大河ドラマを見る楽しみが増したといえる。
そうはいってもこの作品のタイトルは「大獄」である。
つまり、歴史的に有名な「安政の大獄」が描かれているということである。
「安政の大獄」とは安政5年(1858年)から翌6年にかけて江戸幕府の手によって行われた弾圧事件で、その主役となるのは井伊直弼だし、彼の弾圧により獄死する吉田松陰が有名である。
その時、西郷は30歳で、その大獄の原因ともなった徳川家の世継ぎ問題で島津斉彬の命を受けて一橋慶喜派として奔走していた。
そして、その罰を受け、奄美大島に流されることになる。
しかし、安政7年に起こった桜田門外の変により、時代の歯車はまたひとつ回る。
西郷もまたその歯車によって、再び表舞台へと出立する。
葉室さんのこの作品はここで終わる。
西郷隆盛の生涯すべてが描かれているわけではない。
ただ後に西南戦争で対峙することになる大久保一蔵との違いなど、葉室さんはこの作品の中でもおろそかにしない。
それがこの作品の重厚さにつながっている。
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